有価証券報告書-第101期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/27 14:38
【資料】
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【項目】
110項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)を取り巻く環境としては、経済情勢に不安要素はあるものの、各種政策により景気観は概ね改善基調となりました。地域経済においても概ね景気観は改善基調となったほか、昨年3月に延伸開業した北陸新幹線による主に観光面への波及効果も見られました。一方で、当社グループが置かれている状況としては、地域人口の減少や石油製品の需要減、同業者間での競争など、引き続き厳しい経営環境にあります。
このような中で、運輸事業においては乗合バス事業やタクシー事業のご利用者数減少、貸切バス事業の受注減などの影響により、減収となりました。流通事業におきましては、主力の石油販売において石油製品の販売量が減少したことと、原油価格の下落に伴い小売価格が下がったことから大幅な減収となりました。
当連結会計年度の当社グループの売上高は4,417,139千円(前連結会計年度比78.0%)、営業費は4,710,808千円(前連結会計年度比78.7%)となり、営業損失は293,668千円(前連結会計年度比91.0%)と前年より改善しました。経常損失は311,355千円(前連結会計年度比95.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益は89,920千円と前連結会計年度に比べ275,583千円の大幅な改善となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
①(運輸事業)
鉄道事業においては、引き続き各方面の多大な支援を頂きながら「鉄道事業再構築実施計画」を実行しております。当年度は以前より準備を進めてまいりました、えちぜん鉄道三国芦原線との相互直通事業と福井駅西口広場への福井駅前電停移設事業が完成し、3月27日のダイヤ改定より営業運転を開始しました。これまでも沿線の企業・学校・各種団体への利用促進活動を実施しておりましたが、今回の相互直通運転、電停移設を更なる利用促進につなげるよう活動してまいります。設備面では、安全で快適な輸送サービスを提供できるよう、老朽化した設備の更新・改修として重軌条化や電停の改修、軌道線区間の軌道改修、F1000形車両第3編成の導入等を行いました。10月に軌道線区間において脱線事故が発生し、皆様に大変ご迷惑・ご心配をお掛けいたしましたが、この事故に関して軌道線区間の緊急対策工事を施工しました。期間中のご利用者数は、定期外利用者数はほぼ横ばいとなりましたが、定期利用者数が引き続き堅調に推移した結果、1,983千人(前連結会計年度比102.5%)と好調に推移しました。収入面につきましてもご利用のお客様の増加により、営業収益が372,935千円(前連結会計年度比102.5%)と増収となりました。
旅客自動車運送事業においては、乗合バス事業の高速乗合バスについて、運行ダイヤの変更や混雑時の増便・増発を行い需要の取り込みを図ったほか、福井大阪線に安全性・快適性を向上させた新車両を1台導入するなど、共同運行各社とともに安全・快適なサービスの提供に努めました。高速乗合バスのご利用者数は、小浜大阪線の利用の落ち込みが続いているものの他の各路線が概ね堅調に推移したため、対前年比101.0%とほぼ前年並みとなりました。一般路線バスについては、お客様がご利用しやすいようダイヤの修正や一部路線でのフリー乗降制度の導入等を行ったほか、福井駅西口バスターミナルの完成に伴い3月27日より当社福浦線の乗り入れを開始しました。また、老朽化した車両の更新として乗降しやすいノーステップ型の新車両を引き続き導入したほか、状態の良い中古車両を購入するなどサービス向上と維持コスト・環境負荷の低減を図りました。ご利用者数は、少子化や沿線人口の減少を受けて引き続き減少傾向が続いており、前年比97.1%となりました。コミュニティバスについては、当社グループ各社が自治体より委託を受けて運行を行っており、各沿線自治体と協調してダイヤ・路線の見直しや利用促進策の実施に努めました。ご利用者数はほぼ前年並みとなりました。また、当年度より、大和交通㈱が若狭町より委託を受けて新たにデマンド型の乗合タクシーの運行を開始しました。運行開始後、徐々にご利用のお客様数は増加しており、今後の利用動向も注視しつつ、安全で快適な運行に努めてまいります。
貸切バス事業においては、北陸新幹線金沢延伸に伴う観光利用の取り込みなど新たな顧客の獲得に努めるとともに、企業の通勤輸送や学校の通学輸送などの契約輸送の獲得を図りました。また、研修や指導による運転技術・接客マナーの向上を図り、お客様に再度選んでいただけるよう安全・快適なサービスの提供に努めました。設備面では、老朽化した車両の更新・改修を行いお客様サービス・安全性の向上と維持コスト・環境負荷の低減を図ったほか、需給状況を考慮した必要車両数の適正化を行い、維持コストの低減と運行の効率化、車両稼働率の向上を図りました。国による新しい運賃制度により運賃水準の向上が図られましたが、観光シーズン以外の受注の低迷などによりご利用は減少傾向が続いております。
乗合、貸切を合わせた旅客自動車運送事業全体の営業収益は1,291,308千円(前連結会計年度比96.5%)となり、前年よりも減収となりました。
タクシー事業においては、需要の落ち込みや同業各社間での競争によるご利用の減少傾向が続いております。また、乗務員の不足傾向に伴い稼働台数が減少していることから、繁忙時間帯などで需要の取りこぼしも見受けられるようになっております。当年度についても運行体制の効率化を進めるとともに、引き続きお客様に選んでいただけるよう安全・快適なサービスの提供に努めました。設備面では老朽化した車両の更新を行い安全性と快適性を向上させました。タクシー事業における営業収益は275,056千円(前連結会計年度比96.4%)と前年よりも減収となりました。
運輸事業全体では営業収益は1,929,937千円(前連結会計年度比97.5%)となり、前年よりも減収となりました。営業費用については、原油価格の下落に伴い燃料費が大幅に減少したこと、車両数や人員減少、営業体制の効率化などから、2,283,298千円(前連結会計年度比97.2%)となりました。これにより営業損失は344,023千円(前連結会計年度比95.0%)となり、前年よりも18,064千円の改善となりました。

セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成27年4月1日
至 平成28年3月31日)
営業収益(千円)前年同期比(%)
鉄道事業372,935102.5
旅客自動車運送事業1,291,30896.5
タクシー事業275,05696.4
セグメント内消去△2536.8
セグメント間消去△9,337127.3
営業収益計1,929,93797.5

提出会社の運輸成績表(鉄道事業)
項目単位当事業年度
(自 平成27年4月1日
至 平成28年3月31日)
前年同期比(%)
営業日数366100.3
営業キロキロ21.5100.5
客車走行キロ千キロ1,591101.1
定期千人1,018105.9
輸送人員定期外96599.2
1,983102.5
定期百万円143106.3
旅客運輸収入定期外214100.2
358102.6
小荷物--
運輸雑収14101.3
運輸収入合計372102.5
乗車効率%20.1102.0

(注) 乗車効率の算出方法
乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)/(客車走行キロ×平均定員)×100
提出会社の運輸成績表(自動車事業)
項目単位当事業年度
(自 平成27年4月1日
至 平成28年3月31日)
前年同期比(%)
営業日数366100.3
営業キロキロ1,689.57100.3
旅客人員乗合千人1,00098.4
貸切23094.2
乗合
旅客収入百万円60299.2
運送雑収10101.9
61399.3
貸切収入26194.2
収入合87597.7
車両走行キロ乗合キロ3,016,85598.7
貸切キロ672,53993.2
車両走行キロ当り収入乗合203.26100.6
貸切389.41101.7


