有価証券報告書

【提出】
2026/06/23 15:04
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【項目】
204項目
(3)戦略
当社グループでは、グループビジョンの実現を通じて、社会と共に持続的な発展を目指すための重要課題を「サステナビリティ課題」(マテリアリティ)として特定しています。経営計画「BLUE ACTION 2035」Phase 2においては、サステナビリティ課題を「環境」「安全」「人財」「DX」に見直し、4つのサステナビリティ課題と「ガバナンス」を「経営基盤」として位置付けています。
見直しにあたっては、ダブルマテリアリティの考え方を採用し、各課題のインパクト、リスク、機会の重要性の評価に加えて、ステークホルダー及び当社グループにとっての重要性の観点からも評価を行いました。それにより、従来のサステナビリティ課題よりも経済価値・社会価値の双方の創出への貢献度がより高い課題へと整理されています。(なお、以降の各課題に関する説明では、インパクトは省略し、認識した重要なリスク・機会を開示しています。インパクトも含む内容は当社ウェブサイト(https://www.mol.co.jp/sustainability/management/#ancMateriality)をご参照ください。)
各課題にかかる目標・KPI・アクションは、4つのテーマ別ビジョン(環境ビジョン、安全ビジョン、Human Capitalビジョン、DXビジョン)にて設定・管理し、進捗状況は定期的に開示します。
サステナビリティ課題(マテリアリティ)
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①環境(サステナビリティ課題)
重点テーマを「気候変動」「海洋環境」とし、各テーマに紐づく当社グループにとって重要なリスク・機会は以下のとおり認識しています。
重点テーマ分類
(リスク/機会)
リスク/機会の内容時間軸*1関連する事業*2
気候変動リスク環境規制対応のための設備投資による支出の増加短・中期海運
リスク環境規制違反による罰則、課税、レピュテーション棄損による支出の増加短・中期海運
リスク脱炭素化の進展に伴う化石燃料等のGHG多排出資源の需要減少による収益の悪化短~長期海運
機会低・脱炭素技術の導入による競争力強化及び、それによる収益の増加短・中期海運、エネルギーインフラ
機会クリーンエネルギーの普及等の低・脱炭素技術や燃料の需要を先読みした事業展開による収益の増加中・長期海運、エネルギーインフラ
機会省エネ機器の導入や運航最適化等の燃費効率の改善による支出の減少短・中期海運
海洋環境リスク油濁事故等を起因とした環境規制違反の罰則、レピュテーション棄損による支出の増加短期海運、エネルギーインフラ

