有価証券報告書-第115期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、経営理念『「いつも」を支え、「いつも以上」を創ります。』のもと、誠実な企業活動により暮らしの安心を支え、果敢な挑戦により新たな価値を創出し、多様な人々との協働により社会に貢献することを経営の基本方針に、鉄道、不動産、国際物流、流通、ホテル・レジャーなど幅広い事業を営んでおります。
それぞれの事業において、サステナビリティを重視して社会課題の解決に努めることにより、持続的な成長を目指すとともに、多様なステークホルダーの皆さまと「共創による豊かな社会」の実現に貢献してまいります。
(2)中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
今後の当社グループを取り巻く事業環境は、地政学リスクの高まりによる資源価格の上昇やインバウンド需要の縮減など、各種リスク要因の顕在化により、先行き不透明な状況が継続することが予想されます。また、国内人口減少・少子高齢化や人財不足、さらなる物価・金利の上昇に加え、地球温暖化の進行による事業制約等も懸念されるところです。
このような事業環境に適切に対応し、当社グループが、株主様をはじめ顧客・取引先・従業員・地域社会等のマルチステークホルダーの皆様から将来にわたり信頼され選ばれる存在となるため、昨年3月、「近鉄グループが目指す方向性」を明示した上で、10年後の「ありたい姿」を「長期ビジョン2035」としてとりまとめ、その達成に向けてバックキャスト思考で目標・施策を設定した「中期経営計画2028」を策定いたしました。
本「中期経営計画」では、沿線の価値深化・活性化と沿線外・グローバルでの事業深化・拡張に向け、伊勢志摩のブランド力強化やインバウンド需要の取込み拡大など6つの重点戦略に取り組むとともに、経営指標としてROIC(投下資本利益率)を導入し、資本コストをより強く意識した経営を行うこととしております。こうした取組により、事業成長性と財務健全性を両立させながら、「新たな基盤構築」と「着実な成長」を実践するという方針のもと、計画初年度である2025年度は、利益面において期初の目標を達成いたしました。
しかしながら、新型鉄道車両の代替新造や首都圏における賃貸資産の取得等による有利子負債の一時的な増加や想定を上回る金利上昇に伴うWACC(資本コスト)の上昇等により、株価形成要素の一つであるROIC-WACCスプレッド(投下資本に対して資本コストを上回る利益が創出できているかを測る指標)が縮小したこと等が影響して、当社株価は市場全体や鉄道業界と比較して相対的に低位で推移し、資本市場から十分に評価されませんでした。
当社の強みは、近鉄グループが営む各事業が沿線・沿線外において有機的に連携し、各事業の総和を上回るコングロマリット・プレミアムを創造できる点にあると考えております。こうした当社グループの強みを持続的に発揮していくためには、資本コストを意識した経営資源の適切な配分が不可欠であるとの認識のもと、「中期経営計画2028」のアップデートを行い、事業や資産の「選択と集中」を一層加速させ、また必要に応じて外部との連携・協業も活用することでバランスシートの入替えを積極的に進めるなど、事業ポートフォリオの最適化に取り組んでまいります。これにより、ROIC-WACCスプレッドの向上を図るとともに、経営計画に掲げた重点戦略を引き続き推進し、「稼ぐ力」をさらに強化して、株価の向上を目指します。
また、経営の重要な基盤であるコーポレート・ガバナンス体制の強化にも取り組むこととし、この一環として、第115期定時株主総会のご承認を得た上で、当社は監査等委員会設置会社へ移行する予定です。これにより、取締役会の監督機能を強化するとともに、迅速かつ機動的な業務執行を実現し、持続的な価値創造とさらなる成長につなげてまいります。
当社グループの経営理念『「いつも」を支え、「いつも以上」を創ります。』を実現するため、商品・サービス・情報・サプライチェーンの提供などにより人々の暮らし・交流を支えることで、地域社会に貢献し、共に成長する地域社会のパートナーでありたいと考えています。そして、「近鉄グループにしかできないこと」にチャレンジし続け、幅広いフィールドで躍動し、強さとしなやかさを両立した、社会に貢献し続ける企業グループ構築を目標に、企業価値・株主価値の向上に邁進してまいります。
各部門別の中長期的な重点施策は以下のとおりであります。
① 運輸
