有価証券報告書-第62期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1) 経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善が見られるなど、緩やかな回復基調で推移しております。一方で、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題の影響により世界経済は中国を中心に減速傾向が強まっており、先行きは不透明な状況が続いております。
このような環境の中、当社グループの当連結会計年度の営業収益は566億86百万円(前期比46億5百万円増)、経常利益は108億40百万円(前期比36億98百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は59億59百万円(前期比17億40百万円増)となりました。
当社グループは、当社、連結子会社6社及び持分法適用関連会社2社で構成されており、セグメントごとの分類は次のとおりであります。
銀行関連事業 ハーン銀行(Khan Bank LLC)、キルギスコメルツ銀行(OJSC Kyrgyzkommertsbank)、ソリッド銀行(JSC Solid Bank)
証券関連事業 エイチ・エス証券株式会社
債権管理回収関連事業 エイチ・エス債権回収株式会社
IT関連事業 iXIT株式会社
その他事業 当社、H.S. International (Asia) Limited、株式会社外為どっとコム
報告セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。
a)銀行関連事業
銀行関連事業の当連結会計年度の営業収益は489億18百万円(前期比50億88百万円増)、営業利益は93億77百万円(前期比32億63百万円増)となりました。また、持分法適用関連会社であるソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。
ハーン銀行(本店所在地:モンゴル国)
モンゴル経済につきましては、インフラ整備事業や不動産開発、金融業が好調で、石炭や銅などの鉱物資源の生産・輸出の増加もあり、実質GDP(1-12月)は前期比で6.9%増加、インフレ率も8.2%増加するなど、景気は引き続き回復基調にあります。
貿易収支・財政収支はともに黒字で、10月にはIMFの拡大信用供与措置(EFF)に伴う追加融資が承認され、外貨準備高は35億ドル台(前期比18.0%増)まで回復しております。一方、為替市場では、現地通貨(MNT)が前期比で米ドルに対して8.9%下落(ドル高)、円に対して11.4%下落(円高)となりました。
モンゴルの銀行業界につきましては、金融セクターの融資残高は前期比26.5%増加しました。また、延滞債権は3.1%増加、不良債権は54.8%増加となりました。
このような環境の中、モンゴルにおいて最大級の商業銀行であるハーン銀行につきましては、モンゴル経済を注視しつつ、個人向け融資や中小企業向け融資を中心に積極的に展開してまいりました。また、新型ATMの増設やインターネットバンキングの推進、QRコード決済やハーンPayなど様々なデジタルバンキングサービスを提供しており、顧客サービスの向上に引き続き注力してまいりました。
結果として、現地通貨ベースでは、預金残高は前期比36.9%増加、融資残高は24.6%増加、資金運用収益は
14.8%増加いたしました。
(法人向け融資)
中国への銅輸出の増加及び銅・石炭の価格上昇により、鉱山セクターは回復基調にあります。一方で、アパート価格指数の下落等に見られる不動産の供給過剰の影響を勘案し、建設・不動産関連セクターについては慎重に対応してまいりました。また、融資の質を高めるため既存の優良顧客への融資に注力しつつ、中小企業向け融資のキャンペーンを展開し新規融資も増加しております。さらに、不良債権の回収にも取り組んでおり、不良債権は着実に減少しております。
結果として、法人向け融資の融資残高は前期比で23.2%増加いたしました。
(個人向け融資)
自動車ローン、預金担保融資及びサラリーローンについてキャンペーンを展開した結果、これらの融資が順調に増加いたしました。また、年金支給額の増加及び融資期間の延長により年金担保融資も好調に推移しました。
結果として、個人向け融資の融資残高は前期比で26.5%増加いたしました。
(農牧業向け融資)
諸条件を定型パッケージ化した牧畜業向け融資の提供、融資の決定権限の支店長への委譲など、農牧業向け融資に関する顧客の利便性の向上を図ってまいりました。また、食肉の輸出増加により遊牧民の所得が向上し、消費意欲が高まったことに伴い、融資需要も増加しました。
結果として、農牧業向け融資の融資残高は前期比で8.9%増加いたしました。
キルギスコメルツ銀行(本店所在地:キルギス共和国)
キルギス経済につきましては、ロシア経済の回復に伴う出稼ぎ労働者からの送金の増加が続くとともに、国内鉱工業生産も年半ばから上昇に転じ、実質GDP(1-12月)は前期比で3.5%増加となりました。また、インフレ率は食料品価格の低迷により前期比で0.5%増加にとどまっております。
このような環境の中、キルギスコメルツ銀行につきましては、貸出残高と預金残高を順調に増加させており、特に利回りの高い中小企業向け貸出に注力してまいりました。一方で、前年度からの事業拡大に伴い、人件費を含む経費が増加しております。
今後は、新決済システムの導入によるオンラインバンキングやクレジットカード事業の強化、個人向けの新商品開発を進めてまいります。また、営業とリスク体制の見直しや人事制度の見直しを行い、全体的な収益性の向上を図ってまいります。
ソリッド銀行(本店所在地:ロシア連邦)
ロシア経済につきましては、原油等の資源価格上昇やサッカーワールドカップなどへの公共投資の増加の影響により実質GDP(1-12月)は前期比で2.3%増加、インフレ率は4.3%増加となりましたが、欧米諸国のロシアに対する経済制裁は継続しております。また、中央銀行の規制強化等により銀行数が減少するなど、厳しい状況が続いております。
このような環境の中、ソリッド銀行につきましては、引き続き貸出審査及びリスク管理を大幅に厳格化しつつ、貸出残高と預金残高の急成長を抑え、中堅優良企業への貸出、貴金属取引や銀行保証の非金利収入の拡大を図っております。また、継続的なコスト削減や不良債権の回収、担保物権の売却に取り組んでまいりました。
