有価証券報告書-第204期(2023/04/01-2024/03/31)

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2024/06/21 13:53
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183項目
(1) 【コーポレート・ガバナンスの概要】
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
株主の皆様をはじめとする各ステークホルダーの信頼をいただき、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図るためには、公正かつ透明な経営体制を確立することが重要な課題であると考えております。今後も、取締役会、執行役員制度および監査役制度をさらに充実させ、適時・適切かつ積極的に情報開示を行ってまいります。さらに、企業倫理と遵法意識に則った誠実な企業行動を実践することにより、コーポレート・ガバナンスの充実に努めてまいります。
② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
ア 企業統治の体制の概要
当社の取締役会につきましては、社外取締役4名を含む取締役9名で構成されており、法令および定款に定められた事項のほか、「取締役会規則」の規定に則り、「東武グループ経営理念」「東武グループ経営方針」に基づき、具体的な経営戦略や経営計画等、経営に関する重要な事項の意思決定を行うとともに、各取締役の業務執行状況の監督を行っております。また、代表取締役等による適切なリスクテイクを支える環境整備を行い、代表取締役等の迅速・果断な意思決定を支援しております。定例取締役会は原則として毎月開催され、取締役会の議長は取締役会長が務めております。また、常勤取締役全員は取締役会に原則毎回出席しており、社外取締役の出席状況につきましては「事業報告」において記載しております。さらに、当社では、執行役員制度の導入により、執行権限および執行責任の明確化を図り、執行機能については、代表取締役の指揮監督のもと、「職務執行規程」に定められた権限と責任において、取締役会にて選任された執行役員が業務執行を行う体制を構築し、経営の機動性を高めております。
また、社外取締役を選任していることにより、取締役は取締役会等において社外取締役を意識した職務執行の説明を行うとともに、その客観的な意見、助言を経営に反映させるなど、社外取締役は経営の効率性、公正性の確保に重要な役割を果たしております。また、当社は、取締役の指名・報酬に関する重要な事項の検討にあたり、取締役会の機能の独立性、客観性を強化するため、取締役会の諮問機関として「指名・報酬委員会」を設置しております。指名・報酬委員会は、社外取締役3名および代表取締役2名で構成されており、社外取締役より選任された議長が会議を主宰しております。なお、当事業年度は年2回開催いたしました。委員会は、取締役候補者選任案や代表取締役選定案の妥当性および報酬水準の妥当性を審議し、委員会としての意見を取りまとめ取締役会に対して答申を行っております。委員全員は毎回出席しております。
常勤取締役、グループ事業本部長、鉄道事業本部長、生活サービス創造本部長およびその他取締役社長が指名した者で構成され、かつ常勤監査役の出席する「経営会議」につきましては、取締役会から委譲された業務執行について審議・決定するとともに、経営に関する重要な情報の共有化を図っております。
常勤取締役、全執行役員および常勤監査役で構成される「執行役員会」におきましては、四半期決算毎に、業務の執行状況や経営計画に対する進捗状況について取締役に報告するとともに、経営情報の共有化により、次期の事業展開の見直し等を図っております。
また、内部統制システムの信頼性を確保すべく、企業倫理の確立と役員および従業員における遵法意識の一層の徹底を図るため、「東武グループコンプライアンス基本方針」に基づき日常行動の具体的な指針を定め教育体制を整備するとともに、コンプライアンスの確実な実践を支援・指導する「コンプライアンス委員会」を設置し、定期的に開催するなど、コンプライアンス経営の推進に努めております。
さらに、当社におけるコーポレート・ガバナンスのさらなる実効性向上を図るため、取締役社長を委員長とし、代表取締役、社外取締役および常勤監査役を委員とする「ガバナンス委員会」を設置し、「コンプライアンス委員会」や「危機管理委員会」等の委員長から活動計画および活動報告、提言を受け、審議、評価を行い、取締役会へ上申し、取締役会の監督機能の強化を図っております。なお、ガバナンス委員会の議長は社外取締役が務めております。
各種機関の構成員の氏名については、「役員一覧」および事業報告に記載しております。
