有価証券報告書-第82期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/22 13:15
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192項目
(2)戦略
(サステナビリティ共通関連)
中期経営計画(2026-2030年度)(2026年5月公表)において、マテリアリティを再編し、以下の戦略を展開しています。
なお、マテリアリティ及びKPIについては、半期に一度見直し・更新を図る体制としています。
(詳細)https://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/sustainability/medium_term_plan/
a)サステナビリティ基本方針の策定
お客さま、株主/投資家、従業員、地域社会、パートナー、地球環境など、当社が関係するステークホルダーについて、経済社会の発展に貢献しながら持続可能な事業活動を推進するための方針を策定しています。
b)マテリアリティの特定
中期経営計画(2026-2030年度)の策定にあたり、需要創造型の羽田空港の要(Anchor Role)に向けて、“すべてのステークホルダー貢献”を果たすべく、マテリアリティを再編しました。
これまでの特定プロセス(社会・自社の2軸評価や社外有識者とのダイアローグ等による客観的な評価)を基盤としつつ、事業環境の変化や国際的なガイドライン(GRI、SASB等)、業界団体(ACI)の最新動向を反映しました。中長期的な社会課題を改めて包括的に検証・抽出し、「ステークホルダー起点」の分類へと再編・精緻化を
図っています。
c)取り組み及びKPIの策定
「指標及び目標」記載欄参照
(気候変動関連)
異常気象の頻発化など気候変動が当社グループに及ぼす影響は大きい一方、当社グループは、ターミナル運営における電力消費など多くの温室効果ガスを排出し環境に負荷を与えています。社会の持続可能性と両立する環境にやさしい空港を目指して事業を継続していく上で、気候変動への対策は重要な課題であると認識しており、マテリアリティとして「環境にやさしい事業運営」を掲げています。「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、TCFD提言に基づき情報を開示しています。(2026年6月更新)
(詳細)TCFD提言に基づく情報開示(https://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/files/tcfd.pdf)
当社グループの事業に気候変動が与える影響を評価するため、下記の2つのシナリオ(「1.5℃シナリオ」及び「4.0℃シナリオ」)を用いて分析を実施しました。シナリオの設定にあたっては、IEA(International Energy Agency, 国際エネルギー機関)やIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change, 気候変動に関する政府間パネル)が公表するシナリオを参照しています。
表1 シナリオ分析の概要
名称1.5℃シナリオ4.0℃シナリオ
シナリオの概要・抜本的な施策が機能することにより脱炭素社会が実現、産業革命時期比で気温上昇が約1.5℃未満に留まる
・脱炭素社会移行に関するリスクが主に顕在化
・現状を上回る施策を取らないことにより地球 温暖化が進展、産業革命時期比で気温が 約4.0℃上昇
・気候変動による物理リスクが主に顕在化
世界観・カーボンプライシングや航空事業者のSAF使用比率規制等により、空港・航空業界はカーボンオフセットや再エネ・省エネ投資等の対応が必須となる。
・代替移動手段へのシフトも想定されるが、SAFの普及につれ、空港ではサプライチェーンを含めたGHG排出削減が着実に進む。
・低炭素化社会への移行のための政策や規制導入は限定的。
・気候変動の進行に伴い、気候パターンの変化や海面上昇、異常気象の激甚化・頻発化等により空港運営への悪影響が生じる。サプライチェーンリスク管理やBCPの見直しの重要性が高まる。

当社グループの「施設管理運営業」及び「物販・飲食事業」(「物品販売業」及び「飲食業」をまとめた
区分)を分析対象とし、上記の2つのシナリオを踏まえたリスクと機会の抽出、影響度評価、リスクへの対応策
定義を実施しました。気候関連リスク・機会を評価する際の、時間軸、影響度については下表のとおりです。
表2 気候関連リスク・機会の評価における時間軸・影響度
時間軸短期~2030年度(中期経営計画)
中期~2040年度(需要創造型の空港の要)
長期~2050年度(ネットゼロ達成)
影響度1億円未満
1億円以上~10億円未満
10億円以上