今後につきましても、現地通貨(ルーブル)の為替動向、原油価格の推移、経済制裁及び国際情勢の緊迫化等の影響もあり、当面はロシア経済の不透明感並びに低成長が続くと予想されますが、優良企業への貸出増加、預金コストの削減等に注力し、業務の合理化とともに財務状態の改善に取り組んでまいります。
b)証券関連事業
当連結会計年度における国内株式市場は、米中貿易摩擦の緩和に向けた交渉が進むとの見通しから上昇して始まり、5月半ばにかけて緩やかな回復基調で推移し、23,000円台まで上昇しました。
その後、海外政治動向を警戒しつつ強弱材料が入り混じる展開が続きましたが、9月に入り、米中貿易摩擦に関する悪材料はいったん出尽くしたとの見方が広がったことで24,000円台まで上昇すると、その後も堅調な米国株式市況などを背景に、9月末には平成3年11月以来、約26年11ヶ月ぶりの高値水準となりバブル崩壊後の最高値を更新しました。
しかし、10月に入り、米国長期金利上昇による米国株式市場の下落や、国内外の決算で一部の需要の減退が見られたことなどを嫌気し下落すると、12月には中国経済の先行きを懸念する動きが広がったことや、パウエル米国連邦準備制度理事会(以下、FRBという。)議長から市場が期待した利上げ停止時期を示唆する発言がなかったことなどを懸念し、一時19,000円を割り込む展開となりました。
その後、1月から2月にかけてはパウエルFRB議長が引き締め方向にある金融政策の軟化を示唆したことや、米国の一部政府機関の閉鎖が暫定的に解消されたことなどを好感し上昇しました。また、2月中旬に行われた米中通商会談で一定の進展が見られ、米中貿易摩擦の改善期待が高まったことなどから株価は底堅さも見られました。
結果として、当連結会計年度末の日経平均株価は21,205円81銭で取引を終えました。なお、当連結会計年度における東証の売買代金は前期比で5.4%減少いたしました。
このような環境の中、エイチ・エス証券株式会社につきましては、お客様のパフォーマンスに貢献する証券会社として、国内株式営業への取り組み、外貨建て債券の販売、米国株式を中心とした外国株式の販売に注力いたしました。引受業務におきましては、株式・引受シ団への関与に取り組み、新規公開9社の幹事参入を果たしました。
また、当連結会計年度末における預り資産は、軟調な株式市場の影響などにより3,629億50百万円(前期比508億59百万円減)となりました。
結果として、当連結会計年度における営業収益は33億38百万円(前期比8億22百万円減)、営業利益は96百万円(前期比5億97百万円減)となりました。
(受入手数料)
当連結会計年度の受入手数料は、個人投資家の売買代金減少などにより11億86百万円(前期比4億7百万円減)となりました。その内訳は以下のとおりであります。
委託手数料
委託手数料につきましては、9億51百万円(前期比3億82百万円減)となりました。
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料につきましては、6百万円(前期比9百万円減)となりました。
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料につきましては、51百万円(前期比16百万円減)となりました。
その他の受入手数料
主に投資信託事務代行手数料と投資銀行業務に係る手数料で構成されるその他の受入手数料は、1億77百万円(前期比0百万円増)となりました。
(トレーディング損益)
当連結会計年度のトレーディング損益につきましては、米国株式や外貨建て債券の販売が低迷したことにより、株券等は7億48百万円(前期比2億87百万円減)、債券・為替等は8億16百万円(前期比1億30百万円減)となり、合計で15億65百万円(前期比4億17百万円減)となりました。
(金融収支)
当連結会計年度の金融収益は5億86百万円(前期比2百万円増)、金融費用は1億11百万円(前期比18百万円減)となり、金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は4億75百万円(前期比20百万円増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、取引量の減少などにより31億29百万円(前期比2億6百万円減)となりました。
c)債権管理回収関連事業
サービサー業界につきましては、サービサー全体の状況として取扱債権数は増加傾向にあるものの、取扱債権額は減少しており、それに伴い回収額も減少傾向となっております。また、不良債権市場についても、銀行を中心とした金融機関の不良債権処理はいまだ減少傾向にあり、債権の価格高騰が続いております。
このような環境の中、エイチ・エス債権回収株式会社につきましては、取得した債権から適切に管理回収を行い堅調な事業収益を確保しつつ、銀行を中心とした金融機関以外に、リース会社やノンバンク等、サービサーが取扱可能な債権を保有する企業に対しても積極的に展開し、安定的な債権の取得を目指しております。取引先数は増加し新たな入札機会が拡大したことにより、落札件数は堅調に推移しております。
結果として、当連結会計年度の営業収益は32億73百万円(前期比4億47百万円増)、営業利益は2億45百万円(前期比38百万円増)となりました。
d)IT関連事業
IT関連事業を取り巻く環境は、スマートフォンの高性能化、通信インフラ環境の発達等を背景に、スマートフォンやクラウドを活用したサービスやシステムの需要が拡大しており、新たな社会基盤構築へのニーズが高まっております。また、異業種からの協業等が活発化して競合他社が増加し続けるなど、従来の通信事業の枠を超えた新たな市場での厳しい競争が加速しております。
このような環境の中、iXIT株式会社につきましては、将来の成長に向けた新たなサービスの創出、新規顧客の開拓に向けた営業の強化及び固定費の削減に努めてまいりました。新規受託案件や新規サービスの増加など、その取組みの効果は見られるものの、売上高の減少傾向が続き、既存コンテンツの課金収入の減少を補うには至りませんでした。
結果として、当連結会計年度の営業収益は12億39百万円(前期比89百万円減)、営業損失は1億78百万円(前期は営業損失82百万円)となりました。
e)その他事業
当社(単体)の他、他のセグメントに分類されていない連結子会社及び持分法適用関連会社は、その他事業に分類しております。なお、持分法適用関連会社である株式会社外為どっとコムの業績は、持分法による投資損益に反映されます。
