有価証券報告書-第103期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/23 9:14
【資料】
PDFをみる
【項目】
126項目

業績等の概要

(1)概 況
当連結会計年度(以下、当期という。)のわが国経済は、財政出動や大規模金融緩和により企業収益や雇用情勢が徐々に改善するなど緩やかな景気回復基調のうちに推移し、期末にかけては消費税率引上げに伴う駆け込み需要もあって個人消費も一段と増加しました。
このような情勢のもと、当社グループでは、伊勢神宮で第62回式年遷宮が執り行われ全国的に注目が高まったのを好機として、昨年3月の運行開始以来ご好評を博している観光特急「しまかぜ」、全車両リニューアルを完了した「伊勢志摩ライナー」等により当社特急サービスを強化したほか、運輸、流通、ホテル・レジャーの各事業において、伊勢志摩地域への積極的な旅客誘致と地域内周遊の仕掛けづくりに努めました。平成20年から建設を進めてきた阿部野橋ターミナルビル「あべのハルカス」については、開業準備を滞りなく進め、昨年6月の近鉄百貨店「あべのハルカス近鉄本店」一部先行開業に続き、本年3月には「大阪マリオット都ホテル」、「あべのハルカス美術館」、展望台「ハルカス300」、オフィスフロア等を含めた全館をグランドオープンいたしました。また、当社新規事業として、奈良県、三重県、大分県の3カ所で大規模太陽光発電事業を開始しました。奈良県の「花吉野ガーデンヒルズ」では、災害時に当社の太陽光発電を活用する電力供給モデルシステムを地方自治体と共同で構築し、地域貢献にも努めることとしております。このほか、前期に子会社となったKNT-CTホールディングス株式会社において、傘下の近畿日本ツーリスト株式会社とクラブツーリズム株式会社との統合効果発揮を目指した諸施策を推進するなど、グループ全般にわたって、事業基盤の整備、強化を図り、収益の確保と業績の向上に努力を傾けてまいりました。
一方、当社では、昨年9月、「あべのハルカス」建設工事資金等に充当するため、新株式発行による約675億円の資金調達を行い、資本の増強を通じ財務体質の強化に努めました。
以上の結果、連結営業収益は、前期に比較して33.7%増の1兆2,463億60百万円となり、また、営業利益は15.1%増の546億23百万円、経常利益は33.5%増の468億24百万円となりました。これに特別利益および特別損失を加減し、法人税等を控除した後の当期純利益は、前期に比較して23.0%増の245億98百万円となりました。
各報告セグメントの業績は、次のとおりであります。
①運 輸
(A)概 要
運輸業におきましては、当社鉄軌道事業の運転保安度の一層の向上を目指して、連続立体交差化、速度制限用ATS設置等の諸工事を引き続き推進しました。また、伊勢神宮式年遷宮に合わせて、「しまかぜ」運行をはじめとする特急サービス強化に加え、昨年10月から伊勢市・賢島間で、地域特産品の振舞い等の車内イベントを行う観光列車「つどい」の運行を開始し、本年3月には三宮・賢島間の団体向け臨時列車として、当社特急車両による阪神電気鉄道線との直通運転を開始するなど、伊勢志摩地域への旅客誘致に積極的に取り組みました。このほか、「あべのハルカス」開業の効果もあり、当社鉄軌道線の乗車人員は前期に比較して1.7%増の5億74百万人となりました。さらに、近鉄バス株式会社では、あべの橋・関西国際空港間のリムジンバス、あべの・上本町循環バスなど新規路線の開設を行い、あべのハルカスにお越しのお客様の利便性を向上しました。一方、電力料金の改定により動力費が大幅に増加したほか、バス、タクシー会社等でも、原油高や円安に伴い燃料油脂費が増加いたしました。
この結果、営業収益は前期に比較して4.1%増の2,225億77百万円、営業利益は2.4%増の303億71百万円となりました。
なお、厳しい収支状況が恒常的に続いている当社内部線および八王子線については、沿線自治体の四日市市と協議を重ねた結果、平成27年春を目途に事業形態の変更を行うことといたしました。具体的には、同市が鉄道施設および車両を所有し、当社と同市が共同で設立した「四日市あすなろう鉄道株式会社」が事業を営む、いわゆる公有民営方式に移行する予定です。
(B)営業成績
a.提出会社の鉄軌道事業運輸成績表
区 分単 位当 期
(平成25年4月~平成26年3月)前期比(%)
営業日数3650.0
営業キロ程キロ508.10.0
客車走行キロ千キロ288,7510.9
旅客人員定期千人342,2861.2
定期外千人232,6532.6
千人574,9391.7
旅客運輸収入旅客収入定期百万円48,0321.1
定期外百万円101,8434.5
百万円149,8763.4
荷物収入百万円44△8.3
合計百万円149,9203.4
線路使用料百万円1,0817.0
運輸雑収百万円6,929△8.8
営業収益計百万円157,9312.8
乗車効率%29.3-