※影響度については、各リスク・機会が損益・資産に与えるインパクトを勘案し評価を行いました。


表3 気候変動に関わるリスク・機会及び影響度
リスク・機会の種類概要セグメント時間軸主に
関連する
シナリオ
影響度
施設物販
飲食




GHG排出量
削減施策
(政策と法律/技術)
カーボンプライシング※導入に伴う、ターミナル運営コストや原材料仕入・物流コストの増加短期~中期1.5℃
気候変動関連法規制によるコストの増加(環境関連規制に伴う建設コストの増加等)短期~長期1.5℃
気候変動関連法規制によるコストの増加(プラスチック等の資源循環や自然資本に配慮した調達等)短期~中期1.5℃
再生可能エネルギー及び新エネルギーの導入等による気候変動対策投資コストの増加短期~中期1.5℃/4.0℃
その他
(市場/評判)
航空需要にネガティブに影響する政策措置による、空港利用者数の伸びの鈍化短期~長期1.5℃
環境対応の遅れによる、テナント・パートナー・顧客・取引先・従業員からの評判低下短期~中期1.5℃/4.0℃




慢性海面上昇による、空港アクセス交通への影響中期~長期4.0℃
気候パターンの変化に伴う、感染症発生等による影響長期4.0℃
急性異常気象の激甚化・頻発化による利用者数への影響短期~中期4.0℃
異常気象の激甚化・頻発化によるサプライチェーン分断短期~中期4.0℃
異常気象の激甚化・頻発化による設備損壊、浸水被害等短期~長期4.0℃

GHG排出量削減施策(エネルギー源)高効率なエネルギー利用や新技術等の普及によるコスト低減長期1.5℃
脱炭素への貢献と新しい収益源の確保中期~長期1.5℃/4.0℃
その他
(資源効率性/製品・サービス/市場)
脱炭素取り組みを通じたブランド価値向上中期~長期1.5℃
低炭素を実現する企業への政策支援の活用中期~長期1.5℃
当社を中心とした循環型システムの構築短期~中期1.5℃/4.0℃
物理リスクステークホルダーや地域との連携によるレジリエンス強化中期1.5℃/4.0℃

※カーボンプライシングについては、2030年時点での予測排出量(5.7万t-CO2)をベースに以下の仮定を用いて試算
■排出量:57,000t-CO2(2030年時点排出量)
■炭素価格:21,000円(IEA WEO2023 1.5℃シナリオ(NZE)2030年時点140USD/t-CO2×1ドル150円で計算)
■影響度:57,000×21,000=約12億円
表4 対応策 ※一部抜粋
リスク・機会の種類概要
移行リスク
関連
GHG排出量
削減施策
照明のLED化、空調機器更新、AI空調の導入を含めた省エネ施策
メガソーラー等の再生可能エネルギー導入、調達電源構成の見直し及び熱源使用効率化の推進
建物の木造木質化、放射冷却素材「ラディクール」の使用等による環境配慮性能向上
新エネルギーの利活用に向けた調査及び検討
その他資源の有効活用(羽田空港の資材設備を地方空港や運営参画空港へ提供等)及び廃棄物抑制の事業化(廃油の回収とバイオ燃料への活用等)
物理リスク関連東京国際空港A2-BCPへの対応強化、BCP体制構築と定期訓練の実施
感染症対策の徹底、ロボットやデジタル技術を活用した非接触販売の実施
サプライチェーンの冗長化等、調達生産物流の全体最適化

