有価証券報告書-第106期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)において、世界の株式市場は米国のトランプ政権による相互関税やイラン戦争の長期化に関する懸念で相場が調整する局面もありましたが、堅調な米国経済や歳出・減税法案の成立、FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ再開、欧州・中国の金融緩和・財政出動等を追い風に株高基調を維持しました。
米国株式市場は、生成AI関連の設備投資拡大・イノベーション加速を背景に半導体やクラウド関連企業に対する物色が強まり、ダウ工業株30種平均やS&P500種、ナスダック総合等主要株価指数は史上最高値を更新しています。生成AIツールの台頭やプライベートクレジット問題、イラン戦争等のリスク要因が一時意識されましたが、底堅い雇用情勢と個人消費、半導体を中心とした好調な企業業績を背景に株価の上昇が続いています。
国内株式市場は、2025年4月に発表された米国の相互関税をきっかけに日経平均株価が急落した後、米国との関税合意や生成AI関連の設備投資拡大、高市政権の誕生を背景に株価の上昇が加速し、史上最高値を更新しています。国内景気は米国の相互関税と中国との関係悪化、中東情勢緊迫化等の逆風が想定されるものの、高市政権による積極財政政策や企業の賃上げ、日銀の追加利上げ等によって経済は好循環に入るとの期待が高まっています。
アジア株式市場は、世界的な生成AI関連の設備投資拡大を背景に、半導体・電子部品に強みを持つ韓国と台湾の株高が目立ったほか、輸出が好調なベトナムと金融緩和・財政出動を強化している中国(香港)の株価も上昇基調を維持しました。その中で韓国総合指数と台湾加権指数、ベトナムVN指数は史上最高値を更新し、米国から広がる国際分散投資の受け皿となっています。アジア各国の景気はまだら模様であるものの、新興産業の成長や景気支援に対する期待が株価の追い風となっています。
このような環境のもと、当社グループは2025年4月に企業理念を刷新し、パーパス(私たちの存在意義)「より多くの人に より豊かな生活を」、ビジョン(私たちのあるべき姿)「資産運用・資産形成を通じて お客さまとそのご家族の人生の伴走者となる」、バリュー(私たちが大切にする価値観)としてチャレンジ・リレーションシップ・プロフェッショナリズム・チームワークを定めるとともに、ステークホルダーの皆さまに対するコミットメント(約束)として「アイザワ宣言」を策定しました。
また、新企業理念に基づき、2026年3月期から2028年3月期までの3年間を計画期間とする中期経営計画「資産運用・資産形成を通じて お客さまとそのご家族の人生の伴走者となる」を策定しました。事業戦略として証券事業の変革・投資事業のグレードアップ・運用事業の再構築を掲げ、安定的にROE目標(8%以上)を達成できる事業構造・収益構造への抜本的な変革を進めております。中期経営計画の1年目となる当期は、証券事業においてゴールベースアプローチ(GBA)型営業の徹底というきわめて大きな改革を実行し、収益構造の転換が着実に進展しました。
当社グループは、証券事業を主軸とし、投資事業、運用事業を展開しております。各事業における取組みは以下のとおりです。
[証券事業]
証券事業を営むアイザワ証券株式会社は、収益構造の安定化に向けた改革を実行しております。全社一丸となってGBA型営業を推進しており、お客さまとそのご家族の不安を解消(安心を提供)し、ライフプランの実現に向けて伴走支援しております。GBA型の営業スタイルを確立するため、2025年4月より一部の店舗を試行店として展開し、お客さまとそのご家族と着実に対話を重ねております。2026年4月より全店展開することで、さらなるGBA型営業の徹底を図っております。このGBA型営業を通じて、ストック商品(投資信託とラップ商品)の残高積上げに注力し、相場環境に左右されにくい安定的な収益構造の実現を目指しております。2026年3月末時点で総預り資産2兆3,855億円(前年度末比4,193億円増)、うちストック商品預り資産5,639億円(同1,406億円増)となりました。
プラットフォームビジネスにおいては、ライフプランの実現に向けて伴走者を必要とするお客さまを有する、金融商品販売を本業としない金融商品仲介業者(IFA業者)や預金金融機関と連携し、対面証券ならではの手厚いサポートを提供しております。資産形成層のお客さまの積立投資口座の獲得と積立金額の増加に取り組んでおり、顧客基盤の拡大を図っております。2026年3月末時点でプラットフォームビジネスにおける預り資産3,657億円(同926億円増)、うちストック商品預り資産1,377億円(同498億円増)となりました。プラットフォームビジネスの拡大に伴い、販売費・一般管理費が増加しておりますが、資産形成層のお客さまへアプローチする重要なチャネルであるため、引き続き本ビジネスの強化に取り組んでまいります。
