有価証券報告書

【提出】
2015/06/23 14:50
【資料】
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【項目】
149項目

業績等の概要

(1) 業績
前連結会計年度
(自 平成25年4月1日
至 平成26年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成26年4月1日
至 平成27年3月31日)
増減額/増減率
売上高 (億円)17,29418,170876 / 5.1%
営業利益 (億円)410172△238 /△58.0%
経常利益 (億円)549513△36 / △6.6%
当期純利益 (億円)573423△150/△26.2%

為替レート\99.79/US$\108.34/US$\8.55/US$
船舶燃料油価格US$610/MTUS$529/MT△US$80/MT

当期における世界経済は、中国など新興国の減速が鮮明となりましたが、先進国を中心に緩やかに回復しました。米国経済については、悪天候やドル高の影響で期末にやや弱含んだ局面があったものの、雇用情勢が着実に改善したこともあり、概ね回復基調が続きました。欧州では、デフレ懸念が続く中、ウクライナ情勢の緊張やギリシャ債務危機の再燃等のリスクも高まりましたが、欧州中央銀行(ECB)による量的緩和策や原油価格の下落を追い風に消費が押し上げられ、景気は緩やかに持ち直しました。中国では、不動産市況の低迷が続きましたが、高成長から安定成長への移行を容認する政府方針の下、大規模な景気刺激策の導入には至らず、成長は鈍化しました。また、他の新興国では、秋以降急速に進んだ原油価格下落の影響から、ロシアなど原油輸出国における経済の減速が顕著となりました。わが国では、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動減の影響でマイナス成長が長引き、10-12月期よりプラス成長に転じたものの、景気回復は力強さに欠けました。
海運市況のうち、ドライバルク船市況は、西豪州からの鉄鉱石出荷量が過去最高を記録したものの、ブラジル出し鉄鋼石荷動きの伸び悩みや中国の石炭輸入量の減少等により船腹需給の本格的な回復には至らず、低調に推移しました。原油船(VLCC)及び石油製品船市況は、秋口までは低調に推移しておりましたが、10月中旬以降は冬季需要に加え原油価格下落やそれに伴う備蓄需要等により、高騰しました。その後冬季需要期の終了等による若干の下落はあったものの、市況は前期と比べ高い水準で推移しました。コンテナ船市況は、大型コンテナ船竣工による需給ギャップが依然として大きく、運賃水準は低調に推移しました。
当期の対ドル平均為替レートは、前期比\8.55/US$円安の\108.34/US$となりました。また、当期の船舶燃料油価格平均は、前期比US$80/MT下落しUS$529/MTとなりました。
以上の結果、売上高1兆8,170億円、営業利益172億円、経常利益513億円、当期純利益423億円となり、前期比で売上は伸びたものの損益は悪化しました。
セグメント毎の売上高、セグメント損益(経常損益)及び概況は次のとおりです。
上段が売上高(億円)、下段がセグメント損益(経常損益)(億円)
セグメントの名称前連結会計年度
(自 平成25年4月1日
至 平成26年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成26年4月1日
至 平成27年3月31日)
増減額/増減率
不定期専用船事業8,3698,578208 / 2.5%
571541△30 / △5.3%
コンテナ船事業7,1537,891737 / 10.3%
△145△241△95 / - %
フェリー・内航事業5585634 / 0.9%
224422 / 99.5%
関連事業1,3721,481109 / 8.0%
111109△2 / △2.0%
その他145142△3 / △2.6%
4541△3 / △8.6%

