有価証券報告書-第112期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

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2015/06/29 10:25
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事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループ(当行及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 不良債権問題等
① 不良債権の状況
当行の平成27年3月期における「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」第6条に基づく不良債権残高は713億円、不良債権比率は1.77%となっております。これは、平成26年9月期と比較して、不良債権残高は14億円減少し、不良債権比率は0.10%改善しました。
今後とも、地域金融機関の使命であります地域に密着した金融機能を十分に発揮し、中小企業金融円滑化支援等による地域経済の活性化に貢献すべく、より磐石な経営基盤を確立するため、不良債権の縮減に鋭意努めてまいりますが、国内外の景気動向、不動産価格・株価・為替、当行貸出先の経営状況が大幅に変動する場合には、当行の不良債権及び与信関係費用が増加する可能性があります。
② 貸倒引当金の状況
当行は、貸出先の状況、差し入れられた担保の価値及び見積りに基づいて、貸倒引当金を計上しておりますが、実際の貸倒れが貸倒引当金計上時点における見積りと乖離した場合や、担保価値が下落した場合には、貸倒引当金を積み増さざるを得なくなる可能性があります。
③ 業種別貸出状況
当行では、特定の業種への与信集中を抑制し、リスク分散を徹底することを、与信リスク管理の基本的な考え方としています。当行の貸出資産は各業種に分散されているものの、中には、公共工事依存型の建設関連業種に代表されるように、供給過剰あるいは競争激化によって淘汰を余儀なくされている構造不況業種等、国内外の景気動向等の様々な要因により業況の厳しさが増している業種もあります。
こうした環境下、当行では、業種別の貸出審査態勢を強化しておりますが、国内外の景気動向、不動産価格・株価・為替、当行貸出先の経営状況が大幅に変動する場合には、当行の不良債権及び与信関係費用が増加する可能性があります。
④ 貸出先への対応
当行は、貸出先に債務不履行等が発生した場合においても、回収の効率性・実効性等の観点から、当行が債権者として有する法的な権利のすべてを必ずしも実行しない場合があります。また、当行がこれらの貸出先に対して追加貸出を行って支援をする可能性もあります。かかる貸出先に対し、追加貸出を行って支援を実施した場合は、貸出残高と与信関係費用が増加する可能性があります。
また、現在、「企業再生支援」に積極的に取り組んでいるところでありますが、経営改善計画等が順調に進捗しない場合は、与信関係費用が増加する可能性があります。
⑤ 権利行使の困難性
当行は、不動産価格や有価証券価格の下落等の要因によって、担保権を設定した不動産や有価証券を換金することが困難となる可能性があります。
⑥ 不良債権問題等に影響しうる他の要因
市場においては、当面政策金利の引上げは予想されていないものの、今後、金利の上昇が発生した場合の影響により、お取引先の金利負担が増加し、財務内容が悪化した場合、当行の業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 市場リスク
当行の主要な資産、負債は、主要業務である預金、貸出、為替及び有価証券業務等を通じて形成されており、金利や為替レート、株価等が大きく変動した場合には、当行の業績及び財政状態が悪化するリスクにさらされています。主なリスクの具体的内容は次のとおりです。
① 金利リスク
金利リスクとは、貸出取引や有価証券投資等の資金運用と、預金等による資金調達とのミスマッチが存在している中で、金利が変動することによって利益が縮小したり損害を被ったりするリスクを指します。当行では、現状及び将来の金利予想を踏まえ、金利リスクを総合的に管理する態勢を構築し、慎重な運営を行っておりますが、予期せぬ金利変動等によって、当行の業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、資金ポジションが長期(固定)運用・短期調達にあれば、調達金利が低位安定している間は好調な金利収益を見込めますが、調達金利が上昇した場合には、長期運用している資金の利鞘は縮小、あるいは逆鞘となり、収益を阻害する可能性があります。
② 為替リスク
当行が保有する有価証券の一部は、為替レートの変動の影響を受けます。例えば、為替相場が円高に変動した場合、為替ヘッジを行っていない有価証券の価値に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 株価リスク
当行は市場性のある株式を保有しています。今後、国内の景気低迷等の要因で全般的かつ大幅に株価が下落した場合には、保有有価証券に減損又は評価損が発生し、当行の業績に悪影響を及ぼすとともに、自己資本比率の低下を招く可能性があります。
(3) 流動性リスク
① 格付低下及び資金調達条件悪化のリスク
当行は、当行の信用力を背景に資金調達を行っており、当行の信用状況の悪化により格付機関が当行の格付を引き下げた場合、当行の資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。また、本邦金融機関全体の信用度に対する懸念が高まった場合、当行の格付は不変であったとしても、当行が外国金融機関から資金調達を行う際にリスク・プレミアムを要求される可能性があります。このような場合、資金調達コストの上昇が、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 市場流動性低下のリスク
金融市場の混乱等により、当行が保有する有価証券の市場流動性が著しく低下し、市場において取引ができなくなったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされ、保有有価証券の価値が下落する可能性があります。このような場合、保有有価証券の価値の下落が、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 自己資本比率に関するリスク
当行は、海外に営業拠点を有しておりますので、銀行法第十四条の二の規定等に基づき、連結及び単体の自己資本比率をバーゼルⅢ基準に定める比率以上に維持しなければなりません。この基準が維持できない場合は早期是正措置が発動され、監督当局から業務の全部又は一部停止等を含む様々な命令を受けることになります。