当期の証券事業における業績は、好調な相場環境により株式委託手数料が増加し、またストック商品預り資産残高の伸長により信託報酬が増加した結果、営業収益201億27百万円(前年度比12.6%増)、営業利益10億54百万円(同313.2%増)、税引前利益8億67百万円(同139.4%増)となりました。
[投資事業]
投資事業を営むアイザワ・インベストメンツ株式会社は、国内外の成長企業や、配当金を含め安定的な期待収益が見込める企業等、中長期投資を基本に上場有価証券への投資を行っております。また、有望なベンチャー企業へ投資し、将来的な上場へ向けてサポートを行っているほか、ベンチャーキャピタルファンドやプライベートエクイティファンド、プライベートデットファンド等への投資を行っております。国内不動産に対する直接投資も行い、主に首都圏においてレジデンスを中心に物件を保有し、賃料収入による収益を得ております。
当社グループにおいて、投資事業は連結業績の安定化と資産収益性向上に貢献する重要な事業と位置付けており、運用成績を中期的に極大化することを最重視し、それを目的としたポートフォリオ運用、リスク管理及びパフォーマンス評価を行っております。
当期の投資事業における業績は、前年度に計上した投資先ファンドからの収益(分配金等)が減少したことにより、営業収益が前年度比65.4%減の8億32百万円となりました。また、非上場資産に投資するファンドの評価損や営業投資有価証券の減損損失の計上により、7億22百万円の営業損失となりました。一方で、投資有価証券の売却損益は一定水準の利益を確保したため、税引前利益は25億58百万円(同37.3%減)となり、連結純利益の確保に寄与しました。
[運用事業]
運用事業を営むあいざわアセットマネジメント株式会社は、「日本で最も投資家に求められるオルタナティブ資産運用会社」になることを目標に掲げ、プライベートエクイティのセカンダリー投資を中心とするオルタナティブ資産の運用を行っております。
当期の運用事業における業績は、営業収益1億94百万円(前年度比54.0%減)、ヘッジファンド事業の撤退に伴う費用増加により営業損失3億64百万円、税引前損失3億43百万円となりました。
アイザワ証券グループは、2024年10月に社債に係る発行登録を行い、2024年10月28日(効力発生日)から2026年10月27日までの2年間で上限300億円の社債を発行する予定です。本社債発行は、資金調達手段の多様化による財務安定性の向上を企図し、当社グループの将来の成長に必要な資金を機動的に調達できる体制を構築することを目的としております。
これからも当社は、グループ各社がそれぞれの強みを発揮することで、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に努めてまいります。
①財政状態及び経営成績の状況
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は1,243億24百万円と、前連結会計年度末に比べ147億95百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の負債合計は738億37百万円と、前連結会計年度末に比べ119億8百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は504億86百万円と前連結会計年度末に比べ28億87百万円の増加となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、営業収益は209億73百万円(前年度比1.9%増)、営業利益は26百万円(同98.6%減)、経常利益は6億66百万円(同74.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は27億52百万円(同13.2%減)となりました。
c.セグメント毎の経営成績
証券事業の営業収益は201億27百万円(前連結会計年度比12.6%増)、セグメント利益は10億54百万円(同313.2%増)となりました。
運用事業の営業収益は1億94百万円(同54.0%減)、セグメント損失は3億64百万円となりました。
投資事業の営業収益は8億32百万円(同65.4%減)、セグメント損失は7億22百万円となりました。
上記のセグメント別営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高が含まれており、セグメント利益は連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ92億13百万円増加し、223億75百万円となりました。当連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は45億3百万円となりました。これは主に預り金の増加、信用取引負債の減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は34億70百万円となりました。これは主に投資有価証券の取得、投資有価証券の売却によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は11億56百万円となりました。これは主に短期社債の発行、短期社債の償還、配当金の支払によるものです。