イ 当該体制を採用する理由
上記の体制のとおり、当社は、経営の機動性を高めることを目的として執行役員制度を導入し、執行権限および執行責任の明確化を図り、取締役会から業務執行の決定に関する権限を委譲された代表取締役の指揮監督のもと、執行役員が業務執行を行う体制を構築するとともに、取締役会は経営の意思決定および業務執行の監督を主な役割とし、取締役会の機能強化を図っております。また、代表取締役および執行役員の職務執行に関し、公正性、効率性を確保するため、社外取締役を含む取締役会による監督や社外監査役を含む各監査役による有効な監査を実施するほか、「指名・報酬委員会」をはじめとした各種機関および内部監査部門の設置やコンプライアンス経営の推進、危機管理体制の構築に加え、経営責任を明確にするため取締役の任期を1年とするなど必要にして十分なコーポレート・ガバナンス体制を構築していると考えております。
ウ コーポレート・ガバナンス体制に関する模式図

③ 企業統治に関するその他の事項
ア 内部統制システムの整備の状況
(ア)当該体制についての取締役会決議の内容
a 当社の取締役・使用人の職務執行が法令・定款に適合することを確保するための体制
当社は、当社の取締役、執行役員及び従業員が法令及び定款等を遵守して意思決定・業務執行を行うため、コンプライアンスに関する行動原則として「東武グループコンプライアンス基本方針」を制定するとともに、行動指針としてのコンプライアンス・マニュアル及びコンプライアンスカードを作成のうえ取締役、執行役員及び従業員に配付し、継続的に教育研修等を実施する。また、コンプライアンスの取り組みを社内横断的に統括する専門部署やコンプライアンスに関する通報・相談窓口の設置のほか、推進状況の監視機関である「コンプライアンス委員会」等の整備により、コンプライアンス経営体制を構築、推進する。
b 当社の取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
当社は、取締役の職務執行、意思決定に関する書類である取締役会議事録・稟議等の書類を法令及び社内規程に基づき、適切に保存・管理する。
c 当社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
当社は、事故、災害等に関する危機管理について、「危機管理規程」等を社内規則で定めるとともに、担当部署でマニュアル等を作成・配付する。また、危機管理を統括する組織として設置した「危機管理委員会」では定期的に会議を開催し、危機に関する情報の共有化を図るほか、万一危機が発生した場合等、必要に応じて臨時に会議を開催し、その対応等を迅速に協議・実施する体制を構築する。
d 当社の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
当社は、「職務執行規程」等に基づいた権限と責任のもとに業務を執行する。また、定期的に取締役会を開催し、「取締役会規則」に基づき経営に関する重要な事項について意思決定を行うとともに各取締役の業務執行状況を監督する。さらに、取締役会の機能を補完し経営効率を向上させるため、経営会議を定期的に開催し、取締役会から委譲された業務執行について審議するほか、事業運営等に関する重要な情報の共有化を図る。
e 当社及び子会社等から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
当社は、「職務執行規程」等に基づいた権限と責任のもとに業務を執行し、内部監査部門が各部署に対し監査を行うことで、業務の適正を確保するための体制を構築する。また、子会社等を統括管理する専門部署を設置し、グループ会社管理規程に基づき、子会社等の業務執行について、管理、支援を行い、子会社等における当社への報告体制、危機管理体制、業務執行の効率性を確保する体制を構築するとともに、グループ会社モニタリングに関する規程に基づき、子会社等の監査役と連携し、情報共有・情報蓄積を図りながら、子会社等へのモニタリング及びその結果に対する改善指導を行い、グループガバナンスを一層強化する。そして、定期的に「東武グループコーポレート会議」の開催等により、グループ経営方針の伝達と子会社等の業務執行状況及び経営情報の共有化を図り、子会社等と連携し、グループ全体でのコンプライアンス経営体制を構築する。さらに、財務報告の信頼性を確保するため、金融商品取引法その他法令に基づき財務報告に係る業務の適正性を確保するための体制を整備するとともに有効性の評価、不備の改善を行う。
f 当社の監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する体制、当該使用人の当社の取締役からの独立性並びに当社の監査役の当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