当行(連結)の自己資本比率が27年3月末の総自己資本比率15.81%、Tier 1比率13.07%、普通株式等Tier 1比率13.03%から大きく低下する可能性としては、以下のようなことが複合的に発生する場合が考えられます。
・経済環境の悪化等に伴う不良債権処理の増加により、自己資本が著しく毀損する場合
・株価や金利の変動に伴い、当行の保有する有価証券の評価益が大きく減少する場合
・予想デフォルト率の上昇や与信ポートフォリオの構成変化、またはデフォルト債権の増加等によって所要資本額(期待損失あるいは非期待損失)が増加する場合
(5) 繰延税金資産(単体)に関するリスク
当行の繰延税金資産は、繰延税金負債との相殺後はゼロであり、相殺前でも見積課税所得で約2年6ヵ月で回収可能と見積もっており、現時点では回収可能性に全く問題ありません。しかしながら、今後多額の有税での不良債権処理が発生し、課税所得も大きく減少した場合、繰延税金資産の計上が制限され、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 年金債務に関するリスク
当行の年金資産の時価が下落した場合、当行の年金資産の運用利回りが低下した場合、または退職給付債務を計算する前提の基礎率に変更があった場合には、費用負担が発生する可能性があります。また、年金制度の改定により未認識の過去勤務費用が発生し、その償却のため費用負担が発生する可能性があります。
(7) 所有不動産に係るリスク
当行は営業拠点、社宅等として不動産を所有していますが、当該不動産の価値・価格が下落した場合には減損が生じ、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 業務面に関するリスク
① 業務範囲の拡大に伴うリスク
規制緩和の進展等に伴い、今後当行が従来の伝統的な銀行業務以外の分野に業務範囲を拡大することが予想されます。業務範囲を拡大した場合、当該業務に関するリスクについて全く経験がないか、または限定的な経験しか有していないことがあるため、新しく複雑なリスクにさらされることになります。また、業務範囲の拡大に際しては、十分な市場調査や収支予想に基づき取り組みますが、競争状況又は市場環境によっては、業務範囲の拡大が当初想定していた成果を得られない可能性があります。
② 事務リスク
当行は、預金・貸出・為替等の業務に加え、証券・信託・金融商品販売・仲介等多様な業務を行っております。これらの業務を遂行するにあたって、役職員が不正確な事務又は不正や過失等に起因する不適切な事務を行った場合、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 法令等に関するリスク
当行は、事業活動を行う上で、会社法、銀行法、金融商品取引法等の法令の適用を受けております。当行では、これらの法令に加え、社会規範を遵守するようコンプライアンスの徹底を経営の最重要課題の一つとして取り組んでおります。しかしながら、これらの法令等を遵守できなかった場合には、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法令が将来において変更・廃止され、あるいは、新たな法令が設けられる可能性があり、その内容によっては、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ システムリスク
当行は、預金・貸出・為替等のデータの処理を行うため、各種のコンピュータを保有しており、一部のコンピュータは各種決済機関等の外部のコンピュータと接続されています。当行は、常時、システムの安定稼働に努めるとともに、外部からの不正アクセスや情報漏洩の防止、バックアップシステムの構築、回線の二重化等、セキュリティ対策を講じておりますが、万一、重大な障害が発生した場合には、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 個人情報等の漏洩に関するリスク
当行は、法人・個人のお客さまに関する様々な情報を多数保有しております。これらの情報管理については管理態勢を整備のうえ、管理基準及び事務手続を制定し、研修等を通じて役職員に徹底するとともに、コンピュータのセキュリティ体制の構築、業務委託先からの漏洩リスクの排除等の対策を講じておりますが、万一、情報が外部に漏洩した場合には、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) 競争に関するリスク
近年は、従来の伝統的な銀行業務である預貸金業務のみならず、各種商品サービス等を含めた広範な分野において、他業態・他業種との競争が激しさを増しております。当行がこうした競争的な事業環境下において競争優位を得られない場合、投資やコストの回収ができず、当行の業績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11) 災害リスク
当行は愛媛県を中心に事業を展開しており、お取引先、当行の人材、営業店舗及び事務センター等の施設は愛媛県に集中しております。当行では、災害等の緊急事態に備え「業務継続計画」を策定し、緊急時の業務や復旧目標、業務継続手段等を定めております。また、施設等への各種災害対策や定期的な訓練を行うなど、人的・物的被害の回避・軽減に努めております。平成23年3月に発生した「東日本大震災」においては、当該地域の金融機関に多大な被害が発生したことから、地域の金融インフラを担う金融機関の役割の重さに鑑み、当行においても「業務継続体制」の見直しを行いました。
しかしながら、愛媛県を含む広域に災害等が発生した場合はもちろんのこと、愛媛県を中心とする局地的な災害等が発生した場合には、地域経済及び当行の人材・施設に甚大な被害が及ぶ可能性があり、その結果、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) 風評リスク
当行の事業は、地域の皆さま、お取引先並びに市場関係者からの信用によって成り立っております。当行に関する風評・風説については、対策要領を制定し役職員に徹底する等、その防止策・対応策を講じておりますが、当行に関する事実と異なる風評・風説が、口伝てにて、あるいはインターネット・マスコミ等の媒体を通じて世間に拡散した場合には、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13) デリバティブ取引に係るリスク
当行が利用しているデリバティブ取引は、通貨、金利等が変動することによる市場リスクと、取引相手先の契約不履行による信用リスクを有しております。なお、カレントエクスポージャー方式(市場の実勢条件により算定した正の値をとる再構築コストと、想定元本額に取引の種類や期間に応じた一定の掛目を乗じたものを合計して与信相当額を算出する方法)で算出した自己資本比率規制(国際統一基準)に基づく与信相当額(信用リスク相当額)は、平成27年3月31日現在で541億円であります。