③ トレーディング業務の概要
トレーディング商品:当連結会計年度末のトレーディング商品の残高は以下のとおりです。
トレーディングのリスク管理:
トレーディング業務は、市況の変化に影響を受けやすく、取引商品の多様化並びにマーケットリスクが複雑化しておりますので、リスク管理は極めて重要と認識しております。当社グループのリスク管理の基本は、財務状況に合せたリスクを適切にコントロールすることであります。このため当社の連結子会社であるアイザワ証券株式会社では「自己計算による売買取引の実施権限に関する規程」を定め、ポジション枠、ロスカットルール、与信枠等の設定をしております。また、リスク管理は、商品部門、営業部門から独立したコンプライアンス部が掌握し、トレーディングポジションの状況は経営者に毎日報告されており、損益と合わせて報告書が月例取締役会に提出され分析・検討が行われております。
また、自己売買に関するポジション管理を目的とした、リスク管理委員会において、多様な取引手法やポジション枠の増加につきリスクをより正確に把握、監視する体制としております。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、金融商品取引業を営む会社を中核とする企業集団であるため、「生産、受注及び販売の実績」に該当する事項はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
(イ)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は1,243億24百万円と、前連結会計年度末に比べ147億95百万円の増加となりました。
主な要因は、現金・預金98億34百万円の増加、預託金22億24百万円の増加、投資有価証券33億24百万円の増加によるものです。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は738億37百万円と、前連結会計年度末に比べ119億8百万円の増加となりました。
主な要因は、信用取引負債23億68百万円の減少、預り金70億37百万円の増加、短期社債60億85百万円の増加によるものです。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は504億86百万円と前連結会計年度末に比べ28億87百万円の増加となりました。
主な要因は、利益剰余金3億12百万円の減少、その他有価証券評価差額金32億6百万円の増加によるものです。
(ロ)経営成績
(営業収益)
当連結会計年度の営業収益は209億73百万円(前年度比1.9%増)となりました。営業収益のおもな内訳は次のとおりです。
1)受入手数料
当連結会計年度の受入手数料は、167億13百万円(同17.8%増)となりました。科目別の概況は以下のとおりです。
ⅰ)委託手数料
委託手数料は株式委託取引の増加により、72億12百万円(同25.0%増)となりました。
ⅱ)引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、国債の取扱いの増加により36百万円(同11.3%増)となりました。
ⅲ)募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は、投資信託の販売の増加により33億15百万円(同1.2%増)となりました。
ⅳ)その他の受入手数料
その他の受入手数料は、投資信託報酬の増加等により、61億49百万円(同20.2%増)となりました。
2)トレーディング損益
当連結会計年度のトレーディング損益は、24億74百万円(同18.2%減)となりました。科目別の概況は以下のとおりです。
ⅰ)株券
外国株国内店頭取引売買代金の減少により、20億78百万円(同17.2%減)となりました。
ⅱ)債券
外国債券の取扱いに伴う収益の減少により、1億22百万円(同29.3%減)となりました。
ⅲ)その他
外国為替取引から生じる損益の減少等により、2億73百万円(同19.9%減)となりました。
3)金融収益
金融収益は受取利息の増加等により9億75百万円(同10.1%増)となりました。
金融費用は支払利息の増加等により1億20百万円(同21.0%増)となりました。これにより、金融収支は8億54百万円(同8.8%増)となりました。
4)その他の営業収益
その他の営業収益は営業投資有価証券売上高の減少等により8億10百万円(同67.4%減)となりました。
なお、その他の営業費用は営業投資有価証券売上原価の増加等により9億47百万円(同103.1%増)となりました。
(販売費・一般管理費)
販売費・一般管理費は、取引関係費及び人件費の増加等により、198億79百万円(同9.6%増)となりました。