当社は、専任の監査役スタッフを配置し、当社の監査役の指示に基づき監査役の職務の執行を補助する。また、当該監査役スタッフの人選・異動については、当社の監査役と協議のうえ行う。
g 当社及び子会社等の取締役・使用人等が当社の監査役に報告するための体制並びに当社の監査役へ報告した者がその報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
当社の監査役は、取締役会のほか、重要な業務執行事項に関し審議・報告を行う経営会議等の社内会議に出席するとともに、稟議書その他の業務執行、意思決定に関する重要な文書を閲覧し、必要に応じて当社の取締役、執行役員又は使用人にその説明を求め、内部監査部門が実施した監査についても報告を受ける。さらに、当社の監査役は、「グループ常勤監査役会」の開催等により、子会社等における業務執行に関する報告を受けるとともに、子会社等を統括管理する専門部署が子会社等の監査役の職務を補完・強化すべく、子会社等に対して実施したモニタリング及びその結果に対する改善指導の報告を定期的に受ける。また、当社及び子会社等は、内部通報体制を構築し、内部通報者に対する適切な取扱いを定める。
h 当社の監査役の職務の執行について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項
当社は、当社の監査役の職務の執行に協力し、監査に要する諸費用について、これを負担する。
i その他当社の監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
当社の監査役は、「監査役監査基準」に準拠して策定した監査方針、監査計画により、定期的に監査役会を開催するほか、当社の取締役からの報告事項を定め、経営方針や会社の重要な課題等について、適宜、代表取締役と意見交換を行う。
(イ)当該体制の運用状況の概要
a コンプライアンスに関する取り組み
当社及びグループ各社では、引き続き「東武グループコンプライアンス基本方針」を行動原則とし、各種教育研修等の実施によりコンプライアンスの周知徹底を図るとともに、公益通報者に対する適切な取り扱いを定め、グループ全体のコンプライアンス経営体制の整備、拡充につとめました。
また、反社会的勢力排除に向け、「東武グループ連絡協議会」を開催し、グループ内において反社会的勢力に対する防備を固め、情報及び対応策等を共有化する体制を継続いたしました。
b 危機管理に関する取り組み
危機管理につきましては、定例の「危機管理委員会」及び同委員会への提言・報告機関である「危機管理ワーキング」をそれぞれ2回開催し、危機の予防と意識の高揚を図りました。
また、お客さまに安心して鉄道をご利用いただくために、警察・消防と連携し、車内傷害事件等のテロ等不審者対応訓練を実施したほか、車内防犯カメラの設置を進めております。さらに、2023年5月8日に新型コロナウイルス感染症が5類に位置付けられましたが、従業員の感染予防対策の一環として、「鉄道事業本部 新型インフルエンザ等対応行動計画」に基づいた感染症対策に取り組んでおります。
災害対策につきましては、災害発生時の全従業員等の状況を把握する安否確認システムの訓練を実施するとともに、鉄道事業における災害対策として、防災の日及び防災週間に合わせ対策本部設置訓練を実施したほか、浸水対策として車両避難及び従業員避難訓練、異常時総合訓練等を実施し、各種災害対策訓練に積極的に取り組みました。
c 安全対策についての取り組み
安全管理体制の維持・充実につきましては、毎月開催している「鉄道マネジメント会議」、「鉄道事故防止等安全推進委員会」等で各部の実施結果の確認及び検証を行い、各施策の確実な実施を推進したほか、「現業と本社との意見交換会」や「安全巡回」等により、現業部門と本社部門間での意見交換、実作業及び各種取組みの確認を行いました。あわせて、安全監査を実施し鉄道事業本部各部の安全管理体制の仕組みが適切に運用されていることについて検証・評価・改善を行い、PDCAサイクルの実施状況を確認いたしました。
また、グループ各社の安全管理体制の向上を目的として「第13回東武グループ交通事業者安全推進連絡会」を開催し、各社の安全に関する取り組みの報告を行いました。
d 業務執行の効率性向上及び業務執行に係る情報の保存・管理に関する取り組み
執行役員制度の導入により、代表取締役の指揮監督のもと執行役員が取締役会での決定事項や日常の業務執行を行う体制とし、業務執行と取締役会の監督機能の分離を図るとともに、執行役員の責任と権限を明確化し、機動的な意思決定を行う体制を整備しております。また、当社における取締役会の監督機能を強化し、実効性のあるコーポレート・ガバナンス(企業統治)を図るため、社外取締役が議長を務めるガバナンス委員会を2回開催いたしました。
