訂正有価証券報告書-第100期(2020/04/01-2021/03/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社を中核とする京王グループは、運輸、流通、不動産、レジャー・サービス等幅広い事業を通じて、お客様のより良い暮らしを創造していくことにより、地域の発展と幸せな暮らしの実現に貢献することを基本方針としております。グループとしての存在価値を明文化した「京王グループ理念」を制定し、この理念を具現化するため、「京王グループ経営ビジョン」に基づき、当社グループの競争力の強化に取り組むとともに、法令・倫理を遵守し、地域社会貢献活動を行うなど、企業価値・株主共同の利益および沿線価値の向上に努めております。
<京王グループ理念>
また、多くのお客様の人命を預かる鉄道事業者である当社は、「輸送の安全性」の確保という、極めて重要な公共的使命を担っております。当社はこの使命を果たし続けていくことで、お客様に「安心」を提供し、当社グループ全体の信頼性を向上させてきたと自負しており、このことは当社の企業価値の根幹をなすものと考えております。当社は、今後もその使命を果たすため、より一層「経営の安定性」を高め、鉄道事業における安全対策をはじめ、「事業の継続性」を確保するための中長期的な視点に立った設備投資を積極的に行う等、「信頼のトップブランド」を確立してまいります。
(2) 経営戦略等
当社グループでは、「京王グループ理念」の中に掲げる「信頼のトップブランド」の確立を目指して、当社グループの競争力の強化、財務健全性の確保、法令・倫理の遵守、地域社会貢献活動の実施など、企業価値・株主共同の利益の向上に資する経営に努めております。今後もグループ全体の持続的な成長のため、当社グループが長年培ってきた有形・無形の経営資源を維持・活用しながら、以下の施策に取り組んでまいります。
第一に、社会に不可欠なインフラを提供する公共輸送機関として安全確保を最重要課題とし、中長期的な視点で社会的責任を果たしてまいります。
第二に、当社沿線が将来にわたって活力を維持できるよう、拠点開発の推進や地域活性化に多角的に取り組んでまいります。
第三に、お客様の多様化するニーズや生活スタイルの変化を捉えた施策を継続的に実施することで、将来にわたり発展、成長する企業グループを目指してまいります。
第四に、法令の遵守、地球環境への配慮など、企業の社会的責任を果たす取組みを当社グループ全体で続けてまいります。
第五に、企業価値の源泉である「輸送の安全性」の実際の担い手である当社グループの従業員を中長期的な視点で育成するとともに、「安全の確保」を最重要事項と考える企業文化を堅持してまいります。
第六に、事業の継続性に留意した資本政策のもと、成長に向けた投資や事業の選択と集中など様々な取組みの実施と完遂を目指してまいります。
(3) 経営環境
足元の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により度重なる緊急事態宣言の発出など、社会経済活動も大きな制約を受けている状況が続いており、先行きが見通せない厳しい状況となっております。
当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言の発出以降、鉄道・バス事業における輸送人員は減少しており、さらに訪日外国人旅行客数の激減や外出自粛に加え、営業時間の短縮・休業などにより、ホテル業や百貨店業を中心にグループ各社の多くが大きな打撃を受けております。
直近ではワクチン接種が進み、明るい兆しも見えつつありますが、新型コロナウイルス感染症拡大前の状況から生活様式の変化が想定され、ニューノーマルに対応した事業構造の転換に取り組まなければなりません。
(4) 対処すべき課題
2021年度においては、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底しながら事業活動を継続し、「ゼロベースでのコスト構造の見直し」「時流を捉えた機動的な増収施策の推進」「ニューノーマルを見据えた事業構造の抜本的な見直し」を3つの軸として、収益力改善に向けた取組みを早急にはかりながら、手元資金の減少を一刻も早く食い止める利益水準への回復にグループ全体で取り組みます。一方で、大規模投資をともなう長期プロジェクトについて、内容を精査しながら着実に推進していくとともに、将来に向けた施策についても積極的に取り組み、大規模投資が本格化する2030年代までに、新型コロナウイルス感染症拡大前を上回る利益水準への回復とニューノーマルに対応した事業構造への転換をはかります。