運輸業におきましては、鉄軌道事業で、より安全・安心・快適な輸送サービスを提供していくため、新型一般車両の導入拡大、バリアフリー整備、防災対策を計画的に推進します。また、沿線の魅力深耕による交流人口の拡大や地域共創を通じた定住人口の維持・拡大を図るとともに、本年11月1日から名古屋と伊勢志摩を結ぶレストラン列車「Les Saveurs 志摩(レ・サヴール・しま)」を導入するなど、高付加価値サービスを強化し、収益の拡大を目指してまいります。一方で、深刻化する人手不足に対応するため、さらなる生産性向上や、ワンマン運転の主要線区への導入拡大に取り組み、持続可能な事業体制を強化してまいります。
② 不動産
不動産業におきましては、アセット事業及びマンション事業において、学園前駅・河内小阪駅等の沿線主要駅周辺での再開発や首都圏等沿線外の開発プロジェクトを推進するとともに、仲介・リフォームなどのハウジング事業の強化を図り、これらを3本柱として確立してまいります。また、昨年4月に設立した不動産アセットマネジメント会社「近鉄インベストメント・パートナーズ㈱」を活用し、回転型不動産ビジネスの伸長を図ってまいります。
③ 国際物流
国際物流業におきましては、物量拡大に依存した従来型の成長モデルから脱却し、低マージンビジネスの条件見直し等を図るとともに、各法人等の状況に応じた組織・拠点の統廃合やDXの推進による生産性向上などの構造改革を推進することで費用の削減・抑制に努め、利益率の向上に取り組んでまいります。さらに、営業利益の伸長につながる事業に対して積極的に経営資源(ヒト・モノ・カネ)を投入し、成長が見込まれるイントラアジア(アジア発着)における航空輸送及びボリュームゾーンであるアジア発北米向け市場における海上輸送の拡大、インド・中近東アフリカ市場の基盤強化を図り、収益力の強化に努めます。
④ 流通
流通業におきましては、百貨店業で、あべのハルカス近鉄本店及び周辺施設の活性化により、引き続きあべの・天王寺エリアの魅力最大化を推進します。また、近鉄グループ連携による外商の強化や新たな収益源の開発にも挑戦するなど、「百貨店」から「百"価"店」への進化を目指してまいります。
ストア・飲食業では、お客様のニーズに合わせた売場づくりに注力するほか、駅ナカの活性化を図り、沿線の価値向上に取り組んでまいります。また、適正な人員配置やDXによる省力化など、ローコスト運営体制の確立に注力してまいります。
⑤ ホテル・レジャー
ホテル・レジャー業におきましては、ホテル業で、外資ブランドとの協業により積み重ねてきたグローバルスタンダードに準拠した運営ノウハウをもとに、世界水準のサービスクオリティを追求し、国際的にも確固たる評価の獲得を目指します。また、国内外を問わず、直営型と運営受託型の両軸で運営ホテルの拡大を図り、収益力とブランド力の向上に取り組んでまいります。
旅行業では、2027年4月を目途にKNT-CTホールディングス㈱、クラブツーリズム㈱、近畿日本ツーリスト㈱及び㈱近畿日本ツーリストブループラネットの4社の統合を計画しており、仕入から商品企画、販売まで一気通貫で対応できる事業運営基盤の共通化に取り組みます。また、訪日事業では誘客推進を加速させるために海外拠点を増設するほか、地域共創事業ではDMC事業の構築を推進するなど、成長領域での取組を進めてまいります。
(3)目標とする経営指標
[アップデート後の「中期経営計画2028」で目指す経営指標]
(注)1.「(予定)」は2026年6月開催の株主総会において剰余金の配当(普通株式1株につき30円)が決議を得た場合の値
2.純有利子負債=有利子負債(借入金+社債)+リース債務(IFRS第16号による計上分を除く)-現預金
3.ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本
4.ROIC=税引後営業利益(営業利益×(1-実効税率))÷(純有利子負債+株主資本)
5.EBITDA=営業利益+減価償却費(IFRS第16号による計上分を除く)+のれん償却費
6.各指標値は2027年度から適用予定の新リース会計による影響額を除く数値
(1)経営の基本方針
当社グループは、経営理念『「いつも」を支え、「いつも以上」を創ります。』のもと、誠実な企業活動により暮らしの安心を支え、果敢な挑戦により新たな価値を創出し、多様な人々との協働により社会に貢献することを経営の基本方針に、鉄道、不動産、国際物流、流通、ホテル・レジャーなど幅広い事業を営んでおります。
それぞれの事業において、サステナビリティを重視して社会課題の解決に努めることにより、持続的な成長を目指すとともに、多様なステークホルダーの皆さまと「共創による豊かな社会」の実現に貢献してまいります。