取締役会につきましては12回開催し、経営に関する重要な事項について意思決定を行うとともに、各取締役の職務執行状況を監督して、その議事内容を議事録に記載し、適切に保存・管理しております。なお、取締役会の議案につきましては、審議に際し十分な検討を行うことができるよう、各役員に事前提供を行っております。
また、取締役会の機能を補完し経営効率を向上させるため、経営会議を22回開催し、取締役会から委譲された業務執行について適時・適切に審議いたしました。
e 当社グループにおける業務の適正を確保するための取り組み
グループ会社につきましては、グループ事業統括部が中心となり、日常的に各社の業務執行の指導、監督を行うとともに各社の経営者を対象とした「東武グループコーポレート会議」を2回開催し、グループ経営方針の徹底を図りました。また、当社及びグループ会社に対するモニタリング機能の強化、充実を図り、グループレベルでの内部統制システムの有効性を一層高めるため、監理部による内部監査に加え、情報セキュリティ等に関する取り組み状況について、グループ事業統括部によるグループ会社のモニタリングを実施いたしました。
また、財務報告に係る内部統制につきましては、その整備及び運用状況評価を行い、改善を要する事項について業務プロセスの見直し等を要請し、改善措置の進捗状況や改善結果を確認いたしました。
さらに、東武グループとしてのさらなる内部統制強化を図ることを目的として、グループ各社の取締役及び監査役に就任した者を対象とした新任取締役研修及び新任監査役研修を継続実施するとともに、グループ会社を対象にしたコンプライアンスeラーニング教育を実施し、コンプライアンス意識の啓発を図りました。
f 監査役監査の実効性を確保するための取り組み
監査役につきましては、取締役会、経営会議、執行役員会、ガバナンス委員会、経営連絡会、グループ会社決算説明会等の重要な会議に出席するほか重要な決裁書類等を閲覧し、内部統制の状況について監理部及びグループ事業統括部から監査結果の報告が行われたほか、取締役・執行役員・部長から聴取を行う等、情報を収集し、取締役及び執行役員の職務の執行、意思決定を監査いたしました。
また、年度の監査方針、監査計画に基づき、監査役会が6回開催されるとともに、監査役と代表取締役及び会計監査人との意見交換が行われました。さらに、グループ常勤監査役会が4回開催され、グループ会社の監査役からの報告が行われたほか、グループ会社の取締役・使用人等やグループ事業統括部、監理部から、重要事項や監査結果その他の情報について、適宜報告が行われました。あわせて、当社の内部通報について監査役に報告するとともに、グループ会社における内部通報につきましても、当該グループ会社又はグループ事業統括部から適宜監査役へ報告を行う体制が整備されております。
なお、監査役の指示に基づき監査役の職務の執行を補助する専任のスタッフ2名を配置し、その活動に要する費用を負担しております。
イ リスク管理体制の整備の状況
危機管理につきまして、危機管理の指針の制定や危機管理を統括する組織として設置した「危機管理委員会」では定期的に会議を開催するほか、万一危機が発生した場合等、必要に応じて臨時に会議を開催し、その対応等を迅速に協議・実施するなど、危機管理体制を構築、推進しております。
ウ 子会社の業務の適正を確保するための体制整備の状況
当社グループの業務の適正を確保するため、子会社等を統括管理するグループ事業本部にて、「グループ会社管理規程」に基づき、子会社等の業務執行について、管理、支援を行っております。また、グループ会社に対するモニタリング機能の強化、充実を図りグループレベルでの内部統制システムの有効性を一層高めるため、グループ事業本部内に、部長以下6名によりグループ会社モニタリングからその結果に対する改善指導まで一貫して実施する体制を整備しております。また、そのモニタリング活動に対し監理部による内部監査を行っております。そして、定期的に「東武グループコーポレート会議」等を開催し、グループ経営方針の伝達と経営情報の共有化をはかり、子会社等と連携し、当社グループの企業価値向上を目指しております。加えて、経営内容の公正性と透明性を高めるため、決算説明会や沿線施設見学会等のIR活動を行うとともに、ホームページを通じた企業情報の提供などを行っており、一層の適時・適切な情報開示に努めてまいります。
エ 責任限定契約の内容の概要
当社と各社外取締役及び各監査役は、会社法第423条第1項の責任につき、善意でかつ重大な過失がないときは、法令の定める額を限度として責任を負担する責任限定契約を締結しております。
