有価証券報告書-第59期(2022/04/01-2023/03/31)
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
①自然保護と環境保全
当社の経営基盤である立山黒部一帯は、自然公園法による中部山岳国立公園の特別保護地区及び特別地域に含まれており、そのため、立山黒部アルペンルートの建設にあたっては、自然景観を損なわないよう、また自然に与える影響を最小限に抑えるよう細心の配慮のもと進められました。当社では、昭和46年の全線開業後においても、一貫して自然保護と環境保全を最優先課題に掲げ、立山の大自然を永久に守り伝えるため努力を続けています。
②安全保護と保守管理
立山黒部アルペンルートは、多くの観光客・登山客を迎えています。運輸機関が安全・快適であることは、観光地にとっての絶対必要要件であり、立山黒部の大景観を心ゆくまで満喫していただくために、保守管理体制を徹底・強化し、安全確保の維持に努めています。
③地域振興と国際観光
立山黒部地帯は、特異な風土(気候、気象、地形、景観など)が影響し、大自然、歴史と文化、電源開発、砂防事業など多くの魅力や資源にあふれており、国際的山岳観光地として、確固たる地位を築いています。
近年は海外からのお客様が年々増加し、25万人を超えるようになりました。今後も、グローバルな営業を展開し国際観光振興に貢献していきます。
(2)経営環境
令和5年5月8日に新型コロナウイルス感染症の法律上の分類が季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられたことにより、様々な行動制限がなくなりました。コロナ禍を経て変化した消費行動や価値観に対応し、旅客回復に向けて取り組みを進めていく必要があります。
また、今後も一定の感染再拡大リスクを想定した事業運営が必要となることから、昨年度の営業成績を踏まえ、改めて中期経営計画の見直しを行いました。なお、中期経営計画を全社一体となって推し進めるため、「経営管理本部」を設置いたしました。今後、新たな計画に基づく施策を着実に進めてまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①経営基盤の安定と効率的な事業運営
今後も新型コロナウイルス感染症拡大リスクが想定されるほか、エネルギー・物資価格の高騰等のリスクに対応するため、令和5年度の営業再開に向けて、令和4年12月に運賃改定及び割引制度の見直しを行いました。
また、開業50年を経た運輸施設等の総点検を昨年に引き続き行い、中長期設備投資計画の策定を推進し、順次改修を施して行くとともに、導入後30年近く経過した立山トンネルトロリーバスに代わる次世代乗り物の検討を具体化してまいります。
②人材の確保・育成
コロナ禍を経て顕著になった観光業、サービス業における人材不足については、当社も例外ではなく、人材の確保と業務効率の見直しは喫緊の課題です。
当社では年間を通じての経験者採用や採用チャンネルの多角化を進めるとともに、勤務体系や人事制度の見直し、若手社員へのサポート体制の強化により、労働環境の改善を図ってまいります。また、社員教育や研修の充実を図り、いわゆる「人への投資」を重視してまいります。
更に社内のDX推進や業務の抜本的な見直しによる生産性向上やコミュニケーション活性化により、社員間の信頼関係の強化と意思決定の迅速化を目指してまいります。
③安全・安心の確保
全線開通から50年を経て、世界に類のない山岳観光地で運輸事業を営む当社において安全・安心の確保は守るべき当然の責務です。全職場において、継続的に安全・安心の管理と教育を徹底し、法令遵守とヒューマンエラー防止に取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止については、5類感染症への変更に伴い、新たな「立山黒部アルペンルート安全・安心ガイドライン」を策定し、お客様のご協力のもと安心してご乗車いただけるよう引き続き周知してまいります。
また、各乗り物の抗菌・抗ウィルス加工、駅舎内へアルコール消毒液を使用した定期的清掃、換気対策を講じた各乗り物の運行などを実施し、当社従業員においてもマスク着用、手指消毒の自己管理や職場での感染対策の徹底を引き続き講じてまいります。
乗り物施設の安全対策や弥陀ヶ原火山災害発生のリスクに対しては、行政および関係機関と連携しながら、施設調査や対策の検討、災害対応体制の構築、避難確保計画の策定などを進めてまいります。
今後とも、安全・安心の確保に対する取り組みを継続して行い、安全・安心な立山黒部アルペンルートの構築に役職員一丸となって邁進いたします。
④自然環境の保全
令和5年度の立山黒部アルペンルートは、関係機関のご協力ご配慮を得て4月15日に全線で営業を再開いたしました。営業再開にあたっては、早春の立山一帯における自然環境保全に対する理解の周知徹底に万全を期してまいりました。
引き続き、環境にやさしい施設の維持管理、ごみ処理対策の徹底、美化清掃活動の推進など、立山の大自然を守り伝えるための努力を続けてまいります。
今後とも自然公園法の目的に沿い、自然にふれあうことで、その素晴らしさを知っていただけるよう、観光と環境保全の調和を図り、関係機関と連携して立山黒部の大自然を広く紹介してまいります。
(4)営業戦略
ウィズコロナの加速により、国内旅行とインバウンド双方での需要回復が期待されます。
国内旅行では、旅客に選ばれる観光地であるために、多様化するニーズの変化を捉えるマーケティング調査を強化し、富山県・近隣県・関係市町村・関係機関などのご協力をいただきながら、観光資源を磨き上げ、魅力ある観光コンテンツの拡充を図り、旅行会社や運輸機関との幅広いネットワークやメディアを活用し、誘客に努めてまいります。
海外旅客においても、高品質なサービスや自然文化体験を組み込んだ高付加価値商品を造成し、春期の需要が高いアジア圏だけではなく、SDGsへの意識が高い欧米諸国への販路拡大に努めてまいります。
また、Wi-Fi環境の整備強化を進めており、タブレットオーダーシステム、電子決済サービスの充実やイベント等の情報配信により、消費喚起や乗車利用区間の拡大などを図ってまいります。
昨年、立山黒部アルペンルートは次の50年に向けた新しい第一歩を踏み出しました。
次の50年に向けて、幾多の先人の方々が築き上げてきた「立山黒部」ブランドを持続可能な価値ある観光地へと進化させるため、高品質な観光コンテンツ造成、収益に結び付く営業活動の強化、安全・安心な立山黒部アルペンルートの構築、そして大自然立山の自然環境保全に、役職員一同全力を傾注してまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は営業利益であります。
当連結会計年度は、引き続き新型コロナの影響により旅客数が伸び悩みましたが、国内旅客を中心とした誘客に努めた結果、前年度に続き営業損失を計上することとなりましたが、赤字幅は大きく改善いたしました。新たに業務計画を策定し、早期の黒字化を目指し一層努めてまいります。