有価証券報告書-第58期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/30 10:10
【資料】
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【項目】
127項目

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
①自然保護と環境保全
当社の経営基盤である立山黒部一帯は、自然公園法による中部山岳国立公園の特別保護地区及び特別地域に含まれており、そのため、立山黒部アルペンルートの建設にあたっては、自然景観を損なわないよう、また自然に与える影響を最小限に抑えるよう細心の配慮のもと進められました。当社では、昭和46年の全線開業後においても、一貫して自然保護と環境保全を最優先課題に掲げ、立山の大自然を永久に守り伝えるため努力を続けています。
②安全保護と保守管理
立山黒部アルペンルートは、年間約100万人の観光客・登山客を迎えています。運輸機関が安全・快適であることは、観光地にとっての絶対必要要件であり、立山黒部の大景観を心ゆくまで満喫していただくために、保守管理体制を徹底・強化し、安全確保の維持に努めています。
③地域振興と国際観光
立山黒部地帯は、特異な風土(気候、気象、地形、景観など)が影響し、大自然、歴史と文化、電源開発、砂防事業など多くの魅力や資源にあふれており、国際的山岳観光地として、確固たる地位を築いています。
年間約100万人の観光客のうち、近年は海外からのお客様が年々増加し、20万人を超えるようになりました。
今後も、グローバルな営業を展開し国際観光振興に貢献していきます。
(2)経営環境
世界市場はウィズコロナで経済を回す立場へ変わりつつあり、人の流れが戻る気配を見せています。日本も同様に、ワクチン接種の進行と相まって、極端な人流抑制政策からの転換を図りつつあり、予断は許さぬものの少しずつ観光が回復していく方向へ向かうものと思われます。当社においても、効率的な事業運営に加えて旅客回復に向けた取り組みを進め、一日も早い業績の回復と経営基盤の安定化を図る必要があります。
今年度は全線開業51周年を経て、新しい次の一歩を踏み出す時となり、今まで築き上げてきた観光地としての地力や「立山黒部」のブランドを土台に、お客様のニーズに合わせて変えるべきは変え、引き続きお客様から選ばれる観光地を目指していかねばなりません。
令和3年12月、営業各部門を統括して組織横断的な課題を解決する役割を担う「営業統括本部」、およびアルペンルート全般の営業方針を策定する「営業企画室」を新設いたしました。今後とも、「感動を快適に」「変革への挑戦」「回復と蓄積」の3つのキーワードを基本方針とした中期経営計画を鋭意推し進めてまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①経営基盤の安定と効率的な事業運営
当社は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、前事業年度に続き、当事業年度においても重要な営業損失を計上しております。当該状況により継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しております。当該状況を解消し、経営基盤の安定を図るため、令和3年7月、欠損金を補填し財務体質の健全化を図るとともに、今後の資本政策の柔軟性および機動性を確保すべく、資本金および利益準備金額の減少ならびに剰余金の処分を行いました。
また、これまでの大量集客を前提とした事業運営を見直し、引き続きスリムな運営体制の構築を目指してまいります。加えて、予約制の拡充等により繁閑による旅客の変動を少なくし、平準化を図ることで、輸送力や要員の効率化に取り組んでまいります。
当社の所有するホテルの運営につきましては、旅行形態の変化等により経営環境が厳しさを増しておりました。コロナ感染流行の影響が長引く中、当社経営に与える影響を回避するため、令和2年度末に宇奈月国際ホテルを売却いたしました。
一方、弥陀ヶ原ホテルにつきましては、コロナ感染拡大により、令和2年度以降は営業を中止しておりましたが、令和4年度より外部会社へ運営を委託し、事業コストの縮小を図りつつ、営業を再開いたします。
より一層の収益向上のため、中核事業へ専念するスリムな体制を整え、更なる効率的な事業運営を目指してまいります。
なお、上記の改善策を推し進めることにより早期の業績回復を図っていくこと、また、資金面についても懸念がないことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