具体的には以下に記載する各施策に取り組み、グループ一丸となってこの難局を乗り越えてまいります。
① 鉄道事業における安全に向けた取組みと事業運営体制の変革
鉄道事業では、引き続き「安全に関する基本方針」を徹底するとともに、「有責事故ゼロ 運転事故・輸送障害発生件数の前年比削減」を安全目標として事故・トラブルの未然防止に努め、社会的な使命である「輸送の安全性と安定性の確保」のための取組みを進めます。また、お客様と従業員の安全を第一に、引き続き新型コロナウイルス感染症への対策を十分に講じるほか、長期にわたり安定的な事業運営が可能となるよう、将来的な輸送人員予測に基づく投資計画の策定や組織体制の適正化をはかるなど、事業運営体制の変革を進めます。
<安全に関する基本方針>
道路と鉄道を立体交差化し、25か所の踏切を廃止する京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業については、引き続き事業主体である東京都とともに用地取得や高架化工事などを進めます。安全性向上策については、台風やゲリラ豪雨等による河川氾濫への備えとして、河川水位情報等に基づき計画運休を行う際の情報提供など、各自治体との連携強化を進めます。また、下北沢駅でホームドアの整備を進めるとともに、高架橋やトンネル、盛土などの耐震補強工事に継続して取り組みます。
サービス向上策では、他社路線に対する競争力向上をはかりつつ、運行本数の適正化やお客様のニーズを捉えた「京王ライナー」の運行拡大など、輸送動向およびポストコロナの移動需要や環境の変化を想定したダイヤ改正を検討します。また、イベント列車の運行や沿線内外の施設などと連携した企画乗車券の販売に取り組み、収益力の向上をはかります。
このほか、新たな増収策や業務革新に関するプロジェクトを社員が中心となって推進するなど、部門や職位を越えた創意工夫が生まれる組織づくりを進めるほか、駅業務や設備保守について、DX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進し、次世代の事業運営体制への変革を進めます。
② 不動産業の強化
当社の強みを活かした地域社会との連携による「街づくり」を推進します。新宿地区再開発事業では、東京都と新宿区が公表した「新宿の拠点再整備方針」に基づき、将来的な再開発による価値向上を目指して、引き続き関係者との協議や開発計画の検討を進めます。また、京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業で新たに創出される駅前や高架下の空間について、エリア一体での開発計画の検討を進めるほか、京王多摩川駅に隣接する京王フローラルガーデン敷地および周辺土地で再開発事業を推進します。さらに、聖蹟桜ヶ丘地区において、賑わいがあふれ、回遊性の高い街づくりを目指すほか、橋本駅周辺において、当社グループの西の玄関口としての“顔”となる、特徴ある街づくりの検討を進めます。
不動産賃貸業では、高尾山口駅前のホテル「タカオネ」について、2021年夏の開業に向け、リノベーション工事を進めます。また、下北沢駅東側高架下で商業施設の建設工事を進めるほか、「京王クラウン街笹塚」について、駅改札前エリアを改装するなど、収益力の強化に取り組みます。さらに、賃貸用不動産におけるオフィス物件の割合を引き上げ、収益の安定化をはかるとともに、働き方の変容に対応して、シェアオフィスやサテライトオフィスの出店を加速してまいります。
さらに、稼ぐ力の強化に向けて、主軸である不動産賃貸業の利益の拡大に加え、保有不動産を入れ替えながら利益を上げる不動産投資・販売業を強化し、開発・賃貸・販売の良好なバランスにより利益を拡大する「総合不動産業」への構造転換を目指します。
③ ホテル業における収益構造の立て直し
