有価証券報告書-第80期(2023/04/01-2024/03/31)
(2)戦略
(サステナビリティ共通関連)
サステナビリティ中期計画を策定し(2023年5月公表)、以下の戦略を展開しています。
なお、マテリアリティ及びKPIについては、半期に1度見直し・更新を図る体制としています。
(詳細)https://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/sustainability/medium_term_plan/
a)サステナビリティ基本方針の策定
お客さま、株主/投資家、従業員、地域社会、パートナー、地球環境など、当社が関係するステークホルダーについて、経済社会の発展に貢献しながら持続可能な事業活動を推進するための方針を策定しています。
b)マテリアリティの特定
中期経営計画との整合性を図りつつ、8つのマテリアリティを特定しています。特定にあたっては、
①中長期的な視点で当社事業に影響を及ぼす可能性のある社会課題や事業環境について、業界団体(ACI)や
国際的なガイドライン(GRI、SASB等)の重要項目や事業戦略を踏まえリストアップした候補を、
②社会にとっての重要性(公共性)と自社事業にとっての重要性(企業性)の2軸での評価を実施、
③社外有識者とのダイアローグによる外部からの期待及び要請を反映しています。
c)取り組み及びKPIの策定
「指標及び目標」記載欄参照
(気候変動関連)
異常気象の頻発化など気候変動が当社グループに及ぼす影響は大きい一方、当社グループは、ターミナル運営における電力消費など多くの温室効果ガスを排出し環境に負荷を与えています。社会の持続可能性と両立する環境にやさしい空港を目指して事業を継続していく上で、気候変動への対策は重要な課題であると認識しており、マテリアリティとして「気候変動への対策」を掲げています。「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、TCFD提言に基づき情報を開示しています。(2024年5月更新)
(詳細)TCFD提言に基づく情報開示(https://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/files/tcfd.pdf)
当社グループの事業に気候変動が与える影響を評価するため、下記の2つのシナリオ(「1.5℃シナリオ」及び「4.0℃シナリオ」)を用いて分析を実施しました。シナリオの設定にあたっては、IEA(International Energy Agency, 国際エネルギー機関)やIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change, 気候変動に関する政府間パネル)が公表するシナリオを参照しています。
表1 シナリオ分析の概要
当社グループの「施設管理運営業」及び「物販・飲食事業」(「物品販売業」及び「飲食業」をまとめた区分)を分析対象とし、上記の2つのシナリオを踏まえたリスクと機会の抽出、影響度評価、リスクへの対応策定義を実施しました。気候関連リスク・機会を評価する際の、時間軸、影響度については下表の通りです。
表2 気候関連リスク・機会の評価における時間軸・影響度
※影響度については、各リスク・機会が損益・資産に与えるインパクトを勘案し評価を行いました。
表3 気候変動に関わるリスク・機会及び影響度
※カーボンプライシングについては、2030年時点での予測排出量(5.7万t-CO2)をベースに以下の仮定を用いて試算
■排出量:57,000t-CO2(2030年時点排出量)
■炭素価格:21,000円(IEA WEO2023 1.5℃シナリオ(NZE)2030年時点140USD/t-CO2×1ドル150円で計算)
■影響度:57,000×21,000=約12億円
表4 対応策 ※一部抜粋
(自然資本関連)