当社(単体)の営業収益は、主に関係会社からの配当金及び経営管理料で構成されます。
その他事業の当連結会計年度の営業収益は5億76百万円(前期比2億82百万円増)、営業利益は2億95百万円(前期比2億67百万円増)となりました。
f)持分法による投資損益
持分法適用関連会社である株式会社外為どっとコム及びソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。
株式会社外為どっとコムにつきましては、高収益単価の通貨の取引数増加に伴う収益単価の改善により、当連結会計年度の業績は前期比で大幅な増収増益となりました。
結果として、当連結会計年度の持分法による投資利益は10億34百万円(前期比10億29百万円増)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の資産合計につきましては、4,404億28百万円となり、前期比344億54百万円増加しました。
これは主に、「貸出金」が210億92百万円及び「有価証券」が222億62百万円増加し、一方で「買現先勘定」が112億27百万円減少したことによるものであります。
主な増加要因は、「貸出金」はハーン銀行から顧客への貸出金の増加、「有価証券」はハーン銀行が保有するモンゴル銀行短期証券等の増加、「買現先勘定」はハーン銀行が保有する買現先取引により発生した金銭債権の減少によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計につきましては、3,678億63百万円となり、前期比314億34百万円増加しました。
これは主に、「預金」が408億62百万円増加し、一方で「長期借入金」及び「1年内返済予定の長期借入金」が48億11百円及び「信用取引負債」が59億19百万円減少したことによるものであります。
主な増減要因は、「預金」はハーン銀行が顧客から預かる預金の増加、「長期借入金」及び「1年内返済予定の長期借入金」はハーン銀行における長期借入金の減少、「信用取引負債」はエイチ・エス証券における信用取引借入金の減少によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計につきましては、725億65百万円となり、前期比30億19百万円増加しました。
これは主に、「利益剰余金」が54億75百万円増加し、一方で「為替換算調整勘定」が25億16百万円減少したことによるものであります。なお、「為替換算調整勘定」の減少は主にトゥグルグ安により発生したものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,137億5百万円(前期比357億51百万円増)となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、524億12百万円の資金増加(前期比146億77百万円の増加)となりました。
これは主に、「預金の純増減(△)」679億12百万円及び「債券の純増(△)減」108億96百万円の資金が増加した一方、「貸出金の純増(△)減」402億97百万円の資金が減少したことによるものであります。
主な増減要因は、ハーン銀行が顧客から預かる預金の増加、ハーン銀行が保有する債権の減少及びハーン銀行から顧客への貸出金の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、28億円の資金減少(前期比77億5百万円の増加)となりました。
これは主に、「投資有価証券の売却及び償還による収入」39億59百万円の資金が増加した一方、「投資有価証券の取得による支出」43億55百万円及び「有形固定資産の取得による支出」32億23百万円の資金が減少したことによるものであります。
主な増減要因は、ハーン銀行における投資有価証券の取得や売却及び償還、並びに設備投資の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、35億11百万円の資金減少(前期比50億71百万円の増加)となりました。
これは主に、「長期借入れによる収入」398億52百万円の資金が増加した一方、「長期借入金の返済による支出」420億18百万円の資金が減少したことによるものであります。
主な増減要因は、ハーン銀行における長期借入金の借入及び返済によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
該当事項はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与えるような見積り及び予測が必要となります。当社グループは、過去の実績値や状況に応じて、合理的かつ妥当な判断により、見積り及び予測を行っておりますが、当該見積り及び予測については、不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、営業収益は566億86百万円(前期比46億5百万円増)、経常利益は108億40百万円(前期比36億98百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は59億59百万円(前期比17億40百万円増)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、ハーン銀行の業績は当社グループの経営成績の主たる割合を占めており、その業績の変動が当社グループに重要な影響を及ぼすことになります。また、当社グループには海外の関係会社が複数存在するため、海外の経済情勢や政治情勢から大きな影響を受けております。さらに、国内の関係会社においても、株式、債券、金利、為替等の市況環境に影響を受けるため、当社グループの経営成績が変動する要因となります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループにおける必要な運転資金及び融資資金は、自己資金、金融機関からの借入、顧客からの預り金及び社債により調達しております。当連結会計年度末における有利子負債残高は708億56百万円となり、主な借入先として、ハーン銀行において欧州復興開発銀行から87億10百万円、オランダ開発金融公庫から67億74百万円、エイチ・エス証券株式会社において日本証券金融株式会社から33億73百万円の借入を財源としております。資金の流動性については、「第2 事業の概要 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、資本の効率性を示すROE(株主資本当期純利益率)を連結ベースで10%以上を安定的に維持していくことを中期的な経営目標としておりますが、当連結会計年度においては11.2%となりました。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