近年、訪日外国人旅行客の増加を背景として拡大してきた宿泊需要は、新型コロナウイルス感染症の拡大により消失しており、当面の間は回復が見込めないことを前提として事業運営に取り組みます。各ホテルにおいてコスト構造の抜本的な見直しと不採算事業の見極めを進め、資金流出を防止するとともに、業態変更や一部フロアの用途変更も含めた収益強化策を検討します。また、継続した需要を見込むことができるビジネス利用やホテル会員利用などの囲い込みと長期滞在プランやレンタルオフィスなどの新たなニーズの取り込みにより、安定収益源を確保します。これら施策については、グループホテル全体で横断的に取り組み、グループメリットを活かしたホテル運営体制の構築と収益構造の立て直しをはかります。
④ グループ事業の収益力回復と新たな領域の開拓
グループ各社の構造改革を進め、最適な事業運営体制を構築し、いち早く新型コロナウイルス感染症拡大前の利益水準への回復を目指します。また、BtoB(企業間取引)の領域では、積極的な営業活動による外部受注の拡大やM&Aの活用により、収益規模の拡大に取り組みます。
MaaS(様々な移動手段を一元的に提供するサービス)への取組みについては、飛騨高山エリアや高尾山エリアにおいて、観光情報の提供や観光プランの提案と予約連携、電子チケットの拡充などに取り組み、観光型MaaSを推進します。また、沿線の利便性向上のための取組みについても、鉄道やバス、タクシーなどとの連携や、沿線の商業施設で利用できる電子チケットの提供など、引き続き検討・実施してまいります。さらに、沿線の生活者を支えるラストワンマイル配送網の構築に向けて、物流事業の立上げを検討します。加えて、サテライトオフィス「KEIO BIZ PLAZA」について、ターミナル駅周辺および当社が保有するホテルや商業施設への出店を継続的に検討するほか、シェアオフィス事業との相互利用の促進などにより、利用会員の利便性向上に努めます。
⑤ 強固な経営体制の整備に向けた取組み
リスク管理体制強化に向けた取組みとして、感染症や自然災害など、リスクの特性に応じた対応策を強化するため、BCP(事業継続計画)の見直しを進めます。特に、新型コロナウイルス感染症については、社長を本部長とした対策総本部主導の危機管理体制のもとで、引き続き、感染防止対策に徹底して取り組みます。また、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を見据えて、グループ各社が連携してリスク情報の共有や対応策の水平展開を行うほか、サイバー攻撃に備え、グループ全体でサイバーセキュリティ対策を強化してまいります。
当社は、コーポレート・ガバナンス体制のさらなる充実をはかるため、2020年6月に監査等委員会設置会社に移行するとともに執行役員制度を導入しております。引き続き取締役会の透明性・公正性の向上をはかるとともに、経営体制の強化と意思決定の迅速化をはかります。
⑥ 企業の社会的責任に対する取組み
当社グループでは、すべての事業において「京王グループ理念」および「京王グループ行動規範」に則った活動を積極的に推進しております。
環境面においては、各事業の特性に応じて、CO2排出量削減など環境負荷低減策に取り組みます。鉄道車両の省エネルギー化では、より消費電力削減効果に優れたVVVFインバータ制御装置への更新を進めます。また、当社が保有するビルについて、空調機の更新や照明のLED化など省エネルギー化に取り組むほか、水資源保護の取組みとして、多摩川上流域の森林保全活動への参画を検討します。
社会的な側面においては、多世代が共に生き、交流する沿線づくりとして、子育て世代を対象とした事業や高齢者住宅事業などに取り組みます。また、多様な人材雇用や女性の活躍推進、育児・介護と仕事の両立やワークライフバランス、ハラスメント防止対策などの施策に取り組むほか、定年延長など年齢によらず活躍できる制度の検討を進め、就労意識の多様化に対応する働きやすい職場の実現をはかります。
今後も株主の皆様をはじめとして、お客様、お取引先など、ステークホルダーの皆様と対話を重ね、これら社会的責任を果たす活動に継続して取り組み、沿線とともに成長し、地域社会への貢献に努力し続けます。
(5) 目標とする経営指標
2021年度につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響からの回復時期は不透明であることから、当面の回復目標値として単年度の定量数値を設定しております。
営業収益3,435億円、営業利益157億円、純利益71億円、EBITDA487億円の達成を目標とし、財務基盤の確保を目指してまいります。
(1) 経営方針