(自然資本関連)
年間約9,100万人が利用する空港ターミナルを運営する上では、建材やプラスチック、水など多くの資源を利用・調達している一方で、建設廃材・食品残渣・回収ごみなどの廃棄物を排出しているため、「人にも環境にも
やさしい先進的空港」の実現に向け、自然資本関連の取り組みを重要な経営課題に位置づけています。現在、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)提言へ賛同するとともに評価・分析を進めており、TNFD提言に基づく
情報を下記のとおり開示しています。当社グループの事業と自然環境との関係性(依存・影響)を整理するにあたっては、自然関連のリスクと機会を科学的根拠に基づき体系的に評価するためのLEAPアプローチを用いて分析を
実施しました。
(詳細)TNFD提言に基づく情報開示(https://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/files/tnfd.pdf)
図1 当社事業の全体像
0102010_004.png当社事業活動の直接操業及び上流・下流工程について自然との接点、関係性を評価するため、現段階で入手可能な情報をもとにヒートマップを作成し、自然環境との関係性を整理しました。なお、評価にあたっては当社の事業内容とともに、SBTNの業種別の主な環境影響や自然関連リスク評価ツールであるENCOREフローを参考にしました。
表1 当社事業と主な環境との接点と影響(ヒートマップ)
0102010_005.png※濃い色の部分は環境との関連性(依存・影響)がより強いことを示しています。
≪施設管理運営業≫
2025年度は、羽田空港を使用する航空機の発着回数は約49万回あり、羽田空港の旅客ターミナルビルを利用した旅客数は約9,100万人となっています。当社(直接操業)に関し、施設内の快適な空間を維持するため、電力等のエネルギーを消費し、CO2を排出しており、下流にあたる航空機・旅客の移動に関して、エネルギー使用に伴う
温室効果ガスの排出量及び温室効果ガス以外の大気汚染の影響があります。
当社の管理運営するターミナルビル(直接操業)及び下流にあたる旅客の移動において、約9,100万人の利用者による廃棄物の排出及びその処理を実施しており、処理量は羽田空港エリア全体の廃棄物の多くを占めることから、一定の影響があります。
日本国内の自然環境(大気、水質・水量、生態系の状態)は世界全体からみて比較的良好な環境にありますが、空港施設の特性上、夜間の照明による光害や騒音について、羽田空港周辺で一定の影響があります。
羽田空港における3つのターミナルビル内では、水消費量は年間約100万㎥を超えることから、水の使用につき
一定の依存及び影響があります。
≪物品販売業・飲食業(機内食製造業含む)≫
当社の取り扱う物品及び食材・加工品等は多品種にわたり、これらの原材料の生産、製造・加工における水
使用・土地利用・大気汚染等、一定の依存及び影響があります。
物品販売業・飲食業における使い捨て容器や梱包材等が一定量あります。
当社は、世界的に評価される空港であることを目指しており、長期ビジョン「To Be a World Best Airport」とともに、2030年に向けて「人にも環境にもやさしい先進的空港」の実現に向けたターミナルビル運営を目指して
います。
当社事業活動の直接操業及び上流・下流工程における自然との関係性(依存及び影響)について、表1のとおり現段階で入手可能な情報をもとにヒートマップを作成し、重要な領域を確認・評価しました。このような評価を
踏まえ、当社グループ事業に影響を及ぼす自然関連リスク・機会の抽出を実施しました。
また、リスク・機会の抽出にあたっては、「脱炭素社会への移行と併せてネイチャーポジティブ社会への移行に関するリスクが主に顕在化するシナリオ」と「気候変動・自然劣化による物理リスクが主に顕在化するシナリオ」を検討し、各々TCFD分析における1.5℃シナリオと4.0℃シナリオと対応するものとして想定しています。
表2 自然関連リスク・機会の分析における時間軸と影響度
時間軸短期~2030年度(中期経営計画)
中期~2040年度(需要創造型の空港の要)
長期~2050年度(ネットゼロ達成)
影響度1億円未満
1億円以上~10億円未満
10億円以上

