有価証券報告書-第103期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/23 9:14
【資料】
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【項目】
126項目

事業等のリスク

「第2 事業の状況」「第5 経理の状況」等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めております。
なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 原子力発電所運転停止に伴う電力不足の影響
原子力発電所の運転停止に伴い、今後の電力供給が不十分となった場合には、列車の運行、流通店舗・ホテルの営業等、サービスの安定的な提供に支障が出るおそれがあります。また、電気料金上昇などのコスト増並びに需要の冷え込みによる収入減によって、当社グループの業績に大きな影響をおよぼすおそれがあります。
当社グループでは、省電力機器の導入等により、可能な限り節電協力を行っておりますほか、様々な営業施策の展開及びコスト削減等により収支への影響を最小化するよう努めております。
(2) 大規模災害または大規模事故の発生
東海・東南海・南海地震等とそれらに伴う津波、主要ターミナル等における火災やテロなどの大規模災害が発生した場合、長大橋梁・鉄道トンネル・線路等鉄道施設の毀損、特急券オンライン発券システムのトラブルなどのほか、ホテルや百貨店、賃貸施設、レジャー施設等についても大きな被害が生じるおそれがあり、当社グループにおいて大規模な損害及び復旧費用が発生する可能性があります。また、当社グループの経営資源が大阪府、奈良県、三重県をはじめ、自社鉄道沿線に集中していることから、グループ全体の業績に深刻な影響を与えるおそれがあります。
このほか、新型インフルエンザ等の感染症が大規模に流行した場合、鉄道利用者をはじめ各事業の顧客の出控え等のほか、従業員の勤務を確保することが困難となる事態も予想され、業績に大きな影響を与えるおそれがあります。
また、万一大規模事故が発生した場合、その復旧と損害賠償に巨額の費用が必要となり、業績に深刻な影響を与えるおそれがあります。鉄道事業においては、遮断中の踏切への進入など外的要因により事故が発生し、列車の運行に支障が出るおそれもあります。
当社グループでは、公共交通機関として多数のお客様の輸送に当たる鉄軌道事業やバス事業をはじめ、その他の各事業においてもお客様の安全の確保を第一義に考えております。このため、従業員の教育・訓練はもちろんのこと、鉄軌道事業における運転保安設備の新設、増強など計画的な投資の継続をはじめ、各事業とも耐震補強など防災対策工事を推進するとともに、各種の安全対策には万全を期しております。また、大規模地震に対する事業継続計画の定期的な見直し等、大規模な災害・事故等の発生に備えた危機管理体制の整備を一層推し進めております。
(3) 沿線人口の減少及びモータリゼーションの進展、他社との競合
少子高齢化及び当社沿線外や都心への人口移転により、沿線での人口、特に就労人口及び通学人口が減少しており、今後この傾向が続くおそれがあります。また、当社線と競合する高速道路網の整備等によりモータリゼーションが一層進展しているほか、一部路線では鉄道他社と競合関係にあります。これらの状況は、当社鉄軌道業収入、流通業収入や不動産業収入等の減少をもたらすおそれがあります。また、当社沿線の観光地は、他の観光地との競合関係にあるため、入込観光客が減少し、当社鉄道事業のほかホテル・レジャー業の収入が影響を受ける可能性があります。さらに、大阪地区での競合する他の百貨店の新規開業・増床をはじめ、異業態の新店舗開業により、グループの流通業の収入が影響を受ける可能性があります。
当社グループとしては、輸送サービスの向上や魅力ある鉄道商品の発売に努め、優良な住宅地及びマンションの開発、グループ挙げての総合的な生活関連サービスの展開など沿線価値向上のための諸施策を積極的に進めるとともに、グループカード戦略などを通じて流通業をはじめグループ事業全体の基盤強化を図ってまいります。また、営業戦略上の最重要地域である伊勢志摩地区、奈良地区をはじめ、沿線観光地への旅客誘致にも一層の努力を傾けてまいります。
(4) 景気、個人消費動向等の変動
当社グループの中核をなす運輸業、流通業及びホテル・レジャー業は、いずれも主に一般消費者を顧客としており、景気動向、個人消費動向等の経済情勢のほか、冷夏、暖冬などの異常気象や天候不順等の影響により、業績が悪化するおそれがあります。