当社を中核とする京王グループは、運輸、流通、不動産、レジャー・サービス等幅広い事業を通じて、お客様のより良い暮らしを創造していくことにより、地域の発展と幸せな暮らしの実現に貢献することを基本方針としております。グループとしての存在価値を明文化した「京王グループ理念」を制定し、この理念を具現化するため、「京王グループ経営ビジョン」に基づき、当社グループの競争力の強化に取り組むとともに、法令・倫理を遵守し、地域社会貢献活動を行うなど、企業価値・株主共同の利益および沿線価値の向上に努めております。
<京王グループ理念>
| 私たち京王グループは、 |
| つながりあうすべての人に誠実であり、環境にやさしく、 |
| 「信頼のトップブランド」になることを目指します。 |
| そして、幸せな暮らしの実現に向かって |
| 生活に溶け込むサービスの充実に日々チャレンジします。 |
また、多くのお客様の人命を預かる鉄道事業者である当社は、「輸送の安全性」の確保という、極めて重要な公共的使命を担っております。当社はこの使命を果たし続けていくことで、お客様に「安心」を提供し、当社グループ全体の信頼性を向上させてきたと自負しており、このことは当社の企業価値の根幹をなすものと考えております。当社は、今後もその使命を果たすため、より一層「経営の安定性」を高め、鉄道事業における安全対策をはじめ、「事業の継続性」を確保するための中長期的な視点に立った設備投資を積極的に行う等、「信頼のトップブランド」を確立してまいります。
(2) 経営戦略等
当社グループでは、「京王グループ理念」の中に掲げる「信頼のトップブランド」の確立を目指して、当社グループの競争力の強化、財務健全性の確保、法令・倫理の遵守、地域社会貢献活動の実施など、企業価値・株主共同の利益の向上に資する経営に努めております。今後もグループ全体の持続的な成長のため、当社グループが長年培ってきた有形・無形の経営資源を維持・活用しながら、以下の施策に取り組んでまいります。
第一に、社会に不可欠なインフラを提供する公共輸送機関として安全確保を最重要課題とし、中長期的な視点で社会的責任を果たしてまいります。
第二に、当社沿線が将来にわたって活力を維持できるよう、拠点開発の推進や地域活性化に多角的に取り組んでまいります。
第三に、お客様の多様化するニーズや生活スタイルの変化を捉えた施策を継続的に実施することで、将来にわたり発展、成長する企業グループを目指してまいります。
第四に、法令の遵守、地球環境への配慮など、企業の社会的責任を果たす取組みを当社グループ全体で続けてまいります。
第五に、企業価値の源泉である「輸送の安全性」の実際の担い手である当社グループの従業員を中長期的な視点で育成するとともに、「安全の確保」を最重要事項と考える企業文化を堅持してまいります。
第六に、事業の継続性に留意した資本政策のもと、成長に向けた投資や事業の選択と集中など様々な取組みの実施と完遂を目指してまいります。
(3) 経営環境
足元の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により度重なる緊急事態宣言の発出など、社会経済活動も大きな制約を受けている状況が続いており、先行きが見通せない厳しい状況となっております。
当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言の発出以降、鉄道・バス事業における輸送人員は減少しており、さらに訪日外国人旅行客数の激減や外出自粛に加え、営業時間の短縮・休業などにより、ホテル業や百貨店業を中心にグループ各社の多くが大きな打撃を受けております。
直近ではワクチン接種が進み、明るい兆しも見えつつありますが、新型コロナウイルス感染症拡大前の状況から生活様式の変化が想定され、ニューノーマルに対応した事業構造の転換に取り組まなければなりません。
(4) 対処すべき課題
2021年度においては、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底しながら事業活動を継続し、「ゼロベースでのコスト構造の見直し」「時流を捉えた機動的な増収施策の推進」「ニューノーマルを見据えた事業構造の抜本的な見直し」を3つの軸として、収益力改善に向けた取組みを早急にはかりながら、手元資金の減少を一刻も早く食い止める利益水準への回復にグループ全体で取り組みます。一方で、大規模投資をともなう長期プロジェクトについて、内容を精査しながら着実に推進していくとともに、将来に向けた施策についても積極的に取り組み、大規模投資が本格化する2030年代までに、新型コロナウイルス感染症拡大前を上回る利益水準への回復とニューノーマルに対応した事業構造への転換をはかります。