表3 自然関連のリスク及び影響度
リスクの種類概要セグメント時間軸

施設物販
飲食




政策・
法規制・
技術
建物に対する環境配慮の取り組み・認定取得等を要求する規制・政策強化による対応コストの増加短期~長期
製品原材料に対する規制・政策強化による対応コストの増加
(認証原材料の使用、特定原材料の使用禁止等)
中期
リサイクル率向上義務化・廃棄物処理等の資源循環に関する規制・政策強化による対応コストの増加中期~長期
大気・水・土壌汚染に関する新たな規制対象物質や基準厳格化への対応コスト(追加投資含む)の増加中期~長期
市場顧客(航空会社やテナント)のサステナビリティ意識の高まりによる市場嗜好の変化や要請による対応コストの増加中期
旅客(物販・飲食の顧客)のサステナビリティ意識の高まりによる持続可能な生態系・自然資本に配慮した認証食材への需要シフト中期
評判テナントマネジメントにおいてサステナビリティへの配慮が不十分であることによる、国際的なレピュテーション低下中期
持続可能な原材料の調達や再生可能材の使用についての対応不足によるレピュテーション低下中期~長期
空港利用者の増加に伴い空港周辺の自然環境破壊の課題が生じた際の対応コスト及び自治体・周辺住民からのレピュテーション低下(廃棄物による汚染、渋滞発生等)短期~長期




慢性
急性
空港利用者(航空機利用者)増加に関連した外来種等の飛来、感染症等パンデミックの発生長期
異常気象の発生による周辺の浸水等に伴う、周辺交通機関の運行困難に伴う旅客対応業務の増加(旅客ターミナルでの滞在時間の増加等)短期
異常気象の発生や自然環境・生態系の劣化・崩壊に伴う、食品原材料の品質低下及び調達困難、サプライチェーンの寸断長期
猛暑等による、設備寿命の短期化(設備更新費用の増加)中期

表4 自然関連の機会及び影響度
機会の種類概要セグメント時間軸

施設物販
飲食







|








市場・
製品と
サービス・
評判
顧客(航空会社やテナント)のサステナビリティ意識の高まりによる市場嗜好の変化に対応した「エコエアポート」としての施設運営による、羽田空港のプレゼンス向上中期~長期
旅客(物販・飲食の顧客)のサステナビリティ意識の高まりに対する持続可能な自然環境・生態系サービスに配慮した原材料及び包装材を使用した商品開発中期~長期
日本の豊かな自然観光資源への国際的な注目度の高まり、日本の玄関口として自然観光資源の魅力を引き出す事業運営を通じた需要創出による、旅客の増加短期~長期
空港全体での資源循環経済の実現による、羽田空港の中核企業としてのプレゼンス向上中期
旅客のサステナビリティ意識向上に資する働きかけや、周辺地域の自然環境保護活動への参画による、自治体行政との関係性の向上中期
資源効率水資源の効率的な利用中期
資源循環の実現に向け、簡易包装や再生材の活用による廃棄物削減や、廃棄物の再資源化中期~長期
資金の
流れと
資金調達
建替え時における各種施策等、エコエアポートとしての打ち出しによる資金調達中期
マ持
ン続
ス可
に能
関性
わパ
るフ
機ォ
会|
天然資源の持続可能な利用持続可能な森林から供給された木材を活用した施設建設中期
社内で使用する資材・設備の環境配慮型への切り替え中期
生態系の
保護、復元、再生
都市部に隣接する空港として、旅客に対してバス・鉄道等の地上交通機関の使用を推奨することによる、地域の生態系の保全中期
エコエアポートでの施設滞在における体験を通じた、施設利用者の自然・環境に対する意識の啓発による行動変容による、間接的な自然へのポジティブインパクト中期

表5 自然関連のリスク・機会に対する対応策
リスク・機会の種類概要セグメント
施設物販
飲食


移行リスク
(政策・法規制・
技術・市場・
評判)
建物のZEB化に向けた取り組み
使用原材料について、航空会社・国ごとの規制への対応
認証取得済の原材料や国産原材料の積極的な活用
自然環境への負荷が少ない包装材・容器の導入
廃棄物の再資源化とテナントに対する呼びかけ
食品廃棄物の減量化(生ごみ処理機の活用)
観光地の分散への協力・PR
ステークホルダーとの対話機会の創出
物理リスク
(急性・慢性)
A2-BCP(空港業務継続計画)への準拠、BCPの整備・訓練の実施
非接触サービスの提供(ロボット、無人店舗)
調達先の分散化・代替物流の検討
ICPの導入による設備投資判断