*1 2025年を起点として短期を1年以内、中期を5年以内、長期を5年超として分析しています(以下同)。
*2 当社グループの事業を「海運」「エネルギーインフラ」「港湾・ロジ」「クルーズ・フェリー」「不動産」「関連事業・その他」 に分類して分析しています(以下同)。
<リスク・機会への対応戦略>環境ビジョンで定めるアクションにて上記リスク、機会に対応します。
環境ビジョンでは、「2050年ネットゼロ・エミッションの達成」を目標とし、自社からのGHG排出量の削減に向けては、アクション1「代替燃料の導入」とアクション2「燃費効率の改善」に取り組みます。アクション1「代替燃料の導入」は、既に実用可能かつ経済合理性のあるLNGやバイオディーゼル等の低炭素燃料の導入を進め、船種・航路に合わせた最適な燃料選択を行うことで、足元から着実に排出量を削減していきます。中長期的には、アンモニアを脱炭素燃料の主力と位置付け、アンモニア燃料船の導入や調達体制等の整備を進め、将来の需要拡大期に即応できる基盤固めを進めています。アクション2「燃費効率の改善」では、DarWINプロジェクト*1によるエネルギー消費を最小限に抑える効率運航の徹底と、ウインドチャレンジャー*2等の風力活用の両輪で推進します。
加えて、機会の獲得に向けて、アクション3「低・脱炭素事業の拡大」にも取り組みます。海上輸送で培った強みを活かし、低・脱炭素エネルギーの輸送や洋上風力関連事業、CO2バリューチェーンの構築等の事業を拡大し、脱炭素社会の実現への貢献と当社グループの成長を目指します。
海洋環境に関するリスクについては、気候変動の緩和を通じて海洋環境や生物多様性の保全にも寄与するとの認識の下、気候変動対策を強力に推進します。また、マングローブの再生・保全プロジェクトや藻場再生を通じたブルーカーボンの活用拡大等、海洋環境への副次的メリットが期待できる活動にも取り組みます。
*1 船舶の推進やエネルギー消費を改善して効率オペレーション実現をめざすプロジェクト。
*2 当社が開発した硬翼帆式の風力補助推進システム。風力を船の推進力に活用し、GHG排出量の大幅な削減が可能。
アクションの詳細
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ネットゼロ・エミッションへのPathway
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②安全(サステナビリティ課題)
重点テーマを「人命」「海洋環境」「安定操業」とし、各テーマに紐づく当社グループにとって重要なリスク・機会は以下のとおり認識しています。
重点テーマ分類
(リスク/機会)
リスク/機会の内容時間軸関連する事業
人命リスク従業員及びビジネスパートナーの生命・健康被害による罰則、訴訟、レピュテーション棄損による支出の増加短期海運、エネルギーインフラ、港湾・ロジ、クルーズ・フェリー
リスク安全な労働環境の整備不足を理由とした人財の流出、医療費の支払等による支出の増加短期海運、エネルギーインフラ、港湾・ロジ、クルーズ・フェリー
海洋環境リスク油濁事故等を起因とした環境規制違反の罰則、レピュテーション棄損による支出の増加短期海運、エネルギーインフラ
安定操業リスク重大事故の発生による罰金、訴訟、レピュテーション棄損による支出の増加短期海運、クルーズ・フェリー
機会継続的な安全・品質の維持・向上と、低・脱炭素技術等の新技術導入にかかる安全性の担保による競争力強化及び、それによる収益の増加短~長期海運

<リスク・機会への対応戦略>安全ビジョンで定めるアクションにて上記リスク・機会に対応します。
安全ビジョンでは、「労災死亡事故ゼロ」「重大事故ゼロ」を目指し、事故による経済的損失とステークホルダーからの信頼低下を防止します。また、今後のグループの成長に向けて、低・脱炭素技術等をはじめとした新技術の導入も進めていく必要があります。それらの新技術の導入を可能とするための安全面の課題を解消していくことも重要なテーマです。
具体的なアクションは、「安全を支える人財活躍の促進」「テクノロジーを軸とした安全インフラの整備」「リスク・危機の先制的な管理」という3つの安全施策と、安全施策を推進するための共通的な取り組みとして「相互啓発を通じた安全意識改革」「あるべき組織体制・業務プロセスの追求」という2つの安全基盤で構成されます。今後は、当社グループの事業ポートフォリオの変化や新技術の進展等の内部・外部環境変化を踏まえたアクションの継続的改善を続けると共に、特に「新たな事業や挑戦に対する安全性検証」、「リスク低減のための新技術活用」等の施策に重点的に取り組みます。
アクションの詳細
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③人財(サステナビリティ課題)
重点テーマを「多様性」「共走・共創」「働き甲斐」とし、各テーマに紐づく当社グループにとって重要なリスク・機会は以下のとおり認識しています。
重点テーマ分類
(リスク/機会)
リスク/機会の内容時間軸関連する事業
多様性機会多様な人財確保による生産性の向上と多様な視点を活用した事業機会の拡大と環境変化への対応、それによる収益の増加短~長期海運、エネルギーインフラ、港湾・ロジ、クルーズ・フェリー、不動産、関連事業・その他
共走・共創機会組織の垣根を超えた協働によりシナジーを発揮し、イノベーションの創出と事業機会の拡大、それによる収益の増加短・中期海運、エネルギーインフラ、港湾・ロジ、クルーズ・フェリー、不動産、関連事業・その他
働き甲斐機会働き甲斐の向上による生産性の向上及び人財の定着、それによる支出の減少と収益の増加短・中期海運、エネルギーインフラ、港湾・ロジ、クルーズ・フェリー、不動産、関連事業・その他