年間8,000万人が利用する空港ターミナルを運営する上では、建材やプラスチック、水など多くの資源を利用・調達している一方で、建設廃材、食品残渣、回収ごみなどの廃棄物を排出しているため、「人にも環境にもやさしい先進的空港」の実現に向け、自然資本関連の取り組みを重要な経営課題に位置づけています。現在、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)提言に基づく、評価・分析を進めており、賛同するとともに、下記の通り、TNFD提言に関する情報を開示いたします。当社グループの事業と自然環境との関係性(依存・影響)を整理するにあたっては、自然関連のリスクと機会を科学的根拠に基づき体系的に評価するためのLEAPアプローチを用いて分析を実施しました。
(詳細)TNFD提言に関する情報開示(https://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/files/tnfd.pdf)
図1 当社事業の全体像

表1 当社事業と主な環境との接点と影響(ヒートマップ)
※濃い色の部分はより環境との関連性(依存・影響)が強いことを示しています。今後、依存及びインパクトについて個別に評価することも検討しています。

≪施設管理運営業≫
2023年度は、羽田空港を使用する航空機の発着回数は約40万回あり、羽田空港の旅客ターミナルビルを利用した旅客数は約8,000万人となっています。当社(直接操業)に関し、施設内の快適な空間を維持するため、電力等のエネルギーを消費し、CO2を排出しており、下流にあたる航空機・旅客の移動に関して、エネルギー使用に伴う温室効果ガスの排出量及び温室効果ガス以外の大気汚染の影響があります。
当社の管理運営するターミナルビル(直接操業)及び下流にあたる旅客の移動において、約8,000万人の利用者による廃棄物の排出及びその処理を実施しており、処理量は羽田空港エリア全体の廃棄物の約4割に及ぶことから、一定の影響があります。
日本国内の自然環境(大気、水質・水量、生態系の状態)は世界全体からみて比較的良好な環境にありますが、空港施設の特性上、夜間の照明による光害や騒音について、羽田空港周辺で一定の影響があります。
羽田空港における3つのターミナルビル内では、水消費量は年間約700,000㎥であり、羽田空港エリア全体で使用する水の約5割を占めることから、水の使用につき一定の依存及び影響があります。
≪物品販売業・飲食業≫
当社の取り扱う物品及び食材・加工品等は多品種にわたり、これらの原材料の生産、製造・加工における水使用・土地利用・大気汚染等、一定の依存及び影響があります。
物品販売・飲食業における使い捨て容器や梱包材等が一定量あります。
当社事業活動の直接操業及び上流・下流工程における自然との関係性(依存及び影響)について、上記の通り、現段階で入手可能な情報をもとにヒートマップを作成し、重要な領域を確認・評価しました。このような評価を踏まえ、当社グループ事業における自然関連リスク・機会につき、「ネイチャーポジティブ」の実現に向けて移行していく社会への対応と、自然の劣化とそれに伴う生態系サービスの喪失から生じる物理的な損害を想定し、項目の抽出を実施、自然関連リスク・機会に対する戦略の3つの方向性を確認しました。今後、リスク・機会の分析を深化させると共に、同戦略を重要な経営課題として、実現に向けた対応策を、多くのステークホルダーと連携しながら、策定・実施していきます。
表2 戦略の3つの方向性(柱)
(人的資本・多様性関連)
≪人的資本に関する基本的な考え方≫
当社グループが事業基盤とする羽田空港(東京国際空港)は、人、産業、文化が行き交う日本の空の玄関口であり、訪日外国人6,000万人に向けたターミナル機能強化など、今後、更なる発展・進化が求められています。
このような背景のもと、当社グループにおける中期経営戦略の柱の一つ“経営基盤の強化”では「人財のプロ集団化・組織力の最大化」を掲げ、サステナビリティ中期計画においては「人財育成」及び「DEI(Diversity,Equity,Inclusion)の推進」をマテリアリティ(重要課題)に選定し、取り組みを推進しています。
