有価証券報告書

【提出】
2017/06/27 14:52
【資料】
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【項目】
153項目

業績等の概要

(1) 業績
前連結会計年度
(自 平成27年4月1日
至 平成28年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
増減額 / 増減率
売上高 (億円)17,12215,043△2,078 / △12.1%
営業損益 (億円)23252 / 10.1%
経常損益 (億円)362254△108 / △29.9%
親会社株主に帰属する
当期純損益 (億円)
△1,704521,757 / - %

為替レート\120.62/US$\108.57/US$△\12.05/US$
船舶燃料油価格 ※US$265/MTUS$284/MTUS$19/MT

※平均補油価格
当期における世界経済は、米国や中国等を中心に、概ね昨年後半より勢いを増す傾向となりました。米国経済は、堅調な雇用・所得環境を背景に改善傾向が続く個人消費に牽引され、拡大基調を維持しました。欧州経済は、底堅く推移する個人消費に支えられ、緩やかながら安定的な成長が続きました。中国経済は、底堅い個人消費を背景に減速傾向が一服していましたが、今年に入り加速し始めた固定資産投資等にも支えられ、期後半からは回復に転じました。わが国では、景気回復の足踏み状態が続きましたが、足下では伸び悩んでいた個人消費等で持ち直しの兆しも見えてきました。
海運市況のうち、ドライバルク船市況は、西豪州の主要荷主による集中的な船腹手配や中国の石炭輸入量増加等を背景に前期第4四半期の記録的低水準を脱しました。その後は上値の重い展開が続きましたが、秋口以降、ブラジル主要港からの堅調な鉄鉱石出荷や北米産穀物の出荷増加等を追い風に再度上昇に転じ、概ね回復基調を維持しました。原油船市況は、船腹供給が増加する中、季節的な需要の変動や西アフリカ産油国の政情等により期中で大きく変動しました。通期平均では、高騰した前期を下回ったものの、堅調でした。コンテナ船については、北米、欧州、南米の各航路において需給環境の改善を背景にスポット運賃市況の回復が見られましたが、前期の市況低迷の影響を受ける形で北米航路を中心とした年間契約運賃が期初に大幅に下落したこと等により、厳しい事業環境が続きました。
当期の対ドル平均為替レートは、前期比\12.05/US$円高の\108.57/US$となりました。また、当期の船舶燃料油価格平均は、前期比US$19/MT上昇しUS$284/MTとなりました。
以上の結果、当期の業績につきましては、売上高1兆5,043億円、営業損益25億円、経常損益254億円、親会社株主に帰属する当期純損益は52億円となりました。
セグメント毎の売上高、セグメント損益(経常損益)及び概況は次のとおりです。
上段が売上高(億円)、下段がセグメント損益(経常損益)(億円)
セグメントの名称前連結会計年度
(自 平成27年4月1日
至 平成28年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
増減額 / 増減率
不定期専用船事業8,4567,444△1,011 / △12.0%
548390△158 / △28.9%
コンテナ船事業7,2116,225△986 / △13.7%
△298△328△30 / - %
フェリー・内航RORO船事業433421△11 / △2.8%
43451 / 2.8%
関連事業1,2691,175△94 / △7.4%
10112321 / 21.3%
その他133132△0 / △0.6%
3518△17 / △49.0%