市場・
製品とサービス・
評判
自然へのポジティブインパクトを重視した建物への転換
サステナビリティ関連テーマに積極的に取り組む店舗・ブランドへの積極的な「場」の提供
テナントマネジメントの充実(表彰制度の導入の検討)
エシカル商品の拡充、地域の生態系を活かした商材の販売とプロモーション
交通事業者(エアライン・鉄道等)も含めた、サステナブルな空旅の実施
地域創生、地域観光PRの実施
空港全体での3R推進に向けた取り組みの推進
資源効率中水の利用、節水弁の導入、水再利用
高効率な廃棄物処理方法の検討
資金の流れと資金
調達
サステナブルファイナンスの活用等
天然資源の持続
可能な利用
認証取得・認証木材調達に関する取り組みの強化
社内において、環境に配慮した資材・設備への切り替え、資源効率利用に関する教育実施
生態系の
保護、復元、再生
公共交通機関の利用推進(アナウンス・HP・SNS等)
生態系の豊かさを感じられるエコツーリズムの実施等

上記の自然関連リスク・機会及び対応策の抽出を踏まえ、自然資本分野に関する戦略の3つの方向性を以下の
とおり確認しました。今後、リスク・機会の分析を深化させるとともに、同戦略を重要な経営課題として、実現に向けた対応策を、多くのステークホルダーと連携しながら、策定・実施していきます。
自然関連リスク・機会に対する戦略
エコエアポートの実現国の掲げる方針や脱炭素計画に基づき、関係するステークホルダーと連携して、空港
運営に伴う地球環境・地域環境への影響を低減させる取り組みを推進します。
サーキュラーエコノミーの
確立
空港内で発生する廃棄物のリサイクル・リユース等を推進して、最終処分量を低減し、空港全体のサーキュラーエコノミーの進展を図ります。
サステナブル調達の推進物品販売業・飲食業における原材料・製造加工段階の環境や人権への配慮を推進し、 サプライチェーン全体における自然環境への負荷の低減を図ります。

