有価証券報告書-第60期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/19 15:09
【資料】
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【項目】
98項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
(1) 経営の基本方針
日立物流グループは、経営理念である「広く未来をみつめ 人と自然を大切にし 良質なサービスを通じて 豊かな社会づくりに貢献します」のもと、高度化・多様化・広範化しているグローバルサプライチェーンにおいて、お客様・株主・従業員などあらゆるステークホルダーから、最も選ばれるソリューションプロバイダとなることをめざし、さまざまな『協創』を通じた課題の解決と『価値』の創出に取り組み、持続的な成長を実現していく。
(2) 中長期的な経営戦略について
[基本方針] 日立物流グループは、ブランドスローガン「未知に挑む。」とビジネスコンセプト「LOGISTEED」を掲げ、機能としての物流強化(スマートロジスティクス)を中核としながらも、事業・業界を超えた協創領域の拡大を図り、ロジスティクスの領域を超えた、新たなイノベーションを創出する。
『LOGISTEED』 :LOGISTICSと、Exceed、Proceed、Succeed、そしてSpeedを融合した言葉であり、
ロジスティクスを超えてビジネスを新しい領域に導いていく意思が込められている。

本年度よりスタートする中期経営計画では、「IoT」「AI(人工知能)」「ロボティクス」「フィンテック」「シェアリングエコノミー」といった技術の進化・社会の変化に加えて、デジタル化の進展によりサプライチェーンの構造が大きく転換するなかで、当社グループ及び協創パートナーも含めたデジタライゼーションを推進し、オープンプラットフォームを構築することで、物流領域を基点/起点としたサプライチェーンを実現する。
当社グループは最も選ばれるソリューションプロバイダに向けて、「LOGISTEED」が掲げる姿へと変化・進化を遂げ、新たな存在価値を確固たるものとするとともに、さらなる企業価値の向上をめざす。
[重点施策]
ⅰ.強固なコア領域(スマートロジスティクス領域)構築のためのポートフォリオ戦略の実行
ⅱ.コア領域を強化するとともにさらなる領域拡大へとつなげる協創戦略の実行
(ⅰ) SGホールディングス㈱との協創によるコア領域強化と対象領域の拡大
(ⅱ) ㈱近鉄エクスプレス・㈱エーアイテイーとの協創を通じたフォワーディング事業における領域シフト
(コアからエッジへ)
(ⅲ) 日立キャピタル㈱との協創による「金流」「商流」「情流」「物流」の融合ソリューション創出
ⅲ.物流領域を基点/起点としたサプライチェーンのデザイン
(ⅰ) コア領域における「デジタルトランスフォーメーション×実業」の具現化
・スマートロジスティクス新技術開発と現場への実装加速
(ⅱ) 協創パートナーも含めたデジタライゼーションによる「物流現場力×プラットフォーム」の拡大
・安全安心のプラットフォーム(SSCV)
・拡大するEC事業でのプラットフォーム(ECPF)
・産業別プラットフォーム、地域別プラットフォーム展開
・これらを支えるデジタルプラットフォーム構築に向けた協創
ⅳ.次世代につなぐオペレーションオリジン(現場主義)とその継承
(ⅰ)地域事業会社主導による強固な地域自律運営基盤の確立
(ⅱ)「ダイバーシティ&インクルージョン」「働き方改革」「全員教育」等の施策を通じた“人財の確保・
定着・育成”
(ⅲ)全社ボトムアップ施策を通じた、わたくしごと化の推進(VC21活動)
ⅴ.環境・社会・ガバナンスと企業倫理を意識した行動
(ⅰ)CSR注力分野の推進 「次世代の産業やくらしの追求」「労働安全と生産性の向上」
「高い品質とレジリエンスの強化」「低炭素な事業プロセスの実現」
(ⅱ)「基本と正道」の徹底(コンプライアンス・ガバナンス強化)
(ⅲ)「物流品質」「情報セキュリティ」「AEO・輸出管理」「グリーンロジスティクス」等の強化推進
(ⅳ)「安全第一(Safety First)」をスローガンとした、予防保全への取り組み推進
なお、当社は、2016年3月にSGホールディングス株式会社及び同社の子会社である佐川急便株式会社(以下、当社並びにSGホールディングス株式会社及び佐川急便株式会社を合わせて「両社」という。)との間で資本業務提携契約(以下、「本資本業務提携」という。)を締結し、当社は本資本業務提携に基づき同年5月に佐川急便株式会社の株式の発行済株式総数比(自己株式除く)20%を66,318百万円で取得した。また、本資本業務提携の成果を踏まえ、引き続き両社の経営統合の可能性について協議・検討する。
本資本業務提携により、両社の3PL事業における強み、豊富なノウハウや顧客基盤、佐川急便株式会社の輸配送能力、当社グループのロジスティクス・テクノロジーとを最大限に活用することで、3PLとデリバリーがシームレスにつながる総合物流の提供が可能となり、当社グループの企業価値の最大化を図れると考えている。
また、当社は、2019年5月24日に東京証券取引所の定めに基づき、2019年度から2021年度(自2019年4月1日 至2022年3月31日)を対象とした中期経営計画を公表している。
[2021年度中期経営計画値]
・売上収益:7,200億円
・調整後営業利益:360億円
・受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益:400億円
・ROE:10%超