有価証券報告書-第160期(2023/04/01-2024/03/31)
(戦略)
① シナリオ分析における大枠(世界観)の設定
産業革命前からの世界の平均気温上昇が2℃を十分に下回る場合(2℃シナリオ)と成り行きの4℃の場合(4℃シナリオ)を想定し、国際機関が想定している情報を基に世界観を設定しました。
[想定する世界観]
(注)IEA International Energy Agency(国際エネルギー機関)
WEO2021 World Energy Outlook 2021(世界のエネルギー見通し2021)
IPCC Intergovernmental Panel on Climate Change(気候変動に関する政府間パネル)
SDS Sustainable Development Scenario (持続可能な開発シナリオ)
STEPS Stated Policies Scenario (公表政策を基にしたシナリオ)
RCP Representative Concentration Pathways (代表濃度経路シナリオ)
② 気候変動リスク・機会による事業影響評価
当社グループの交通、運送、不動産、レジャー・サービス、流通、航空関連サービス、その他の各セグメントを対象とし、TCFDの枠組みに基づいて当社グループ事業に影響のあるリスク・機会項目を抽出しました。抽出したリスク・機会項目に対して、ESG推進委員会にて重要度を審議し、重要度の高いリスク5項目、機会5項目を選定するとともに、2℃、4℃シナリオに基づき影響度を評価しました。このうちリスク項目については、各シナリオに基づいて財務への概算影響額を試算しました。気候変動による影響を分析した結果、2℃シナリオにおいては、炭素税の導入による大幅なコスト増加が見込まれる一方、CO2排出量の少ない交通手段の需要増やMaaSの拡大、DX推進などにより、収益機会の増加や業務効率向上によるコスト低減を期待できることが分かりました。
また、4℃シナリオにおいては、燃料費の高騰によるコスト増加による影響を大きく受けることに加え、保有資産の洪水被害による損壊額の増加や風水害による鉄道営業停止に伴う収益減少のリスクが増大することが分かりました。
当社グループが長期にわたり安定的な経営を続け、持続可能な社会の実現に貢献するために、連結会社を対象にインターナルカーボンプライシング制度を導入し、各社の省エネ設備投資を促進するための体制を構築しました(2024年4月以降の設備投資を対象とする)。省エネ設備投資等を漸次進めて、化石燃料の使用量を順次減らしていくことなど、気温上昇が2℃を十分に下回る世界の実現に向けた取組みを進めてまいります。
[事業影響評価]
① シナリオ分析における大枠(世界観)の設定
産業革命前からの世界の平均気温上昇が2℃を十分に下回る場合(2℃シナリオ)と成り行きの4℃の場合(4℃シナリオ)を想定し、国際機関が想定している情報を基に世界観を設定しました。
[想定する世界観]
産業革命前からの世界平均気温上昇 | 2℃ | 4℃ |
2030年、当社グループを取り巻く事業環境 | 炭素排出に関する制度、規制が進み、脱炭素技術の高い車両・設備が導入される | 企業の脱炭素化のための政策が進まず、設備更新は従来水準にとどまる |
政策として炭素の価格付けがなされ、炭素排出がコストとして事業活動に組み込まれる | 炭素の価格付けがなされず、炭素排出に対してコストはかからない | |
主力電源が火力発電から、再生エネルギー発電へ移行され、再エネ比率が高まる | 主力電源は火力発電のままで、再エネ比率は従来水準にとどまる | |
ステークホルダーのカーボンニュートラルに対する目線が一般化され、CO2排出の低い移動手段として鉄道等が選好される | カーボンニュートラルに対する厳しい目線は一部のステークホルダーに留まり、利用者の行動変容は起きない | |
異常気象は、現在顕在化している水準から大きくは増えない | 気象災害の規模・頻度が大きくなり、影響を受ける事業所・サプライチェーン・消費者が増加。事業継続に必要な対策コストが高騰する | |
移行リスク・機会 | IEAによるWEO2021持続可能な開発シナリオ(SDS)等 | IEAによるWEO2021公表政策を基にしたシナリオ(STEPS)等 |
物理的リスク | IPCCによるRCP2.6シナリオ | IPCCによるRCP8.5シナリオ |
(注)IEA International Energy Agency(国際エネルギー機関)
WEO2021 World Energy Outlook 2021(世界のエネルギー見通し2021)
IPCC Intergovernmental Panel on Climate Change(気候変動に関する政府間パネル)
SDS Sustainable Development Scenario (持続可能な開発シナリオ)
STEPS Stated Policies Scenario (公表政策を基にしたシナリオ)
RCP Representative Concentration Pathways (代表濃度経路シナリオ)
② 気候変動リスク・機会による事業影響評価
当社グループの交通、運送、不動産、レジャー・サービス、流通、航空関連サービス、その他の各セグメントを対象とし、TCFDの枠組みに基づいて当社グループ事業に影響のあるリスク・機会項目を抽出しました。抽出したリスク・機会項目に対して、ESG推進委員会にて重要度を審議し、重要度の高いリスク5項目、機会5項目を選定するとともに、2℃、4℃シナリオに基づき影響度を評価しました。このうちリスク項目については、各シナリオに基づいて財務への概算影響額を試算しました。気候変動による影響を分析した結果、2℃シナリオにおいては、炭素税の導入による大幅なコスト増加が見込まれる一方、CO2排出量の少ない交通手段の需要増やMaaSの拡大、DX推進などにより、収益機会の増加や業務効率向上によるコスト低減を期待できることが分かりました。
また、4℃シナリオにおいては、燃料費の高騰によるコスト増加による影響を大きく受けることに加え、保有資産の洪水被害による損壊額の増加や風水害による鉄道営業停止に伴う収益減少のリスクが増大することが分かりました。
当社グループが長期にわたり安定的な経営を続け、持続可能な社会の実現に貢献するために、連結会社を対象にインターナルカーボンプライシング制度を導入し、各社の省エネ設備投資を促進するための体制を構築しました(2024年4月以降の設備投資を対象とする)。省エネ設備投資等を漸次進めて、化石燃料の使用量を順次減らしていくことなど、気温上昇が2℃を十分に下回る世界の実現に向けた取組みを進めてまいります。
[事業影響評価]
事業影響評価の対象項目 | ||||
分 類 | 内容 | 時 間 軸 | 重 要 度 | 対象範囲 |
リ ス ク | 炭素税導入によるコスト増加 | 中 | 大 | 全セグメント |
再エネ電力調達によるコスト増加 | 中 | 大 | 全セグメント | |
燃料費の高騰によるコスト増加 | 中 | 大 | 全セグメント | |
保有資産の洪水被害による損壊額の増加 | 短 | 大 | 鉄軌道事業 | |
風水害による鉄道営業停止に伴う収益減少 | 短 | 大 | 鉄軌道事業 | |
機 会 | CO2排出量の少ない交通手段需要増に伴う旅客数の増加 | 中 | 大 | 交通 |
MaaS拡大による旅客輸送関連サービス利用増に伴う収益増加 | 短 | 中 | 交通、その他 | |
配送ルート最適化等の排出削減に寄与するDX推進による業務効率向上(ドライバーの生産性向上等) | 短 | 中 | 運送 | |
再エネ電力発電(洋上風力発電等)の建設・維持に伴う物資輸送需要の増加 | 長 | 中 | 航空関連サービス | |
環境配慮型商品・サービスの提供による収益増加 | 中 | 中 | 不動産を中心とした全セグメント |