有価証券報告書-第63期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、生産や輸出に弱さがみられるものの、企業収益や雇用・所得環境の改善により緩やかな回復基調にありました。ただ、期末において、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い世界経済は急速に縮小しており先行きは極めて不透明な状況にあり、とりわけ中国経済の今後の動向は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような環境の中、当社グループの当連結会計年度の営業収益は610億28百万円(前期比43億42百万円増)、経常利益は115億64百万円(前期比7億24百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は72億5百万円(前期比12億45百万円増)となりました。
当社グループは、当社、連結子会社6社及び持分法適用関連会社2社で構成されており、セグメントごとの分類は次のとおりであります。
銀行関連事業 ハーン銀行(Khan Bank LLC)、キルギスコメルツ銀行(OJSC Kyrgyzkommertsbank)、ソリッド銀行(JSC Solid Bank)
証券関連事業 エイチ・エス証券株式会社
債権管理回収関連事業 エイチ・エス債権回収株式会社
IT関連事業 iXIT株式会社
その他事業 当社、H.S. International (Asia) Limited、株式会社外為どっとコム
報告セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。
a)銀行関連事業
銀行関連事業の当連結会計年度の営業収益は523億31百万円(前期比34億12百万円増)、営業利益は104億77百万円(前期比11億円増)となりました。また、持分法適用関連会社であるソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。
ハーン銀行(本店所在地:モンゴル国)
モンゴル経済につきましては、中国への鉱物資源輸出、サービス業、製造業、建設業が好調で実質GDP(1-12月)は前期比で5.1%増加、インフレ率も5.2%増加するなど、景気は引き続き回復基調にあります。好調な経済状況を背景に、貿易収支は黒字を維持しており外貨準備高は43億ドル台(前期比22.8%増)となり、一方、財政収支は6,278億トゥグルグ(以下、MNTという。)の赤字(前期は119億MNTの黒字)となっております。為替市場では、現地通貨(MNT)が前期比で米ドルに対して3.4%下落(ドル高)、円に対して5.0%下落(円高)となりました。
モンゴルの銀行業界につきましては、金融セクターの融資残高は前期比で5.1%増加しました。また、延滞債権は2.9%減少、不良債権は2.3%増加となりました。
このような環境の中、モンゴルにおいて最大級の商業銀行であるハーン銀行につきましては、自動車ローンやサラリーローンなどの個人向け融資及び中小企業向け融資を中心に積極的に展開してまいりました。特に、個人向け融資に関してはQRコード決済やハーンPayなど様々なデジタルバンキングサービスを提供し、顧客サービスの向上に引き続き注力してまいりました。
結果として、現地通貨ベースでは、預金残高は前期比で21.7%増加、融資残高は16.8%増加、資金運用収益は21.2%増加いたしました。また、融資残高の内訳としましては、法人向け融資は前期比で46.9%増加、個人向け融資は11.5%減少、農牧業向け融資は57.3%増加いたしました。
キルギスコメルツ銀行(本店所在地:キルギス共和国)
キルギス経済につきましては、ロシア経済の低迷によってロシアへの出稼ぎ労働者からの送金が伸び悩んだものの、金生産の増加などにより国内鉱工業生産や輸出が前期比で増加しており、実質GDP(1-12月)は前期比で4.5%増加となりました。また、インフレ率は食料品価格の低迷等により前期比で1.1%増加にとどまっております。
このような環境の中、キルギスコメルツ銀行につきましては、融資残高と預金残高を順調に増加させており、金利収入を増加させるため特に利回りの高い中小企業向け融資と個人向け融資に注力してまいりました。融資残高は前期比で15.5%増加、預金残高は12.5%増加となり、業績は徐々に改善してきております。
今後につきましては、新型コロナウイルスの影響により融資先の財政状態が不透明となってきているため、貸出審査及びリスク管理を厳格化し、慎重な業務を行うことといたします。また、リテール事業の拡大に向けて、新決済システムの導入によるオンラインバンキングやクレジットカード事業の強化、個人向けの新商品開発を進めてまいります。
ソリッド銀行(本店所在地:ロシア連邦)
ロシア経済につきましては、付加価値税の引き上げや緊縮財政などの影響により個人消費を中心に低成長が続いており、実質GDP(1-12月)は前期比で1.3%増加、インフレ率は3.4%増加となりました。また、欧米諸国のロシアに対する経済制裁は継続しており、中央銀行の規制強化等により銀行数が減少するなど厳しい状況が続いております。
このような環境の中、ソリッド銀行につきましては、引き続きクレジットリスク抑制のため融資残高と預金残高の急成長を抑えつつ、中堅優良企業への貸出、貴金属取引や為替取引などの非金利収入の拡大を図っております。また、継続的なコスト削減や不良債権の回収、担保物権の売却に取り組んでまいりました。
今後につきましては、現地通貨(ルーブル)の為替動向、原油価格の推移、経済制裁及び国際情勢の緊迫化等の影響もあり、当面はロシア経済の低成長が続くと予想されますが、優良企業への貸出増加、預金コストの削減等に注力し、業務の合理化とともに財務状態の改善に取り組んでまいります。また、1月以降の石油相場の下落と新型コロナウイルスの影響を考慮しつつ、貸出審査及びリスク管理の厳格化を進めてまいります。
b)証券関連事業
当連結会計年度における国内株式市場は、米国の良好な経済指標や原油価格の上昇を受けて堅調に推移し上昇基調で始まり、その後も複数の中国経済統計が市場を上回る良好な内容であったことから、日経平均株価は2万2千円台まで上昇しました。