(営業外損益)
営業外収益は受取配当金4億86百万円、収益分配金2億61百万円等により9億1百万円となりました。営業外費用は支払利息1億14百万円、社債利息1億22百万円等により2億61百万円となりました。これにより営業外損益は6億40百万円の利益(同6.5%減)となりました。
(特別損益)
特別利益は投資有価証券売却益により38億65百万円となりました。特別損失は投資有価証券償還損2億70百万円等により3億75百万円となりました。これにより特別損益は34億89百万円の利益となりました。
b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、2025年4月に策定した中期経営計画において、2026年3月期から2028年3月期までを、お客さまとそのご家族の資産運用・資産形成の伴走者としてのビジネスモデルを確立し、安定的にROE目標を達成できる事業構造・収益構造に転換する3年間と位置付けております。
中期経営計画の1年目となる当期は、証券事業においてゴールベースアプローチ(GBA)型営業の徹底というきわめて大きな改革を実行しました。相場環境に左右されにくい安定収益の確保に努め、ストック商品(投資信託とラップ商品)預り資産が大きく増加し、収益構造の転換が着実に進展しました。投資事業は、非上場資産の評価損等により営業赤字となりましたが、上場株式の売却利益計上により事業全体としては黒字となり、連結純利益の確保に寄与しました。運用事業は費用増加がありましたが、将来を見据えた事業再構築に尽力しているためであります。引き続き、将来の利益拡大のための改革を実行してまいります。
c. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業理念であるパーパス・ビジョン・バリューと「アイザワ宣言」のもと、2025年4月に策定した中期経営計画において、お客さまとそのご家族の資産運用・資産形成の伴走者としてのビジネスモデルを確立し、安定的にROE目標を達成できる事業構造・収益構造に転換することを目標としております。この目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、連結ROE(自己資本利益率)8%以上、証券事業におけるストック商品預り資産8,000億円以上、総預り資産2兆5,000億円以上、実質ストック収益 実質販管費カバー率40%以上を掲げております。
d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
証券事業は株式委託手数料の増加等により、営業収益は201億27百万円(前連結会計年度比12.6%増)、セグメント利益は10億54百万円(同313.2%増)となりました。
運用事業は運用報酬の減少に伴い、営業収益は1億94百万円(同54.0%減)、セグメント損失は3億64百万円となりました。
投資事業は営業投資有価証券売上高の減少に伴い、営業収益は8億32百万円(同65.4%減)、セグメント損失は7億22百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、信用取引買付代金の顧客への貸付であります。信用取引買付代金は株式市況の変動の影響を受けますが、当社グループは主に日本証券金融株式会社の貸借取引により調達しております。また、不測の事態に備え、安定的かつ機動的な財務運営を行うため、三井住友信託銀行株式会社と総額7億50百万円のコミットメントラインを設定しております。
なお、当連結会計年度における当社グループの借入金の総額は148億61百万円です。借入の内訳は金融機関等からの短期借入金75億12百万円、証券金融会社からの信用取引借入金20億33百万円、金融機関からの長期借入金53億15百万円です。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成に当たりまして、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に固定資産の減損会計、税効果会計、貸倒引当金、賞与引当金、役員賞与引当金、退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び法人税等であり、継続して評価を行っております。当社グループの採用した重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。
なお、見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
当連結会計年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)において、世界の株式市場は米国のトランプ政権による相互関税やイラン戦争の長期化に関する懸念で相場が調整する局面もありましたが、堅調な米国経済や歳出・減税法案の成立、FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ再開、欧州・中国の金融緩和・財政出動等を追い風に株高基調を維持しました。
