有価証券報告書-第156期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/21 14:16
【資料】
PDFをみる
【項目】
171項目
(3)サステナビリティ全般に関するリスク管理
当社はサステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、評価し、及び管理するための過程の一環として、必要に応じてマテリアリティ(サステナビリティ重要課題)の見直しを行っています。
直近に実施した2022年度の見直しでは、新たに5分野、12項目のマテリアリティを特定しました。
マテリアリティの特定に際しては、ISO26000やOECD多国籍企業行動指針など、主として CSR(企業の社会的責任)に関連する各種ガイダンスを参考に、SDGsなどで掲げられる社会課題を考慮しつつ、事業戦略との整合性や価値創造の観点なども加味して、「自社にとっての重要性」(ビジネス視点での重要性)と「社会にとっての重要性」(ス
テークホルダー視点での重要性)という2軸から、マテリアリティの分析・評価を行いました。
0102010_003.pngマテリアリティ分析のステップ
Step1 社会課題リストの作成
・SDGsなどを中心に社会課題をリストアップ(社会課題のロングリスト作成:全115項目)
・自社事業との関連性並びに海運特有の社会課題を加味して社会課題の絞り込みを実施(社会課題のシ
ョートリスト作成:全50項目)
Step2 社会課題の評価(自社にとっての重要性評価、社会にとっての重要性評価)
・STEP1で絞り込まれた全50項目の社会課題に対して、以下の観点でその重要性評価を実施
– 自社にとっての重要性
・各社会課題について、リスクと機会の観点から自社の企業価値への影響度を評価。当社グループ役職員
へのアンケートも実施し、当社グループが優先的に対処すべき社会課題について意見を聴取
– 社会にとっての重要性
・各社会課題について、当社グループにとって重要なステークホルダー(顧客、投資家、従業員、地域社
会、国際社会)に与える影響度を、それぞれのステークホルダーの立場に立脚して分析
Step3 マテリアリティの特定
・STEP2において、自社、ステークホルダーそれぞれに対して重要性の高い項目を、自社の企業価値への
影響度が高い社会課題と位置付け、さらにこれらを「社会課題解決へのアクション」として全12項目に集
約し、マテリアリティ案を作成
・外部有識者と当社経営陣によるダイアログを実施し、マテリアリティ案について意見交換
・ダイアログを踏まえて最終化されたマテリアリティ案を、サステナビリティ経営推進委員会で討議し、経営会議で決裁の上、取締役会に報告
(4)マテリアリティ
当社グループはマテリアリティを、中期経営計画に基づいて企業理念やビジョンを実現するために取り組むべき
重要課題と位置付けています。当社が特定したマテリアリティ12項目は、中期経営計画で掲げる機能戦略の4本柱である「安全・品質」「環境・技術」「デジタライゼーション推進」「人材」と、それらの土台としての「経営基盤」の5分野に分類して整理されています。
分野社会課題解決へのアクション
=マテリアリティ
基本方針
経営基盤人権の尊重グループの事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権尊重に向けた取り組みを推進する。
コーポレートガバナンスの強化企業の社会的責任を果たし、株主等ステークホルダーの負託に応え、持続的に成長していくために、グループ全体に企業倫理を徹底しつつ、有機的かつ効果的なガバナンスの仕組みを構築し、収益・財務体質の強化と相まって企業価値を高めるよう継続して努力していく。
コンプライアンスの推進・強化国内外の法令や社会規範を遵守し、公正、透明、自由な競争および適正な取引を行う。
安全・品質安全運航の推進海運業を営む上で、安全運航の確立・維持は不変の使命であり、「安全で最適なサービスの提供」を通じて、安全運航による社会への貢献を果たす。
環境・技術自社の低炭素化・脱炭素化地球規模での気候変動対策を国際社会全体で強化すべき課題として捉え、「2050年GHG排出ネットゼロへの挑戦」を宣言。また、持続的成長と企業価値向上に向けて、自社・社会のスムーズなエネルギー転換にコミットし、低炭素・脱炭素社会の実現に向けた活動を推進する。
社会の低炭素化・脱炭素化支援
自社からの海洋・大気への環境影響の限りないゼロ化「安全で最適なサービスの提供」を通じて、安全運航による社会への貢献を果たすことは、海洋・大気への環境影響低減への貢献でもあり、油濁事故ゼロのための取り組みを推進し、船舶運航における環境影響の低減と、生物多様性の保護に努める。
イノベーションの促進安全・環境・品質に磨きをかけ、お客さまや社会に対して新たな価値を提供すべく、新技術の追求と、検討・実証から実装に向けた対応強化の両軸での取り組みを通じて、当社のコアバリューを磨き上げ、競争力の強化を図る。
デジタライゼーションの推進
DX対応の強化DX基盤の整備とデジタル技術を活用した「顧客提供価値の向上」と、安全・環境・品質のコアバリューを磨き上げる「運航支援」により、当社サービスの付加価値を向上させるとともに、ビジネストランスフォーメーションに発展させることで新たな価値を創造し、それによって築かれた競争優位性により顧客との関係を深化させ、企業価値の向上を図る。
人材ダイバーシティ&
インクルージョンの促進
多様性を「競争力の源泉」と位置付け、国籍、大学、学部、性別、職種(事務系・技術系)を問わない一括採用・キャリア採用を実施するほか、それによって生み出される価値観の多様性も尊重している。また、男性の育児参加の促進、K LINE UNIVERSITYを通じた海外現法スタッフとの一体感の醸成・融合など多様性の更なる促進に取り組む。
労働環境の整備・
健康経営の促進
グループ従業員の人格、個性及び多様性も尊重し、安全で働きやすい職場環境の整備・向上を図り、ゆとりと豊かさを実現するために、育児休業制度、コンプライアンス相談窓口の設置、過重労働対策、ストレスチェック、メンタルヘルスセミナーの実施など、対策に取り組んでいる。
人材の確保・育成社会的価値、経済的価値の向上のため各事業ポートフォリオの需要に応じた人材の量的・質的な確保・育成に取り組んでおり、新卒採用に加えて通年でのキャリア採用も実施。「事業の持続的成長・変革をリードしていく人材」、「事業環境変化に柔軟に対応できる人材」という視点から人材の育成に取り組んでいる。