当社グループでは、空港運営全般に係る高度な専門性と知見を備え、常に変化し続ける航空業界においてフロンティアスピリットを発揮し続ける人財を、最重要資本(人的資本・知的資本)と認識しており、空港のリーディングカンパニーを目指す長期ビジョン"To Be a World Best Airport"は、このような人財の力で実現していくものと考えています。
≪人財戦略の基本的な考え方≫
中期経営戦略の柱の一つ“収益基盤の強化”では、成長ドライブとしての「空港事業の成長」に加え、コロナ禍を踏まえた変革・イノベーションの推進による「再成長土台の確立」、新たな領域への事業展開による「収益基盤の拡大」を目指しており、この実現に向け、以下の人財戦略を進めています。
(1)人財の採用・育成
経営戦略の実現には、これまで以上に幅広い専門知識や技術が求められることに加え、新しい発想や異業種との連携などによる空港機能強化や新たな領域への事業拡大を実現しうる人財が必要であることから、人財育成方針として「自ら考え挑戦する人財」の育成を掲げています。
この方針に則り、新卒採用において建築・理工系などの専門性や海外人財にも着目するとともに、異なる経験・能力を有する人財の中途採用も適宜実施し、多様性を持つ中核人財の強化を図っています。
研修体系においては、手上げ制のプログラムなど自律的な学びをサポートする制度を導入するなど、全員一律の研修から、DX人財育成など専門性向上や選抜型の教育研修に重点をシフトさせています。
また、社員の意識・行動改革として、現在の業務における新たな改善や変革を考えワークエンゲージメントを高める「プラスワンプロモーション」をグループ全体で展開するとともに、新たな発想の習得の機会として、社外出向の機会や産産・産学連携プロジェクトへの参加者増を図っています。

(2)社内職場環境の整備
当社事業は、日本各地・世界各国との様々な人の往来に支えられていることから、世界各国から訪れるお客さまに安心して快適にご利用いただけるよう、従業員一人ひとりが多様な文化や価値観を受容し、お互いを尊重し合える包摂性の高い組織風土の醸成が必要であり、また、グループ全体のグローバル化・事業拡大を図っていく上でも、多様性を認め高め合う環境が必要不可欠であるため、社内環境整備方針として「多様な人財が互いを高めあう企業風土」の構築を掲げています。
この方針に則り、女性管理職比率の高水準維持や外国人・障がい者雇用などDEIの推進、若手社員による働き方改革推進活動など、多様な人財が活躍できる、働きやすく、働きがいを感じられる社内環境整備を進めています。
(3)人員の確保と生産性の向上
経営戦略の実現に向け、異業種連携の研究開発拠点運営(terminal.0)やノウハウ事業、産産・産学連携プロジェクトなど新たな領域への人員配置を適切に行います。これらの人員確保を含め、コロナ禍で減少した人員について、採用による増員および適切な待遇改善による定着を図りますが、能力やエンゲージメントの向上、DX等を通じた効率化による生産性向上により、効率的な人員体制での経営戦略実現を図ります。
今後、従業員サーベイなどを通じ、人財育成や社内環境整備の施策効果をPDCAサイクル管理し、人的投資が人的生産性向上を通じて、収益・利益の増大や新規事業領域の拡大などの経営成果に結びつく好循環を目指していきます。

(サステナビリティ共通関連)
サステナビリティ中期計画を策定し(2023年5月公表)、以下の戦略を展開しています。
なお、マテリアリティ及びKPIについては、半期に1度見直し・更新を図る体制としています。
(詳細)https://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/sustainability/medium_term_plan/
a)サステナビリティ基本方針の策定
お客さま、株主/投資家、従業員、地域社会、パートナー、地球環境など、当社が関係するステークホルダーについて、経済社会の発展に貢献しながら持続可能な事業活動を推進するための方針を策定しています。
b)マテリアリティの特定
中期経営計画との整合性を図りつつ、8つのマテリアリティを特定しています。特定にあたっては、