(人的資本・多様性関連)
≪人的資本経営に関する基本的な考え方≫
当社グループが事業基盤とする羽田空港は、人・産業・文化が行き交う日本の空の玄関口です。今後、訪日外国人旅行者6,000万人時代を見据える中、ターミナル機能の強化をはじめとする更なる発展・進化が求められています。
このような事業環境のもと、当社グループは「キャッシュ・フロー創出力の強化」及び「貢献範囲の拡大・関係者牽引力の強化」を中期経営戦略の方向性として掲げ、「効率」「付加価値」「共創」の3つの中核戦略を推進しています。これらの戦略を着実に遂行し、各ステークホルダーとの連携を主導しながら空港全体の事業価値最大化を実現するため、当社グループは「自ら未来を切り拓く人財」を重視しています。また、持続的な企業価値向上の基盤として、従業員が誇りを持って成長できる組織への進化を志向し、「人財強化、人的資本経営の推進」をマテリアリティ(重要課題)の一つに位置付けています。
当社グループは、空港運営全般に関する高度な専門性と知見を備え、変化を続ける航空業界において挑戦を重ねる人財を、最重要資本である「人的資本・知的資本」と位置付けています。羽田空港が目指す姿“To Be a World Best Airport~日本の航空旅客数最大化に貢献する空港~”の実現に向けて、当社グループの役割を従来の「需要享受型の空港ターミナル会社」から「需要創造型の空港の要(Anchor Role)」へと再定義しました。
この長期ビジョンのもと、当社グループは企業変革を担う人財への投資を拡充し(インプット)、ビジョンへの共感を通じて人的生産性を高めることで(アウトプット)、個人と組織の成長を連動させ、良質な顧客サービスと財務リターンを創出する(アウトカム)好循環の構築を目指しています。当社グループは、人的資本経営の強化を通じて、“自ら未来を切り拓く人財集団”へと進化し、持続的成長を支える企業基盤の強化を図ってまいります。
0102010_006.png
≪経営戦略と人財戦略の連動≫
長期ビジョン実現への企業変革期として位置付けた中期経営計画(2026-2030年度)では、以下の経営戦略を掲げています。
1.キャッシュ・フロー創出力の強化
・資本コストを意識した資源配分を通じ、長期戦略や新領域での価値創造を推進
・ターミナル事業の価値密度向上を図り、ターミナルの“稼ぐ力”を強化
2.貢献範囲の拡大・関係者牽引力の強化
・羽田空港全体の運営基盤構築により、全体最適と価値創造の両立及び空港評価・収益性の更なる向上を実現
・脱炭素化の推進に向け、ステークホルダーとともに空港GX(グリーントランスフォーメーション)を実現
・周辺地域や全国各所との連携を進化させ、事業範囲を拡張
これらの戦略を具現化するためには、当社グループが有する空港運営の高度な専門性に加え、新領域への挑戦やステークホルダーとの共創を主導できる、柔軟な発想や関係者牽引力を備えた人財の獲得・育成が不可欠です。
また、少子高齢化に伴う労働力不足に対して、DX戦略との連携や全世代の戦力化を通じて、高い人的生産性を発揮できる組織への変革を進めてまいります。
<目指すべき人財・組織像>目指すべき人財:
①空港運営特有の知識・経験を有するプロ人財
②柔軟な発想で需要を創造できる人財
③全体最適を考え関係者を牽引できる人財
目指すべき組織:
①異なる背景を持つ多様な人財が能力を発揮できる組織
②どの世代においても学び続け、成長し続ける組織
③DX戦略を力強く推進する組織
≪人財戦略の骨子≫
1.採用・育成戦略:人財ポートフォリオの構築
経営戦略の完遂に必要な人財層を厚くするため、以下の施策を通じて「自律的な学びと挑戦」を促進する体制を確立してまいります。
<採用戦略の高度化>・総合的な素養を基本としつつ、「財務・会計」「建築」「DX・IT」「マーケティング」などの専門性に着目
した採用を強化しています。
・専門職制度の対象範囲を拡充することで、多様なプロ人財を確保し、賃金・評価制度の適宜刷新を通じて、
採用力の強化と人財の定着を図ります。
<育成体系の刷新>・自ら考え挑戦する人財を育成するため、MBA取得支援や手上げ制プログラムなど自律的な学びをサポートする
制度を導入し、従来の全員一律の研修から、専門性向上や選抜型の教育研修に重点をシフトさせています。
・異業種連携の研究開発拠点(terminal.0 HANEDA)への配置や外部出向、共創プロジェクトへの参画を拡大
し、需要創造型のビジネスに必要な「柔軟な発想力」と「関係者牽引力」を養成します。
・DX戦略を力強く推進する人財を育成するため、全従業員のITリテラシー教育に加え、高度DX人財育成のための
プログラムを拡充しています。
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<次世代リーダー育成と全世代の戦力化>・経営戦略実現の中心となるコア人財育成については、各階層の人財プールの質を向上させるため、早期から
階層別の選抜・育成を体系化して推進しています。
・特に部長層以上については、次世代経営者候補として位置付け、サクセッションプランに基づく計画的な
選抜・育成を推進しています。
・定年延長を見据えたシニア層に対しては、オンライン学習プログラムの提供等を通じて、自律的なキャリア
形成を支援しています。
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2.社内職場環境の整備:包摂性と活力ある組織風土
異なる背景を持つ多様な人財が互いを高めあう組織風土を構築するため、生産性向上の基盤となる職場環境を
整備しています。
・女性管理職比率の維持、外国人・障がい者雇用の促進、若手社員による働き方改革推進活動など、多様な人財
が能力を最大限発揮できる包摂性の高い組織づくりを推進しています。
・2024年度のオフィス改革により、部門横断的なコミュニケーションを活性化しました。
・2025年度の従業員エンゲージメントサーベイにおける職場環境指数は80.3点(前年度比+5.3点)と大幅に
向上しており、Well-Beingの向上が高い生産性を支える好循環を生み出しています。

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