オ 役員等賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、役員及び執行役員が期待される役割を十分果たせるよう、また、有能な人材を迎えられるよう、当社の取締役、監査役及び執行役員全員を被保険者とする会社法第430条の3に規定する役員等賠償責任保険契約を全額当社負担にて締結しております。
[保険契約の内容の概要]
・填補の対象となる保険事故の概要
被保険者がその職務の執行に関し責任を負うこと、又は当該責任の追及にかかる請求を受けることによって生ずることのある損害について填補いたします。ただし、法令に違反することを被保険者が認識しながら行った行為に起因する損害賠償請求等、一定の免責事由があります。
・会社役員の職務の適正性が損なわれないための措置
保険契約に免責額の定めを設けており、当該免責額までの損害については填補の対象としないこととしております。また、当社が被保険者に対して損害賠償請求をする場合は、免責事由としております。
カ 取締役の定数
当社の取締役は15名以内とする旨定款に定めております。
キ 取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席することを要し、累積投票によらないものとする旨を定款に定めております。
ク 株主総会決議事項を取締役会で決議することができる事項
(ア)自己の株式の取得
当社は、機動的に自己の株式を取得できるように、会社法第165条第2項の規定により、取締役会の決議をもって自己の株式を取得することができる旨を定款に定めております。
(イ)取締役の責任免除
当社は、取締役が職務の執行にあたり、その期待される役割を十分果たせるよう、また、有能な人材を迎えられるよう、取締役(取締役であった者を含む。)の会社法第423条第1項の責任につき、善意でかつ重大な過失がない場合は、取締役会の決議によって、法令の定める限度額の範囲内で、その責任を免除することができる旨を定款に定めております。
(ウ)監査役の責任免除
当社は、監査役が職務の執行にあたり、その期待される役割を十分果たせるよう、また、有能な人材を迎えられるよう、監査役(監査役であった者を含む。)の会社法第423条第1項の責任につき、善意でかつ重大な過失がない場合は、取締役会の決議によって、法令の定める限度額の範囲内で、その責任を免除することができる旨を定款に定めております。
(エ)中間配当
当社は、株主への利益還元の機会を充実させるため、取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる旨を定款に定めております。
ケ 株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議要件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款に定めております。これは、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を行うことを目的とするものです。
コ 当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
(ア)基本方針の内容
当社は、「当社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに運輸事業や電波塔事業といった社会インフラ事業の公共性、安全性および利用者の利益の確保・向上」(以下「株主共同の利益の確保・向上等」といいます。)に向けた取組みを一層推進してまいりますが、昨今、わが国の株式市場等においては、買付の対象となる会社の経営陣の賛同を得ることなく、一方的に大量の株式の買付を強行するといった事例も散見されております。
もとより、当社は、株式の大量買付であっても、株主共同の利益の確保・向上等に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。また、特定の者の大量買付に応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する株主様の判断に委ねられるべきものと考えております。
しかしながら、株式の大量買付の中には、その目的等から見て、株主共同の利益の確保・向上等に対する明白な侵害をもたらすもの、株主様に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主様が買付の条件等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの等、株主共同の利益の確保・向上等に資さない場合も想定されます。