米国株式市場は、生成AI関連の設備投資拡大・イノベーション加速を背景に半導体やクラウド関連企業に対する物色が強まり、ダウ工業株30種平均やS&P500種、ナスダック総合等主要株価指数は史上最高値を更新しています。生成AIツールの台頭やプライベートクレジット問題、イラン戦争等のリスク要因が一時意識されましたが、底堅い雇用情勢と個人消費、半導体を中心とした好調な企業業績を背景に株価の上昇が続いています。
国内株式市場は、2025年4月に発表された米国の相互関税をきっかけに日経平均株価が急落した後、米国との関税合意や生成AI関連の設備投資拡大、高市政権の誕生を背景に株価の上昇が加速し、史上最高値を更新しています。国内景気は米国の相互関税と中国との関係悪化、中東情勢緊迫化等の逆風が想定されるものの、高市政権による積極財政政策や企業の賃上げ、日銀の追加利上げ等によって経済は好循環に入るとの期待が高まっています。
アジア株式市場は、世界的な生成AI関連の設備投資拡大を背景に、半導体・電子部品に強みを持つ韓国と台湾の株高が目立ったほか、輸出が好調なベトナムと金融緩和・財政出動を強化している中国(香港)の株価も上昇基調を維持しました。その中で韓国総合指数と台湾加権指数、ベトナムVN指数は史上最高値を更新し、米国から広がる国際分散投資の受け皿となっています。アジア各国の景気はまだら模様であるものの、新興産業の成長や景気支援に対する期待が株価の追い風となっています。
このような環境のもと、当社グループは2025年4月に企業理念を刷新し、パーパス(私たちの存在意義)「より多くの人に より豊かな生活を」、ビジョン(私たちのあるべき姿)「資産運用・資産形成を通じて お客さまとそのご家族の人生の伴走者となる」、バリュー(私たちが大切にする価値観)としてチャレンジ・リレーションシップ・プロフェッショナリズム・チームワークを定めるとともに、ステークホルダーの皆さまに対するコミットメント(約束)として「アイザワ宣言」を策定しました。
また、新企業理念に基づき、2026年3月期から2028年3月期までの3年間を計画期間とする中期経営計画「資産運用・資産形成を通じて お客さまとそのご家族の人生の伴走者となる」を策定しました。事業戦略として証券事業の変革・投資事業のグレードアップ・運用事業の再構築を掲げ、安定的にROE目標(8%以上)を達成できる事業構造・収益構造への抜本的な変革を進めております。中期経営計画の1年目となる当期は、証券事業においてゴールベースアプローチ(GBA)型営業の徹底というきわめて大きな改革を実行し、収益構造の転換が着実に進展しました。
当社グループは、証券事業を主軸とし、投資事業、運用事業を展開しております。各事業における取組みは以下のとおりです。
[証券事業]
証券事業を営むアイザワ証券株式会社は、収益構造の安定化に向けた改革を実行しております。全社一丸となってGBA型営業を推進しており、お客さまとそのご家族の不安を解消(安心を提供)し、ライフプランの実現に向けて伴走支援しております。GBA型の営業スタイルを確立するため、2025年4月より一部の店舗を試行店として展開し、お客さまとそのご家族と着実に対話を重ねております。2026年4月より全店展開することで、さらなるGBA型営業の徹底を図っております。このGBA型営業を通じて、ストック商品(投資信託とラップ商品)の残高積上げに注力し、相場環境に左右されにくい安定的な収益構造の実現を目指しております。2026年3月末時点で総預り資産2兆3,855億円(前年度末比4,193億円増)、うちストック商品預り資産5,639億円(同1,406億円増)となりました。
プラットフォームビジネスにおいては、ライフプランの実現に向けて伴走者を必要とするお客さまを有する、金融商品販売を本業としない金融商品仲介業者(IFA業者)や預金金融機関と連携し、対面証券ならではの手厚いサポートを提供しております。資産形成層のお客さまの積立投資口座の獲得と積立金額の増加に取り組んでおり、顧客基盤の拡大を図っております。2026年3月末時点でプラットフォームビジネスにおける預り資産3,657億円(同926億円増)、うちストック商品預り資産1,377億円(同498億円増)となりました。プラットフォームビジネスの拡大に伴い、販売費・一般管理費が増加しておりますが、資産形成層のお客さまへアプローチする重要なチャネルであるため、引き続き本ビジネスの強化に取り組んでまいります。
当期の証券事業における業績は、好調な相場環境により株式委託手数料が増加し、またストック商品預り資産残高の伸長により信託報酬が増加した結果、営業収益201億27百万円(前年度比12.6%増)、営業利益10億54百万円(同313.2%増)、税引前利益8億67百万円(同139.4%増)となりました。
[投資事業]