②ウィズコロナ・旅客回復
旅行スタイルはコロナ収束に向かうにつれて、徐々に「地元・近隣」から「遠方、広範囲」へ変化すると考えられますが、当面のポイントは個人旅客の積極的な誘致であります。
昨年度から稼働・販売を開始した「予約WEBきっぷ」をよりお買い求め易くするために便利な自動受取機を増設するなど、立山来訪の安心感や快適さに磨きをかけて一層の個人旅客の誘致体制を整えてまいります。
③安全・安心の確保
全線開業から50年を経て、世界に類のない山岳観光地で運輸事業を営む当社において、安全・安心の確保は守るべき当然の責務であります。全職場において、継続的に安全・安心の管理と教育を徹底し、法令遵守、ヒューマンエラー防止に取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策については、行政および関係機関と協議のうえ「立山黒部アルペンルート安全・安心ガイドライン」を策定し、お客様のご協力のもと安心してご乗車いただけるよう、引き続き周知いたします。
また、ウィズコロナにおける受入対策として、お客様用のアルコール消毒液の設置や、各乗り物の抗菌・抗ウイルス加工、駅舎等のアルコール消毒液を使用した定期的清掃、換気対策を講じた各乗り物の運行、お客様間の距離を確保するための案内誘導などを実施し、当社従業員においてもマスク着用、検温管理、手指消毒の自己管理や職場での感染対策の徹底を引き続き講じてまいります。
乗り物施設の安全対策や弥陀ヶ原火山災害発生のリスクに対しましては、行政および関係機関と連携しながら、施設調査や対策の検討、災害対応体制の構築、避難確保計画の策定などを進めてまいります。
今後とも、安全・安心の確保に対する取り組みを継続して行い、安全・安心な立山黒部アルペンルートの構築に役職員一丸となって邁進いたします。
④自然環境の保全
令和4年度の立山黒部アルペンルートは、関係機関のご協力ご配慮を得て4月15日に全線で営業を再開いたしました。営業再開にあたっては、早春の立山一帯における自然環境保全に対する理解の周知徹底に万全を期してまいりました。
引き続き、環境にやさしい施設の維持管理、ごみ処理対策の徹底、美化清掃活動の推進など、立山の大自然を守り伝えるための努力を続けてまいります。
今後とも自然公園法の目的に添い、自然にふれあうことで、その素晴らしさを知っていただけるよう、観光と環境保全の調和を図り、関係機関と連携して立山黒部の大自然を広く紹介してまいります。
(4)営業戦略
地元・近隣の個人誘致は、昨年度に引き続き、富山県・近隣県・関係市町村・関係機関等のご協力をいただきながら、気軽に予約購入できる「予約WEBきっぷ」を活用した自社商品などを積極的に企画・販売し、立山黒部の再発見、マイクロツーリズムの活性化に努めてまいります。
また、国内旅行会社とは、今まで連携してきた相互協力関係を土台にして、ウィズコロナの中でも、高付加価値で収益性のある商品を造成し、臨機応変の販売展開により誘客に努めてまいります。
さらに、今後は比較的感染者数の少ないアジアを中心に観光旅行再開が考えられることから、今後とも伸びしろのあるインバウンドについては、動向を注視しつつ再開に向けて万全を期してまいります。
立山黒部アルペンルートは、昨年度、「自然とともに50年 感謝を込めて」のビジョンのもと全線開業50周年を迎え、各記念行事・キャンペーン等で関係各所より多大なご協力と応援をいただきました。心より感謝申し上げます。
令和4年度は、次の50年に向けた新しい第一歩を踏み出す年であり、幾多の先人の方々が築き上げてきた「立山黒部」ブランドを、今後とも多くのお客様に支持していただけるよう、選び楽しんでいただける観光地への進化、収益に結び付く営業活動の強化、安全・安心な立山黒部アルペンルートの構築、そして大自然立山の自然環境保全に、役職員一同全力を傾注してまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は営業利益であります。
長引く新型コロナの影響により、令和3年度も旅客数が伸び悩み、コロナ禍前と比べて営業収益は3割程度にとどまりました。結果、前年度に続き営業損失を計上することとなりましたが、赤字幅は大きく改善いたしました。令和2年12月策定の中期経営計画より回復時期が遅れておりますが、まずは早期の黒字化を目標としております。

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