有価証券報告書-第17期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/26 12:08
【資料】
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【項目】
135項目

対処すべき課題

当グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、記載事項のうち将来に関するものは、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)経営方針
当グループは、以下の経営理念の下、地域のお客さまを重視する姿勢を徹底することにより、地域社会から信頼され、株主の皆さまや市場からの評価を得られる金融サービスグループを目指すとともに、グループの更なる飛躍に向けた改革に邁進し、企業価値の最大化を目指してまいります。
<りそなグループ経営理念>
りそなグループは、創造性に富んだ金融サービス企業を目指し、
お客さまの信頼に応えます。
変革に挑戦します。
透明な経営に努めます。
地域社会とともに発展します。

(2)経営環境及び中期的な経営戦略
我が国においては、人口構成の変化や成熟社会の進展、テクノロジーの進化、産業の垣根を超えた新たな競争時代の到来など、金融ビジネスに大きなインパクトを与える構造変化が加速しております。このように、一段と激しさを増す環境変化を踏まえ、当グループは2017年4月に、2019年度までを新たな計画期間とする中期経営計画(Change to the “Next”)を公表いたしました。
本計画は、「『オムニ・チャネル』の進化」、「26,000名の『オムニ・アドバイザー』の育成」、「『オムニ・リージョナル』体制の確立」を基本戦略と定め、当グループが変化の先に見据えるリテール金融サービスの未来とグループの持続的成長に向けた道筋をお示ししております。
引き続き、「お客さまの喜びがりそなの喜び」という基本姿勢を貫き、地域のお客さまにもっとも支持され、ともに未来へ歩み続ける「金融サービスグループ」として、「リテールNo.1」を実現してまいります。
(目標とする経営指標)
2017年4月に策定、公表いたしました中期経営計画における主な経営指標(2020年3月期)は以下のとおりです。
親会社株主に帰属する当期純利益 : 1,650億円
連結フィー収益比率 : 35%以上
連結経費率 : 50%台
株主資本ROE (注)1、2 : 10%以上
普通株式等Tier1比率 (注)1、3 : 9%程度
(注) 1 関西3行の経営統合による影響を勘案
2 (親会社株主に帰属する当期純利益-優先配当相当額)÷(株主資本-優先株式残高)、期首・期末平均
3 その他有価証券評価差額金除き
(3)対処すべき課題
中期経営計画の2年目となる2018年度は、目指す姿である「リテールNo.1」の実現に向けて、「お客さまの喜びがりそなの喜び」という基本姿勢を貫き、以下の戦略に基づく取り組みを加速してまいります。
イ.基本戦略
“これまで有効な接点を持つことができなかったお客さま”、“これまで汲み取ることができなかったニーズ”、“これまでリーチすることができなかった収益機会(銀行業務と親和性の高い機能の拡充等)”へのアプローチを可能とする、国内の幅広いリテールのお客さまに支持される「次世代リテール金融サービスモデル」を構築してまいります。
① 「オムニ・チャネル」の進化
~より多くのお客さまに、いつでも・どこでも、最適なソリューションを~
a.お客さま層の拡大
▪ “会える”お客さま中心のビジネスから、これまで有効な接点を持つことができなかったお客さまも含めた“拡がり”のあるビジネス展開へ
b.お客さま接点の拡充
▪ フェイスtoフェイス(対面)ソリューションのさらなる強化とデジタル(非対面)を活用した双方向コミュニケーション手法の確立
▪ フェイスtoフェイスとデジタルのシームレスな融合
c.マーケティングの高度化
▪ お客さまの金融・非金融情報等に基づくマーケティングモデルの高度化
② 26,000名の「オムニ・アドバイザー」の育成
a.全員ソリューション体制
▪ “お客さまになりきる”の徹底 (カルチャーの変革)
▪ ソリューション人材の育成・拡充
b.ソリューションの多様化
▪ お客さまニーズ・セグメント等を踏まえたソリューション領域の多様化
(フェイスtoフェイスによる高度なソリューション力の向上と、デジタルによる簡単・便利でお得感あるソリューションの提供)
③ 「オムニ・リージョナル」体制の確立
~“地域密着”と“オープンプラットフォームの効率性”の両立~
a.オープンプラットフォームの拡充
▪ 地域金融機関等との多様な結びつきを通じたWin-Win関係の構築(地域密着によるきめ細かさとグループとしてのスケールメリットの確保の両立)
▪ オペレーション改革等を通じた効率性の高い卓越した業務運営体制のさらなる強化
▪ 銀行業務と親和性の高い機能の拡充による、「新たな収益機会」の創出
b.スマートストア(インターネット支店)の本格展開
▪ スマートストア戦略の強化を通じた全国レベルでのお客さま基盤の拡充
ロ.ビジネス戦略
お客さまの成長ステージ・ライフステージにしっかりと寄り添った「成長・再生・承継ソリューション」、「トータルライフソリューション」を徹底してまいります。