5月に入ると米国が中国製品に対する追加関税率の引き上げを実施したことに加え、中国通信機器大手への制裁措置や、一部の米国景況感指数で悪化が見られたことを嫌気し下落しましたが、6月に入り、市場で利下げ期待が高まったことから上昇に転じました。その後は2万1千円台で推移し、8月には再び米中貿易摩擦が懸念され、一時的に下落しました。
しかし、9月初旬に、中国商務省が米中でハイレベル協議を行うとの発表を受け上昇に転じると、10月の閣僚級の米中協議を通じて、米中通商協議への進展期待が高まったことから株価は大幅に上昇しました。その後、12月半ばの米中貿易協議にて、米国による中国へのさらなる関税賦課が避けられたことなどが好感され、一時、株価は2万4千円台に到達する場面も見られました。
その後は期末にかけて、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界的な景気後退への警戒感が一気に織り込まれる形で、株価は2016年11月以来の安値となる1万6千円台まで下落しました。結果として、当連結会計年度末の日経平均株価は18,917円1銭で取引を終えました。なお、当連結会計年度における東証の売買代金は前期比で9.9%減少しました。
このような環境の中、エイチ・エス証券株式会社につきましては、お客様のパフォーマンスに貢献する証券会社として、国内株式営業への取り組み、外貨建て債券の販売、米国株式を中心とした外国株式の販売に注力いたしました。引受業務におきましては、新規公開(IPO)10社(うち主幹事2社)の幹事参入を果たしました。
また、当連結会計年度末における預り資産は、新型コロナウイルス拡大による市況悪化などの影響により減少し、2,493億66百万円(前期比1,135億83百万円減)となりました。
結果として、当連結会計年度における営業収益は33億30百万円(前期比7百万円減)、営業利益は1億60百万円(前期比64百万円増)となりました。
(受入手数料)
当連結会計年度の受入手数料は、12億33百万円(前期比46百万円増)となりました。
その内訳としましては、委託手数料が8億10百万円(前期比1億41百万円減)、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料が67百万円(前期比60百万円増)、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料が61百万円(前期比10百万円増)、主に投資信託事務代行事務手数料と投資銀行業務に係る手数料で構成されるその他の受入手数料は公開買付事務の受託により2億93百万円(前期比1億16百万円増)となりました。
(トレーディング損益)
当連結会計年度のトレーディング損益につきましては、株券等は5億30百万円(前期比2億17百万円減)となりました。また、債券・為替等は外貨建て債券の販売増により10億1百万円(前期比1億84百万円増)となり、合計で15億31百万円(前期比33百万円減)となりました。
(金融収支)
当連結会計年度の金融収益は5億56百万円(前期比30百万円減)、金融費用は1億41百万円(前期比29百万円増)となり、金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は4億14百万円(前期比60百万円減)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、人件費や取引量の減少などにより30億19百万円(前期比1億10百万円減)となりました。
c)債権管理回収関連事業
サービサー業界につきましては、金融機関において実施されるバルクセール(債権の一括売却)において、売却対象債権数及び債権額の減少に伴い、依然として買取価格が高騰しております。また、各金融機関では、今後の景気動向から不良債権の増加を不安視しているものの、実際には不良債権の増加には至っておらず、市場に出回る不良債権は依然として減少傾向にあります。
このような環境の中、エイチ・エス債権回収株式会社につきましては、取得した債権から適切に管理回収を行い堅調な事業収益を確保しつつ、銀行を中心とした金融機関以外にも、不良債権市場のシェア拡大を目指し、リース会社やノンバンク等、サービサーが取扱可能な債権を保有する企業に対しても積極的に展開し、安定的な債権の取得を目指しております。
結果として、当連結会計年度の営業収益は42億68百万円(前期比9億95百万円増)、営業利益は2億78百万円(前期比32百万円増)となりました。
d)IT関連事業
IT関連事業を取り巻く環境は、スマートフォンの高性能化、通信インフラ環境の発達等を背景に、スマートフォンやクラウドを活用したサービスやシステムの需要が拡大しており、新たな社会基盤構築へのニーズが高まっております。また、異業種からの協業等が活発化して競合他社が増加し続けるなど、従来の通信事業の枠を超えた新たな市場での厳しい競争が加速しております。
このような環境の中、iXIT株式会社につきましては、将来の成長に向けた新たなサービスの創出、新規顧客の開拓に向けた営業の強化及び固定費の削減に努めてまいりました。新規受託案件や新規サービスの増加など、その取組みの効果が表れてきており業績は徐々に改善しております。
結果として、当連結会計年度の営業収益は11億71百万円(前期比68百万円減)、営業損失は32百万円(前期は営業損失1億78百万円)となりました。
e)その他事業
当社(単体)の他、他のセグメントに分類されていない連結子会社及び持分法適用関連会社は、その他事業に分類しております。なお、持分法適用関連会社である株式会社外為どっとコムの業績は、持分法による投資損益に反映されます。
その他事業の当連結会計年度の営業収益は2億42百万円(前期比3億34百万円減)、営業損失は1億41百万円(前期は営業利益2億95百万円)となりました。
f)持分法による投資損益
持分法適用関連会社である株式会社外為どっとコム及びソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。
株式会社外為どっとコムにつきましては、第3四半期まではボラティリティの低下により、ほぼ全ての通貨ペアで取引数量が減少しておりましたが、年度末にかけてボラティリティが急上昇した影響により、当連結会計年度の業績は前年並みとなりました。
結果として、当連結会計年度の持分法による投資利益は9億34百万円(前期比99百万円減)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の資産合計につきましては、4,696億59百万円となり、前期比292億30百万円増加しました。
