有価証券報告書-第102期(2022/04/01-2023/03/31)
ロ.戦略(シナリオ分析)
(イ)分析対象事業
京急グループすべての事業
(交通事業、不動産事業、レジャー・サービス事業、流通事業、その他の事業)
(ロ)シナリオの設定
IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が公表しているシナリオを参照のうえ、移行リスクと物理的リスクのインパクトの全体的な幅を捉えるため、設定シナリオを脱炭素社会実現シナリオ(世界的な平均気温の上昇を産業革命以前と比べて+1.5℃程度に抑える努力:ネットゼロ排出シナリオ)と地球温暖化が進展するシナリオ(4℃シナリオ)に分け、リスク・機会の抽出と財務影響度評価、またリスクへの対処および機会を捉えた取り組みや今後の方向性を定めました。
(ハ)気候変動によるリスク・機会の抽出ならびに時間軸特定・財務影響度評価
a.脱炭素社会実現シナリオにおける主な移行リスク・機会
(注)1.交:交通事業、不:不動産事業、レ:レジャー・サービス事業、流:流通事業、他:その他の事業
2.時間軸について:短期0~1年、中期~2030年、長期~2050年
3.政策法規制の強化による財務影響度の試算(炭素税等)
(2021年度の排出量と同等の排出が続いた場合)2030年:25億円~39億円/2050年:31億円~70億円
(当社目標の排出量削減を達成した場合) 2030年:21億円~34億円/2050年:0円
b.地球温暖化進展シナリオにおける主な物理的リスク
(注)1.交:交通事業、不:不動産事業、レ:レジャー・サービス事業、流:流通事業、他:その他の事業
2.時間軸について:短期0~1年、中期~2030年、長期~2050年
(ニ)リスクへの対処および機会を捉えた主な取り組み
(注)交:交通事業、不:不動産事業、レ:レジャー・サービス事業、流:流通事業、他:その他の事業
(ホ)シナリオ分析による考察と今後の方向性
脱炭素社会が実現する世界においては、炭素税の導入や排出規制の強化による排出コスト・エネルギーコストの増加ならびに顧客の環境意識の高まりやサプライヤーの環境コストの増加による費用の増大が見込まれます。また、地球温暖化が進展する世界においては、自然災害の激甚化・頻発化により、浸水害の発生リスクが高いエリアの顧客が流出し、交通事業では運休の増加による長期的なサービスの低下や、不動産事業では資産保有機会の低下による売り上げの低迷、レジャー・サービス事業では観光や宿泊等のサービスの提供機会の減少が想定されます。さらに、平均気温の上昇により、空調コストの増加というリスクも高まってくることがシナリオ分析により明らかとなりました。一方で、脱炭素社会が実現する世界においては、環境優位性の維持・向上による公共交通機関利用者の増加や環境性能の高い不動産物件による競争力上昇と売上増加の機会を得ることも想定できました。
これらを踏まえ、京急グループでは、脱炭素社会が実現する世界に向けて、引き続きリスク・機会に対する分析を行うとともに、これらのリスクへの対処と機会を捉えた取り組みを推進することで、持続可能な社会の実現を目指してまいります。
(イ)分析対象事業
京急グループすべての事業
(交通事業、不動産事業、レジャー・サービス事業、流通事業、その他の事業)
(ロ)シナリオの設定
IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が公表しているシナリオを参照のうえ、移行リスクと物理的リスクのインパクトの全体的な幅を捉えるため、設定シナリオを脱炭素社会実現シナリオ(世界的な平均気温の上昇を産業革命以前と比べて+1.5℃程度に抑える努力:ネットゼロ排出シナリオ)と地球温暖化が進展するシナリオ(4℃シナリオ)に分け、リスク・機会の抽出と財務影響度評価、またリスクへの対処および機会を捉えた取り組みや今後の方向性を定めました。
(ハ)気候変動によるリスク・機会の抽出ならびに時間軸特定・財務影響度評価
a.脱炭素社会実現シナリオにおける主な移行リスク・機会
| 分類 | 重要なリスクと機会 | 該当事業(注)1 | 時間軸 (注)2 | 財務 影響度 (注)3 | |||||
| 交 | 不 | レ | 流 | 他 | |||||
| 移行リスク | 政策 法規制 | 政府や自治体等による規制強化(省エネ法、炭素税等)にともなうコストの増加 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中~ 長期 | 大 |
| 市場 | エネルギー・資材の調達コストの増加 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 短~ 長期 | 大 | |
| 評判 | 社会における環境意識の高まりと対応の遅れによる顧客離れ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中~ 長期 | 大 | |
| 機会 | 災害に強い事業運営による復旧コストの削減および顧客の信頼確保 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中~ 長期 | 中 | |
