有価証券報告書-第33期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
(1)経営環境
当連結会計年度のわが国の経済は、新型コロナウイルスの感染拡大が長期化し、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の発出によりサービス業を中心として危機的状況が続きました。このような状況において当社は、感染防止を徹底したなかで、JAグループとの連携による様々な企画(「収穫体験ドライブラリー」、「チャーター企画」、「県産牛消費拡大宿泊プラン」等)に取組むとともに、ワクチン集団接種の受託や物品販売にも積極的に取組みました。また、経営収支の改善に向けて自社ビルの売却、家主様への事業所家賃の減免依頼、雇用確保のための出向施策実施、雇用調整助成金の利用、一般社団法人全国農協観光協会からの資金調達、人件費の削減(役員報酬減額、賞与不支給、給与改定等)、大規模な事業所縮小による固定費削減等に取組んできました。しかしながら、度重なる緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の発出やGoToトラベルの再開延期等により事業回復の兆しが見えず、親会社株主に帰属する当期純損失16億73百万円の計上により44億63百万円の債務超過となっております。
(2)経営方針
「経営再生計画(令和3~5年度)」を策定していた段階とは計画の前提が大きく変わったため、令和4年度については、新型コロナウイルスの影響が継続すると判断し、会社の規模を縮小した中で事業継続する計画へ、令和5年度は旅行需要の回復を反映した「事業継続計画(令和4~5年度)」に見直すこととし、以下の施策を実行します。
①固定費の削減
旅行事業の店舗においては、12統括支店と29支店の計41支店という体制を、管内経営を統括する15の支店に集約するとともに未設置県域には、支店が管轄する25の営業特化・ローコスト型のエリアセンターを配置しました。また、当社は2期連続計3度目の希望退職の募集等により、当連結会計年度末の社員数は前連結会計年度の677名と比較して305名減少し、372名となりました。これら就業者とは別に、JAグループ等の支援により当連結会計年度末の時点で214名の在籍出向を実行しました。加えて、社員給与削減(管理職の個人給の削減と非管理職の週休3日制)と賞与不支給の継続、役員報酬の減額により人件費を圧縮しております。なお、令和4年度もこれら人件費の圧縮とJAグループへの出向施策を継続することとしました。
②営業体制の見直しとデジタル化の推進による事業体制の転換
当社は、事業ドメインである「農業の価値を高める」「農業の魅力を伝える」ことに貢献する企業を目指すため、国内・海外・訪日という旅行に特化した事業体制から、当社の強味である「食と農」を基軸にJAや地域の課題解決にむけた取組みを事業として展開しております。そのため、当社では業績の回復に向け「JA活動支援事業」に加え、農業体験や教育旅行等を通じて、地域の「食」と「農」の魅力発信や、自治体の受託事業の獲得を目指す「地域共創事業」と当社の第3の事業として、人手不足の産地(JA・農家)と新たな働き手(主に法人需要)の創出に取組む「労働力応援事業」に取組んでおります。
また、本社では、支店支援としての「リテール事業(個人旅行の構造改革(WEB販売、SNS展開、商品造成部門の設置、非旅行領域の販売事業等)」により利便性向上と個人客の獲得、業務効率化を進めております。国際交流事業は、外国人旅行者を通じ、日本の農業の魅力・地域の魅力・食の魅力を発信し、地域の活性化に貢献する事業として、競合他社との差別化を図ります。
(3)対処すべき課題
令和4年度の事業環境は、旅行需要の本格的な回復時期は不透明な状況が続くことが想定される一方で、個人旅行を中心とした旅行マインドの高まりが期待されています。当社は営業担当者を介してお客さまのニーズを取り入れた企画提案を行っており、この基本的な考え方を踏襲しつつ、需要回復に向けて要員配置を始めとした社内体制の再整備、顧客拡大に向けてのSNS等を介した情報提供やデジタル化の推進による事業体制の転換、業務効率の改善等の課題解決が急務となっております。
(4)農福連携事業への取組み
新たな事業として「農福連携事業」に取組み、将来に向けた経営リスクの分散と安定化を図っております。農福ポートは、令和3年度は新たに3ヶ所設置し、計4ヶ所で運営しております。
令和4年度は、新たに3ヶ所の農福ポートの設置・運営を予定しておりますが、当社の債務超過の財務状況では、本スキームに必要な優良職業紹介事業の有効期間の更新が許可されないことも想定されるため、社会的にも意義の高い当事業を維持発展させていく必要から、財務基盤の確かな他者への事業承継の検討を開始しております。