(注)売上高にはセグメント間の内部売上高又は振替高が含まれております。
① 不定期専用船事業
<ドライバルク船>ケープサイズ市況は、西豪州からの鉄鉱石出荷量が生産能力の拡張を背景に過去最高を記録したものの、遠距離ソースであるブラジルからの鉄鉱石出荷量の伸び悩みにより船腹需給の本格的な回復には至らず、低調に推移しました。10月後半以降ブラジル出し鉄鉱石荷動きが増大したことにより市況は一時上昇しましたが、11月中旬以降再び下落し、通期平均では1万1千ドル台/日と前期を下回る水準となりました。パナマックス船型以下の中小型船についても、中国における景気減速や環境規制の影響に伴う石炭輸入量の減少等により船腹余剰感が解消されず、市況は低調に推移しました。このような市況環境下、ドライバルク船部門損益は、鉄鋼原料船、木材チップ船、電力炭船等の長期契約による安定利益に加え、インド等成長地域に対する重点的な営業活動や継続的なコスト削減にも取り組みましたが、前期比で減益となりました。
<油送船・LNG船>原油船(VLCC)市況及び石油製品船市況は、秋口までは低調に推移しておりましたが、10月中旬以降は冬季需要に加え原油価格の下落やそれに伴う備蓄需要の高まり等により高騰しました。その後冬季需要期の終了や原油価格の下げ止まりによる若干の下落はあったものの、市況は前期と比べ高い水準で推移しました。LPG船市況は、堅調なインド向けトレードや米国からのLPG輸出量増加に支えられ、夏場にかけて高騰しました。秋口以降は、原油価格の下落に伴いLPG価格が先安で推移する中で船腹需要が減少しましたが、総じて市況は大幅に改善しました。このような市況環境下、油送船部門損益は、減速航海による燃料費削減やプール運航による運航効率改善等にも継続して努めた結果、前期比で大幅に改善し黒字を達成しました。LNG船市況については、新規プロジェクトの立ち上がりが少なく、LNGの海上荷動きは前期と同程度の水準に留まりました。短期・中期貸船市況は、前年から続く新造船の供給圧力により軟化傾向にある中、冬季需要期に向け一時的に回復した時期はあったものの、総じて低調に推移しました。このような市況環境下においても、LNG船部門では長期輸送契約による利益の積み上げにより、黒字を確保しました。
<自動車船>自動車メーカーの海外への生産移管に伴う出荷拠点分散化方策は、円安基調にあっても大きな変化はなく、日本出し完成車輸送は減少傾向にありました。その中で、クロストレード輸送及び復航輸送における貨物の積取強化等に努めましたが、自動車船部門損益は前期比で減益となりました。
② コンテナ船事業
コンテナ船事業については、アジア発北米向け及び欧州向けの荷動き、並びに運賃市況は比較的堅調であったものの、欧米から中国を中心とするアジア向けの荷動きは伸び悩み、アジア向けの運賃市況は低迷し続けました。北米西岸では、労働協約交渉の長期化に起因する港湾労働組合側の怠業戦術により荷役効率が低下し、激しい船混みが続いたため、運航計画の大幅な見直しを余儀なくされました。南北航路では、特に南米東岸航路への大型船配船による需給ギャップの拡大により運賃市況は低迷し続けました。アジア域内の荷動き及び運賃市況は旺盛な需要により比較的安定して推移しましたが、アジア各港での船混みは解消されず、運航船の遅延による影響が続きました。このような事業環境下、減速航海の継続や航路の改編により運航コストの低減を図りましたが、当期において損失を計上しました。
③ フェリー・内航事業
フェリー事業においては、年初は消費税増税前の駆け込み需要の反動が見られたものの、ドライバー不足等によるモーダルシフトの流れは加速しており、荷動きは堅調に推移しました。内航事業においては、鋼材等の主力貨物が底堅い荷動きを見せる中で船隊増強を図りました。その結果、フェリー・内航セグメント全体では、継続する燃料油価格の低下にも支えられ、前期比で大幅な増収増益を達成しました。
④ 関連事業
不動産事業については、首都圏を中心に賃貸オフィスマーケットが改善傾向を示す中、当社グループの不動産事業の中核であるダイビル㈱は安定的な売上を維持しましたが、本年3月に竣工した新ダイビルに関する一時費用の増加等により、前期比で減益となりました。客船事業については堅調な集客を続け、また、その他曳船や商社等の業績も総じて堅調に推移しましたが、不動産事業も含めた関連事業全体では前期比で減益となりました。
⑤ その他
主にコストセンターであるその他の事業には、船舶運航業、船舶管理業、貸船業、金融業、造船業などがありますが、前期比では減益となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ513億円減少し、1,288億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は924億円(前年同期比17億円の収入減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が583億円、減価償却費が878億円となった一方、売上債権の増加額が282億円、為替差損益が248億円となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって支出された資金は1,591億円(前年同期比392億円の支出増)となりました。これは主に船舶を中心とした有形及び無形固定資産の取得による支出が1,863億円、長期貸付による支出が599億円となった一方、有形及び無形固定資産の売却による収入が741億円となったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって得られた資金は65億円(前年同期は70億円の支出)となりました。これは主に長期借入れによる収入が1,079億円、社債の発行による収入が952億円、短期借入金の純増額が590億円となった一方、長期借入金の返済による支出が2,031億円、社債の償還による支出が450億円となったことによるものであります。