これは主に、「現金及び預金」が298億63百万円、「貸出金」が110億25百万円増加し、一方で「有価証券」が100億54百万円減少したことによるものであります。
主な増加要因は、「貸出金」はハーン銀行から顧客への貸出金の増加、「現金及び預金」及び「有価証券」はハーン銀行における資金運用に伴う増減によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計につきましては、3,890億45百万円となり、前期比211億82百万円増加しました。
これは主に、ハーン銀行が顧客から預かる「預金」が236億71百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計につきましては、806億13百万円となり、前期比80億48百万円増加しました。
これは主に、「利益剰余金」が67億29百万円増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,459億95百万円(前期比322億90百万円増)となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、414億44百万円の資金増加(前期比109億68百万円の減少)となりました。
これは主に、「税金等調整前当期純利益」138億24百万円、「債券の純増(△)減」55億26百万円、「預金の純増減(△)」373億65百万円の資金が増加した一方、「貸出金の純増(△)減」204億26百万円の資金が減少したことによるものであります。
主な増減要因は、ハーン銀行が保有する債券の減少、ハーン銀行が顧客から預かる預金の増加、ハーン銀行から顧客への貸出金の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、51億55百万円の資金増加(前期比79億55百万円の増加)となりました。
これは主に、「投資有価証券の売却及び償還による収入」64億1百万円、「定期預金の増減額」71億47百万円の資金が増加した一方、「有形固定資産の取得による支出」42億55百万円、「投資有価証券の取得による支出」27億53百万円の資金が減少したことによるものであります。
主な増減要因は、ハーン銀行が保有する定期預金の払戻し、当社及びハーン銀行が保有する投資有価証券の売却及び償還、ハーン銀行における投資有価証券取得及び設備投資の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、82億1百万円の資金減少(前期比46億89百万円の減少)となりました。
これは主に、「長期借入れによる収入」353億53百万円の資金が増加した一方、「長期借入金の返済による支出」430億65百万円の資金が減少したことによるものであります。
主な増減要因は、ハーン銀行における長期借入金の借入及び返済によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
該当事項はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、営業収益は610億28百万円(前期比43億42百万円増)、経常利益は115億64百万円(前期比7億24百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は72億5百万円(前期比12億45百万円増)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、ハーン銀行の業績は当社グループの経営成績の主たる割合を占めており、その業績の変動が当社グループに重要な影響を及ぼすことになります。また、当社グループには海外の関係会社が複数存在するため、海外の経済情勢や政治情勢から大きな影響を受けております。さらに、国内の関係会社においても、株式、債券、金利、為替等の市況環境に影響を受けるため、当社グループの経営成績が変動する要因となります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、資本の効率性を示すROE(株主資本当期純利益率)を連結ベースで10%以上を安定的に維持していくことを中期的な経営目標としておりますが、当連結会計年度においては12.7%となりました。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
a)銀行関連事業
銀行関連事業の当連結会計年度における営業収益は523億31百万円(前期比34億12百万円増)、営業利益は104億77百万円(前期比11億円増)となりました。
ハーン銀行においては、現地通貨ベースでの、資金運用収益、融資残高、預金残高がともに前期比で増加となり、増収増益となりました。モンゴルでは、鉱物資源の価格上昇などにより景気は回復基調を維持しておりますが、主要輸出先である中国の経済等から影響を受ける可能性があるため、貸出先の信用状況には十分な注意を払い、リスク管理の高度化に努めております。ハーン銀行ではお客様満足度の向上のため、顧客のセグメンテーションを推進し、お客様それぞれに合ったサービスの提供に努めております。顧客の利便性を図るため、パソコンやスマートフォンからのインターネット取引を推進しており、支店における取引の8割程度がデジタルバンキングでの取引となっております。また、本社ビルを新築し、窓口業務と本社機能の効率化を図っております。当面はハーン銀行の一番の強みであるリテール・中小企業取引に特に注力し、融資業務に加え、カード事業やエレクトロニックバンキング等を含めた手数料収入の増加にも注力いたします。
キルギスコメルツ銀行においては、キルギス国内では、銀行は飽和状態であることから、サービス面を改善することで他社との差別化を図り、収益の獲得に努めてまいります。キルギス経済は、ロシア経済の影響を大きく受けることが予想されているものの、安定的な成長を続けており、このような経済動向を考慮しつつ、キルギスにおける「最も便利で信頼できる先進的な銀行」に成長することを目指し、銀行業務だけでなく幅広い金融サービスの展開に向けて、個人向けのカード事業とオンラインサービスを強化しております。
