有価証券報告書-第103期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/23 9:14
【資料】
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【項目】
126項目

対処すべき課題

(1)経営の基本方針
当社グループは、進取の精神と誠実な企業活動により社会の発展、繁栄に貢献することを経営の基本として、鉄軌道事業を中核とする生活関連事業を幅広く展開しております。
鉄道グループの原点である安全の確保と快適な輸送サービスの提供を第一に、主要ターミナルや沿線各地での快適な都市機能と良好な住環境の整備、伊勢志摩、奈良両地域を中心に魅力ある観光地開発に努め、地域との連携の中でグループの総合力を最大限に発揮し、沿線価値の向上と「近鉄ブランド」の強化を通じて、持続的な成長を実現いたします。
(2)中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
(近鉄グループ経営計画の推進)
当社では、平成22年5月に公表しました「近鉄グループ経営計画(平成22年度~平成26年度)」に基づき、各種プロジェクトを着実に実現すると共に、構造改革を進め、新たな収益基盤の確立に向けた事業創出を図ってまいります。本経営計画対象期間を「基盤強化期」と位置づけ、以下の基本方針の下、事業を行ってまいります。
① 鉄道の原点である安全の確保と快適な輸送サービスの提供を基本に、平成26年度までの間は阿部野橋・上本町・京都の三大ターミナルプロジェクトをはじめ、鉄道業を中心に沿線深耕に注力いたします。当社百年の歴史の重みと沿線文化・観光の厚みを踏まえ、グループの総力を挙げた事業展開により、沿線の利便性・魅力度向上を図ります。
② 少子高齢化・人口減少など市場の変化に対応すべく、全事業において適正な利益を確保するために、経済成長期の仕組みを見直して、構造改革を着実に進めると共に、収益基盤の確立に向けた事業創出を図り、新たな成長戦略を描きます。
③ グループ経営につきましては、戦略機能と管理機能を強化し、グループの総合力を高める施策や再編を実施いたします。
量の拡大よりも利益の確保を目指し、現行の配当水準を安定的に維持するために必要な利益を確保するとともに、平成23年3月期を有利子負債のピークに、以降、有利子負債の削減と有利子負債/EBITDA倍率の改善により財務体質の健全性を高めてまいります。
(3)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針等
当社では、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を決定しております。
基本方針の内容、基本方針の実現に資する特別な取組みの内容、基本方針に照らして不適切な者によって財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの内容並びに取組みについての当社取締役会の判断及びその判断にかかる理由は、次のとおりであります。
① 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
「進取の精神と誠実な企業活動により社会の発展に貢献し、人々の信頼を得たい」との経営理念のもと、鉄道事業における安全性や公共性の確保と、株主、顧客、取引先、従業員などとの信頼関係の維持に十分に配慮し、長期的な視点に立った企業活動を行うことが企業価値向上及び株主共同の利益の確保に資すると考える。財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方については、かかる見地から株主自身が判断するものと考えている。しかしながら、当社株式に対する大規模買付行為が行われた場合において、当該買付行為が株主に十分な情報提供が行われないものであるときあるいは十分な検討期間もないまま行われるものであるとき、また、買付後の経営が鉄道事業における安全性や公共性を脅かすものであるときには、当社取締役会は企業価値及び株主共同の利益を毀損する買付行為を防止する方策を採用する。
② 上記基本方針にかかる取組みの具体的内容
a.近鉄グループ経営計画に基づき、当社が創業以来培ってきた経験と沿線の豊かな文化や観光資源を活かし、グループの総力を挙げた事業展開により、沿線の利便性・魅力向上に注力する。特に、伊勢神宮式年遷宮を機に注目を集めた伊勢志摩地域の一層の活性化に向けた取組みを強化するとともに、「あべのハルカス」については、当社グループのシンボルタワーとして一層の認知度向上と集客力強化、各施設の連携による相乗効果の発揮を図る。また、少子高齢化・人口減少など市場の変化に対応すべく、全事業において構造改革を着実に進めるとともに、収益基盤の確立に向けた事業創出を図り、新たな成長戦略を描く。グループ経営については、戦略機能と管理機能を強化し、グループの総合力を高める。