(2)中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
今後の当社グループを取り巻く事業環境は、地政学リスクの高まりによる資源価格の上昇やインバウンド需要の縮減など、各種リスク要因の顕在化により、先行き不透明な状況が継続することが予想されます。また、国内人口減少・少子高齢化や人財不足、さらなる物価・金利の上昇に加え、地球温暖化の進行による事業制約等も懸念されるところです。
このような事業環境に適切に対応し、当社グループが、株主様をはじめ顧客・取引先・従業員・地域社会等のマルチステークホルダーの皆様から将来にわたり信頼され選ばれる存在となるため、昨年3月、「近鉄グループが目指す方向性」を明示した上で、10年後の「ありたい姿」を「長期ビジョン2035」としてとりまとめ、その達成に向けてバックキャスト思考で目標・施策を設定した「中期経営計画2028」を策定いたしました。
本「中期経営計画」では、沿線の価値深化・活性化と沿線外・グローバルでの事業深化・拡張に向け、伊勢志摩のブランド力強化やインバウンド需要の取込み拡大など6つの重点戦略に取り組むとともに、経営指標としてROIC(投下資本利益率)を導入し、資本コストをより強く意識した経営を行うこととしております。こうした取組により、事業成長性と財務健全性を両立させながら、「新たな基盤構築」と「着実な成長」を実践するという方針のもと、計画初年度である2025年度は、利益面において期初の目標を達成いたしました。
しかしながら、新型鉄道車両の代替新造や首都圏における賃貸資産の取得等による有利子負債の一時的な増加や想定を上回る金利上昇に伴うWACC(資本コスト)の上昇等により、株価形成要素の一つであるROIC-WACCスプレッド(投下資本に対して資本コストを上回る利益が創出できているかを測る指標)が縮小したこと等が影響して、当社株価は市場全体や鉄道業界と比較して相対的に低位で推移し、資本市場から十分に評価されませんでした。
当社の強みは、近鉄グループが営む各事業が沿線・沿線外において有機的に連携し、各事業の総和を上回るコングロマリット・プレミアムを創造できる点にあると考えております。こうした当社グループの強みを持続的に発揮していくためには、資本コストを意識した経営資源の適切な配分が不可欠であるとの認識のもと、「中期経営計画2028」のアップデートを行い、事業や資産の「選択と集中」を一層加速させ、また必要に応じて外部との連携・協業も活用することでバランスシートの入替えを積極的に進めるなど、事業ポートフォリオの最適化に取り組んでまいります。これにより、ROIC-WACCスプレッドの向上を図るとともに、経営計画に掲げた重点戦略を引き続き推進し、「稼ぐ力」をさらに強化して、株価の向上を目指します。
また、経営の重要な基盤であるコーポレート・ガバナンス体制の強化にも取り組むこととし、この一環として、第115期定時株主総会のご承認を得た上で、当社は監査等委員会設置会社へ移行する予定です。これにより、取締役会の監督機能を強化するとともに、迅速かつ機動的な業務執行を実現し、持続的な価値創造とさらなる成長につなげてまいります。
当社グループの経営理念『「いつも」を支え、「いつも以上」を創ります。』を実現するため、商品・サービス・情報・サプライチェーンの提供などにより人々の暮らし・交流を支えることで、地域社会に貢献し、共に成長する地域社会のパートナーでありたいと考えています。そして、「近鉄グループにしかできないこと」にチャレンジし続け、幅広いフィールドで躍動し、強さとしなやかさを両立した、社会に貢献し続ける企業グループ構築を目標に、企業価値・株主価値の向上に邁進してまいります。
各部門別の中長期的な重点施策は以下のとおりであります。
① 運輸
運輸業におきましては、鉄軌道事業で、より安全・安心・快適な輸送サービスを提供していくため、新型一般車両の導入拡大、バリアフリー整備、防災対策を計画的に推進します。また、沿線の魅力深耕による交流人口の拡大や地域共創を通じた定住人口の維持・拡大を図るとともに、本年11月1日から名古屋と伊勢志摩を結ぶレストラン列車「Les Saveurs 志摩(レ・サヴール・しま)」を導入するなど、高付加価値サービスを強化し、収益の拡大を目指してまいります。一方で、深刻化する人手不足に対応するため、さらなる生産性向上や、ワンマン運転の主要線区への導入拡大に取り組み、持続可能な事業体制を強化してまいります。
② 不動産