ソリッド銀行においては、ロシアにおけるルーブルの下落や国際情勢の不安定化等の影響から厳しい環境が続いております。貸出業務の改善と強化を図り、融資審査体制を本部に集中化させ、リスク管理を大幅に厳格化するとともに、組織の再構築やコスト削減等を実行しております。さらに、非金利収入の増加に向けたサービスの拡大に取り組み、ロシア極東地域における存在感のある銀行を目指してまいります。
b)証券関連事業
証券関連事業の当連結会計年度における営業収益は33億30百万円(前期比7百万円減)、営業利益は1億60百万円(前期比64百万円増)となりました。
エイチ・エス証券株式会社においては、日米貿易摩擦による国内外における投資マインドの低下等に伴い営業収益は前期比で減少し預り資産も減少しましたが、新規公開株式の幹事案件や公開買付事務の受託、販管費の削減などにより営業利益は前期比で増加となりました。同社では、「お客様の投資パフォーマンスに貢献する」ことを経営戦略上の最重要事項と位置づけ、多様なニーズに対応するため、営業基盤の確立と安定的な収益の確保を目指しております。また、米国株やロシア株等の外国株式や新興国の外貨建て債券の取扱いに注力しており、投資銀行部門では、新規公開(IPO)の幹事業務に加え、株式の新規上場及び新規上場に向けたコンサルティングに取り組み、企業の円滑な資金調達の支援に努めております。今後も多様化する顧客ニーズに沿った商品やサービスの品揃えを充実するとともに、より安定的な収益基盤を構築するため、資金導入に注力してまいります。
c)債権管理回収関連事業
債権管理回収関連事業の当連結会計年度における営業収益は42億68百万円(前期比9億95百万円増)、営業利益は2億78百万円(前期比32百万円増)となりました。
エイチ・エス債権回収株式会社においては、各金融機関における不良債権保有率の減少に伴いサービサー間での競争が激化している中、取引先金融機関等の拡充を図り継続的な債権の仕入れを目指すことで、安定的な収益の確保に努めております。取引先である金融機関等は増加し、債権の買取と買取債権の回収は順調に行われており、大型案件へも取り組むなど、事業を拡大しております。さらに、コンサルティング業務等の業務の多角化による経営基盤の安定を図るとともに、事業再生分野でのグループシナジーの早期実現を目指してまいります。
d)IT関連事業
IT関連事業の当連結会計年度における営業収益は11億71百万円(前期比68百万円減)、営業損失は32百万円(前期は営業損失1億78百万円)となりました。
iXIT株式会社においては、市場規模の拡大や急速な市場環境の変化により、依然として厳しい状態が続いております。IT関連業界はスマートフォンの高性能化、通信インフラ環境の発達等を背景とした市場規模が拡大し、新規参入が容易なことから、競合他社が増加し続けている状況にあります。しかし、業界の将来性は高く、今後も更なる需要の拡大が見込まれていることから、新規顧客の開拓に向けた営業の強化に努め、幅広い業界の企業との共同事業や自社サービスに注力し、お客様の求める新たなコンテンツやサービス等の開発に取り組んでまいります。
e)その他事業
その他事業の当連結会計年度における営業収益は2億42百万円(前期比3億34百万円減)、営業損失は1億41百万円(前期は営業利益2億95百万円)となりました。
当社単体においては、グループ各社における適切な会社運営に加え、グループ間でのシナジー効果を高めるべく適切な管理や助言を行っております。当社単体の営業収益は、主に関係会社からの配当金及び経営管理料で構成されており前期比で増加となりました。投資事業については、国内における独自性や特長のある事業のみならず、主にアジア圏における将来性のある国や地域での事業に対しても積極的な投資を展開しております。さらに、投資事業の一環として、企業の再生についても国内外問わず行っております。また、M&A仲介・コンサルティング事業は、対応が困難とされる短期的な案件や小規模な案件に対しても積極的に取り組み、徐々に実績を重ねてきております。今後もグループの拡大に向け、更なる発展を続けてまいります。
f)持分法による投資損益
当連結会計年度における持分法による投資利益は9億34百万円(前期比99百万円減)となりました。
株式会社外為どっとコムにおいては、FX業界の市場規模は緩やかながらも拡大傾向を維持しており、企業間での競争は依然として厳しい状況にあります。競争が激化するFX業界において、顧客基盤の拡大に取り組み、マーケティング施策の強化や積極的なサービス改善等により、顧客からの更なる支持の獲得を目指してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a)キャッシュ・フロー
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b)資本の財源及び資金の流動性
当社グループにおける資金需要のうち主なものは、顧客への貸出金、人件費や不動産賃借料等の販売費及び一般管理費によるものであります。設備投資を目的とした資金需要は、デジタルバンキングサービスなどの情報システムの構築、ATM増設及び支店開設、改築等によるものであります。
また、当社グループにおける必要な運転資金、投資資金及び融資資金は、自己資金、金融機関からの借入、顧客からの預り金により調達しております。当連結会計年度末における主な有利子負債残高は、長期借入金(1年内含む)547億96百万円、短期借入金40億36百万円、信用取引借入金24億94百万円となっております。また、現金及び現金同等物の残高は1,459億95百万円となっております。主な借入先として、ハーン銀行においてオランダ開発金融公庫から144億23百万円、欧州復興開発銀行から65億35百万円、モンゴル中央銀行から48億89百万円、H.I.S U.S.A. HOLDING,INC.から32億55百万円、エイチ・エス債権回収株式会社において株式会社きらぼし銀行から27億60百万円、エイチ・エス証券株式会社において日本証券金融株式会社から24億94百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与えるような見積り及び予測が必要となります。当社グループは、過去の実績値や状況に応じて、合理的かつ妥当な判断により、見積り及び予測を行っておりますが、当該見積り及び予測については、不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、生産や輸出に弱さがみられるものの、企業収益や雇用・所得環境の改善により緩やかな回復基調にありました。ただ、期末において、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い世界経済は急速に縮小しており先行きは極めて不透明な状況にあり、とりわけ中国経済の今後の動向は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような環境の中、当社グループの当連結会計年度の営業収益は610億28百万円(前期比43億42百万円増)、経常利益は115億64百万円(前期比7億24百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は72億5百万円(前期比12億45百万円増)となりました。
