有価証券報告書-第18期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 15:47
【資料】
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【項目】
199項目

対処すべき課題

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1) 経営方針、経営戦略等
① 経営方針
当社グループは、従来、グループ経営における普遍的な考え方として「お客さま」「株主」「従業員」を重視した経営理念を定め、これに基づき持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めてまいりました。一方、当社グループを取り巻く経営環境は、環境・社会問題の深刻化や持続可能な社会の実現に向けた気運の高まり、金融業界の構造変化や異業種を交えた競争の激化、当社グループにおける組織風土の変化や従業員の多様化等、大きく変化してきました。
そこで、この普遍的な考え方は継承しつつも、こうした変化に真摯に向き合い、あるべき姿を追求すべく、2020年4月に、当社グループが発足してから初めて経営理念を改定し、「社会課題の解決を通じ、持続可能な社会の実現に貢献する」旨を追加しました。また、経営理念に基づき、中長期的に目指す姿であるビジョンを「最高の信頼を通じて、お客さま・社会とともに発展するグローバルソリューションプロバイダー」とし、併せて、全ての役職員が共有すべき価値観である「Five Values」も見直しました。当社グループは、本経営理念のもと、ビジョンの実現を目指してまいります。

② 経営環境
2019年12月以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、経済活動が大きく制限され、その結果、企業業績の急速な悪化や金融市場における混乱など、日本経済・世界経済に深刻な影響が生じております。新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、新規感染者の発生は今年半ばまでにはピークを過ぎ、世界経済は今年後半に徐々に持ち直しつつも2020年度内には一定の影響が残るとみておりますが、今後数年に亘り第二波・第三波の流行が発生する等、新型コロナウイルス感染症の感染拡大とそれに伴う経済の停滞が想定以上に長期化する虞れもあります。
一方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前から想定していた、当社グループを取り巻く中長期的な環境認識といたしましては、グローバルベースで「低成長・低金利・低インフレ」が常態化し、景気も減速傾向にあることに加え、わが国では、人口減少などにより経済成長の停滞が続く見込みであるなど、金融機関にとっては厳しい経済環境が続く見通しであり、従来からのビジネスモデルや業務運営を踏襲していては苛烈な競争に勝ち抜いていくことはできず、先行きに対して強い危機感を抱いております。
また、テクノロジーの進展と相俟って、デジタルネイティブ世代の台頭やシェアリングエコノミーの普及など、社会・経済の様々な面で構造的な変化が進んでおります。金融業界においても、金融と非金融の垣根を超えたサービスの再構築に伴い、異業種を交えた競争が一層激化すると同時に、様々な規制の見直しが行われております。
加えて、気候変動をはじめ環境・社会問題が深刻化する中、持続可能な社会の実現に向けた気運が高まっており、その中で金融機関が果たすべき役割も増大しております。
このような中長期的な環境認識は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によっても、不変であると考えております。
③ 経営戦略
このような中長期的な環境認識を踏まえ、当社グループは、2020年度から3年間を計画期間とする中期経営計画を策定しました。「最高の信頼を通じて、お客さま・社会とともに発展するグローバルソリューションプロバイダー」というビジョンの実現に向けて、次の3つの基本方針に基づいた諸施策の推進により、着実な第一歩を踏み出してまいります。

④ 経営指標
本中期経営計画では、次の3項目を最終年度の2022年度の財務目標として掲げております。
<連結財務目標(2022年度)>
収益性ROCET1※18.5%以上普通株式等Tier1を重点的に管理しつつ資本効率の向上を追及
効率性ベース経費※22019年度実績比削減成長投資と経費コントロールを両立すべくベース経費削減に注力
健全性普通株式等Tier1比率※110%程度規制最終化に対応した十分な資本水準を確保