a)銀行関連事業
銀行関連事業の当連結会計年度における営業収益は489億18百万円(前期比50億88百万円増)、営業利益は93億77百万円(前期比32億63百万円増)となりました。
ハーン銀行においては、現地通貨ベースでの、資金運用収益、融資残高、預金残高がともに前期比で増加となり、増収増益となりました。モンゴルでは、鉱物資源の価格上昇により景気は回復基調にありますが、主要輸出先である中国の経済等から影響を受ける可能性があるため、貸出先の信用状況には十分な注意を払い、リスク管理の高度化に努めております。ハーン銀行ではお客様満足度の向上のため、顧客のセグメンテーションを推進し、お客様それぞれに合ったサービスの提供に努めております。顧客の利便性を図るため、ATMの積極的な設置やパソコンやスマートフォンからのインターネット取引を推進しており、支店における取引の8割程度がデジタルバンキングでの取引となっております。また、本社ビルを新築し、窓口業務と本社機能の効率化を図っております。当面はハーン銀行の一番の強みであるリテール・中小企業取引に特に注力し、融資業務に加え、カード事業やエレクトロニックバンキング等を含めた手数料収入の増加にも注力いたします。
キルギスコメルツ銀行においては、キルギス国内では、銀行は飽和状態であることから、サービス面を改善することで他社との差別化を図り、収益の獲得に努めてまいります。キルギス経済は、ロシア経済の影響を大きく受けることが予想されているものの、安定的な成長を続けており、このような経済動向を考慮しつつ、キルギスにおける「最も便利で信頼できる先進的な銀行」に成長することを目指し、銀行業務だけでなく幅広い金融サービスの展開に向けて、個人向けのカード事業とオンラインサービスを強化しております。
ソリッド銀行においては、ロシアにおけるルーブルの下落や国際情勢の不安定化等の影響から厳しい環境が続いております。貸出業務の改善と強化を図り、融資審査体制を本部に集中化させ、リスク管理を大幅に厳格化するとともに、組織の再構築やコスト削減等を実行しております。さらに、非金利収入の増加に向けたサービスの拡大に取り組み、ロシア極東地域における存在感のある銀行を目指してまいります。
b)証券関連事業
証券関連事業の当連結会計年度における営業収益は33億38百万円(前期比8億22百万円減)、営業利益は96百万円(前期比5億97百万円減)となりました。
エイチ・エス証券株式会社においては、国内株式市場の低迷等に伴い、営業収益、営業利益ともに前期比で減少し、預り資産も減少しております。同社では、「お客様の投資パフォーマンスに貢献する」ことを経営戦略上の最重要事項と位置づけ、多様なニーズに対応するため、営業基盤の確立と安定的な収益の確保を目指しております。また、米国株やロシア株等の外国株式や新興国の外貨建て債券の取扱いに注力しており、投資銀行部門では、新規公開(IPO)の幹事業務に加え、株式の新規上場及び新規上場に向けたコンサルティングに取り組み、企業の円滑な資金調達の支援に努めております。今後も多様化する顧客ニーズに沿った商品やサービスの品揃えを充実するとともに、より安定的な収益基盤を構築するため、資金導入に注力してまいります。
c)債権管理回収関連事業
債権管理回収関連事業の当連結会計年度における営業収益は32億73百万円(前期比4億47百万円増)、営業利益は2億45百万円(前期比38百万円増)となりました。
エイチ・エス債権回収株式会社においては、各金融機関における不良債権保有率の減少に伴い、サービサー間での競争が激化している中、取引先金融機関等の拡充を図り、継続的な債権の仕入れを目指すことで、安定的な収益の確保に努めております。取引先である金融機関等は増加し、債権の買取と買取債権の回収は順調に行われており、大型案件へも取り組むなど、事業を拡大しております。さらに、コンサルティング業務等の業務の多角化による経営基盤の安定を図るとともに、事業再生分野でのグループシナジーの早期実現を目指してまいります。
d)IT関連事業
IT関連事業の当連結会計年度における営業収益は12億39百万円(前期比89百万円減)、営業損失は1億78百万円(前期は営業損失82百万円)となりました。
iXIT株式会社においては、市場規模の拡大や急速な市場環境の変化により、依然として厳しい状態が続いております。IT関連業界はスマートフォンの高性能化、通信インフラ環境の発達等を背景とした市場規模が拡大し、新規参入が容易なことから、競合他社が増加し続けている状況にあります。しかし、業界の将来性は高く、今後も更なる需要の拡大が見込まれていることから、新規顧客の開拓に向けた営業の強化に努め、幅広い業界の企業との共同事業や自社サービスに注力し、お客様の求める新たなコンテンツやサービス等の開発に取り組んでまいります。
e)その他事業
その他事業の当連結会計年度における営業収益は5億76百万円(前期比2億82百万円増)、営業利益は2億95百万円(前期比2億67百万円増)となりました。
当社単体においては、グループ各社における適切な会社運営に加え、グループ間でのシナジー効果を高めるべく、適切な管理や助言を行っております。当社単体の営業収益は、主に関係会社からの配当金及び経営管理料で構成されており、前期比で増加となりました。投資事業については、国内における独自性や特長のある事業のみならず、主にアジア圏における将来性のある国や地域での事業に対しても、積極的な投資を展開しております。さらに、投資事業の一環として、企業の再生についても、国内外問わず行っております。また、M&A仲介・コンサルティング事業は、対応が困難とされる短期的な案件や小規模な案件に対しても積極的に取り組み、徐々に実績を重ねてきております。今後もグループの拡大に向け、更なる発展を続けてまいります。
f)持分法による投資損益
当連結会計年度における持分法による投資利益は10億34百万円(前期比10億29百万円増)となりました。