具体的には以下に記載する各施策に取り組み、グループ一丸となってこの難局を乗り越えてまいります。
① 鉄道事業における安全に向けた取組みと事業運営体制の変革
鉄道事業では、引き続き「安全に関する基本方針」を徹底するとともに、「有責事故ゼロ 運転事故・輸送障害発生件数の前年比削減」を安全目標として事故・トラブルの未然防止に努め、社会的な使命である「輸送の安全性と安定性の確保」のための取組みを進めます。また、お客様と従業員の安全を第一に、引き続き新型コロナウイルス感染症への対策を十分に講じるほか、長期にわたり安定的な事業運営が可能となるよう、将来的な輸送人員予測に基づく投資計画の策定や組織体制の適正化をはかるなど、事業運営体制の変革を進めます。
<安全に関する基本方針>
| ・「安全」は最大の使命であり、最高のサービスである。 |
| ・全社員が一丸となり継続的改善に取り組み、安全最優先の鉄道を創る。 |
道路と鉄道を立体交差化し、25か所の踏切を廃止する京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業については、引き続き事業主体である東京都とともに用地取得や高架化工事などを進めます。安全性向上策については、台風やゲリラ豪雨等による河川氾濫への備えとして、河川水位情報等に基づき計画運休を行う際の情報提供など、各自治体との連携強化を進めます。また、下北沢駅でホームドアの整備を進めるとともに、高架橋やトンネル、盛土などの耐震補強工事に継続して取り組みます。
サービス向上策では、他社路線に対する競争力向上をはかりつつ、運行本数の適正化やお客様のニーズを捉えた「京王ライナー」の運行拡大など、輸送動向およびポストコロナの移動需要や環境の変化を想定したダイヤ改正を検討します。また、イベント列車の運行や沿線内外の施設などと連携した企画乗車券の販売に取り組み、収益力の向上をはかります。
このほか、新たな増収策や業務革新に関するプロジェクトを社員が中心となって推進するなど、部門や職位を越えた創意工夫が生まれる組織づくりを進めるほか、駅業務や設備保守について、DX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進し、次世代の事業運営体制への変革を進めます。
② 不動産業の強化
当社の強みを活かした地域社会との連携による「街づくり」を推進します。新宿地区再開発事業では、東京都と新宿区が公表した「新宿の拠点再整備方針」に基づき、将来的な再開発による価値向上を目指して、引き続き関係者との協議や開発計画の検討を進めます。また、京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業で新たに創出される駅前や高架下の空間について、エリア一体での開発計画の検討を進めるほか、京王多摩川駅に隣接する京王フローラルガーデン敷地および周辺土地で再開発事業を推進します。さらに、聖蹟桜ヶ丘地区において、賑わいがあふれ、回遊性の高い街づくりを目指すほか、橋本駅周辺において、当社グループの西の玄関口としての“顔”となる、特徴ある街づくりの検討を進めます。
不動産賃貸業では、高尾山口駅前のホテル「タカオネ」について、2021年夏の開業に向け、リノベーション工事を進めます。また、下北沢駅東側高架下で商業施設の建設工事を進めるほか、「京王クラウン街笹塚」について、駅改札前エリアを改装するなど、収益力の強化に取り組みます。さらに、賃貸用不動産におけるオフィス物件の割合を引き上げ、収益の安定化をはかるとともに、働き方の変容に対応して、シェアオフィスやサテライトオフィスの出店を加速してまいります。
さらに、稼ぐ力の強化に向けて、主軸である不動産賃貸業の利益の拡大に加え、保有不動産を入れ替えながら利益を上げる不動産投資・販売業を強化し、開発・賃貸・販売の良好なバランスにより利益を拡大する「総合不動産業」への構造転換を目指します。
③ ホテル業における収益構造の立て直し