当社グループは、当社、連結子会社6社及び持分法適用関連会社2社で構成されており、セグメントごとの分類は次のとおりであります。
銀行関連事業 ハーン銀行(Khan Bank LLC)、キルギスコメルツ銀行(OJSC Kyrgyzkommertsbank)、ソリッド銀行(JSC Solid Bank)
証券関連事業 エイチ・エス証券株式会社
債権管理回収関連事業 エイチ・エス債権回収株式会社
IT関連事業 iXIT株式会社
その他事業 当社、H.S. International (Asia) Limited、株式会社外為どっとコム
報告セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。
a)銀行関連事業
銀行関連事業の当連結会計年度の営業収益は523億31百万円(前期比34億12百万円増)、営業利益は104億77百万円(前期比11億円増)となりました。また、持分法適用関連会社であるソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。
ハーン銀行(本店所在地:モンゴル国)
モンゴル経済につきましては、中国への鉱物資源輸出、サービス業、製造業、建設業が好調で実質GDP(1-12月)は前期比で5.1%増加、インフレ率も5.2%増加するなど、景気は引き続き回復基調にあります。好調な経済状況を背景に、貿易収支は黒字を維持しており外貨準備高は43億ドル台(前期比22.8%増)となり、一方、財政収支は6,278億トゥグルグ(以下、MNTという。)の赤字(前期は119億MNTの黒字)となっております。為替市場では、現地通貨(MNT)が前期比で米ドルに対して3.4%下落(ドル高)、円に対して5.0%下落(円高)となりました。
モンゴルの銀行業界につきましては、金融セクターの融資残高は前期比で5.1%増加しました。また、延滞債権は2.9%減少、不良債権は2.3%増加となりました。
このような環境の中、モンゴルにおいて最大級の商業銀行であるハーン銀行につきましては、自動車ローンやサラリーローンなどの個人向け融資及び中小企業向け融資を中心に積極的に展開してまいりました。特に、個人向け融資に関してはQRコード決済やハーンPayなど様々なデジタルバンキングサービスを提供し、顧客サービスの向上に引き続き注力してまいりました。
結果として、現地通貨ベースでは、預金残高は前期比で21.7%増加、融資残高は16.8%増加、資金運用収益は21.2%増加いたしました。また、融資残高の内訳としましては、法人向け融資は前期比で46.9%増加、個人向け融資は11.5%減少、農牧業向け融資は57.3%増加いたしました。
キルギスコメルツ銀行(本店所在地:キルギス共和国)
キルギス経済につきましては、ロシア経済の低迷によってロシアへの出稼ぎ労働者からの送金が伸び悩んだものの、金生産の増加などにより国内鉱工業生産や輸出が前期比で増加しており、実質GDP(1-12月)は前期比で4.5%増加となりました。また、インフレ率は食料品価格の低迷等により前期比で1.1%増加にとどまっております。
このような環境の中、キルギスコメルツ銀行につきましては、融資残高と預金残高を順調に増加させており、金利収入を増加させるため特に利回りの高い中小企業向け融資と個人向け融資に注力してまいりました。融資残高は前期比で15.5%増加、預金残高は12.5%増加となり、業績は徐々に改善してきております。
今後につきましては、新型コロナウイルスの影響により融資先の財政状態が不透明となってきているため、貸出審査及びリスク管理を厳格化し、慎重な業務を行うことといたします。また、リテール事業の拡大に向けて、新決済システムの導入によるオンラインバンキングやクレジットカード事業の強化、個人向けの新商品開発を進めてまいります。
ソリッド銀行(本店所在地:ロシア連邦)
ロシア経済につきましては、付加価値税の引き上げや緊縮財政などの影響により個人消費を中心に低成長が続いており、実質GDP(1-12月)は前期比で1.3%増加、インフレ率は3.4%増加となりました。また、欧米諸国のロシアに対する経済制裁は継続しており、中央銀行の規制強化等により銀行数が減少するなど厳しい状況が続いております。
このような環境の中、ソリッド銀行につきましては、引き続きクレジットリスク抑制のため融資残高と預金残高の急成長を抑えつつ、中堅優良企業への貸出、貴金属取引や為替取引などの非金利収入の拡大を図っております。また、継続的なコスト削減や不良債権の回収、担保物権の売却に取り組んでまいりました。
今後につきましては、現地通貨(ルーブル)の為替動向、原油価格の推移、経済制裁及び国際情勢の緊迫化等の影響もあり、当面はロシア経済の低成長が続くと予想されますが、優良企業への貸出増加、預金コストの削減等に注力し、業務の合理化とともに財務状態の改善に取り組んでまいります。また、1月以降の石油相場の下落と新型コロナウイルスの影響を考慮しつつ、貸出審査及びリスク管理の厳格化を進めてまいります。
b)証券関連事業
当連結会計年度における国内株式市場は、米国の良好な経済指標や原油価格の上昇を受けて堅調に推移し上昇基調で始まり、その後も複数の中国経済統計が市場を上回る良好な内容であったことから、日経平均株価は2万2千円台まで上昇しました。
5月に入ると米国が中国製品に対する追加関税率の引き上げを実施したことに加え、中国通信機器大手への制裁措置や、一部の米国景況感指数で悪化が見られたことを嫌気し下落しましたが、6月に入り、市場で利下げ期待が高まったことから上昇に転じました。その後は2万1千円台で推移し、8月には再び米中貿易摩擦が懸念され、一時的に下落しました。
