有価証券報告書

【提出】
2017/06/27 14:52
【資料】
PDFをみる
【項目】
153項目

対処すべき課題

(1)会社の経営の基本方針
当社は、グループ企業理念(平成13年4月策定)において、以下の通り3つの柱を掲げております。
<商船三井グループ企業理念>①顧客のニーズと時代の要請を先取りする総合輸送グループとして世界経済の発展に貢献します
②社会規範と企業倫理に則った、透明性の高い経営を行ない、知的創造と効率性を徹底的に追求し企業価値を高めることを目指します
③安全運航を徹底し、海洋・地球環境の保全に努めます
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社は、平成28年度に単年度経営計画を策定し、構造改革の完遂、今後の成長戦略の基盤構築に取り組みました。その結果、当期連結経常収支の黒字化を達成しました。構造改革で実現した船隊のコスト競争力を基盤とし、今年度以降の収益積上げを図るため、当社は今年度から始まる新しい経営計画として「ローリングプラン2017」を策定しました。
新経営計画「ローリングプラン2017」策定に当たっては、経営環境の変化が著しい状況下、商船三井グループの10年後のありたい姿と中長期的な経営の方向性を定め、それに基づき3か年及び長期的な事業戦略を策定する形を取りました。リソース配分について選択と集中を行い、財務体質の改善とともに事業ポートフォリオの変革を図っていきます。
<商船三井グループの10年後のありたい姿>・世界中で「お客様にとって使い勝手がよくストレスフリーなサービス」を提供し、「いつもお客様の傍にいる強くしなやかな存在」をめざす。
・環境・エミッションフリー事業をコア事業のひとつに育てる。
・相対的に強い事業の選択と集中を行い、「競争力No.1事業の集合体」になる。
<ありたい姿達成のための戦略>①投資・事業戦略
・当面新規投資を優先度の高い案件に絞り、投資と財務規律の両立を図る。
・海運事業においては、安定利益が見込める事業分野に絞った効果的な経営資源の投入を行う。
・ロジスティクス事業、フェリー事業、海洋事業等の海運関連部門では、成長の見込める事業分野の拡大・強化を目指す。
②環境・エミッションフリー事業への取組み
環境規制の強化、環境意識の高まりを背景に、外航海運が排出する温室効果ガスのオフセットを図りつつ、成長する再生可能エネルギー事業での収益確保のため、環境・エミッションフリー事業を推進・育成する。
③働き方改革の推進
役職員が生き生きと働ける企業風土で人的競争力No.1の企業グループを目指し、技術とビジネスモデルのイノベーションを実現する。
④海技力強化、ICT戦略推進、技術開発に向けた取組み
「海技力強化」 海技力を生かしたサービス提供
「ICT戦略推進」 洋上の見える化(安全運航と最適運航)と顧客への付加価値提供
「技術開発」 “船舶維新NEXT”プロジェクト推進(高度安全運航支援技術・環境負荷低減技術)
<中期的利益水準・財務指標>
中長期的にイメージする水準2027年目標
経常利益800~1,000億円1,500~2,000億円
ROE8~12%-
ギアリングレシオ2.0倍以下1.0倍

また、平成28年10月に合意した日本郵船株式会社、川崎汽船株式会社との定期コンテナ船事業統合については、平成30年4月の統合新会社による円滑な営業開始に向け協議・準備を進め、統合によるシナジー効果が早期に発揮されるよう取り組みます。あわせて、統合新会社の収益基盤確立のためにも、同事業の損益回復に努めます。また、当社においては、定期コンテナ船事業統合後を見据えた国内外拠点網の再構築をはじめ、統合後の当社グループの営業基盤強化に向けた取組みを着実に進めます。
なお、当社グループは、完成自動車車両の海上輸送に関して各国競争法違反の疑いがあるとして、米国、欧州その他海外の当局による調査の対象となっております。また、本件に関連して、当社グループに対し損害賠償及び対象行為の差止め等を求める集団訴訟が米国等において提起されています。このような事態を厳粛に受け止め、当社グループでは独禁法をはじめとするコンプライアンス強化と再発防止に引き続き取り組んでまいります。