<リスク・機会への対応戦略>Human Capitalビジョン(以下「HCビジョン」)で定めるアクションにて上記機会に対応します。
HCビジョンでは、多様な人財が持つ強みや専門性を最大限に活かし、組織の垣根を超えた協働を促すとともに、働き甲斐を継続的に高めていくことで、事業戦略に連動した「人と組織の力」を最大化させることを企図しています。
具体的なアクションとしては、「継続的なタレント開発」「人財データ活用の深度化」「海技者の活躍機会の拡大」「組織の垣根を超えた人財交流の促進」「グループ全体での人事機能の強化」「エンゲージメントの向上」の6つを設定しています。「継続的なタレント開発」では、グループの成長を牽引する重要なポジション「MGKP(MOL Group Key Positions)」において中長期的な後継者計画を策定し、グループ横断で候補人財の確保・育成を進めることで、多様な人財の活躍を推進します。また、エンゲージメントの向上に向けては、各組織における主体的な改善アクションを促進、グループ横断での支援を強化することで、一人ひとりが新しい価値創造に挑戦する組織風土を醸成していきます。
アクションの詳細
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④DX(サステナビリティ課題)
重点テーマを「IT・デジタル基盤」「生産性・安全性」「事業変革」とし、各テーマに紐づく当社グループにとって重要なリスク・機会は以下のとおり認識しています。
重点テーマ分類
(リスク/機会)
リスク/機会の内容時間軸関連する事業
IT・デジタル基盤
生産性・安全性
事業変革
機会先端的なテクノロジーの導入による効率運航の深度化と、それによる気候変動の緩和短~長期海運
機会テクノロジーの進化に応じた業務効率改善・安全性向上、高度かつ迅速な経営判断の実現と、それによる収益の増加短~長期海運、エネルギーインフラ、港湾・ロジ、クルーズ・フェリー、不動産、関連事業・その他

<リスク・機会への対応戦略>DXビジョンで定めるアクションにて上記機会に対応します。
DXビジョンでは、先端的なAIとデータ活用を核に、これまで構築してきたIT・デジタル基盤を更に発展させ、社会課題の解決と当社グループの持続的成長の両立を実現するイノベーションの創出を目指しています。引き続き生産性・安全性の向上を進めつつ、効率化によって創出した時間を価値創造業務へと転換し、AI-nativeな事業変革を促していくことで稼ぐ力の強化を図ります。
具体的なアクションは、「AIドリブン変革」「海上デジタル」「グローバル共創インフラ」の3つとしています。特に、「AIドリブン変革」では、AIとデータを活用することで、迅速で確度の高い経営判断の実現や、業務・人財活用の再設計を進めます。
アクションの全体像
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⑤ガバナンス
業容拡大を踏まえた当社グループ全体のガバナンス高度化を通じて、事業の持続的成長基盤を強化します。取締役会においては、戦略検討・監督機能強化のため、外部・独立機関による第三者評価を定期的に実施し、特定された課題への改善を通じて実効性向上に取り組んでいます。また、成長を牽引する執行体制強化のため、海外組織への権限委譲やシンガポール準本社の機能拡充といった海外における自律的経営の推進や、データドリブンな意思決定による経営管理の高度化、各チーフ・オフィサーによる横断的な統制を通じたグループガバナンス体制及びリスクマネジメントの強化を図っています。なお、当社のガバナンス推進体制詳細は、前述の(1)及び「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

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