| 再生可能エネルギーへのシフトにともなう将来の化石エネルギー価格増大に対する影響の低減 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中~ 長期 | 中 | ||
| 環境優位性の維持・向上による公共交通機関利用者の増加 | ○ | 中~ 長期 | 大 | ||||||
| 環境性能の高い物件の競争力上昇と売上増加 | ○ | 中~ 長期 | 大 | ||||||
(注)1.交:交通事業、不:不動産事業、レ:レジャー・サービス事業、流:流通事業、他:その他の事業
2.時間軸について:短期0~1年、中期~2030年、長期~2050年
3.政策法規制の強化による財務影響度の試算(炭素税等)
(2021年度の排出量と同等の排出が続いた場合)2030年:25億円~39億円/2050年:31億円~70億円
(当社目標の排出量削減を達成した場合) 2030年:21億円~34億円/2050年:0円
b.地球温暖化進展シナリオにおける主な物理的リスク
| 分類 | 重要なリスクと機会 | 該当事業(注)1 | 時間軸 (注)2 | 財務 影響度 | |||||
| 交 | 不 | レ | 流 | 他 | |||||
| 物理的リスク | 急性 | 自然災害の激甚化・頻発化にともなう施設や設備への被害増加と復旧コストの増加 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中~ 長期 | 大 |
| 水害多発エリアからの顧客流出 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 長期 | 中 | ||
| 自然災害による沿線の観光資源の変化や損失にともなう旅客数の減少 | ○ | ○ | 中~ 長期 | 中 | |||||
| 慢性 | 平均気温上昇にともなう空調コストの増加 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中~ 長期 | 中 | |
| 夏季の猛暑による作業効率低下にともなう事業進捗の遅れの発生や、熱中症等による労働災害の増加 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中~ 長期 | 中 | ||
| 海面上昇を起因とした高潮や洪水による設備の浸水、それにともなう運休の発生、運賃収入の減少、復旧コストの発生 | ○ | 長期 | 大 | ||||||
| 海面上昇を起因とした高潮や洪水による建物の浸水、それにともなう損失の発生と不動産価値および販売機会の減少 | ○ | ○ | ○ | ○ | 長期 | 大 | |||
(注)1.交:交通事業、不:不動産事業、レ:レジャー・サービス事業、流:流通事業、他:その他の事業
2.時間軸について:短期0~1年、中期~2030年、長期~2050年
(ニ)リスクへの対処および機会を捉えた主な取り組み
| 分類 | リスクへの対処および機会を捉えた主な取り組み | 該当事業(注) | ||||
| 交 | 不 | レ | 流 | 他 | ||
| 移行 リスク | 省エネ化による使用エネルギーの削減 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ZEH、ZEB物件の推進 | ○ | |||||
| 物理的 リスク | BCPの継続的な見直し | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 既存施設および新築施設の浸水対策 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
| 異常時対応訓練の実施 | ○ | |||||
| 機会 | ESGに関する情報開示の推進 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 市場環境の変化に対応した商品やサービスの企画・販売 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
(注)交:交通事業、不:不動産事業、レ:レジャー・サービス事業、流:流通事業、他:その他の事業
(ホ)シナリオ分析による考察と今後の方向性
脱炭素社会が実現する世界においては、炭素税の導入や排出規制の強化による排出コスト・エネルギーコストの増加ならびに顧客の環境意識の高まりやサプライヤーの環境コストの増加による費用の増大が見込まれます。また、地球温暖化が進展する世界においては、自然災害の激甚化・頻発化により、浸水害の発生リスクが高いエリアの顧客が流出し、交通事業では運休の増加による長期的なサービスの低下や、不動産事業では資産保有機会の低下による売り上げの低迷、レジャー・サービス事業では観光や宿泊等のサービスの提供機会の減少が想定されます。さらに、平均気温の上昇により、空調コストの増加というリスクも高まってくることがシナリオ分析により明らかとなりました。一方で、脱炭素社会が実現する世界においては、環境優位性の維持・向上による公共交通機関利用者の増加や環境性能の高い不動産物件による競争力上昇と売上増加の機会を得ることも想定できました。
これらを踏まえ、京急グループでは、脱炭素社会が実現する世界に向けて、引き続きリスク・機会に対する分析を行うとともに、これらのリスクへの対処と機会を捉えた取り組みを推進することで、持続可能な社会の実現を目指してまいります。