有価証券報告書-第101期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/27 14:38
【資料】
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【項目】
110項目

対処すべき課題

(1) 鉄道事業再構築実施計画について
当社鉄道事業においては、平成21年2月に国土交通大臣の認定を受けた「鉄道事業再構築実施計画」において、地域に必要とされる交通機関として利用人員を増加させ安定した運営を実現するべく、平成29年度の年間利用者数200万人台と鉄道事業運営の安定化を目標に、沿線自治体やサポート団体、地域住民と連携しつつ、ソフト・ハード両面で各種施策を進めております。
これまでに以下のような施策を実施しております。
○ソフト面
・各種企画乗車券の設定
・ダイヤ改正による乗車機会の増加(急行停車駅見直し、運転間隔均等化、夜間1往復増発)
・路線バスとの連携強化(赤十字病院線、麻生津循環線、清明循環線各路線の新設、再編)
・地域と連携したイベントの実施(福鉄感謝祭、沿線ウォーキング など)
・えちぜん鉄道線との連絡乗車券の発売、初乗り運賃値下げ
○ハード面
・線路設備、電路設備更新(軌道更新・重軌条化、信号通信設備更新、橋梁改修 など)
・新駅設置(スポーツ公園、泰澄の里、清明)
・駅舎整備、改修(バリアフリー化、多機能トイレ設置、放送案内装置更新、駐輪場整備 など)
・パークアンドライド駐車場整備(12駅357台分 県営、提携含む)
・新型LRV導入(F1000形 愛称「FUKURAM」)
これらの各種施策や沿線の皆様のご支援によって、ご利用者数は増加傾向が続いております。今年度の年間利用者数は1,983千人と前年より約49千人の増加(+2.5%)となりました。
年間利用者数の推移 (単位 千人)
平成20年度平成21年度平成22年度平成23年度平成24年度
年間利用者数1,6051,6391,7301,7581,778
平成25年度平成26年度平成27年度平成28年度平成29年度
年間利用者数1,9011,9341,983--

これまで特に定期券をご利用のお客様の増加が続いており、パーク&ライド用駐車場の整備や沿線企業への周知活動、学校での定期券販売などといった利用促進の各種取り組みの効果が現れてきていると考えております。また、3月27日にダイヤ改定を実施し、えちぜん鉄道三国芦原線との相互直通運転と、福井駅西口広場に移設した「福井駅」電停の使用を開始しました。現在のところ、福井駅西口再開発ビルの完成と併せて大変多くのお客様にご利用いただいておりますが、沿線人口の減少や更なる少子高齢化の進展など、鉄道事業を取り巻く環境は今後更に厳しい状況が予想されます。引き続き多くのお客様に選んでいただけるようサービス向上に努めるとともに、これらの設備投資を最大限活かしてご利用者数の更なる増加を目指して営業活動を強化していく必要があります。収支面につきましてはお客様の増加に伴い収入が増加しており改善傾向となっていますが、収入については定期券や企画乗車券をご利用のお客様が増加していることにより、お客様一人当たりの単価が下がる傾向にあります。また、費用については削減に努めておりますが、老朽化した各種設備の更新工事や販売促進に係る経費が増加していることから、大幅な収支改善には至っていないのが現状です。
平成28年度の計画としては、線路設備や電気設備などの老朽設備改修工事を引き続き実施するほか、軌道線区間の軌道改修工事を実施し、安全性・快適性の向上、騒音や振動の低減を図ります。また、床が低く乗り降りのしやすいLRV「FUKURAM」は、計画の最終となる第4編成の増備を行います。営業面では、えちぜん鉄道三国芦原線との相互直通運転や「福井駅」電停使用開始を活かしてさらなる利用促進に努めます。
今後も地域に親しまれる鉄道を目指して、安全・安定・快適な輸送サービス提供のため全体的なサービスレベルの向上に努めるとともに、鉄道事業の安定的な運営を目指して努力してまいります。

(2) 当社グループの経営環境について
当社グループの各事業においては、景気低迷による需要減、人口減少と少子高齢化、同業他社との価格面・サービス面での競争、経済情勢に左右される商品仕入れ価格の変動、消費者ニーズの多様化など、厳しい経営環境の中で事業を行っております。
こうした状況下、当社グループでは引き続き経営効率化や財務体制の強化を進め、経営の安定化に努めるとともに、お客様に選んでいただけるよう安全・安心で魅力あるサービスの提供や営業活動の強化を進め、収益力の向上に努めてまいります。