目利き力(事業性評価能力)の一層の向上、ソリューションの多様化、高付加価値商品の提供等を通じて「中小企業向けビジネス」、「ローンビジネス」の拡大を図るとともに、本邦最大の信託併営商業銀行、資産運用会社を傘下に抱える強みを最大限に活かした「資産形成サポート」や「承継ソリューション」、急速な技術革新等を捉えた先進的で利便性の高い「決済サービス」等への取組を強化することで、長期安定的なフィー収益基盤の構築(ストック型フィー収益の大幅な拡充)を目指してまいります。
① 「成長・再生・承継ソリューション」
企業の成長に応じて生じる様々な経営課題に対し、最適なソリューションを最適なタイミングで提供するソリューション営業スタイルを徹底し、お客さまとの中長期的なWin-Winの関係をさらに深めることで、「中堅・中小企業のお客さまにもっとも支持されるりそな」を実現してまいります。
② 「トータルライフソリューション」
時代の変化に応じて個人のお客さまのライフスタイルが多様化するなか、最適なチャネル経由での継続的なコミュニケーションを通じた、お客さまの暮らしにしっかりと寄り添うソリューション営業スタイルの徹底によって、ライフステージにおける資産形成や運用・決済・ローン・承継などの幅広いニーズにお応えすることで、「個人のお客さまにもっとも支持されるりそな」を実現してまいります。
ハ.4つの基盤改革
ビジネス戦略の実現に向けた営業力強化と生産性向上の両立などに向け、4つの基盤改革に取り組んでまいります。
① 人材マネジメント改革
お客さまの成長ステージ・ライフステージに寄り添ったソリューション営業スタイルを支える人材の育成を強化するとともに、急速に進化・普及するICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)分野など、これまでの延長線上の変化ではない、予測困難な変化の時代を見据えた専門人材の早期確保・育成に取り組んでまいります。
また、事業環境変化を見据え、1,000名のソリューション人員増強と総人員抑制を両立することで、筋肉質な体制への転換を図ってまいります。
② ネットワーク改革
お客さま接点の拡充に向け、休日営業拠点の拡充やスマートフォン等のデジタルデバイスによる新たな非対面チャネルの構築、コールセンターの戦略チャネル化を図るとともに、店舗の役割見直しや店舗立地の改善などを通じたグループベースでの店舗網の最適化により、さらなるお客さまの利便性向上に取り組んでまいります。
③ 組織改革
カスタマーエクスペリエンス(※)を重視した体制の確立、お客さまニーズの多様化・高度化に対応するソリューション力の強化など、新たなサービスモデルを支える組織体制を整備してまいります。
また、本部企画管理業務のグループ一体運営をより一層推し進めることで、グループ経営管理機能の高度化と本部組織のスリム化・シンプル化の両立を実現してまいります。
※ 商品・サービスの価格や機能だけでなく、それらの商品・サービスの利用を通じてお客さまが感じる満足感などの心理的・感覚的な経験価値
④ 業務プロセス改革
カスタマーオリエンテッドな考えのもと“簡単・便利”(WEB・スマホ完結等)を実現するためのデジタル化の徹底によって、お客さまの利便性の飛躍的な向上を実現してまいります。
また、印鑑レス取引などを始めとする「オペレーション改革 3rd Stage」の着実な実行を通じた既存業務プロセスの変革を進めるとともに、ICTを活用した本部業務の抜本的効率化を図ることで、業務プロセスのさらなる効率化を実現してまいります。
ニ.資本政策の方向性
健全性、収益性、株主還元のバランス最適化を追求し、企業価値向上の実現に取り組むことを基本方針としてまいります。
① 健全性の強化
中期経営計画の最終年度における自己資本比率の目標水準については、主に以下の3点を踏まえ、現在適用している国内基準において十分な自己資本を確保するとともに、国際統一基準においても、普通株式等Tier1比率(その他有価証券評価差額金を除く)で9.0%程度を目指してまいります。
a.安定した資金供給・サービス提供等を通じた地域社会・経済発展への一層の貢献
b.国際的な目線においても信用力ある金融機関としての資本確保と持続的成長の実現
c.投資機会・金融規制への対応に備えた戦略的機動性の確保
② 収益性の強化
資本効率、リスク・コスト・リターンを意識した財務運営の継続に努め、引き続き10%を上回るRОEの確保を目指してまいります。
③ 株主還元の強化
当社では、優先株式の取得・消却を進め、これら優先株式に対する優先配当を普通株主に振り向けていくことで、普通株主に対する還元拡充を実現してまいりました。
2017年度においては、残る第5種優先株式1,000億円の取得・消却を行い、普通株式のみの株主資本を実現するとともに、普通株式に対する年間配当は、1円増配し、普通株式1株当たり20円(中間配当10円及び期末配当10円)としました。2018年度については、1円増配し、普通株式1株当たり21円(中間配当10.5円及び期末配当10.5円)とする方針です。
今後も上記増配実施後の配当水準を安定配当として継続するとともに、健全性・収益性のバランスや成長投資の機会を考慮しつつ、更なる株主還元の拡充を検討してまいります。