(注)売上高にはセグメント間の内部売上高又は振替高が含まれております。
① 不定期専用船事業
<ドライバルク船>ケープサイズ市況は、期初、西豪州の主要荷主による集中的な船腹手配等を背景に前期第4四半期の記録的低水準を脱しました。その後は上値の重い状態が続きましたが、秋口以降、ブラジル主要港からの堅調な鉄鉱石出荷や資源価格の上昇に伴う市場センチメントの好転等に支えられ上昇に転じました。年末年始の一時的な低迷を経て、2月下旬からは再び鉄鉱石出荷の増加やFFA(運賃先物取引)の改善等を追い風に急上昇し、期末には一時およそ1年8か月ぶりに2万ドル/日を超えました。この結果、通期平均市況は前期を上回る9千ドル台/日となりました。パナマックス船型以下の中小型船市況も、期初、中国による石炭輸入量の増加等を背景に低迷を脱し、秋口以降は北米産穀物の出荷増加等が牽引役となり、上昇しました。年末年始の一時的下落を経て、中国旧正月明けからは南米産穀物の出荷が市況を牽引しています。
市況はなお回復の途上にありますが、一方でドライバルク船部門ではケープサイズバルカーのスポット運航船の縮小、並びに中小型バルカーに関するビジネスモデルの抜本的な見直しを根幹とする構造改革を進めました。この結果、前期比で損益は大幅に改善し、当期において黒字を計上しました。
<油送船・LNG船・海洋事業>原油船では新造船の供給が前期を上回り、市況は、夏場の荷動き減少や内乱に伴うナイジェリアからの原油出荷停止等により、9月下旬頃まで下落傾向を辿りました。秋口以降は、同国からの原油出荷の再開や冬場の需要増に支えられて大幅に改善しましたが、その後、春先にかけて軟化しています。通期平均市況は、高騰した前期を下回ったものの、堅調でした。石油製品船市況は、植物油等の荷動き低迷や新造船の竣工が続く中、東西裁定取引の低迷や、世界的な石油製品在庫の余剰を背景とした製油所マージンの悪化等が重荷となり、通期平均で前期の水準を下回りました。LPG船市況も、新造船竣工による供給圧力の増加に加え、LPG価格の地域差縮小を背景とした東西裁定取引の抑制や新パナマ運河開通による長距離トレードの減少等により、前期と比べ低調に推移しました。
このような事業環境下において油送船部門は、前期に引き続き市況エクスポージャーの縮減や長期契約の安定的な履行に注力すると共に、海外顧客向け原油船等の新規契約の獲得にも取り組みました。また、プール運航による運航効率の改善やコスト削減にも継続して努めた結果、前期比で大幅な減益となったものの、当期において黒字を計上しました。
LNG船部門は、長期契約からの安定収益を引き続き確保する中、世界初の大型エタン船を含む新規竣工船の稼働開始もあり、前期比で増益となりました。また、海洋事業部門は、新規開始の1基を含むFPSOの順調な稼働により、前期比で増益となりました。
<自動車船>完成車の荷動きは、米国及び欧州向けが堅調に推移しましたが、一方で資源価格下落等を背景に経済不振が続く資源国・新興国向けは低迷しました。こうした中、自動車船部門は、減船や、トレードパターンの変化に対応した運航効率の改善に取り組んだものの、前期比で大幅な減益となりました。
② コンテナ船事業
北米航路のスポット運賃市況は、第1四半期に記録的な安値水準まで下落したものの、アジア出し荷動きが過去最高のペースで堅調に推移する中、第2四半期以降概ね上昇基調を維持しました。欧州航路のスポット運賃市況は、夏場まで上昇した後に一旦調整局面を迎えたものの、冬場に入ってから旺盛な需要を背景に再上昇するなど、期を通じては堅調なアジア出し荷動きに支えられ上昇基調を辿りました。南米航路においては、第1四半期よりスポット運賃は大きく上昇し、期を通じても概ね高水準で推移しました。アジア域内航路においては、荷動きが伸び悩み、スポット運賃市況は低迷しました。一方で年間契約運賃が、前期のスポット運賃市況低迷の影響を受け、北米航路を中心に多くの航路で期初に大幅な下落となったことが、期を通じて重荷となりました。
このような事業環境下、コンテナ船部門は、構造改革による船舶コストの低減や、営業力強化による消席率の改善に加え、イールドマネジメント強化による空コンテナ回送費等の運航コストの削減に継続的に取り組んだ結果、第3四半期以降は前年同期比で損益が改善しましたが、通期では若干損失が拡大しました。
③ フェリー・内航RORO船事業
フェリー・内航RORO船については、トラックドライバーの不足や高齢化、労務管理の強化を背景に、トラックでの長距離輸送をフェリー輸送へ切り替えるモーダルシフトの流れが更に加速し、荷動きは堅調に推移しました。旅客については熊本地震の影響を受けた航路も一部ありましたが、燃料油価格の低下にも支えられ、フェリー・内航RORO船事業全体では前期と同水準の利益を確保しました。
④ 関連事業
客船事業は、にっぽん丸の好調な集客により前期比で増益となりました。不動産事業においても、首都圏を中心に堅調な賃貸オフィスマーケットに支えられ、当社グループの不動産事業の中核であるダイビル㈱の売上が増加したこと等により、前期比で増益となりました。その他曳船や商社等の業績も総じて堅調に推移し、関連事業セグメント全体では前期比で増益となりました。
⑤ その他
主にコストセンターであるその他の事業には、船舶運航業、船舶管理業、貸船業、金融業、造船業などがありますが、前期比では減益となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ273億円増加し、1,868億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は176億円(前年同期比1,915億円の収入減)となりました。これは主に減価償却費が871億円となった一方、引当金の減少額が200億円、関係会社株式売却損益が199億円、法人税等の支払額が85億円となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって支出された資金は739億円(前年同期比472億円の支出増)となりました。これは主に船舶を中心とした有形及び無形固定資産の売却による収入が713億円、投資有価証券の売却及び償還による収入が277億円となった一方、有形及び無形固定資産の取得による支出が1,431億円、長期貸付による支出が213億円となったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって得られた資金は871億円(前年同期は1,487億円の支出)となりました。これは主に長期借入れによる収入が2,390億円、社債の発行による収入が100億円となった一方、長期借入金の返済による支出が1,192億円、社債の償還による支出が450億円となったことによるものであります。