①中長期的な視点で当社事業に影響を及ぼす可能性のある社会課題や事業環境について、業界団体(ACI)や
国際的なガイドライン(GRI、SASB等)の重要項目や事業戦略を踏まえリストアップした候補を、
②社会にとっての重要性(公共性)と自社事業にとっての重要性(企業性)の2軸での評価を実施、
③社外有識者とのダイアローグによる外部からの期待及び要請を反映しています。
c)取り組み及びKPIの策定
「指標及び目標」記載欄参照
(気候変動関連)
異常気象の頻発化など気候変動が当社グループに及ぼす影響は大きい一方、当社グループは、ターミナル運営における電力消費など多くの温室効果ガスを排出し環境に負荷を与えています。社会の持続可能性と両立する環境にやさしい空港を目指して事業を継続していく上で、気候変動への対策は重要な課題であると認識しており、マテリアリティとして「気候変動への対策」を掲げています。「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、TCFD提言に基づき情報を開示しています。(2024年5月更新)
(詳細)TCFD提言に基づく情報開示(https://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/files/tcfd.pdf)
当社グループの事業に気候変動が与える影響を評価するため、下記の2つのシナリオ(「1.5℃シナリオ」及び「4.0℃シナリオ」)を用いて分析を実施しました。シナリオの設定にあたっては、IEA(International Energy Agency, 国際エネルギー機関)やIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change, 気候変動に関する政府間パネル)が公表するシナリオを参照しています。
表1 シナリオ分析の概要
| 名称 | 1.5℃シナリオ | 4.0℃シナリオ |
| シナリオの概要 | ・抜本的な施策が機能することにより脱炭素 社会が実現、産業革命時期比で気温上昇が 約1.5℃未満に留まる ・脱炭素社会移行に関するリスクが 主に顕在化 | ・現状を上回る施策を取らないことにより地球温暖化が進展、産業革命時期比で気温が約4℃上昇 ・気候変動による物理リスクが主に顕在化 |
| 世界観 | ・カーボンプライシングや航空事業者のSAF 使用比率規制等により、空港・航空業界は カーボンオフセットや再エネ・省エネ投資等の 対応が必須となる。 ・代替移動手段へのシフトも想定されるが、 SAFの普及につれ、空港ではサプライチェー ンを含めたGHG排出削減が着実に進む。 | ・低炭素化社会への移行のための政策や規制導入 は限定的。 ・気候変動の進行に伴い、気候パターンの変化や 海面上昇、異常気象の激甚化・頻発化等により 空港運営への悪影響が生じる。サプライチェーン リスク管理やBCPの見直しの重要性が高まる。 |
当社グループの「施設管理運営業」及び「物販・飲食事業」(「物品販売業」及び「飲食業」をまとめた区分)を分析対象とし、上記の2つのシナリオを踏まえたリスクと機会の抽出、影響度評価、リスクへの対応策定義を実施しました。気候関連リスク・機会を評価する際の、時間軸、影響度については下表の通りです。
表2 気候関連リスク・機会の評価における時間軸・影響度
| 時間軸 | 短期 | ~2025年度(中期経営計画期間) |
| 中期 | ~2030年度(人にも環境にもやさしい先進的空港2030までの期間) | |
| 長期 | ~2050年度(ネットゼロ達成時期まで) | |
| 影響度 | 小 | 1億円未満/年 |
| 中 | 1億円以上~10億円未満/年 | |
| 大 | 10億円以上/年 |
※影響度については、各リスク・機会が損益・資産に与えるインパクトを勘案し評価を行いました。
表3 気候変動に関わるリスク・機会及び影響度
| リスク・機会の種類 | 概要 | セグメント | 時間軸 | 主に 関連する シナリオ | 影響度 | ||
| 施設 | 物販 飲食 | ||||||