当社では、継続的な株主共同の利益の確保・向上等のためには、経営の根底にある「安全・安心」を提供し続けることや社会インフラ事業を営む者としての公共的使命に関する基本的な考え方を、今後も引き続き維持・推進していくとともに、中長期的な視点に立った経営を推進していくことが、不可欠であると考えます。
このような経営が、当社株式の大量買付を行う者により短期的な利益のみを追求するような経営に変わるようなことがあれば、株主共同の利益の確保・向上等は損なわれることになります。
また、わが国では現在も公開買付制度により濫用的な株式の大量買付行為を規制する一定の対応はなされていますが、現時点においては原則として市場内での買付行為には適用がなく、公開買付制度の適用がある場合でも、公開買付開始前に情報開示や熟慮のための機会を法的に確保することができず、株主様に対する必要かつ十分な情報・時間を提供できないおそれがあると考えられます。また、強圧的買収等の濫用的な買収を必ずしも排除できるものではないと認識しております。
こうした事情に鑑み、当社取締役会は、従前、当社株式について大量買付行為が行われる場合の対応方針である「当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下「本対応策」といいます。)を導入しておりました。
現時点においても、株主共同の利益の確保・向上等に対する侵害をもたらすおそれのある大量買付行為が行われるリスクは依然として存在しており、当該リスクに対して十分な備えを行うことは、取締役会としての重大な責務であると認識しております。
かかる状況のなか、当社では、新たな長期経営ビジョンに基づく経営戦略の実現に向けて「東武グループ中期経営計画2024~2027」を策定しており、これを着実に実行することで株主共同の利益の確保・向上等の実現を図る体制が整備されていること、ならびに買収防衛策(買収への対応方針)をめぐる近時の動向および国内外の機関投資家をはじめとする株主の皆様との対話状況等を総合的に勘案し、当社は、具体的な買収者が登場していない段階における一般的な目的での本対応策の継続は行わず、その有効期限である2024年6月開催の第204期定時株主総会(以下「本総会」といいます。)の終結の時をもって本対応策を廃止することといたしました。
当社は、本対応策の廃止後も、株主共同の利益の確保・向上等に向けた取組みを一層推進してまいります。また、株主共同の利益の確保・向上等を損なうおそれのある当社株式の大量買付行為が行われる場合には、大量買付行為を行う者に対し、株主の皆様がその是非を判断するために必要かつ十分な時間と情報の提供を求め、独立性を有する社外取締役の意見を尊重した上で、金融商品取引法、会社法その他関係法令の許容する範囲内において、その時々において適宜適切な施策を講じてまいります。
(イ)具体的な取組み
a 会社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み
(a)当社グループの価値の源泉
当社グループは、お客様の暮らしに密着した事業を通じて沿線地域の発展に貢献する企業グループとして、「運輸」、「レジャー」、「不動産」、「流通」等の事業を多角的、複合的に展開しており、この事業活動の根幹にあるものが「安全・安心」の提供であり、さらに、事業を通じて安定的に利益を創出しながら、環境にも配慮した経営を進め、お客様の生活を担う企業グループとして地域社会とともに持続的に発展することにより、企業の社会的責任を果たすことが重要であると認識しております。すべての事業における信頼の基礎である「安全・安心」を提供し続けるとともに、運輸事業や電波塔事業といった社会インフラ事業を担う者としての公共的使命に関する基本的な考え方を今後も維持し続けることが、当社グループ全体の根幹をなし、お客様や地域社会をはじめとしたステークホルダーとの信頼関係・協力関係の構築につながり、最終的には当社グループと地域社会の持続的な発展に資すると考えております。
(b)当社グループの目指す社会の姿
当社グループは、経営理念として社是「奉仕・進取・和親」を掲げ、創業以来、当社の企業精神として現在に至るまで脈々と受け継いできました。これまで、複々線化事業や、社会の要請に応えた世界一の高さを誇る電波塔を有する東京スカイツリー事業等、運輸事業をはじめとする様々な事業を通じて、社会との信頼関係を築きながら、社会課題の解決と事業の発展の両立を実現し続けてまいりました。その理念は、持続可能な社会を目指す現代において、輝きを増すことはあっても、決して色あせないことは明らかです。
当社グループは、沿線の特長や経営資源を活かしながら、社会課題の解決を図ることを通じて、将来にわたって新たな価値を創造し、家族や地域社会の人々がお互いに助け合う「共助」を基盤とした「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」を実現し、社会に不可欠な企業集団となることを目指してまいります。
