有価証券報告書-第59期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/20 14:40
【資料】
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【項目】
60項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
(1) 経営の基本方針
日立物流グループは、経営理念である「広く未来をみつめ人と自然を大切にし良質なサービスを通じて豊かな社会づくりに貢献します」のもと、高度化・多様化・広範化しているグローバルサプライチェーンにおいて、お客様・株主・従業員などあらゆるステークホルダーから、最も選ばれるソリューションプロバイダとなることをめざし、さまざまな『協創』を通じた課題の解決と『価値』の創出に取り組み、持続的な成長を実現していく。
(2) 中長期的な経営戦略について
[基本方針]
日立物流グループは、2016年4月より2018年度を最終年度とする中期経営計画「価値協創2018-Value Creation2018-」をスタートした。当該中期経営計画においては、コア事業である「3PL事業の徹底強化とシェア拡大」「フォワーディング事業の拡大」「重量・機工事業の強化」を基本戦略とし、顧客やパートナーも含めた『協創』を活性化することで、新たな『価値』を創出するとともに、当社グループの「稼ぐ力」と「成長する力」、そしてこれらを「継承する力」を強化することにより、当社グループの企業価値の向上をめざす。
[重点施策]
「IoT」「AI(人工知能)」「ロボティクス」といった技術のブレイクスルーや、「フィンテック」「シェアリングエコノミー」といった社会におけるサービス・手段・価値観の多様化が進む中、“機能としての物流強化”を中核としながらも、事業・業界を超えた協創領域の拡大を図り、新たなイノベーションの実現に向けた施策を推進する。
① 3PL事業の強化と進化
ⅰ. 国内3PL事業の強化
(a) デリバリーソリューションの強化(「BtoB」事業から「BtoBtoC」事業への拡張)
(b) 地域事業会社主導による地域密着型事業の展開加速
(c) スマートロジスティクス新技術導入による現場改善と差異化
(d) スタンダードモデル(汎用型3PL)の構築・導入による、産業別(メディカル・自動車・流通・
生活品他)・エリア別プラットフォーム事業の拡大
ⅱ. 海外3PL事業の強化
[アジア] トラックネットワーク拡充(域内クロスボーダー物流拡大他)とコールドチェーンの拡大
[北 米] NAFTA輸送ネットワーク拡充による自動車部品3PL事業の拡大と次世代物流センター稼働
(Non-Auto分野)
[欧 州] トルコを基点としたインターモーダル事業の拡大(北欧・中央アジアへの展開)
[中 国] 内陸事業の拡大(西安、重慶、成都)
ⅲ. ロジスティクスパートナーからSCMパートナーへの進化
コンサルティング力と3PL運営力による最適SCMのデザイン
② 重量・機工事業の強化
ⅰ. 電力・エネルギー、交通、産業・生産設備等の社会インフラ関連事業の国内外での受注拡大
ⅱ. プラント3PL事業と機工・環境事業の拡大
③ フォワーディング事業の強化
ⅰ. グローバル一体運営による収益力の向上とオフショア事業の強化
ⅱ. 3PL・重量機工と組み合わせたプロジェクトフォワーディングの拡大
④ シームレスな総合物流サービスの実現にむけた協創・協業の推進
ⅰ. SGホールディングスとの協創・協業の推進
ⅱ. 物流領域・サプライチェーン領域における水平・垂直連携の推進
ⅲ.事業領域に応じたポートフォリオ戦略の実行
⑤ 不断の働き方改革の実行
「ダイバーシティ&インクルージョン」「制度標準化(処遇改善)」「物流センター等現場の環境改善」
「全員教育」等の施策を通じた“人財の確保・定着・育成”と“生産性の向上”
⑥ 企業倫理意識に基づく行動
ⅰ. ESG(環境・社会・ガバナンス)分野での企業の社会的責任を重視した取り組み推進
ⅱ. 基本と正道の徹底(コンプライアンス・ガバナンス強化)
ⅲ.「物流品質」「情報セキュリティ」「AEO・輸出管理」「グリーンロジスティクス」等の強化推進
ⅳ.「安全は全てに優先する」「歩き回って安全をつくる。立ち止まって不安全を取り除く。」をスローガン
とした、予防保全への取り組み推進
なお、当社は、2016年3月にSGホールディングス株式会社及び同社の子会社である佐川急便株式会社(以下、当社並びにSGホールディングス株式会社及び佐川急便株式会社を合わせて「両社」という。)との間で資本業務提携契約(以下、「本資本業務提携」という。)を締結し、当社は本資本業務提携に基づき同年5月に佐川急便株式会社の株式の発行済株式総数比(自己株式除く)20%を66,318百万円で取得した。また、本資本業務提携の成果を踏まえ、両社の経営統合の可能性について協議・検討する。
本資本業務提携により、両社の3PL事業における強み、豊富なノウハウや顧客基盤、佐川急便株式会社の輸配送能力、当社グループのロジスティクス・テクノロジーとを最大限に活用することで、3PLとデリバリーがシームレスにつながる総合物流の提供が可能となり、当社グループの企業価値の最大化を図れると考えている。
また、当社は、2016年5月12日に東京証券取引所の定めに基づき公表した2018年度中期経営計画値(売上収益:8,000億、調整後営業利益:340億円、受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益400億円、親会社株主持分当期利益率(ROE)10.8%)を、2018年4月27日に、M&Aによる収益寄与が発生しなかったことと上記両社との営業戦略の見直しにより売上収益を当初計画に比べ11%減少となる7,100億円、M&Aの影響と次世代/新技術や働き方改革他への先行投資の実施等により調整後営業利益を当初計画に比べ9%減少となる310億円に、それぞれ変更している。これに伴い、受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益を当初計画に比べ13%減少となる347億円、親会社株主持分当期利益率(ROE)を当初計画に比べ1.2%少ない9.6%にそれぞれ変更している。
日立物流グループは、スマートロジスティクスの領域を超え、ブランドスローガンである“未知に挑む”
当社グループの姿を、新たなビジネスコンセプト『LOGISTEED』に込めて始動します。
※『LOGISTEED』 :LOGISTICS + Exceed, Proceed, Succeed & Speed
ロジスティクスを超えてビジネスを新しい領域に導いていく意思を込めたコンセプトワード