| 移行 リスク | GHG排出量 削減施策 (政策と法律/技術) | カーボンプライシング※導入にともなう、ターミナル運営コストや原材料仕入・物流コストの増加 | ✓ | ✓ | 短期~中期 | 1.5℃ | 大 |
| 気候変動関連法規制によるコストの増加(環境関連規制にともなう建設コストの増加等) | ✓ | 短期~長期 | 1.5℃ | 大 | |||
| 気候変動関連法規制によるコストの増加(プラスチック等の資源循環や自然資本に配慮した調達等) | ✓ | 短期~中期 | 1.5℃ | 中 | |||
| 再生可能エネルギー及び新エネルギーの導入等による気候変動対策投資コストの増加 | ✓ | ✓ | 短期~中期 | 1.5℃/4.0℃ | 大 | ||
| その他 (市場/評判) | 航空需要にネガティブに影響する政策措置による、空港利用者数の伸びの鈍化 | ✓ | ✓ | 短期~長期 | 1.5℃ | 中 | |
| 環境対応の遅れによる、テナント・パートナー・顧客・取引先・従業員からの評判低下 | ✓ | ✓ | 短期~中期 | 1.5℃/4.0℃ | 中 | ||
| 物理 リスク | 慢性 | 海面上昇による、空港アクセス交通への影響 | ✓ | ✓ | 中期~長期 | 4℃ | 小 |
| 気候パターンの変化にともなう、感染症発生等による影響 | ✓ | ✓ | 長期 | 4℃ | 大 | ||
| 急性 | 異常気象の激甚化・頻発化による利用者数への影響 | ✓ | ✓ | 短期~中期 | 4℃ | 中 | |
| 異常気象の激甚化・頻発化によるサプライチェーン分断 | ✓ | 短期~中期 | 4℃ | 中 | |||
| 異常気象の激甚化・頻発化による設備損壊、浸水被害等 | ✓ | ✓ | 中期~長期 | 4℃ | 大 | ||
| 機会 | GHG排出量削減施策(エネルギー源) | 高効率なエネルギー利用や新技術等の普及によるコスト低減 | ✓ | 長期 | 1.5℃ | 中 | |
| 脱炭素への貢献と新しい収益源の確保 | ✓ | 中期~長期 | 1.5℃/4.0℃ | 中 | |||
| その他 (資源効率性/製品・サービス/市場) | 脱炭素取り組みを通じたブランド価値向上 | ✓ | ✓ | 中期~長期 | 1.5℃ | 大 | |
| 低炭素を実現する企業への政策支援の活用 | ✓ | 中期~長期 | 1.5℃ | 中 | |||
| 当社を中心とした循環型システムの構築 | ✓ | 短期~中期 | 1.5℃/4.0℃ | 中 | |||
| 物理リスク | ステークホルダーや地域との連携によるレジリエンス強化 | ✓ | 中期 | 1.5℃/4.0℃ | 中 | ||
※カーボンプライシングについては、2030年時点での予測排出量(5.7万t-CO2)をベースに以下の仮定を用いて試算
■排出量:57,000t-CO2(2030年時点排出量)
■炭素価格:21,000円(IEA WEO2023 1.5℃シナリオ(NZE)2030年時点140USD/t-CO2×1ドル150円で計算)
■影響度:57,000×21,000=約12億円
表4 対応策 ※一部抜粋
| リスク・機会の種類 | 概要 | |
| 移行リスク 関連 | GHG排出量 削減施策 | 照明のLED化、空調機器更新、AI空調の導入を含めた省エネ施策 |
| メガソーラー等の再生可能エネルギー導入、調達電源構成の見直し及び熱源使用効率化の推進 | ||
| 施設のZEB化、建物の木造木質化、放射冷却素材「ラディクール」の使用等による環境配慮性能向上 | ||
| 新エネルギーの利活用に向けた調査及び検討 | ||
| その他 | 資源の有効活用(羽田空港の資材設備を地方空港や運営参画空港へ提供等)及び廃棄物抑制の事業化(廃油の回収とバイオ燃料への活用等) | |
| 物理リスク関連 | 東京国際空港A2-BCPへの対応強化、BCP体制構築と定期訓練の実施 | |
| 感染症対策の徹底、ロボットやデジタル技術を活用した非接触販売の実施 | ||
| サプライチェーンの冗長化等、調達生産物流の全体最適化 | ||