※1 バーゼルⅢ最終化時、その他有価証券評価差額金を除く
※2 営業経費から「収益連動経費」「先行投資に係る経費」等を除いたもの
なお、新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえ、2020年度は、財務目標の各項目について、当初計画より切り下げた水準にするなど、柔軟な業務運営を行ってまいります。
(2) 対処すべき課題
目下、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりお客さまや社会へ甚大な影響が生じています。当社グループは、新たな経営理念と本中期経営計画のもとで事業を行うにあたり、まずもって、社会機能の維持に不可欠な金融インフラとして、グループ各社が提供している金融サービスをお客さまに円滑にお届けすることに加え、地域・社会への様々な貢献活動を通じて、社会的使命を果たしてまいります。
具体的には、個人のお客さまに対しましては、緊急の資金需要への対応として、利息負担を抑えたローンの提供や審査プロセスの柔軟化等に取り組むとともに、お客さまが来店せずとも様々なサービスをご利用いただけるよう、グループ各社においてオンラインサービスの充実に取り組んでまいります。法人のお客さまに対しましては、特別な融資ファンドの設定等を通じた円滑な資金供給、各種決済や手続きにかかるオンラインサービスの提供等を通じて、事業継続の支援に努めてまいります。また、地域・社会への貢献活動として、医学研究・医療活動等に対する支援や文化・芸術活動の維持に向けた支援を行ってまいります。加えて、お客さまや従業員の安全を確保しながら、必要な業務を継続すべく、業務拠点における感染拡大防止や従業員の在宅勤務促進等に取り組んでまいります。
その上で、当社グループは、本中期経営計画で掲げた3つの基本方針のもと、次の取組みを進めてまいります。
<事業戦略>① Transformation:既存ビジネスのモデル改革
優先的に資源投入するビジネスの選別を徹底しつつ、ビジネスモデルとコスト構造の抜本的な改革に取り組むことで、主要事業の収益性・効率性向上を目指してまいります。具体的には、国内事業を中心に、市場の将来性等に応じて営業体制の再編や資源配分の見直しを行ってまいります。また、デジタル化の推進や業務効率化等を通じて、サービスの品質向上と業務の生産性向上との両立を追求してまいります。更に、成長が見込まれる国内外の市場では、当社グループの総合力を最大限活用するために、ビジネスモデルや組織体制を見直し、お客さまのニーズへの対応力向上、商品・サービスの競争力強化を目指します。
② Growth:新たなビジネス領域への挑戦
将来に向けた投資を着実に行うとともに、金融サービス以外の事業も含めた新たな成長機会の捕捉や付加価値の創出に努め、収益基盤の拡大を目指します。具体的には、金融業界の構造的な変化を踏まえ、アセットマネジメントビジネスや決済ビジネスをはじめとする資産効率の高い事業を強化するほか、中長期的に市場の拡大が見込めるアジアでの事業拡大、デジタル技術やデータの利活用を通じた新たなソリューションビジネスの展開等、当社グループの中長期的な成長に向けた事業基盤の拡充に取り組んでまいります。
これらの「Transformation」「Growth」という方針のもとで事業戦略を進めていくにあたり、本中期経営計画では、7つの重点戦略を定めました。

<経営基盤>③ Quality:あらゆる面での質の向上
グローバル金融グループとして、持続的な成長を実現すべく、経営基盤の不断の強化に取り組んでまいります。
具体的には、グループ経営における基本姿勢として、お客さま本位の業務運営を徹底していくことに加え、持続可能な社会の実現に貢献すべく、環境関連分野における投融資や金融経済教育の充実等に向けた取組みをより一層推進してまいります。また、各従業員がその能力を最大限発揮できるよう、人事・人材育成の高度化を進めるほか、お客さまの利便性向上と強固なサイバーセキュリティを両立させたITインフラの構築を進めてまいります。更に、グローバルベースのガバナンスやリスク管理、コンプライアンスについて、より一層の体制強化に取り組んでまいります。
当社グループは、これらの取組みにおいて、着実な成果をお示ししたいと考えております。