有価証券報告書-第13期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/21 10:24
【資料】
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【項目】
195項目
(重要な会計上の見積り)
1.貸倒引当金の見積り
(1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
前連結会計年度
(2023年3月31日)
当連結会計年度
(2024年3月31日)
貸倒引当金129,998百万円117,798百万円

(2) 会計上の見積りの内容について連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報
三井住友信託銀行株式会社では、与信取引先(以下、「取引先」という。)について、決算開示や信用力に影響を及ぼす事態発生の都度、財務状況、資金繰り、収益力等による返済能力に応じた「債務者区分」を判定しております。また、「債務者区分」の判定結果及び担保等による保全状況等に基づき貸倒引当金を算定しております。「債務者区分」の判定に当たっては、取引先の定量的な要素に加え、定性的な要素を勘案しております。
(債務者区分の定義)
債務者区分定義
正常先業績が良好で財務状況にも特段問題がない。
要注意先業績低調ないし不安定、財務内容に問題がある、あるいは金利減免・棚上げ先など貸出条件に問題があり、今後の管理に注意を要する。
要管理先要注意先のうち、貸出条件緩和債権又は三月以上延滞債権を有するもの。
破綻懸念先経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、今後経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる。
実質破綻先法的・形式的な経営破綻の事実は発生していないものの、実質的に経営破綻に陥っている。
破綻先法的・形式的な経営破綻の事実が発生している。

貸倒引当金については、債務者区分ごとに以下のように算定しております。
債務者区分貸倒引当金の算定方法
正常先1年間の貸倒実績に基づく貸倒実績率の過去の一定期間における平均値を予想損失率として算出し、これを基礎として、貸倒引当金を算定しております。
要注意先及び要管理先3年間の貸倒実績又は倒産実績に基づく貸倒実績率又は倒産確率の過去の一定期間における平均値を予想損失率として算出し、これを基礎として、貸倒引当金を算定しております。なお、一部の債務者について、債権の元本の回収及び利息の受取りに係るキャッシュ・フローを合理的に見積ることができるものについては、当該キャッシュ・フローを貸出条件緩和実施前の約定利子率等で割引いた金額と債権の帳簿価額との差額を貸倒引当金とする方法(キャッシュ・フロー見積法)により計上しております。
破綻懸念先債権額から、担保の処分可能見込額及び保証による回収可能見込額を控除し、その残額のうち、債務者の支払能力を総合的に判断し必要と認める額を計上しております。なお、一部の債務者について、債権の元本の回収及び利息の受取りに係るキャッシュ・フローを合理的に見積ることができるものについては、当該キャッシュ・フローを貸出条件緩和実施前の約定利子率等で割引いた金額と債権の帳簿価額との差額を貸倒引当金とする方法(キャッシュ・フロー見積法)により計上しております。
実質破綻先及び破綻先直接減額後の帳簿価額から、担保の処分可能見込額及び保証による回収可能見込額を控除し、その残額を計上しております。なお、破綻先及び実質破綻先に対する担保・保証付債権等については、債権額から担保の評価額及び保証による回収が可能と認められる額を控除した残額を取立不能見込額として債権額から直接減額しております。