株式会社外為どっとコムにおいては、高収益単価の通貨の取引数増加に伴う収益単価の改善により、前期比で大幅な増収増益となりました。競争が激化するFX業界において、顧客基盤の拡大に取り組み、マーケティング施策の強化や積極的なサービス改善等により、顧客からの更なる支持の獲得を目指してまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善が見られるなど、緩やかな回復基調で推移しております。一方で、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題の影響により世界経済は中国を中心に減速傾向が強まっており、先行きは不透明な状況が続いております。
このような環境の中、当社グループの当連結会計年度の営業収益は566億86百万円(前期比46億5百万円増)、経常利益は108億40百万円(前期比36億98百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は59億59百万円(前期比17億40百万円増)となりました。
当社グループは、当社、連結子会社6社及び持分法適用関連会社2社で構成されており、セグメントごとの分類は次のとおりであります。
銀行関連事業 ハーン銀行(Khan Bank LLC)、キルギスコメルツ銀行(OJSC Kyrgyzkommertsbank)、ソリッド銀行(JSC Solid Bank)
証券関連事業 エイチ・エス証券株式会社
債権管理回収関連事業 エイチ・エス債権回収株式会社
IT関連事業 iXIT株式会社
その他事業 当社、H.S. International (Asia) Limited、株式会社外為どっとコム
報告セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。
a)銀行関連事業
銀行関連事業の当連結会計年度の営業収益は489億18百万円(前期比50億88百万円増)、営業利益は93億77百万円(前期比32億63百万円増)となりました。また、持分法適用関連会社であるソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。
ハーン銀行(本店所在地:モンゴル国)
モンゴル経済につきましては、インフラ整備事業や不動産開発、金融業が好調で、石炭や銅などの鉱物資源の生産・輸出の増加もあり、実質GDP(1-12月)は前期比で6.9%増加、インフレ率も8.2%増加するなど、景気は引き続き回復基調にあります。
貿易収支・財政収支はともに黒字で、10月にはIMFの拡大信用供与措置(EFF)に伴う追加融資が承認され、外貨準備高は35億ドル台(前期比18.0%増)まで回復しております。一方、為替市場では、現地通貨(MNT)が前期比で米ドルに対して8.9%下落(ドル高)、円に対して11.4%下落(円高)となりました。
モンゴルの銀行業界につきましては、金融セクターの融資残高は前期比26.5%増加しました。また、延滞債権は3.1%増加、不良債権は54.8%増加となりました。
このような環境の中、モンゴルにおいて最大級の商業銀行であるハーン銀行につきましては、モンゴル経済を注視しつつ、個人向け融資や中小企業向け融資を中心に積極的に展開してまいりました。また、新型ATMの増設やインターネットバンキングの推進、QRコード決済やハーンPayなど様々なデジタルバンキングサービスを提供しており、顧客サービスの向上に引き続き注力してまいりました。
結果として、現地通貨ベースでは、預金残高は前期比36.9%増加、融資残高は24.6%増加、資金運用収益は
14.8%増加いたしました。
(法人向け融資)
中国への銅輸出の増加及び銅・石炭の価格上昇により、鉱山セクターは回復基調にあります。一方で、アパート価格指数の下落等に見られる不動産の供給過剰の影響を勘案し、建設・不動産関連セクターについては慎重に対応してまいりました。また、融資の質を高めるため既存の優良顧客への融資に注力しつつ、中小企業向け融資のキャンペーンを展開し新規融資も増加しております。さらに、不良債権の回収にも取り組んでおり、不良債権は着実に減少しております。
結果として、法人向け融資の融資残高は前期比で23.2%増加いたしました。
(個人向け融資)
自動車ローン、預金担保融資及びサラリーローンについてキャンペーンを展開した結果、これらの融資が順調に増加いたしました。また、年金支給額の増加及び融資期間の延長により年金担保融資も好調に推移しました。
結果として、個人向け融資の融資残高は前期比で26.5%増加いたしました。
(農牧業向け融資)
諸条件を定型パッケージ化した牧畜業向け融資の提供、融資の決定権限の支店長への委譲など、農牧業向け融資に関する顧客の利便性の向上を図ってまいりました。また、食肉の輸出増加により遊牧民の所得が向上し、消費意欲が高まったことに伴い、融資需要も増加しました。
結果として、農牧業向け融資の融資残高は前期比で8.9%増加いたしました。
キルギスコメルツ銀行(本店所在地:キルギス共和国)
キルギス経済につきましては、ロシア経済の回復に伴う出稼ぎ労働者からの送金の増加が続くとともに、国内鉱工業生産も年半ばから上昇に転じ、実質GDP(1-12月)は前期比で3.5%増加となりました。また、インフレ率は食料品価格の低迷により前期比で0.5%増加にとどまっております。
このような環境の中、キルギスコメルツ銀行につきましては、貸出残高と預金残高を順調に増加させており、特に利回りの高い中小企業向け貸出に注力してまいりました。一方で、前年度からの事業拡大に伴い、人件費を含む経費が増加しております。
今後は、新決済システムの導入によるオンラインバンキングやクレジットカード事業の強化、個人向けの新商品開発を進めてまいります。また、営業とリスク体制の見直しや人事制度の見直しを行い、全体的な収益性の向上を図ってまいります。
ソリッド銀行(本店所在地:ロシア連邦)
ロシア経済につきましては、原油等の資源価格上昇やサッカーワールドカップなどへの公共投資の増加の影響により実質GDP(1-12月)は前期比で2.3%増加、インフレ率は4.3%増加となりましたが、欧米諸国のロシアに対する経済制裁は継続しております。また、中央銀行の規制強化等により銀行数が減少するなど、厳しい状況が続いております。
このような環境の中、ソリッド銀行につきましては、引き続き貸出審査及びリスク管理を大幅に厳格化しつつ、貸出残高と預金残高の急成長を抑え、中堅優良企業への貸出、貴金属取引や銀行保証の非金利収入の拡大を図っております。また、継続的なコスト削減や不良債権の回収、担保物権の売却に取り組んでまいりました。