(c)長期経営ビジョン、経営戦略、中期経営計画
今後の事業環境は、インバウンド需要や外出需要等が回復傾向にある一方、働き方の変化や価値観の多様化、デジタル技術の急速な進展等により、変化が不透明かつ速くなることに加え、東京圏においても2030年頃から人口減少を迎えると予測されております。
従って、今後の当社グループにおける中長期的な経営の方向性は、事業環境やニーズの変化を進取する『挑戦』と、グループ内外を問わず関係者との協力や連携により価値を創出する『協創』により、基盤である沿線の持続的な発展によりグループ全体の利益を維持・拡大させるとともに、非鉄道部門における成長事業の拡大により収益力を強化し、グループの成長を実現することであります。
ついては、10年後における東武グループの目指す姿の実現に向けて、新たな長期経営ビジョンは『「挑戦」と「協創」で進化させる社会と沿線』とし、当該ビジョンに基づいて事業を推進していくことにより、『東武グループの持続的な成長』と『人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会』の実現を目指し、社会に不可欠な企業集団として存続してまいります。長期経営ビジョンのもと、経営戦略の方針は、「営業利益段階における非鉄道事業割合の増加」、「観光需要を捉えた収益力の強化」、「持続的な事業運営体制の確立」とし、重点戦略については、成長に資する戦略を主軸とします。
経営戦略の実現に向けて、当社グループでは「東武グループ中期経営計画2024~2027」を策定しております。2030年代に始まる首都圏での人口減少社会を見据え、営業利益段階における非鉄道事業の拡大および割合増加を実現すべく、中長期的な収益・利益拡大に資する事業の育成を推進いたします。また、インバウンド需要の回復を捉えた事業をグループ全体で展開し、収益基盤を確立するとともに、事業領域の拡張を見据えた新規事業の育成を図る期間といたします。
(d)社会インフラである東京スカイツリー
当社の完全子会社が運営する東京スカイツリーは、公益性の高いテレビやラジオの放送事業の電波塔として、生活を支える重要な社会インフラとなっております。
しかしながら、現在、電波塔事業への出資に関する特段の法規制はなく、東京スカイツリーの運営会社を保有する当社の株式について、一方的に大量買付行為が行われ、電波塔事業の公益性や社会的責任を阻害する事態を招いた場合、株主共同の利益の確保・向上等が損なわれるばかりでなく、国益を害する危機ともなりかねません。
当社グループは、このような重要な社会インフラを事業として営む民間事業者として、強い責任感と確固たる信念をもって、継続的、安定的な経営に向けた社会的責務を担っております。
(e)コーポレート・ガバナンスの充実に向けた取組み
各ステークホルダーの信頼をいただき、持続的成長と中長期的な企業価値の向上をはかるため、公正かつ透明な経営体制を確立することが重要な課題であると考え、コーポレート・ガバナンスの充実に向けた取組みを継続的に進めております。
b 基本方針に照らして不適切な者によって会社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、2024年5月16日開催の取締役会において、本対応策を継続せず、その有効期間が満了する本総会終結の時をもって本対応策を廃止することを決議しておりますが、株主共同の利益の確保・向上等のため、これを損なうおそれのある当社株式の大量買付行為が行われる場合には、大量買付行為を行う者に対し、株主の皆様がその是非を適切に判断するために必要かつ十分な情報を提供するよう要求するとともに、当社において当該提供された情報につき適時適切な情報開示を行うほか、独立性を有する社外取締役の意見を尊重した上で、金融商品取引法、会社法その他関係法令の許容する範囲内において、その時々において適宜適切な措置を講じてまいります。
c 具体的な取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由
前記(イ)aに記載した取組みは、いずれも株主共同の利益の確保・向上等に資する具体的方策として策定されたものであり、当社の基本方針に沿うものです。
また、前記(イ)bに記載した取組みは、株主共同の利益の確保・向上等を目的として、これを損なうおそれのある当社株式の大量買付行為が行われる場合における、大量買付行為に関する情報提供の要求および関係法令の許容する範囲内における適宜適切な措置の実施等を定めるものであることから、株主共同の利益の確保・向上等に資するものであり、かつ会社役員の地位の維持を目的とするものではありませんので、当該取組みも当社の基本方針に沿うものです。