訂正四半期報告書-第117期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/06/30 15:12
【資料】
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【項目】
27項目

事業等のリスク

前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更は以下のとおりです。なお、 以下の見出しは、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 [企業情報] 第2 [事業の状況] 2 [事業等 のリスク]」の項目に対応したものです。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、本第3四半期 報告書提出日(2021年2月15日)現在において判断したものです。
野村のビジネスは日本経済および世界経済の情勢および金融市場の動向により重大な影響を受ける可能性があります
英国による欧州連合離脱は、野村のビジネスに各種の影響を与える可能性があります
2020年1月31日、英国は英国および欧州連合間(以下「EU」)の離脱協定に基づき、EUを離脱(以下「Brexit」)し、2020年12月31日には、EU法および諸規定が英国に適用される移行期間(以下「移行期間」)が終了しました。英国およびEUは、移行期間の終了前に両国関係を規定する貿易協力協定を締結しましたが、この協定は金融業界を包括的に取り扱うものではないため、Brexitが野村の事業に及ぼす影響については依然として大きな不確実性が継続しています。
野村は、ロンドンを地域本部として、欧州において大規模なビジネスを展開しているため、Brexit後もEUおよび英国で継続中の金融サービスに係る交渉結果は野村のビジネスに対し各種の影響を与える可能性があります。移行期間の終了後は、野村の規制ビジネス活動は、ロンドンに設立した証券会社であるノムラ・インターナショナルPLC(以下「NIP」)およびドイツ連邦共和国に設立した許認可証券会社であるノムラ・ファイナンシャル・プロダクツ・ヨーロッパGmbH(以下「NFPE」)を中心に行われています。これまではNIPがEU単一市場法制に基づきすべての欧州経済領域(以下「EEA」)に対してアクセス(以下「パスポート権利」)を有し、これらの地域に対してクロスボーダー・サービスを提供していました。しかし移行期間の終了にともない、NIPはEEAへのパスポート権利を喪失し、NIPによるサービス提供の継続を認める特定の国における適用除外措置が存在する場合を除き、NFPEがすべてのEEAの顧客に対してサービスを提供しています。
何らかの代替案策定がなされることなしにこれらの適用除外措置が失効した場合、または、顧客がNFPEへの移管を希望しない場合、野村の欧州地域ビジネスにおける収入および収益性が影響を受ける可能性があります。当該状況は、その他の欧州地域のグループ各社にも同様に当てはまるものです。また、更なる潜在的なリスクとして、2021年にも継続的に実施されているNFPEへの欧州顧客の移管が円滑に進まない可能性や、NFPEがNIPと同水準のサービス提供を行うことができない可能性が存在します。さらに、既存の適用除外措置の失効や、英国とEUの間で締結されている金融サービス業界のその他の領域に関する合意の欠如は、欧州地域における当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。これに加えて、以下に記載するとおり、欧州地域には野村のビジネスに影響を及ぼし得る不確実性が多く残っています。
例えば、不確実性の継続は、英国および広く欧州地域の金融システムの安定に影響を与える可能性があります。この場合、市場の混乱および増加したボラティリティは、とりわけ短期的に野村の財政状態の管理に対し、潜在的に厳しい流動性および業務遂行上の圧力をともない、野村のビジネスに影響を与える可能性があります。例えば、このような状況を受けて市場参加者が取引・活動を延期またはキャンセルする可能性があり、その場合、結果として野村の収入および収益性も影響を受ける可能性があります。
英国およびEU間の将来協定の内容により、広く金融システムおよび欧州地域の規制・監督制度が大幅に変更される可能性があり、結果として野村のビジネスも影響を受ける可能性があります。特にユーロ通貨建て金融取引は、金融市場インフラストラクチャーのロケーションや流動性供給、プライシングの各側面において今後影響を受ける可能性があります。また、新しい規制・監督制度の内容次第では、金融機関および金融市場インフラストラクチャーにかかる事業活動要件が、すべての市場参加者にとってより厳しいものとなる可能性があります。
このような、より広範な金融システムにおける関連規制・監督制度にかかる変更は、金融市場の分断化を加速させ、結果として、事業コストの増加を招き、野村の収益性も影響を受ける可能性があります。そのような事業コストの増加は、規制資本、流動性、ガバナンス、リスク管理およびエンティティ設計のような規制要件の導入または改正を含む多くの要件に起因し発生する可能性があります。
全体的に、英国およびEU間の最終的な関係性の形態は、政治・経済の両面において長期化する多くの不確実性をもたらします。また、地域外の市場に対しても一定程度の影響を及ぼします。これらの不確実性は、場合により貿易摩擦等の他の環境変化とも合わせて、世界経済の成長およびグローバルな金融安定にさらなる下降圧力を加える可能性があり、結果として、金融市場における流動性の低下、さまざまな資産クラスにおける予期せぬボラティリティの高まり、資金調達コストの上昇、投資活動のリスク回避傾向の助長およびマイナスの企業マインドをもたらすことが予測されますが、これらすべてが野村のビジネスに影響を与える可能性があります。
市場リスクや資金流動性リスクだけではなく、イベント・リスクも野村のトレーディング資産や投資資産に損失を生じさせる可能性があります
イベント・リスクとは、事前に予測が困難な出来事(例えば、自然災害、人災、流行病、テロ行為、武力紛争、政情不安、その他野村のビジネスや取引相手等に影響を与える出来事)によりマーケットに急激な変動がもたらされた場合に発生する潜在的な損失をいいます。これらには、2011年3月の東日本大震災、2017年の北朝鮮による核実験実施等にともなう朝鮮半島情勢の緊張の高まり、2018年から2019年にかけての米中通商摩擦、2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大のような突然かつ想定外の貿易環境や安全保障政策の急変などの社会的に重大な事象のほか、より個別具体的に野村のトレーディング資産や投資資産に損失を生じさせるおそれのある、次のような出来事が含まれます。
・主要格付機関による、野村のトレーディング資産や投資資産に関する信用格付の突然かつ大幅な格下げ
・野村のトレーディング戦略を陳腐化させ、競争力を低下させ、または実行不能にするような、トレーディング、税務、会計、金融規制、法律その他関連規則の突然の変更
・野村が関与する取引が予測不能な事由により遂行されないために野村が受取るべき対価を受取れないこと、または野村がトレーディングもしくは投資資産として保有する有価証券の発行会社の倒産や詐欺的行為もしくはこれらに対する行政処分等
また、2021年就任の米国大統領および新政権が行う政策・規制の変更や、2020年6月に香港で成立した国家安全法の導入が、アジア全体あるいは世界全体の情勢に大きな影響を与える可能性があり、当社の事業戦略にも変化を及ぼすリスクが高まっています。