近年、訪日外国人旅行客の増加を背景として拡大してきた宿泊需要は、新型コロナウイルス感染症の拡大により消失しており、当面の間は回復が見込めないことを前提として事業運営に取り組みます。各ホテルにおいてコスト構造の抜本的な見直しと不採算事業の見極めを進め、資金流出を防止するとともに、業態変更や一部フロアの用途変更も含めた収益強化策を検討します。また、継続した需要を見込むことができるビジネス利用やホテル会員利用などの囲い込みと長期滞在プランやレンタルオフィスなどの新たなニーズの取り込みにより、安定収益源を確保します。これら施策については、グループホテル全体で横断的に取り組み、グループメリットを活かしたホテル運営体制の構築と収益構造の立て直しをはかります。
④ グループ事業の収益力回復と新たな領域の開拓
グループ各社の構造改革を進め、最適な事業運営体制を構築し、いち早く新型コロナウイルス感染症拡大前の利益水準への回復を目指します。また、BtoB(企業間取引)の領域では、積極的な営業活動による外部受注の拡大やM&Aの活用により、収益規模の拡大に取り組みます。
MaaS(様々な移動手段を一元的に提供するサービス)への取組みについては、飛騨高山エリアや高尾山エリアにおいて、観光情報の提供や観光プランの提案と予約連携、電子チケットの拡充などに取り組み、観光型MaaSを推進します。また、沿線の利便性向上のための取組みについても、鉄道やバス、タクシーなどとの連携や、沿線の商業施設で利用できる電子チケットの提供など、引き続き検討・実施してまいります。さらに、沿線の生活者を支えるラストワンマイル配送網の構築に向けて、物流事業の立上げを検討します。加えて、サテライトオフィス「KEIO BIZ PLAZA」について、ターミナル駅周辺および当社が保有するホテルや商業施設への出店を継続的に検討するほか、シェアオフィス事業との相互利用の促進などにより、利用会員の利便性向上に努めます。
⑤ 強固な経営体制の整備に向けた取組み
リスク管理体制強化に向けた取組みとして、感染症や自然災害など、リスクの特性に応じた対応策を強化するため、BCP(事業継続計画)の見直しを進めます。特に、新型コロナウイルス感染症については、社長を本部長とした対策総本部主導の危機管理体制のもとで、引き続き、感染防止対策に徹底して取り組みます。また、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を見据えて、グループ各社が連携してリスク情報の共有や対応策の水平展開を行うほか、サイバー攻撃に備え、グループ全体でサイバーセキュリティ対策を強化してまいります。
当社は、コーポレート・ガバナンス体制のさらなる充実をはかるため、2020年6月に監査等委員会設置会社に移行するとともに執行役員制度を導入しております。引き続き取締役会の透明性・公正性の向上をはかるとともに、経営体制の強化と意思決定の迅速化をはかります。
⑥ 企業の社会的責任に対する取組み
当社グループでは、すべての事業において「京王グループ理念」および「京王グループ行動規範」に則った活動を積極的に推進しております。
環境面においては、各事業の特性に応じて、CO2排出量削減など環境負荷低減策に取り組みます。鉄道車両の省エネルギー化では、より消費電力削減効果に優れたVVVFインバータ制御装置への更新を進めます。また、当社が保有するビルについて、空調機の更新や照明のLED化など省エネルギー化に取り組むほか、水資源保護の取組みとして、多摩川上流域の森林保全活動への参画を検討します。
社会的な側面においては、多世代が共に生き、交流する沿線づくりとして、子育て世代を対象とした事業や高齢者住宅事業などに取り組みます。また、多様な人材雇用や女性の活躍推進、育児・介護と仕事の両立やワークライフバランス、ハラスメント防止対策などの施策に取り組むほか、定年延長など年齢によらず活躍できる制度の検討を進め、就労意識の多様化に対応する働きやすい職場の実現をはかります。
今後も株主の皆様をはじめとして、お客様、お取引先など、ステークホルダーの皆様と対話を重ね、これら社会的責任を果たす活動に継続して取り組み、沿線とともに成長し、地域社会への貢献に努力し続けます。
(5) 目標とする経営指標
2021年度につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響からの回復時期は不透明であることから、当面の回復目標値として単年度の定量数値を設定しております。
営業収益3,435億円、営業利益157億円、純利益71億円、EBITDA487億円の達成を目標とし、財務基盤の確保を目指してまいります。