投資事業を営むアイザワ・インベストメンツ株式会社は、国内外の成長企業や、配当金を含め安定的な期待収益が見込める企業等、中長期投資を基本に上場有価証券への投資を行っております。また、有望なベンチャー企業へ投資し、将来的な上場へ向けてサポートを行っているほか、ベンチャーキャピタルファンドやプライベートエクイティファンド、プライベートデットファンド等への投資を行っております。国内不動産に対する直接投資も行い、主に首都圏においてレジデンスを中心に物件を保有し、賃料収入による収益を得ております。
当社グループにおいて、投資事業は連結業績の安定化と資産収益性向上に貢献する重要な事業と位置付けており、運用成績を中期的に極大化することを最重視し、それを目的としたポートフォリオ運用、リスク管理及びパフォーマンス評価を行っております。
当期の投資事業における業績は、前年度に計上した投資先ファンドからの収益(分配金等)が減少したことにより、営業収益が前年度比65.4%減の8億32百万円となりました。また、非上場資産に投資するファンドの評価損や営業投資有価証券の減損損失の計上により、7億22百万円の営業損失となりました。一方で、投資有価証券の売却損益は一定水準の利益を確保したため、税引前利益は25億58百万円(同37.3%減)となり、連結純利益の確保に寄与しました。
[運用事業]
運用事業を営むあいざわアセットマネジメント株式会社は、「日本で最も投資家に求められるオルタナティブ資産運用会社」になることを目標に掲げ、プライベートエクイティのセカンダリー投資を中心とするオルタナティブ資産の運用を行っております。
当期の運用事業における業績は、営業収益1億94百万円(前年度比54.0%減)、ヘッジファンド事業の撤退に伴う費用増加により営業損失3億64百万円、税引前損失3億43百万円となりました。
アイザワ証券グループは、2024年10月に社債に係る発行登録を行い、2024年10月28日(効力発生日)から2026年10月27日までの2年間で上限300億円の社債を発行する予定です。本社債発行は、資金調達手段の多様化による財務安定性の向上を企図し、当社グループの将来の成長に必要な資金を機動的に調達できる体制を構築することを目的としております。
これからも当社は、グループ各社がそれぞれの強みを発揮することで、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に努めてまいります。
①財政状態及び経営成績の状況
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は1,243億24百万円と、前連結会計年度末に比べ147億95百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の負債合計は738億37百万円と、前連結会計年度末に比べ119億8百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は504億86百万円と前連結会計年度末に比べ28億87百万円の増加となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、営業収益は209億73百万円(前年度比1.9%増)、営業利益は26百万円(同98.6%減)、経常利益は6億66百万円(同74.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は27億52百万円(同13.2%減)となりました。
c.セグメント毎の経営成績
証券事業の営業収益は201億27百万円(前連結会計年度比12.6%増)、セグメント利益は10億54百万円(同313.2%増)となりました。
運用事業の営業収益は1億94百万円(同54.0%減)、セグメント損失は3億64百万円となりました。
投資事業の営業収益は8億32百万円(同65.4%減)、セグメント損失は7億22百万円となりました。
上記のセグメント別営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高が含まれており、セグメント利益は連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ92億13百万円増加し、223億75百万円となりました。当連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は45億3百万円となりました。これは主に預り金の増加、信用取引負債の減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は34億70百万円となりました。これは主に投資有価証券の取得、投資有価証券の売却によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は11億56百万円となりました。これは主に短期社債の発行、短期社債の償還、配当金の支払によるものです。
③ トレーディング業務の概要