(自然資本関連)
年間8,000万人が利用する空港ターミナルを運営する上では、建材やプラスチック、水など多くの資源を利用・調達している一方で、建設廃材、食品残渣、回収ごみなどの廃棄物を排出しているため、「人にも環境にもやさしい先進的空港」の実現に向け、自然資本関連の取り組みを重要な経営課題に位置づけています。現在、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)提言に基づく、評価・分析を進めており、賛同するとともに、下記の通り、TNFD提言に関する情報を開示いたします。当社グループの事業と自然環境との関係性(依存・影響)を整理するにあたっては、自然関連のリスクと機会を科学的根拠に基づき体系的に評価するためのLEAPアプローチを用いて分析を実施しました。
(詳細)TNFD提言に関する情報開示(https://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/files/tnfd.pdf)
図1 当社事業の全体像

表1 当社事業と主な環境との接点と影響(ヒートマップ)
※濃い色の部分はより環境との関連性(依存・影響)が強いことを示しています。今後、依存及びインパクトについて個別に評価することも検討しています。

≪施設管理運営業≫
2023年度は、羽田空港を使用する航空機の発着回数は約40万回あり、羽田空港の旅客ターミナルビルを利用した旅客数は約8,000万人となっています。当社(直接操業)に関し、施設内の快適な空間を維持するため、電力等のエネルギーを消費し、CO2を排出しており、下流にあたる航空機・旅客の移動に関して、エネルギー使用に伴う温室効果ガスの排出量及び温室効果ガス以外の大気汚染の影響があります。
当社の管理運営するターミナルビル(直接操業)及び下流にあたる旅客の移動において、約8,000万人の利用者による廃棄物の排出及びその処理を実施しており、処理量は羽田空港エリア全体の廃棄物の約4割に及ぶことから、一定の影響があります。
日本国内の自然環境(大気、水質・水量、生態系の状態)は世界全体からみて比較的良好な環境にありますが、空港施設の特性上、夜間の照明による光害や騒音について、羽田空港周辺で一定の影響があります。
羽田空港における3つのターミナルビル内では、水消費量は年間約700,000㎥であり、羽田空港エリア全体で使用する水の約5割を占めることから、水の使用につき一定の依存及び影響があります。
≪物品販売業・飲食業≫
当社の取り扱う物品及び食材・加工品等は多品種にわたり、これらの原材料の生産、製造・加工における水使用・土地利用・大気汚染等、一定の依存及び影響があります。
物品販売・飲食業における使い捨て容器や梱包材等が一定量あります。
当社事業活動の直接操業及び上流・下流工程における自然との関係性(依存及び影響)について、上記の通り、現段階で入手可能な情報をもとにヒートマップを作成し、重要な領域を確認・評価しました。このような評価を踏まえ、当社グループ事業における自然関連リスク・機会につき、「ネイチャーポジティブ」の実現に向けて移行していく社会への対応と、自然の劣化とそれに伴う生態系サービスの喪失から生じる物理的な損害を想定し、項目の抽出を実施、自然関連リスク・機会に対する戦略の3つの方向性を確認しました。今後、リスク・機会の分析を深化させると共に、同戦略を重要な経営課題として、実現に向けた対応策を、多くのステークホルダーと連携しながら、策定・実施していきます。
表2 戦略の3つの方向性(柱)
| 自然関連リスク・機会に対する戦略 | |
| エコエアポートの実現 | 国の掲げる方針や脱炭素計画に基づき、関係するステークホルダーと連携して、空港運営に伴う地球環境・地域環境への影響を低減させる取り組みを推進します。 |
| サーキュラーエコノミーの確立 | 空港内で発生する廃棄物のリサイクル・リユース等を推進して、最終処分量を低減し、空港全体のサーキュラーエコノミーの進展を進めます。 |