今後につきましても、現地通貨(ルーブル)の為替動向、原油価格の推移、経済制裁及び国際情勢の緊迫化等の影響もあり、当面はロシア経済の不透明感並びに低成長が続くと予想されますが、優良企業への貸出増加、預金コストの削減等に注力し、業務の合理化とともに財務状態の改善に取り組んでまいります。
b)証券関連事業
当連結会計年度における国内株式市場は、米中貿易摩擦の緩和に向けた交渉が進むとの見通しから上昇して始まり、5月半ばにかけて緩やかな回復基調で推移し、23,000円台まで上昇しました。
その後、海外政治動向を警戒しつつ強弱材料が入り混じる展開が続きましたが、9月に入り、米中貿易摩擦に関する悪材料はいったん出尽くしたとの見方が広がったことで24,000円台まで上昇すると、その後も堅調な米国株式市況などを背景に、9月末には平成3年11月以来、約26年11ヶ月ぶりの高値水準となりバブル崩壊後の最高値を更新しました。
しかし、10月に入り、米国長期金利上昇による米国株式市場の下落や、国内外の決算で一部の需要の減退が見られたことなどを嫌気し下落すると、12月には中国経済の先行きを懸念する動きが広がったことや、パウエル米国連邦準備制度理事会(以下、FRBという。)議長から市場が期待した利上げ停止時期を示唆する発言がなかったことなどを懸念し、一時19,000円を割り込む展開となりました。
その後、1月から2月にかけてはパウエルFRB議長が引き締め方向にある金融政策の軟化を示唆したことや、米国の一部政府機関の閉鎖が暫定的に解消されたことなどを好感し上昇しました。また、2月中旬に行われた米中通商会談で一定の進展が見られ、米中貿易摩擦の改善期待が高まったことなどから株価は底堅さも見られました。
結果として、当連結会計年度末の日経平均株価は21,205円81銭で取引を終えました。なお、当連結会計年度における東証の売買代金は前期比で5.4%減少いたしました。
このような環境の中、エイチ・エス証券株式会社につきましては、お客様のパフォーマンスに貢献する証券会社として、国内株式営業への取り組み、外貨建て債券の販売、米国株式を中心とした外国株式の販売に注力いたしました。引受業務におきましては、株式・引受シ団への関与に取り組み、新規公開9社の幹事参入を果たしました。
また、当連結会計年度末における預り資産は、軟調な株式市場の影響などにより3,629億50百万円(前期比508億59百万円減)となりました。
結果として、当連結会計年度における営業収益は33億38百万円(前期比8億22百万円減)、営業利益は96百万円(前期比5億97百万円減)となりました。
(受入手数料)
当連結会計年度の受入手数料は、個人投資家の売買代金減少などにより11億86百万円(前期比4億7百万円減)となりました。その内訳は以下のとおりであります。
委託手数料
委託手数料につきましては、9億51百万円(前期比3億82百万円減)となりました。
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料につきましては、6百万円(前期比9百万円減)となりました。
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料につきましては、51百万円(前期比16百万円減)となりました。
その他の受入手数料
主に投資信託事務代行手数料と投資銀行業務に係る手数料で構成されるその他の受入手数料は、1億77百万円(前期比0百万円増)となりました。
(トレーディング損益)
当連結会計年度のトレーディング損益につきましては、米国株式や外貨建て債券の販売が低迷したことにより、株券等は7億48百万円(前期比2億87百万円減)、債券・為替等は8億16百万円(前期比1億30百万円減)となり、合計で15億65百万円(前期比4億17百万円減)となりました。
(金融収支)
当連結会計年度の金融収益は5億86百万円(前期比2百万円増)、金融費用は1億11百万円(前期比18百万円減)となり、金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は4億75百万円(前期比20百万円増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、取引量の減少などにより31億29百万円(前期比2億6百万円減)となりました。
c)債権管理回収関連事業
サービサー業界につきましては、サービサー全体の状況として取扱債権数は増加傾向にあるものの、取扱債権額は減少しており、それに伴い回収額も減少傾向となっております。また、不良債権市場についても、銀行を中心とした金融機関の不良債権処理はいまだ減少傾向にあり、債権の価格高騰が続いております。
このような環境の中、エイチ・エス債権回収株式会社につきましては、取得した債権から適切に管理回収を行い堅調な事業収益を確保しつつ、銀行を中心とした金融機関以外に、リース会社やノンバンク等、サービサーが取扱可能な債権を保有する企業に対しても積極的に展開し、安定的な債権の取得を目指しております。取引先数は増加し新たな入札機会が拡大したことにより、落札件数は堅調に推移しております。
結果として、当連結会計年度の営業収益は32億73百万円(前期比4億47百万円増)、営業利益は2億45百万円(前期比38百万円増)となりました。
d)IT関連事業
IT関連事業を取り巻く環境は、スマートフォンの高性能化、通信インフラ環境の発達等を背景に、スマートフォンやクラウドを活用したサービスやシステムの需要が拡大しており、新たな社会基盤構築へのニーズが高まっております。また、異業種からの協業等が活発化して競合他社が増加し続けるなど、従来の通信事業の枠を超えた新たな市場での厳しい競争が加速しております。
このような環境の中、iXIT株式会社につきましては、将来の成長に向けた新たなサービスの創出、新規顧客の開拓に向けた営業の強化及び固定費の削減に努めてまいりました。新規受託案件や新規サービスの増加など、その取組みの効果は見られるものの、売上高の減少傾向が続き、既存コンテンツの課金収入の減少を補うには至りませんでした。
結果として、当連結会計年度の営業収益は12億39百万円(前期比89百万円減)、営業損失は1億78百万円(前期は営業損失82百万円)となりました。
e)その他事業
当社(単体)の他、他のセグメントに分類されていない連結子会社及び持分法適用関連会社は、その他事業に分類しております。なお、持分法適用関連会社である株式会社外為どっとコムの業績は、持分法による投資損益に反映されます。
当社(単体)の営業収益は、主に関係会社からの配当金及び経営管理料で構成されます。