しかし、9月初旬に、中国商務省が米中でハイレベル協議を行うとの発表を受け上昇に転じると、10月の閣僚級の米中協議を通じて、米中通商協議への進展期待が高まったことから株価は大幅に上昇しました。その後、12月半ばの米中貿易協議にて、米国による中国へのさらなる関税賦課が避けられたことなどが好感され、一時、株価は2万4千円台に到達する場面も見られました。
その後は期末にかけて、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界的な景気後退への警戒感が一気に織り込まれる形で、株価は2016年11月以来の安値となる1万6千円台まで下落しました。結果として、当連結会計年度末の日経平均株価は18,917円1銭で取引を終えました。なお、当連結会計年度における東証の売買代金は前期比で9.9%減少しました。
このような環境の中、エイチ・エス証券株式会社につきましては、お客様のパフォーマンスに貢献する証券会社として、国内株式営業への取り組み、外貨建て債券の販売、米国株式を中心とした外国株式の販売に注力いたしました。引受業務におきましては、新規公開(IPO)10社(うち主幹事2社)の幹事参入を果たしました。
また、当連結会計年度末における預り資産は、新型コロナウイルス拡大による市況悪化などの影響により減少し、2,493億66百万円(前期比1,135億83百万円減)となりました。
結果として、当連結会計年度における営業収益は33億30百万円(前期比7百万円減)、営業利益は1億60百万円(前期比64百万円増)となりました。
(受入手数料)
当連結会計年度の受入手数料は、12億33百万円(前期比46百万円増)となりました。
その内訳としましては、委託手数料が8億10百万円(前期比1億41百万円減)、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料が67百万円(前期比60百万円増)、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料が61百万円(前期比10百万円増)、主に投資信託事務代行事務手数料と投資銀行業務に係る手数料で構成されるその他の受入手数料は公開買付事務の受託により2億93百万円(前期比1億16百万円増)となりました。
(トレーディング損益)
当連結会計年度のトレーディング損益につきましては、株券等は5億30百万円(前期比2億17百万円減)となりました。また、債券・為替等は外貨建て債券の販売増により10億1百万円(前期比1億84百万円増)となり、合計で15億31百万円(前期比33百万円減)となりました。
(金融収支)
当連結会計年度の金融収益は5億56百万円(前期比30百万円減)、金融費用は1億41百万円(前期比29百万円増)となり、金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は4億14百万円(前期比60百万円減)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、人件費や取引量の減少などにより30億19百万円(前期比1億10百万円減)となりました。
c)債権管理回収関連事業
サービサー業界につきましては、金融機関において実施されるバルクセール(債権の一括売却)において、売却対象債権数及び債権額の減少に伴い、依然として買取価格が高騰しております。また、各金融機関では、今後の景気動向から不良債権の増加を不安視しているものの、実際には不良債権の増加には至っておらず、市場に出回る不良債権は依然として減少傾向にあります。
このような環境の中、エイチ・エス債権回収株式会社につきましては、取得した債権から適切に管理回収を行い堅調な事業収益を確保しつつ、銀行を中心とした金融機関以外にも、不良債権市場のシェア拡大を目指し、リース会社やノンバンク等、サービサーが取扱可能な債権を保有する企業に対しても積極的に展開し、安定的な債権の取得を目指しております。
結果として、当連結会計年度の営業収益は42億68百万円(前期比9億95百万円増)、営業利益は2億78百万円(前期比32百万円増)となりました。
d)IT関連事業
IT関連事業を取り巻く環境は、スマートフォンの高性能化、通信インフラ環境の発達等を背景に、スマートフォンやクラウドを活用したサービスやシステムの需要が拡大しており、新たな社会基盤構築へのニーズが高まっております。また、異業種からの協業等が活発化して競合他社が増加し続けるなど、従来の通信事業の枠を超えた新たな市場での厳しい競争が加速しております。
このような環境の中、iXIT株式会社につきましては、将来の成長に向けた新たなサービスの創出、新規顧客の開拓に向けた営業の強化及び固定費の削減に努めてまいりました。新規受託案件や新規サービスの増加など、その取組みの効果が表れてきており業績は徐々に改善しております。
結果として、当連結会計年度の営業収益は11億71百万円(前期比68百万円減)、営業損失は32百万円(前期は営業損失1億78百万円)となりました。
e)その他事業
当社(単体)の他、他のセグメントに分類されていない連結子会社及び持分法適用関連会社は、その他事業に分類しております。なお、持分法適用関連会社である株式会社外為どっとコムの業績は、持分法による投資損益に反映されます。
その他事業の当連結会計年度の営業収益は2億42百万円(前期比3億34百万円減)、営業損失は1億41百万円(前期は営業利益2億95百万円)となりました。
f)持分法による投資損益
持分法適用関連会社である株式会社外為どっとコム及びソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。
株式会社外為どっとコムにつきましては、第3四半期まではボラティリティの低下により、ほぼ全ての通貨ペアで取引数量が減少しておりましたが、年度末にかけてボラティリティが急上昇した影響により、当連結会計年度の業績は前年並みとなりました。
結果として、当連結会計年度の持分法による投資利益は9億34百万円(前期比99百万円減)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の資産合計につきましては、4,696億59百万円となり、前期比292億30百万円増加しました。