(注)乗車効率の算出は、延人キロ/(車両走行キロ×平均定員)によります。
b.グループの営業成績
業 種単 位当 期
(平成25年4月~平成26年3月)前期比(%)
鉄軌道事業百万円158,3082.8
バス事業百万円34,3261.2
タクシー業百万円11,5544.3
交通広告業百万円8,9976.4
鉄道施設整備業百万円25,4849.5
海運業百万円2,0866.0
レンタカー業百万円3,1041.1
消去百万円△21,285-
営業収益計百万円222,5774.1

②不動産
(A)概 要
不動産業におきましては、不動産販売業では、当社沿線の学研奈良登美ヶ丘、白庭台、あやめ池などの奈良県北部エリアをはじめとして、関西圏、東海圏、首都圏等においてマンションや戸建住宅の販売に努めました。また、不動産賃貸業では、「あべのハルカス」でオフィスの賃貸を開始しました。
この結果、営業収益は前期に比較して16.9%増の1,593億11百万円、営業利益は49.3%増の122億1百万円となりました。
(B)営業成績
業 種単 位当 期
(平成25年4月~平成26年3月)前期比(%)
不動産販売業百万円100,32710.2
不動産賃貸業百万円22,25018.4
不動産管理業百万円42,63036.1
消去百万円△5,896-
営業収益計百万円159,31116.9

③流 通
(A)概 要
流通業におきましては、百貨店業で、日本最大級の営業面積となった近鉄百貨店「あべのハルカス近鉄本店」が完成して売上げを伸ばしましたが、昨年2月末に近鉄松下百貨店を閉店した影響もあり、百貨店業全体では前期の営業収益をやや下回りました。一方、ストア・飲食店業では、当社駅構内売店のファミリーマート店舗への転換を進めたほか、高速道路サービスエリアのレストラン施設リニューアル、近商ストアの新規店舗開業など店舗の改装や新規出店等に努めましたため、前期に比較して増収となりました。
この結果、営業収益は前期に比較して0.7%増の3,820億37百万円、営業利益は5.4%増の48億29百万円となりました。
(B)営業成績
業 種単 位当 期
(平成25年4月~平成26年3月)前期比(%)
百貨店業百万円275,630△0.1
ストア・飲食業百万円108,1023.1
消去百万円△1,695-
営業収益計百万円382,0370.7

④ホテル・レジャー
(A)概 要
ホテル・レジャー業では、本年3月、「あべのハルカス」において、関西初進出となる世界有数のホテルブランドと提携した「大阪マリオット都ホテル」を開業いたしました。また、伊勢神宮ご参拝のお客様を伊勢志摩地域の当社宿泊施設等へ積極的に誘致するとともに、外国人利用客の増加や景気の回復などもあり、ホテル等の収入は好調に推移しました。さらに、KNT-CTホールディングス株式会社が連結子会社となったこと、同社傘下の旅行会社において式年遷宮に合わせた伊勢志摩地区への送客に積極的に取り組んだことなどから、旅行業の営業収益が大幅に増加しました。
この結果、営業収益は前期に比較して138.5%増の5,004億75百万円、営業利益は46.9%増の57億99百万円となりました。
(B)営業成績
業 種単 位当 期
(平成25年4月~平成26年3月)前期比(%)
ホテル業百万円48,9315.6
旅行業百万円436,883192.1
映画業百万円3,2163.4
旅館・レジャー施設業百万円11,5936.9
消去百万円△149-
営業収益計百万円500,475138.5

⑤その他
(A)概 要
その他の事業におきましては、ケーブルテレビ業で新規加入者の獲得に努めた結果、ケーブルテレビ、インターネット、電話ともに加入者数が大きく増加しました。
この結果、営業収益は前期に比較して6.2%増の143億81百万円、営業利益は35.6%増の10億58百万円となりました。
(B)営業成績
業 種単 位当 期
(平成25年4月~平成26年3月)前期比(%)
ケーブルテレビ業百万円9,9257.3
情報処理業百万円3,8652.9
保険代理業百万円58910.2
消去百万円--
営業収益計百万円14,3816.2

(2)キャッシュ・フロー
当期末における現金及び現金同等物は602億2百万円で、前期末と比較して134億1百万円増加いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得た資金は924億32百万円で、税金等調整前当期純利益や仕入債務の増減額の増加等により、前期と比較して136億39百万円収入額が増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は417億31百万円で、固定資産の取得による支出の減少や固定資産の売却による収入の増等により、前期と比較して77億54百万円支出額が減少しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は377億51百万円で、株式の発行による収入はありましたが、社債の償還や借入金の返済を進めましたため、前期と比較して129億39百万円支出額が増加しました。