当社グループとしては、各種営業施策の展開とコスト削減等によってその影響を最小化するよう、努めてまいります。
(5) 「近鉄グループ経営計画(平成22年度~平成26年度)」の推進
「近鉄グループ経営計画(平成22年度~平成26年度)」に基づき、各種施策を推進しております。具体的には、主要ターミナルである阿部野橋において大規模な開発整備計画を推進してまいりました。これは、当社が将来にわたって持続的成長を実現するために必要な沿線開発投資でありますが、経済情勢や事業環境の変化などにより、所期の成果が得られず、事業及び財務に影響を与える可能性があります。
また、本計画では、鉄道事業をはじめとする各事業において構造改革を進めるとともに、収益基盤の確立に向けた事業創出を図り、必要な利益の確保と財務体質の健全性の向上に努めることとしておりますが、計画通りに進捗しない場合、事業及び財務に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、激変する経済環境や社会構造の変化に柔軟かつ迅速に対処することによって、計画の目標達成に格段の努力を払ってまいります。
(6) 鉄道事業法による規制
鉄道事業者は、鉄道事業法(昭和61年法律第92号)の定めにより経営しようとする路線及び鉄道事業の種類毎に国土交通大臣の許可を受けなければならず、さらに旅客運賃の設定・変更は、国土交通大臣の認可を受けなければならないとされております。なお、認可される運賃は上限運賃とされ、その範囲内で運賃を設定または変更しようとするときは、あらかじめ国土交通大臣に届け出なければならないとされております。このため、運賃の設定・変更については制限される可能性があります。
(7) 商品の品質並びに食品の安全性及び表示に対する信用毀損
主として一般消費者を顧客としている流通業及びホテル・レジャー業において、当社グループが販売する商品の品質や食品の安全性・表示について信用毀損が生じた場合、減収等により業績が悪化するおそれがあります。
当社グループでは、関係法令の遵守状況の確認や品質・衛生管理・食品表示のチェックなどを実施し、商品の品質・食品の安全性の確保、適切な食品表示に努めております。
(8) 地価の下落等
不動産市況の低迷や地価の下落に伴う販売用土地及びマンションの販売不振、不動産賃料収入の減少、販売土地建物及び固定資産についての評価損失の計上などにより、業績が悪化するおそれがあります。
当社グループとしては、地価変動の影響を極力避けるため保有資産の圧縮を進めるとともに、魅力ある新規物件の開発促進や、低利用地の更なる有効利用によって、不動産業の業績向上に努めています。
(9) 原油価格等の高騰
原油価格の上昇は、当社グループのバス事業、タクシー事業、物流業などに大きな影響を与えます。また、不動産業におけるマンション建築工事費やホテル業、飲食店業におけるエネルギーコストの上昇は、利益減の要因となります。各事業において原価の抑制に努めているものの、原油等の価格が想定以上の水準にまで高騰した場合には、業績が悪化するおそれがあります。
(10) テロリズム・戦争等の国際情勢不安の発生
テロや戦争の発生など国際情勢不安により、当社グループの旅行業やホテル業、物流業が影響を受け、業績が悪化するおそれがあります。
当社グループとしては、正確な情報を収集し風評被害の拡大防止に向けて適切に対処するとともに、安全性の高い代替企画や商品を開発するなど損害を最小限に食い止めるよう努めております。
(11) 調達金利の変動
景気の急激な変動や金融市場の混乱等により、今後市場金利が上昇または乱高下した場合や、信用格付業者による格付の変更が行われた場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、「近鉄グループ経営計画」に従い、有利子負債残高を平成22年度末をピークに順次削減を進め、連結有利子負債比率は平成25年度末には61.7%と前年度末から5.7ポイント改善してきており、また、金利変動による影響を軽減するため、金利の長期固定化を図っております。
(12) 個人情報の漏洩
当社グループは、定期乗車券の発売やカード会員の募集、ホテル、百貨店、旅行業等の営業を通じ、お客様の個人情報を大量に保有しております。万一個人情報が漏洩した場合、損害賠償等による費用が発生するほか、信用失墜などにより、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、個人情報の漏洩を防ぐため、個人情報保護法等法令並びに各社が制定する規程等に基づき、各社がその責任においてお客様の個人情報を厳重に管理しております。