b.当社株式に対する大規模買付行為が行われた場合において、買付者等からの十分な情報提供と、株主及び当社取締役会が大規模買付行為の是非を検討するのに必要な期間を確保するとともに、企業価値及び株主共同の利益を毀損する買付行為を防止するため、平成25年6月21日の当社定時株主総会の決議により当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(以下「本対応方針」という。)を継続した。なお、当社株主総会において本対応方針の変更または廃止の決議がなされた場合には、本対応方針は当該決議に従い、その時点で変更または廃止されるものとしている。
本対応方針の内容は、当社が発行者である株式等について保有者の株式等保有割合の合計を20%以上とすることを目的とする買付け、または当社が発行者である株式等について結果として公開買付けにかかる株式等の株式等所有割合及び特別関係者の株式等所有割合の合計が20%以上となる公開買付けを「大規模買付行為」とし、また当該買付けを行いまたは行おうとする者を「買付者等」として、買付者等に対し、本対応方針に定める大規模買付ルールを遵守する旨の誓約と、当社取締役会への当該大規模買付行為に関する情報提供を求めるものである(ただし、大規模買付行為の前に当該買付けにつき当社取締役会の承認がある場合を除く。)。
買付者等が本対応方針に定める大規模買付ルールを遵守しない場合、または当該買付けが当社の企業価値及び株主共同の利益を著しく損なうものであると認められ、かつ対抗措置の発動を相当と判断する場合には、当社取締役会の決議により、当該買付者等は行使することができないという行使条件を付した新株予約権(以下「本新株予約権」という。)の株主割当てを実施し、当該大規模買付行為による損害を防止する。なお、かかる判断にあたっては、当社取締役会から独立した第三者機関である独立委員会の勧告を最大限尊重する。
③ 上記②の取組みについての当社取締役会の判断及びその判断にかかる理由
近鉄グループ経営計画を着実に実行し、中長期にわたり沿線価値の向上につながる企業活動を続けていくことにより、地域の人々から信頼を得ることができ、沿線価値ひいては当社の企業価値向上が実現し、株主共同の利益が高まることが期待される。
本対応方針は、企業価値向上及び株主共同の利益の確保という観点から、買付者等からの十分な情報提供と、株主及び当社取締役会が大規模買付行為の是非を検討するのに必要な期間を確保するために定めるものであり、特定の株主または投資家を優遇あるいは拒絶するものではない。
本対応方針は、株主総会における株主の意思をもって継続されるものであるとともに、その廃止も株主総会における株主の意思によって行うことができる。当社取締役の任期は1年となっており、期差選任や解任制限等も採用していないため、株主の意思を反映しやすい仕組みとなっている。
当社取締役会が対抗措置の発動を判断するにあたっては、独立性の高い独立委員会が企業価値向上及び株主共同の利益の確保という観点から行った合理的かつ客観的な判断を踏まえて発動される仕組みとなっており、当社取締役会の恣意的判断を排除している。
買付者等が出現すると、独立委員会は、当社の費用で、独立した第三者(フィナンシャルアドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタント等)の助言を得ることができるとしている。これにより、独立委員会による判断の公正さ、客観性がより強く担保される仕組みとなっている。
本対応方針においては、上記のとおり、大規模買付行為に対する対抗措置は合理的な客観的要件が充足されなければ発動されないように設計しており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しているものといえる。
対抗措置として割り当てる本新株予約権並びにその行使条件についても、事前に本新株予約権の割当条件及び割当内容について開示を行うなど、企業価値向上及び株主共同の利益の確保に必要かつ相当な範囲内の対抗措置であるといえる。
したがって、当社取締役会は、前記②の取組みは基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものではないとともに、役員の地位の維持を目的とするものでないと判断している。