その他事業の当連結会計年度の営業収益は5億76百万円(前期比2億82百万円増)、営業利益は2億95百万円(前期比2億67百万円増)となりました。
f)持分法による投資損益
持分法適用関連会社である株式会社外為どっとコム及びソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。
株式会社外為どっとコムにつきましては、高収益単価の通貨の取引数増加に伴う収益単価の改善により、当連結会計年度の業績は前期比で大幅な増収増益となりました。
結果として、当連結会計年度の持分法による投資利益は10億34百万円(前期比10億29百万円増)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の資産合計につきましては、4,404億28百万円となり、前期比344億54百万円増加しました。
これは主に、「貸出金」が210億92百万円及び「有価証券」が222億62百万円増加し、一方で「買現先勘定」が112億27百万円減少したことによるものであります。
主な増加要因は、「貸出金」はハーン銀行から顧客への貸出金の増加、「有価証券」はハーン銀行が保有するモンゴル銀行短期証券等の増加、「買現先勘定」はハーン銀行が保有する買現先取引により発生した金銭債権の減少によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計につきましては、3,678億63百万円となり、前期比314億34百万円増加しました。
これは主に、「預金」が408億62百万円増加し、一方で「長期借入金」及び「1年内返済予定の長期借入金」が48億11百円及び「信用取引負債」が59億19百万円減少したことによるものであります。
主な増減要因は、「預金」はハーン銀行が顧客から預かる預金の増加、「長期借入金」及び「1年内返済予定の長期借入金」はハーン銀行における長期借入金の減少、「信用取引負債」はエイチ・エス証券における信用取引借入金の減少によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計につきましては、725億65百万円となり、前期比30億19百万円増加しました。
これは主に、「利益剰余金」が54億75百万円増加し、一方で「為替換算調整勘定」が25億16百万円減少したことによるものであります。なお、「為替換算調整勘定」の減少は主にトゥグルグ安により発生したものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,137億5百万円(前期比357億51百万円増)となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、524億12百万円の資金増加(前期比146億77百万円の増加)となりました。
これは主に、「預金の純増減(△)」679億12百万円及び「債券の純増(△)減」108億96百万円の資金が増加した一方、「貸出金の純増(△)減」402億97百万円の資金が減少したことによるものであります。
主な増減要因は、ハーン銀行が顧客から預かる預金の増加、ハーン銀行が保有する債権の減少及びハーン銀行から顧客への貸出金の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、28億円の資金減少(前期比77億5百万円の増加)となりました。
これは主に、「投資有価証券の売却及び償還による収入」39億59百万円の資金が増加した一方、「投資有価証券の取得による支出」43億55百万円及び「有形固定資産の取得による支出」32億23百万円の資金が減少したことによるものであります。
主な増減要因は、ハーン銀行における投資有価証券の取得や売却及び償還、並びに設備投資の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、35億11百万円の資金減少(前期比50億71百万円の増加)となりました。
これは主に、「長期借入れによる収入」398億52百万円の資金が増加した一方、「長期借入金の返済による支出」420億18百万円の資金が減少したことによるものであります。
主な増減要因は、ハーン銀行における長期借入金の借入及び返済によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
該当事項はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与えるような見積り及び予測が必要となります。当社グループは、過去の実績値や状況に応じて、合理的かつ妥当な判断により、見積り及び予測を行っておりますが、当該見積り及び予測については、不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、営業収益は566億86百万円(前期比46億5百万円増)、経常利益は108億40百万円(前期比36億98百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は59億59百万円(前期比17億40百万円増)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、ハーン銀行の業績は当社グループの経営成績の主たる割合を占めており、その業績の変動が当社グループに重要な影響を及ぼすことになります。また、当社グループには海外の関係会社が複数存在するため、海外の経済情勢や政治情勢から大きな影響を受けております。さらに、国内の関係会社においても、株式、債券、金利、為替等の市況環境に影響を受けるため、当社グループの経営成績が変動する要因となります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループにおける必要な運転資金及び融資資金は、自己資金、金融機関からの借入、顧客からの預り金及び社債により調達しております。当連結会計年度末における有利子負債残高は708億56百万円となり、主な借入先として、ハーン銀行において欧州復興開発銀行から87億10百万円、オランダ開発金融公庫から67億74百万円、エイチ・エス証券株式会社において日本証券金融株式会社から33億73百万円の借入を財源としております。資金の流動性については、「第2 事業の概要 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、資本の効率性を示すROE(株主資本当期純利益率)を連結ベースで10%以上を安定的に維持していくことを中期的な経営目標としておりますが、当連結会計年度においては11.2%となりました。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
