有価証券報告書-第124期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/31 10:57
【資料】
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【項目】
131項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループでは、以下のとおり当社グループの使命と経営理念を掲げ、一般旅客自動車運送事業を中核として、地域の生活に貢献するとともに、企業としての継続的な発展を図り社会的信用を獲得することを経営の基本方針としております。
(当社グループの使命)
「人と人、街と街を結ぶ企業として長崎のくらしを支え、社会の繁栄に貢献する。」
(経営理念)
①安全と安心
安全をすべてに優先し、信頼される企業をめざします。
②感謝のこころ
お客様の目線に立ち、おもてなしの心でサービスを提供します。
③仕事への誇り
働く喜びを実感できる、活力ある企業風土を大切にします。
④地域とともに
長崎のみらいを創造し、地域とともに歩みます。
(2)中長期的な会社の経営環境
当社グループを取り巻く環境は、恒久的な沿線の人口減少や、基幹産業の規模縮小による利用者減少など、引き続き厳しい状況が続いております。これに加え、本年度発生した世界的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、当社グループのみならず、世界的な経済打撃をもたらしており、未だ終息の気配もなく、厳しい経営状況を更に増幅させております。その一方で、長崎県においてはMICE複合型の大型ホテル建設が開始され、九州新幹線西九州ルート及びJR長崎本線の高架工事も進捗する中、長崎駅を中心とした区域にも大型ホテルの建設着工が計画されています。インバウンドを中心とした交流人口の拡大については、新型コロナウイルス感染症拡大以前の状況回復には多くの時間を要すると予想されます。アウトバウンドを中心とした交流人口拡大についても、長崎スタジアムシティプロジェクト始動にて更なる躍進が期待されますが、今後の新型コロナウイルス感染症のもたらす社会環境の変化を考察いたしますと、当初計画との乖離が予見されるものとなります。
新型コロナウイルス感染症の終息後、これら長崎市内中心部の大型プロジェクトが本格始動し、交流人口拡大に向けたインフラ整備がより一層加速することを視野に、新たな経営手法、スタイルが鋭意醸成され、再び、長崎県の経済成長を促すものと予測しております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
本県経済は、製造業を中心に改善の動きが見られるものの、観光業やサービス業は非常に厳しい状況が続いています。とりわけ、当社が基盤とする乗合バス事業は、沿線人口の減少に伴い乗客数が減少する中、今般のコロナ禍が追い打ちをかけ、かつて経験したことのない極めて厳しい環境下にあります。
バス利用者の急激な減少は、企業において在宅勤務やリモート会議などの導入が進んだことも要因の一つと考えられますが、これら新しい生活様式は、今後も一定程度継続され定着することが予測されるため、感染症収束後、直ちに回復傾向に転じるかについては懸念されるところです。
このような現状を打破し、地域の皆様の生活の足であるバス路線を維持存続させるため、当社では「乗合バス事業中期経営計画」を強力に推進して参ります。本計画は、「運用の改善」「路線の見直し」「顧客価値の向上」の三つを戦略の柱に、運行効率の向上と利用者の増加を図るものです。さらに、行政に対しては地域交通の維持存続に向けた積極的なコミットを要請し、県・市・民間による協力体制を構築する所存です。
関連事業部門では、国指定史跡「出島」のポテンシャルを最大限活用した観光振興策やイベントを本格始動します。本年前半には長崎港開港450周年との連携企画や音楽イベントを開催するほか、ナイトタイムエコノミー(※1)やユニークベニュー(※2)についても早期に実現を図り、増収に努めて参ります。
ポストコロナ、ウィズコロナの時代において、これまで基盤としてきた事業のみで勝ち残っていくことは難しく、新たな事業分野への進出や一層の効率化が求められます。
また、九州新幹線西九州ルートの暫定開業、出島メッセ長崎の開業、松が枝国際観光埠頭2バース化や長崎スタジアムシティプロジェクトといった大型開発事業をビジネスチャンスとして活かすためには、将来を予見し迅速に行動する必要があります。
長崎バスグループは、これまでのビジネスモデルにとらわれることなく、現状を変革の機会、成長の好機と前向きに捉え、地域の皆様とともに100年企業を目指して参ります。
※1:夜間に娯楽や文化などの商業活動を充実させること
※2:歴史的建造物、文化施設等で、会議等を開催することで特別感や地域特性を演出できる会場
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では経営上の目標の達成状況を判断する指標として、「売上高」、「営業利益」、「経常利益」及び「税引前当期純利益」を採用しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を予測することが困難なことから、2021年12月期の業績予想については未定とさせていただいております。