②(流通事業)
流通事業におきましては、石油類・ガス販売事業において、原油価格が世界経済の鈍化傾向や供給量過剰の見通しにより、前年度よりも大幅に下落しました。これにより調達コストが減少した一方で売上高も大きく減少することとなりました。同業他社との価格競争については引き続き厳しい状況にありますが、当社グループでは安定的な運営のため一定水準の利益を確保できるよう努めました。また、スタンドでの一般顧客向けに洗車などの各種キャンペーンを実施し、お客様数の増加とお客様単価の引上げを図りました。販売量については、近年ハイブリッド車や電気自動車の普及、車両燃費向上、オール電化等による石油需要の減少により減少傾向が続いておりますが、加えて当年度は暖冬の影響により冬場の暖房用石油製品の販売が低迷したこと、事業者向けの大口販売において一定水準の利益率が確保できるように取扱いを一部見直したことなどにより、減少となりました。設備面では、老朽化したスタンド設備の改修工事や石油貯蔵タンクの改修を行い、安全性の向上を図りました。当連結会計年度の石油類・ガス販売事業の営業収益は、2,393,035千円(前連結会計年度比65.8%)と前年より大幅な減収となりました。
物品販売業では、事業者向けの大口販売先の減少や大型量販店の増加、ネット通販等の普及に伴う一般顧客向けの販売減少により、全般的に販売量の減少が続いております。営業収益は66,489千円(前連結会計年度比81.9%)と前年より減収となりました。
流通事業全体の営業収益は石油製品小売価格の下落、販売量の減少により2,278,862千円(前連結会計年度比65.7%)と前年より大幅な減収となりました。営業費用についても原油価格の下落に伴う売上原価の減少、運営効率化などにより2,409,343千円(前連結会計年度比66.1%)と前年よりも大幅に減少いたしました。この結果、営業損失は7,880千円(前連結会計年度比50.2%)となり、前連結会計年度より7,832千円の改善となりました。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成27年4月1日
至 平成28年3月31日)
営業収益(千円)前年同期比(%)
石油類・ガス販売事業2,393,03565.8
物品販売業66,48981.9
セグメント内消去△58,06268.4
セグメント間消去△122,60075.9
営業収益計2,278,86265.7

③(不動産事業)
不動産事業におきましては、一部の賃貸契約において面積や賃料の条件見直しを行ったため、営業収益は37,539千円(前連結会計年度比109.6%)と前年より増収となりました。営業利益は33,630千円(前連結会計年度比123.7%)となりました。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成27年4月1日
至 平成28年3月31日)
営業収益(千円)前年同期比(%)
不動産事業55,377118.5
セグメント内消去--
セグメント間消去△17,838382.1
営業収益計37,539109.6

④(その他)
その他事業におきましては、旅行事業においては四半期ごとに各種自社企画ツアーの展開を行ったほか、手配旅行に関しては取引先企業・団体などへの営業活動を積極的に実施しました。当年度は大口の手配旅行取扱いが増加に転じたため、営業収益は47,236千円(前連結会計年度比101.1%)と前年よりやや増収となりました。
自動車整備事業においては、当社グループの営業車両の整備業務のほか、スタンドでの一般顧客向けの車検や車両整備の受付を行い取扱い数の増加を図りましたが、グループ内での大掛かりな整備が前年より減少したこと、車両数適正化により車両数が減少しているため、営業収益は183,333千円(前連結会計年度比92.5%)と前年より減収となりました。
広告・その他事業においては、広告業においては広告取扱い量の減少傾向が続いているため、減収となりました。レンタカー業においては夏場など観光シーズンを中心にご利用が増加しましたが、シーズン以外の需要が伸びず減収となりました。保険業に関しても取扱い件数の伸び悩みにより手数料収入が減少したため、減収となりました。広告・その他事業の営業収益は56,063千円(前連結会計年度比92.2%)となりました。
これらの結果、その他の事業全体での営業収益は170,801千円(前連結会計年度比93.1%)と前年よりも減収となりました。営業利益は24,642千円(前連結会計年度比88.7%)と大きく減少いたしました。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成27年4月1日
至 平成28年3月31日)
営業収益(千円)前年同期比(%)
旅行事業47,236101.1
自動車整備事業183,33392.5
その他事業56,06392.2
セグメント内消去△00
セグメント間消去△115,83094.9
営業収益計170,80193.1

(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前年同期と比較して53,343千円増加し、553,065千円(前連結会計年度比110.7%)となりました。
この内、営業活動によるキャッシュ・フローは1,082,145千円(前連結会計年度1,248,332千円)、投資活動によるキャッシュ・フローは△1,083,043千円(前連結会計年度△1,014,869千円)、財務活動によるキャッシュ・フローは54,240千円(前連結会計年度△130,019千円)となりました。