これは主に、「現金及び預金」が298億63百万円、「貸出金」が110億25百万円増加し、一方で「有価証券」が100億54百万円減少したことによるものであります。
主な増加要因は、「貸出金」はハーン銀行から顧客への貸出金の増加、「現金及び預金」及び「有価証券」はハーン銀行における資金運用に伴う増減によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計につきましては、3,890億45百万円となり、前期比211億82百万円増加しました。
これは主に、ハーン銀行が顧客から預かる「預金」が236億71百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計につきましては、806億13百万円となり、前期比80億48百万円増加しました。
これは主に、「利益剰余金」が67億29百万円増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,459億95百万円(前期比322億90百万円増)となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、414億44百万円の資金増加(前期比109億68百万円の減少)となりました。
これは主に、「税金等調整前当期純利益」138億24百万円、「債券の純増(△)減」55億26百万円、「預金の純増減(△)」373億65百万円の資金が増加した一方、「貸出金の純増(△)減」204億26百万円の資金が減少したことによるものであります。
主な増減要因は、ハーン銀行が保有する債券の減少、ハーン銀行が顧客から預かる預金の増加、ハーン銀行から顧客への貸出金の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、51億55百万円の資金増加(前期比79億55百万円の増加)となりました。
これは主に、「投資有価証券の売却及び償還による収入」64億1百万円、「定期預金の増減額」71億47百万円の資金が増加した一方、「有形固定資産の取得による支出」42億55百万円、「投資有価証券の取得による支出」27億53百万円の資金が減少したことによるものであります。
主な増減要因は、ハーン銀行が保有する定期預金の払戻し、当社及びハーン銀行が保有する投資有価証券の売却及び償還、ハーン銀行における投資有価証券取得及び設備投資の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、82億1百万円の資金減少(前期比46億89百万円の減少)となりました。
これは主に、「長期借入れによる収入」353億53百万円の資金が増加した一方、「長期借入金の返済による支出」430億65百万円の資金が減少したことによるものであります。
主な増減要因は、ハーン銀行における長期借入金の借入及び返済によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
該当事項はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、営業収益は610億28百万円(前期比43億42百万円増)、経常利益は115億64百万円(前期比7億24百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は72億5百万円(前期比12億45百万円増)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、ハーン銀行の業績は当社グループの経営成績の主たる割合を占めており、その業績の変動が当社グループに重要な影響を及ぼすことになります。また、当社グループには海外の関係会社が複数存在するため、海外の経済情勢や政治情勢から大きな影響を受けております。さらに、国内の関係会社においても、株式、債券、金利、為替等の市況環境に影響を受けるため、当社グループの経営成績が変動する要因となります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、資本の効率性を示すROE(株主資本当期純利益率)を連結ベースで10%以上を安定的に維持していくことを中期的な経営目標としておりますが、当連結会計年度においては12.7%となりました。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
a)銀行関連事業
銀行関連事業の当連結会計年度における営業収益は523億31百万円(前期比34億12百万円増)、営業利益は104億77百万円(前期比11億円増)となりました。
ハーン銀行においては、現地通貨ベースでの、資金運用収益、融資残高、預金残高がともに前期比で増加となり、増収増益となりました。モンゴルでは、鉱物資源の価格上昇などにより景気は回復基調を維持しておりますが、主要輸出先である中国の経済等から影響を受ける可能性があるため、貸出先の信用状況には十分な注意を払い、リスク管理の高度化に努めております。ハーン銀行ではお客様満足度の向上のため、顧客のセグメンテーションを推進し、お客様それぞれに合ったサービスの提供に努めております。顧客の利便性を図るため、パソコンやスマートフォンからのインターネット取引を推進しており、支店における取引の8割程度がデジタルバンキングでの取引となっております。また、本社ビルを新築し、窓口業務と本社機能の効率化を図っております。当面はハーン銀行の一番の強みであるリテール・中小企業取引に特に注力し、融資業務に加え、カード事業やエレクトロニックバンキング等を含めた手数料収入の増加にも注力いたします。
キルギスコメルツ銀行においては、キルギス国内では、銀行は飽和状態であることから、サービス面を改善することで他社との差別化を図り、収益の獲得に努めてまいります。キルギス経済は、ロシア経済の影響を大きく受けることが予想されているものの、安定的な成長を続けており、このような経済動向を考慮しつつ、キルギスにおける「最も便利で信頼できる先進的な銀行」に成長することを目指し、銀行業務だけでなく幅広い金融サービスの展開に向けて、個人向けのカード事業とオンラインサービスを強化しております。
