有価証券報告書-第71期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/22 15:00
【資料】
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【項目】
164項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「JALグループ企業理念」を次のとおり定めています。
(JALグループ企業理念)
JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、一、お客さまに最高のサービスを提供します。
一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。
(2)目標とする経営指標
「2017~2020年度JALグループ中期経営計画」において、次の3項目を経営目標としております。
①安全
安全運航はJALグループの存立基盤であり社会的責務であることを認識し輸送分野における安全のリーディングカンパニーとして安全の層を厚くし、安全運航を堅持する。
航空事故ゼロ、重大インシデントゼロを実現。
②顧客満足
すべてのお客さまが常に新鮮な感動を得られるような最高のサービスを提供し、2020年度までに世界トップレベルのお客さま満足を実現する。
③財務
これまで築き上げた高い収益性と強固な財務安定性を兼ね備えつつ、成長に向けた積極的な投資および経営資源の有効活用により常に成長し続けるために、「営業利益率10%以上、投資利益率(ROIC)9%以上」を目指す。
(3)経営環境ならびに対処すべき課題
2020年1月以降の新型コロナウイルスの感染拡大により、航空業界は未曾有の危機に瀕しています。全世界で航空需要が急減し、当社グループも事業に甚大な影響を受けており、現時点で合理的に影響額を算定することが困難であることから、2020年度の事業計画および収支計画が確定できない状況となっています。
当社グループは、以下の3点を対処すべき課題として取り組みを進めてまいります。
①航空輸送ネットワークの維持と徹底したコスト削減・手元流動性の確保
当社グループは、機動的な供給調整のみならず、徹底したコスト削減と投資の抑制を遅滞なく実施するとともに、影響の長期化に備え、前広な資金調達を最大限実施することにより十分な手元流動性の確保に万全を期してまいります。
また、このような極めて厳しい状況にあっても、当社グループは、一便一便の安全を守り抜き、人の移動、医薬品・食料品などの物流のネットワークを支え続けることにより、社会的使命を果たしてまいります。なお、感染拡大を防止するため、機内消毒を徹底し、客室乗務員はマスク・手袋を着用のうえサービスを提供するなど万全の対策を講じてまいります。
②反転攻勢に向けた準備
新型コロナウイルスの影響が収束した後に、機を逸することなく、事業を再び成長軌道に乗せるべく、反転攻勢に備えた準備を着実に進める必要があります。ついては、運航便数の減少に伴い業務量が減少しているこの機会に人財育成を加速させるとともに、生産性向上に努めてまいります。
また、事態の収束局面においては需要喚起に向けた取り組みを進め、地域・観光インフラを支えてまいります。
③企業価値の回復と持続可能な社会の実現に向けて
中長期的には航空需要は回復・成長していくものと考えられます。その一方で、事態終息後の経済・社会・文化・技術および航空事業に求められる役割・価値が、これまでと大きく変わる可能性があります。
当社グループは、これらの経営環境の変化を見据えつつ、新たな中期経営計画を策定する予定です。柔軟性と高いリスク耐性を備えた強固な財務体質を再構築するとともに、訪日外国人増加による観光立国、地域社会・経済の活性化に貢献し、環境問題をはじめとした社会の課題解決に正面から向き合い、2030年のSDGsの達成を目指してまいります。
以上の取り組みにより、いかなる状況下にあっても、存立の大前提である安全運航を堅持し、公共交通機関としての使命と責任を果たしてまいります。そして、JALフィロソフィの実践を通じて、社会の進歩発展のためにたゆまぬ努力を続けます。