トレーディング商品:当連結会計年度末のトレーディング商品の残高は以下のとおりです。
| 前連結会計年度 (2025年3月31日) | 当連結会計年度 (2026年3月31日) | |||
| 資産の部のトレーディング商品(百万円) | 347 | 135 | ||
| 商品有価証券等(百万円) | 347 | 135 | ||
| 株式・ワラント(百万円) | 121 | 20 | ||
| 債券(百万円) | 226 | 115 | ||
| 受益証券等(百万円) | 0 | 0 | ||
| 負債の部のトレーディング商品(百万円) | 24 | 48 | ||
| 商品有価証券等(百万円) | 24 | 48 | ||
| 株式・ワラント(百万円) | 24 | 48 | ||
トレーディングのリスク管理:
トレーディング業務は、市況の変化に影響を受けやすく、取引商品の多様化並びにマーケットリスクが複雑化しておりますので、リスク管理は極めて重要と認識しております。当社グループのリスク管理の基本は、財務状況に合せたリスクを適切にコントロールすることであります。このため当社の連結子会社であるアイザワ証券株式会社では「自己計算による売買取引の実施権限に関する規程」を定め、ポジション枠、ロスカットルール、与信枠等の設定をしております。また、リスク管理は、商品部門、営業部門から独立したコンプライアンス部が掌握し、トレーディングポジションの状況は経営者に毎日報告されており、損益と合わせて報告書が月例取締役会に提出され分析・検討が行われております。
また、自己売買に関するポジション管理を目的とした、リスク管理委員会において、多様な取引手法やポジション枠の増加につきリスクをより正確に把握、監視する体制としております。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、金融商品取引業を営む会社を中核とする企業集団であるため、「生産、受注及び販売の実績」に該当する事項はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
(イ)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は1,243億24百万円と、前連結会計年度末に比べ147億95百万円の増加となりました。
主な要因は、現金・預金98億34百万円の増加、預託金22億24百万円の増加、投資有価証券33億24百万円の増加によるものです。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は738億37百万円と、前連結会計年度末に比べ119億8百万円の増加となりました。
主な要因は、信用取引負債23億68百万円の減少、預り金70億37百万円の増加、短期社債60億85百万円の増加によるものです。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は504億86百万円と前連結会計年度末に比べ28億87百万円の増加となりました。
主な要因は、利益剰余金3億12百万円の減少、その他有価証券評価差額金32億6百万円の増加によるものです。
(ロ)経営成績
(営業収益)
当連結会計年度の営業収益は209億73百万円(前年度比1.9%増)となりました。営業収益のおもな内訳は次のとおりです。
1)受入手数料
当連結会計年度の受入手数料は、167億13百万円(同17.8%増)となりました。科目別の概況は以下のとおりです。
ⅰ)委託手数料
委託手数料は株式委託取引の増加により、72億12百万円(同25.0%増)となりました。
ⅱ)引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、国債の取扱いの増加により36百万円(同11.3%増)となりました。
ⅲ)募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は、投資信託の販売の増加により33億15百万円(同1.2%増)となりました。
ⅳ)その他の受入手数料
その他の受入手数料は、投資信託報酬の増加等により、61億49百万円(同20.2%増)となりました。
2)トレーディング損益
当連結会計年度のトレーディング損益は、24億74百万円(同18.2%減)となりました。科目別の概況は以下のとおりです。
ⅰ)株券
外国株国内店頭取引売買代金の減少により、20億78百万円(同17.2%減)となりました。
ⅱ)債券
外国債券の取扱いに伴う収益の減少により、1億22百万円(同29.3%減)となりました。
ⅲ)その他
外国為替取引から生じる損益の減少等により、2億73百万円(同19.9%減)となりました。
3)金融収益
金融収益は受取利息の増加等により9億75百万円(同10.1%増)となりました。
金融費用は支払利息の増加等により1億20百万円(同21.0%増)となりました。これにより、金融収支は8億54百万円(同8.8%増)となりました。
4)その他の営業収益