ソリッド銀行においては、ロシアにおけるルーブルの下落や国際情勢の不安定化等の影響から厳しい環境が続いております。貸出業務の改善と強化を図り、融資審査体制を本部に集中化させ、リスク管理を大幅に厳格化するとともに、組織の再構築やコスト削減等を実行しております。さらに、非金利収入の増加に向けたサービスの拡大に取り組み、ロシア極東地域における存在感のある銀行を目指してまいります。
b)証券関連事業
証券関連事業の当連結会計年度における営業収益は33億30百万円(前期比7百万円減)、営業利益は1億60百万円(前期比64百万円増)となりました。
エイチ・エス証券株式会社においては、日米貿易摩擦による国内外における投資マインドの低下等に伴い営業収益は前期比で減少し預り資産も減少しましたが、新規公開株式の幹事案件や公開買付事務の受託、販管費の削減などにより営業利益は前期比で増加となりました。同社では、「お客様の投資パフォーマンスに貢献する」ことを経営戦略上の最重要事項と位置づけ、多様なニーズに対応するため、営業基盤の確立と安定的な収益の確保を目指しております。また、米国株やロシア株等の外国株式や新興国の外貨建て債券の取扱いに注力しており、投資銀行部門では、新規公開(IPO)の幹事業務に加え、株式の新規上場及び新規上場に向けたコンサルティングに取り組み、企業の円滑な資金調達の支援に努めております。今後も多様化する顧客ニーズに沿った商品やサービスの品揃えを充実するとともに、より安定的な収益基盤を構築するため、資金導入に注力してまいります。
c)債権管理回収関連事業
債権管理回収関連事業の当連結会計年度における営業収益は42億68百万円(前期比9億95百万円増)、営業利益は2億78百万円(前期比32百万円増)となりました。
エイチ・エス債権回収株式会社においては、各金融機関における不良債権保有率の減少に伴いサービサー間での競争が激化している中、取引先金融機関等の拡充を図り継続的な債権の仕入れを目指すことで、安定的な収益の確保に努めております。取引先である金融機関等は増加し、債権の買取と買取債権の回収は順調に行われており、大型案件へも取り組むなど、事業を拡大しております。さらに、コンサルティング業務等の業務の多角化による経営基盤の安定を図るとともに、事業再生分野でのグループシナジーの早期実現を目指してまいります。
d)IT関連事業
IT関連事業の当連結会計年度における営業収益は11億71百万円(前期比68百万円減)、営業損失は32百万円(前期は営業損失1億78百万円)となりました。
iXIT株式会社においては、市場規模の拡大や急速な市場環境の変化により、依然として厳しい状態が続いております。IT関連業界はスマートフォンの高性能化、通信インフラ環境の発達等を背景とした市場規模が拡大し、新規参入が容易なことから、競合他社が増加し続けている状況にあります。しかし、業界の将来性は高く、今後も更なる需要の拡大が見込まれていることから、新規顧客の開拓に向けた営業の強化に努め、幅広い業界の企業との共同事業や自社サービスに注力し、お客様の求める新たなコンテンツやサービス等の開発に取り組んでまいります。
e)その他事業
その他事業の当連結会計年度における営業収益は2億42百万円(前期比3億34百万円減)、営業損失は1億41百万円(前期は営業利益2億95百万円)となりました。
当社単体においては、グループ各社における適切な会社運営に加え、グループ間でのシナジー効果を高めるべく適切な管理や助言を行っております。当社単体の営業収益は、主に関係会社からの配当金及び経営管理料で構成されており前期比で増加となりました。投資事業については、国内における独自性や特長のある事業のみならず、主にアジア圏における将来性のある国や地域での事業に対しても積極的な投資を展開しております。さらに、投資事業の一環として、企業の再生についても国内外問わず行っております。また、M&A仲介・コンサルティング事業は、対応が困難とされる短期的な案件や小規模な案件に対しても積極的に取り組み、徐々に実績を重ねてきております。今後もグループの拡大に向け、更なる発展を続けてまいります。
f)持分法による投資損益
当連結会計年度における持分法による投資利益は9億34百万円(前期比99百万円減)となりました。
株式会社外為どっとコムにおいては、FX業界の市場規模は緩やかながらも拡大傾向を維持しており、企業間での競争は依然として厳しい状況にあります。競争が激化するFX業界において、顧客基盤の拡大に取り組み、マーケティング施策の強化や積極的なサービス改善等により、顧客からの更なる支持の獲得を目指してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a)キャッシュ・フロー
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b)資本の財源及び資金の流動性
当社グループにおける資金需要のうち主なものは、顧客への貸出金、人件費や不動産賃借料等の販売費及び一般管理費によるものであります。設備投資を目的とした資金需要は、デジタルバンキングサービスなどの情報システムの構築、ATM増設及び支店開設、改築等によるものであります。
また、当社グループにおける必要な運転資金、投資資金及び融資資金は、自己資金、金融機関からの借入、顧客からの預り金により調達しております。当連結会計年度末における主な有利子負債残高は、長期借入金(1年内含む)547億96百万円、短期借入金40億36百万円、信用取引借入金24億94百万円となっております。また、現金及び現金同等物の残高は1,459億95百万円となっております。主な借入先として、ハーン銀行においてオランダ開発金融公庫から144億23百万円、欧州復興開発銀行から65億35百万円、モンゴル中央銀行から48億89百万円、H.I.S U.S.A. HOLDING,INC.から32億55百万円、エイチ・エス債権回収株式会社において株式会社きらぼし銀行から27億60百万円、エイチ・エス証券株式会社において日本証券金融株式会社から24億94百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与えるような見積り及び予測が必要となります。当社グループは、過去の実績値や状況に応じて、合理的かつ妥当な判断により、見積り及び予測を行っておりますが、当該見積り及び予測については、不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。