不動産業におきましては、アセット事業及びマンション事業において、学園前駅・河内小阪駅等の沿線主要駅周辺での再開発や首都圏等沿線外の開発プロジェクトを推進するとともに、仲介・リフォームなどのハウジング事業の強化を図り、これらを3本柱として確立してまいります。また、昨年4月に設立した不動産アセットマネジメント会社「近鉄インベストメント・パートナーズ㈱」を活用し、回転型不動産ビジネスの伸長を図ってまいります。
③ 国際物流
国際物流業におきましては、物量拡大に依存した従来型の成長モデルから脱却し、低マージンビジネスの条件見直し等を図るとともに、各法人等の状況に応じた組織・拠点の統廃合やDXの推進による生産性向上などの構造改革を推進することで費用の削減・抑制に努め、利益率の向上に取り組んでまいります。さらに、営業利益の伸長につながる事業に対して積極的に経営資源(ヒト・モノ・カネ)を投入し、成長が見込まれるイントラアジア(アジア発着)における航空輸送及びボリュームゾーンであるアジア発北米向け市場における海上輸送の拡大、インド・中近東アフリカ市場の基盤強化を図り、収益力の強化に努めます。
④ 流通
流通業におきましては、百貨店業で、あべのハルカス近鉄本店及び周辺施設の活性化により、引き続きあべの・天王寺エリアの魅力最大化を推進します。また、近鉄グループ連携による外商の強化や新たな収益源の開発にも挑戦するなど、「百貨店」から「百"価"店」への進化を目指してまいります。
ストア・飲食業では、お客様のニーズに合わせた売場づくりに注力するほか、駅ナカの活性化を図り、沿線の価値向上に取り組んでまいります。また、適正な人員配置やDXによる省力化など、ローコスト運営体制の確立に注力してまいります。
⑤ ホテル・レジャー
ホテル・レジャー業におきましては、ホテル業で、外資ブランドとの協業により積み重ねてきたグローバルスタンダードに準拠した運営ノウハウをもとに、世界水準のサービスクオリティを追求し、国際的にも確固たる評価の獲得を目指します。また、国内外を問わず、直営型と運営受託型の両軸で運営ホテルの拡大を図り、収益力とブランド力の向上に取り組んでまいります。
旅行業では、2027年4月を目途にKNT-CTホールディングス㈱、クラブツーリズム㈱、近畿日本ツーリスト㈱及び㈱近畿日本ツーリストブループラネットの4社の統合を計画しており、仕入から商品企画、販売まで一気通貫で対応できる事業運営基盤の共通化に取り組みます。また、訪日事業では誘客推進を加速させるために海外拠点を増設するほか、地域共創事業ではDMC事業の構築を推進するなど、成長領域での取組を進めてまいります。
(3)目標とする経営指標
[アップデート後の「中期経営計画2028」で目指す経営指標]
| 2025年度実績 | 2028年度計画 (アップデート前) | 2028年度計画 (アップデート後) | ||
| 収益性 | 営業利益 | 894億円 | 1,000億円以上 | 1,000億円以上 |
| 資金調達 | 純有利子負債 | 1兆758億円 | 1兆円未満で コントロール | 9,000億円程度で コントロール |
| 経営効率 | ROE | 9.3% | 更なる向上 | 8%以上の維持 |
| ROIC | 4.2% | 4.5%以上 | WACC+1%以上 | |
| 財務規律 | 自己資本比率 | 23.6% | 25%以上 | 30%程度 |
| 純有利子負債/ EBITDA倍率 | 6.8倍 | 6.0倍程度 | 6.0倍程度 | |
| 株主還元 | DOE | 2.6%(予定) | (中期経営計画期間中) | |
| 下限2.0% | 下限2.5% | |||
| 連結配当性向 | 21.2%(予定) | - | 30%程度 | |
| 外部評価 | 格付け | (R&I)BBB+ポジティブ (JCR) A- 安定的 | - | (目標) Aフラット以上 |
(注)1.「(予定)」は2026年6月開催の株主総会において剰余金の配当(普通株式1株につき30円)が決議を得た場合の値
2.純有利子負債=有利子負債(借入金+社債)+リース債務(IFRS第16号による計上分を除く)-現預金
3.ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本
4.ROIC=税引後営業利益(営業利益×(1-実効税率))÷(純有利子負債+株主資本)
5.EBITDA=営業利益+減価償却費(IFRS第16号による計上分を除く)+のれん償却費
6.各指標値は2027年度から適用予定の新リース会計による影響額を除く数値