| サステナブル調達の推進 | 物品販売・飲食業における原材料・製造加工段階の環境や人権への配慮を推進し、サプライチェーン全体における自然環境への負荷の低減を進めます。 |
(人的資本・多様性関連)
≪人的資本に関する基本的な考え方≫
当社グループが事業基盤とする羽田空港(東京国際空港)は、人、産業、文化が行き交う日本の空の玄関口であり、訪日外国人6,000万人に向けたターミナル機能強化など、今後、更なる発展・進化が求められています。
このような背景のもと、当社グループにおける中期経営戦略の柱の一つ“経営基盤の強化”では「人財のプロ集団化・組織力の最大化」を掲げ、サステナビリティ中期計画においては「人財育成」及び「DEI(Diversity,Equity,Inclusion)の推進」をマテリアリティ(重要課題)に選定し、取り組みを推進しています。
当社グループでは、空港運営全般に係る高度な専門性と知見を備え、常に変化し続ける航空業界においてフロンティアスピリットを発揮し続ける人財を、最重要資本(人的資本・知的資本)と認識しており、空港のリーディングカンパニーを目指す長期ビジョン"To Be a World Best Airport"は、このような人財の力で実現していくものと考えています。
≪人財戦略の基本的な考え方≫
中期経営戦略の柱の一つ“収益基盤の強化”では、成長ドライブとしての「空港事業の成長」に加え、コロナ禍を踏まえた変革・イノベーションの推進による「再成長土台の確立」、新たな領域への事業展開による「収益基盤の拡大」を目指しており、この実現に向け、以下の人財戦略を進めています。
(1)人財の採用・育成
経営戦略の実現には、これまで以上に幅広い専門知識や技術が求められることに加え、新しい発想や異業種との連携などによる空港機能強化や新たな領域への事業拡大を実現しうる人財が必要であることから、人財育成方針として「自ら考え挑戦する人財」の育成を掲げています。
この方針に則り、新卒採用において建築・理工系などの専門性や海外人財にも着目するとともに、異なる経験・能力を有する人財の中途採用も適宜実施し、多様性を持つ中核人財の強化を図っています。
研修体系においては、手上げ制のプログラムなど自律的な学びをサポートする制度を導入するなど、全員一律の研修から、DX人財育成など専門性向上や選抜型の教育研修に重点をシフトさせています。
また、社員の意識・行動改革として、現在の業務における新たな改善や変革を考えワークエンゲージメントを高める「プラスワンプロモーション」をグループ全体で展開するとともに、新たな発想の習得の機会として、社外出向の機会や産産・産学連携プロジェクトへの参加者増を図っています。

(2)社内職場環境の整備
当社事業は、日本各地・世界各国との様々な人の往来に支えられていることから、世界各国から訪れるお客さまに安心して快適にご利用いただけるよう、従業員一人ひとりが多様な文化や価値観を受容し、お互いを尊重し合える包摂性の高い組織風土の醸成が必要であり、また、グループ全体のグローバル化・事業拡大を図っていく上でも、多様性を認め高め合う環境が必要不可欠であるため、社内環境整備方針として「多様な人財が互いを高めあう企業風土」の構築を掲げています。
この方針に則り、女性管理職比率の高水準維持や外国人・障がい者雇用などDEIの推進、若手社員による働き方改革推進活動など、多様な人財が活躍できる、働きやすく、働きがいを感じられる社内環境整備を進めています。
(3)人員の確保と生産性の向上
経営戦略の実現に向け、異業種連携の研究開発拠点運営(terminal.0)やノウハウ事業、産産・産学連携プロジェクトなど新たな領域への人員配置を適切に行います。これらの人員確保を含め、コロナ禍で減少した人員について、採用による増員および適切な待遇改善による定着を図りますが、能力やエンゲージメントの向上、DX等を通じた効率化による生産性向上により、効率的な人員体制での経営戦略実現を図ります。
今後、従業員サーベイなどを通じ、人財育成や社内環境整備の施策効果をPDCAサイクル管理し、人的投資が人的生産性向上を通じて、収益・利益の増大や新規事業領域の拡大などの経営成果に結びつく好循環を目指していきます。