a)銀行関連事業
銀行関連事業の当連結会計年度における営業収益は489億18百万円(前期比50億88百万円増)、営業利益は93億77百万円(前期比32億63百万円増)となりました。
ハーン銀行においては、現地通貨ベースでの、資金運用収益、融資残高、預金残高がともに前期比で増加となり、増収増益となりました。モンゴルでは、鉱物資源の価格上昇により景気は回復基調にありますが、主要輸出先である中国の経済等から影響を受ける可能性があるため、貸出先の信用状況には十分な注意を払い、リスク管理の高度化に努めております。ハーン銀行ではお客様満足度の向上のため、顧客のセグメンテーションを推進し、お客様それぞれに合ったサービスの提供に努めております。顧客の利便性を図るため、ATMの積極的な設置やパソコンやスマートフォンからのインターネット取引を推進しており、支店における取引の8割程度がデジタルバンキングでの取引となっております。また、本社ビルを新築し、窓口業務と本社機能の効率化を図っております。当面はハーン銀行の一番の強みであるリテール・中小企業取引に特に注力し、融資業務に加え、カード事業やエレクトロニックバンキング等を含めた手数料収入の増加にも注力いたします。
キルギスコメルツ銀行においては、キルギス国内では、銀行は飽和状態であることから、サービス面を改善することで他社との差別化を図り、収益の獲得に努めてまいります。キルギス経済は、ロシア経済の影響を大きく受けることが予想されているものの、安定的な成長を続けており、このような経済動向を考慮しつつ、キルギスにおける「最も便利で信頼できる先進的な銀行」に成長することを目指し、銀行業務だけでなく幅広い金融サービスの展開に向けて、個人向けのカード事業とオンラインサービスを強化しております。
ソリッド銀行においては、ロシアにおけるルーブルの下落や国際情勢の不安定化等の影響から厳しい環境が続いております。貸出業務の改善と強化を図り、融資審査体制を本部に集中化させ、リスク管理を大幅に厳格化するとともに、組織の再構築やコスト削減等を実行しております。さらに、非金利収入の増加に向けたサービスの拡大に取り組み、ロシア極東地域における存在感のある銀行を目指してまいります。
b)証券関連事業
証券関連事業の当連結会計年度における営業収益は33億38百万円(前期比8億22百万円減)、営業利益は96百万円(前期比5億97百万円減)となりました。
エイチ・エス証券株式会社においては、国内株式市場の低迷等に伴い、営業収益、営業利益ともに前期比で減少し、預り資産も減少しております。同社では、「お客様の投資パフォーマンスに貢献する」ことを経営戦略上の最重要事項と位置づけ、多様なニーズに対応するため、営業基盤の確立と安定的な収益の確保を目指しております。また、米国株やロシア株等の外国株式や新興国の外貨建て債券の取扱いに注力しており、投資銀行部門では、新規公開(IPO)の幹事業務に加え、株式の新規上場及び新規上場に向けたコンサルティングに取り組み、企業の円滑な資金調達の支援に努めております。今後も多様化する顧客ニーズに沿った商品やサービスの品揃えを充実するとともに、より安定的な収益基盤を構築するため、資金導入に注力してまいります。
c)債権管理回収関連事業
債権管理回収関連事業の当連結会計年度における営業収益は32億73百万円(前期比4億47百万円増)、営業利益は2億45百万円(前期比38百万円増)となりました。
エイチ・エス債権回収株式会社においては、各金融機関における不良債権保有率の減少に伴い、サービサー間での競争が激化している中、取引先金融機関等の拡充を図り、継続的な債権の仕入れを目指すことで、安定的な収益の確保に努めております。取引先である金融機関等は増加し、債権の買取と買取債権の回収は順調に行われており、大型案件へも取り組むなど、事業を拡大しております。さらに、コンサルティング業務等の業務の多角化による経営基盤の安定を図るとともに、事業再生分野でのグループシナジーの早期実現を目指してまいります。
d)IT関連事業
IT関連事業の当連結会計年度における営業収益は12億39百万円(前期比89百万円減)、営業損失は1億78百万円(前期は営業損失82百万円)となりました。
iXIT株式会社においては、市場規模の拡大や急速な市場環境の変化により、依然として厳しい状態が続いております。IT関連業界はスマートフォンの高性能化、通信インフラ環境の発達等を背景とした市場規模が拡大し、新規参入が容易なことから、競合他社が増加し続けている状況にあります。しかし、業界の将来性は高く、今後も更なる需要の拡大が見込まれていることから、新規顧客の開拓に向けた営業の強化に努め、幅広い業界の企業との共同事業や自社サービスに注力し、お客様の求める新たなコンテンツやサービス等の開発に取り組んでまいります。
e)その他事業
その他事業の当連結会計年度における営業収益は5億76百万円(前期比2億82百万円増)、営業利益は2億95百万円(前期比2億67百万円増)となりました。
当社単体においては、グループ各社における適切な会社運営に加え、グループ間でのシナジー効果を高めるべく、適切な管理や助言を行っております。当社単体の営業収益は、主に関係会社からの配当金及び経営管理料で構成されており、前期比で増加となりました。投資事業については、国内における独自性や特長のある事業のみならず、主にアジア圏における将来性のある国や地域での事業に対しても、積極的な投資を展開しております。さらに、投資事業の一環として、企業の再生についても、国内外問わず行っております。また、M&A仲介・コンサルティング事業は、対応が困難とされる短期的な案件や小規模な案件に対しても積極的に取り組み、徐々に実績を重ねてきております。今後もグループの拡大に向け、更なる発展を続けてまいります。
f)持分法による投資損益
当連結会計年度における持分法による投資利益は10億34百万円(前期比10億29百万円増)となりました。
株式会社外為どっとコムにおいては、高収益単価の通貨の取引数増加に伴う収益単価の改善により、前期比で大幅な増収増益となりました。競争が激化するFX業界において、顧客基盤の拡大に取り組み、マーケティング施策の強化や積極的なサービス改善等により、顧客からの更なる支持の獲得を目指してまいります。