正常先、要注意先及び要管理先については、貸倒実績率等が変動した場合、貸倒引当金に影響を及ぼします。また、破綻懸念先、実質破綻先及び破綻先について、担保の処分可能見込額及び保証による回収可能見込額が変動した場合、貸倒引当金に重要な影響を及ぼします。
(3) 将来予測を勘案した予想損失額の調整
三井住友信託銀行株式会社及び三井住友トラスト・パナソニックファイナンス株式会社では、先行き不透明な経済環境が取引先の将来の業績及び資金繰りに与える影響や、一部の取引先に固有のリスクが顕在化する可能性に鑑み、取引先の財務情報及び過去の貸倒実績率等に未だ反映されていない信用リスクに対する影響額を見積り、予想される将来の信用損失に対する必要な調整として、「将来予測を勘案した見積り手法による追加的な貸倒引当金」(以下、「特例引当金」という。)を計上しております。
(前連結会計年度)
三井住友信託銀行株式会社では、インフレやそれに対応した金融引き締め、並びに金融市場のボラタイルな動向等の経済環境の急激な変化を背景として、信用リスク管理を行う与信管理制度の見直しを実施しました。これに基づいて「事業環境変化等に伴い、与信関係費用が発生する可能性を内包している取引先」を選定し、当該取引先のモニタリングを強化するとともに、当該取引先の与信に対して特例引当金を計上しております。
(当連結会計年度)
三井住友信託銀行株式会社では、依然としてインフレやそれに対応した金融引き締めが続いており、経済環境が不透明な状況にあり、また一部の取引先に固有のリスクが顕在化する可能性に鑑み、「事業環境変化等に伴い、与信関係費用が発生する可能性を内包している取引先」を定期的に見直したうえで、それらの取引先の与信に対して前連結会計年度と同様の手法で特例引当金を計上しております。
なお、具体的な計算方法は以下のとおりであります。
① 選定された取引先の与信について、内部格付ごとに将来の信用リスクの悪化の程度に関する仮定を置き、定
量的な情報等に基づいた将来の内部格付遷移を予測
② 上記の内部格付遷移を仮定した場合に将来発生すると予想される信用損失の見積りを行い、特例引当金を計

一方、三井住友トラスト・パナソニックファイナンス株式会社では、三井住友信託銀行株式会社と事業、取引先の属性が異なっており、足許の経済環境についても新型コロナウイルス関連融資の返済が本格化するなど先行き不透明な状況が続いていることに鑑み、将来の業績及び資金繰りの悪化が懸念される業種を再度検証し、その上で当該業種に属する特例引当金の計上対象先等の見直しを行い、特例引当金を計上しております。
上記に基づいて計上した特例引当金の金額は以下のとおりであります。
前連結会計年度 (2023年3月31日)当連結会計年度 (2024年3月31日)
(百万円)増減
総合計19,50317,446△2,056
三井住友信託銀行株式会社16,53915,188△1,351
三井住友トラスト・パナソニック
ファイナンス株式会社
2,9632,258△705

なお、特例引当金計上に当たって採用した仮定については不確実性が高く、経済環境の変化により取引先の業績及び資金繰りに与える影響や、一部の取引先に固有のリスクの態様が変化した場合には、連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。
2.退職給付債務の見積り
(1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
前連結会計年度
(2023年3月31日)
当連結会計年度
(2024年3月31日)
退職給付債務382,087百万円378,257百万円

積立型制度の退職給付債務364,291百万円及び非積立型制度の退職給付債務13,965百万円から年金資産703,014百万円を控除した純額324,757百万円を連結貸借対照表上、退職給付に係る資産338,723百万円及び退職給付に係る負債13,965百万円として計上しております。
(2) 会計上の見積りの内容について連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報
退職給付債務、年金資産及び退職給付費用等については、数理計算上の計算基礎に基づいて算出されております。この計算基礎には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率、退職率、死亡率等が含まれております。
主要な数理計算上の計算基礎については、以下のとおりであります。
割引率主として1.2%
長期期待運用収益率3.5%

三井住友信託銀行株式会社(当グループにおける退職給付債務のうち、94.1%を占める)は、国内の優良社債の利回りに基づいて割引率を設定しており、債券のうち、満期までの期間が予想される将来の給付支払いの時期までの期間と同じ銘柄の利回りを基礎としております。また、長期期待運用収益率については、過去の運用実績及び将来利回りに対する予測を評価することにより、設定しております。長期期待運用収益率は、株式及び社債等の投資対象資産グループ別の長期期待運用収益率の加重平均値を採用しております。
(3) 計算基礎の変更による連結財務諸表への影響
上記(2)に記載した計算基礎については、退職給付債務及び退職給付費用に重要な影響を及ぼします。三井住友信託銀行株式会社における割引率及び長期期待運用収益率をそれぞれ0.5%変更した場合の連結財務諸表への影響は以下のとおりであります。
退職給付費用への影響額退職給付債務への影響額
割引率 :0.5%減少2,041百万円の増加26,949百万円の増加
:0.5%増加1,831百万円の減少24,038百万円の減少
長期期待運用収益率 :0.5%減少3,460百万円の増加-
:0.5%増加3,460百万円の減少-