その他の営業収益は営業投資有価証券売上高の減少等により8億10百万円(同67.4%減)となりました。
なお、その他の営業費用は営業投資有価証券売上原価の増加等により9億47百万円(同103.1%増)となりました。
(販売費・一般管理費)
販売費・一般管理費は、取引関係費及び人件費の増加等により、198億79百万円(同9.6%増)となりました。
(営業外損益)
営業外収益は受取配当金4億86百万円、収益分配金2億61百万円等により9億1百万円となりました。営業外費用は支払利息1億14百万円、社債利息1億22百万円等により2億61百万円となりました。これにより営業外損益は6億40百万円の利益(同6.5%減)となりました。
(特別損益)
特別利益は投資有価証券売却益により38億65百万円となりました。特別損失は投資有価証券償還損2億70百万円等により3億75百万円となりました。これにより特別損益は34億89百万円の利益となりました。
b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、2025年4月に策定した中期経営計画において、2026年3月期から2028年3月期までを、お客さまとそのご家族の資産運用・資産形成の伴走者としてのビジネスモデルを確立し、安定的にROE目標を達成できる事業構造・収益構造に転換する3年間と位置付けております。
中期経営計画の1年目となる当期は、証券事業においてゴールベースアプローチ(GBA)型営業の徹底というきわめて大きな改革を実行しました。相場環境に左右されにくい安定収益の確保に努め、ストック商品(投資信託とラップ商品)預り資産が大きく増加し、収益構造の転換が着実に進展しました。投資事業は、非上場資産の評価損等により営業赤字となりましたが、上場株式の売却利益計上により事業全体としては黒字となり、連結純利益の確保に寄与しました。運用事業は費用増加がありましたが、将来を見据えた事業再構築に尽力しているためであります。引き続き、将来の利益拡大のための改革を実行してまいります。
c. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業理念であるパーパス・ビジョン・バリューと「アイザワ宣言」のもと、2025年4月に策定した中期経営計画において、お客さまとそのご家族の資産運用・資産形成の伴走者としてのビジネスモデルを確立し、安定的にROE目標を達成できる事業構造・収益構造に転換することを目標としております。この目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、連結ROE(自己資本利益率)8%以上、証券事業におけるストック商品預り資産8,000億円以上、総預り資産2兆5,000億円以上、実質ストック収益 実質販管費カバー率40%以上を掲げております。
d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
証券事業は株式委託手数料の増加等により、営業収益は201億27百万円(前連結会計年度比12.6%増)、セグメント利益は10億54百万円(同313.2%増)となりました。
運用事業は運用報酬の減少に伴い、営業収益は1億94百万円(同54.0%減)、セグメント損失は3億64百万円となりました。
投資事業は営業投資有価証券売上高の減少に伴い、営業収益は8億32百万円(同65.4%減)、セグメント損失は7億22百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、信用取引買付代金の顧客への貸付であります。信用取引買付代金は株式市況の変動の影響を受けますが、当社グループは主に日本証券金融株式会社の貸借取引により調達しております。また、不測の事態に備え、安定的かつ機動的な財務運営を行うため、三井住友信託銀行株式会社と総額7億50百万円のコミットメントラインを設定しております。
なお、当連結会計年度における当社グループの借入金の総額は148億61百万円です。借入の内訳は金融機関等からの短期借入金75億12百万円、証券金融会社からの信用取引借入金20億33百万円、金融機関からの長期借入金53億15百万円です。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成に当たりまして、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に固定資産の減損会計、税効果会計、貸倒引当金、賞与引当金、役員賞与引当金、退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び法人税等であり、継続して評価を行っております。当社グループの採用した重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。
なお、見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。