有価証券報告書-第40期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/29 11:00
【資料】
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【項目】
149項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針、経営戦略、経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①新規出店による営業基盤の拡大
当社グループは営業面積の限られた屋内型複合レジャー施設を運営しており、継続的に売上向上を図る上で、新規出店を柱とした営業基盤の拡大はその重要な要素です。当社グループでは国内において103店舗体制を構築しておりますが、主たる顧客である若年層の減少が進行し高収益体質を維持できる国内の出店候補地が減少してまいりました。
そこで、これらの課題に対処すべく当社グループにおいては、中長期的な成長確保の観点から、米国への出店を次なる成長ドライバーとして位置づけ、新規出店を積極的に進めております。
現状、米国においては2010年より米国各地の大型ショッピングモールへ41店舗を出店し、その経営成績は安定的に推移しておりますが、その収益基盤をより強固なものにするため、来期より、スポッチャ店舗を展開し一層の新規顧客の開拓を図ってまいります。
今後も米国子会社の組織体制の強化を図りつつ出店を進め、早期に国内に匹敵する利益を確保できる体制を構築してまいります。
また、米国に次ぐ更なる市場を開拓すべく、2019年8月ロシア連邦に「Round One Rus LLC」、同年9月に中華人民共和国に「朗玩(中国)文化娯楽有限公司」を設立いたしました。早期に中国を中心に数店舗の出店を行い、経営成績を見極めた上で、出店を継続するかの判断をしてまいります。なお、出店にあたっては、国内外において有能な人材の確保に注力するとともに、「親会社と同水準の内部統制システムの構築」「不正抑止を徹底したオペレーションの構築」等、子会社におけるガバナンス体制の強化や海外出店特有のリスクの検討を十分に行ったうえ、法令を遵守し適時・正確な財務報告を確保する体制を構築してまいります。
他方、日本国内での出店につきましては、海外店舗に高い投資効率が見込まれることから、初期投資を抑えられかつ高い投資効率が見込まれる物件に厳選した出店を検討するほか、収益体制強化の観点から、賃借期間満了に伴う退店も検討・実施してまいります。
②収益構造の改善・向上
日本国内では、「少子高齢化」による若年層の人口減少が顕著であり他方で、国内外において「高速通信技術の普及やモバイル端末の高性能化、SNS等の新たなITサービスの普及」が進み、レジャー・エンターテインメントが多様化し、コミュニケーション手段の変化が見られます。
当社は若年層を主たる顧客層とし、ボウリング・アミューズメント・カラオケ・スポッチャといった来場を伴うサービスの提供を事業としていることから、これらの変化への対応を重要課題と認識しております。
当社では、以下の施策を実施し、新しいサービスの提供につとめ、継続的な事業の発展を図ってまいります。
『ファン層の開拓』
当社は、お客様のニーズに応えた魅力的なサービスを提供し続け、リピーターとなっていただくことが、時代の変化に耐えうる収益構造の構築に必要不可欠と考えております。
当社サービスにはお客様が実際に集いコミュニケーションを楽しんでいただく「場」を提供できる特色がございます。今後もその利点を生かしたサービスを開発し提供することで、ファン層の維持並びに開拓に努めてまいります。
具体的には、引き続き、ボウリング教室や各種競技会の開催・協賛、アミューズメントの「店舗交流会」の実施、友人や家族で楽しんでいただけるスポッチャアイテムの更新等、幅広い年齢層のお客様に技術の向上やコミュニケーションを楽しんでいただく「場」を提供して参ります。
『情報化社会への対応』
新サービスとして、ボウリングエリアやカラオケルームを双方向のライブ映像・音声でつなぐサービスである「ROUND1 LIVE」の提供を開始いたしました。当該サービスは、高速通信技術を用いてお客様が集う「場」同士をつないでのコミュニケーションを楽しんでいただける新しいサービスです。今後はこれらのサービスをさらに充実させ、店舗にご来場いただけないお客様に対しても、ラウンドワンの各種サービスを楽しんでいただけるようなサービスの開発を検討してまいります。
なお、当社では「ラウンドワンアプリ」を通じ、約1,200万名(2020年3月末現在:ダウンロード数基準)を超える会員様にアプリを利用した企画の提供や案内を行っております。今後もITシステム投資を継続し「ROUND1 LIVE」と「ラウンドワンアプリ」並びにSNS等との連動強化を図る等、より魅力あるサービスの提供に努めてまいります。
『経営効率の改善・サービスの向上』
労働人口が減少し「働き方改革」が求められる中、労働効率・労働環境の改善とサービスの向上の両立は、対処すべき重要課題であり、その重要性は今後加速していくものと認識しております。また、IT技術を活用し、これらの課題へ対応していくことは当社の継続的発展に欠かせないものと認識しております。
引き続き「効率的な業務オペレーションの構築」・「労働時間の削減」等の経営効率の改善に取り組みつつ、柔軟な働き方を可能とする社内文化の構築や、ITシステムを積極的に導入することで、さらなる経営効率の改善とお客様サービスの向上を両立してまいります。
③財務体質の強化
当社グループでは、「笑顔・健康・コミニュケーション」をコンセプトとした「安心・安全・快適」な店舗運営を継続しつつ、新規出店や新しい企画、ITシステム投資を積極的に実施していくためには、経営環境の変化や新たな資金ニーズに柔軟に対応できる財務基盤の強化が重要な課題であると認識しております。引き続き、金融機関や投資家の方々との信頼関係の構築による効率的な資金調達及びリースの活用、適切なコスト管理システムの構築等に積極的に取り組み、財務体質の強化を進めてまいります。
④新型コロナウイルス感染症への対応
当社グループは、新型コロナウイルス感染症への対応として、2020年4月に全店の臨時休業を実施いたしました。今後も感染拡大防止のため、政府並びに地方自治体の要請に従い、店舗の臨時休業や営業時間制限などを必要に応じ適時実施してまいります。
今後も新型コロナウイルス感染症対策を機動的におこなうために、健全な事業の運営を継続するために必要な運転資金の確保を図るとともに、安心・安全にお客様にご利用いただける環境整備を店舗運営において最優先事項とし、随時必要な施策を検討・実施してまいります。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは米国での収益基盤を拡大すべく、年間10店舗以上の出店を目標としております。米国への新規出店を行う上で、自己資本での投資を行うために、日本国内及び米国での継続的な収益の獲得が必要となります。そのため、当社グループは米国への新規出店と事業の収益構造の改善を重要な課題と位置づけ、米国新規出店数・総売上前年対比・売上高経常利益率を重要な指標としております。
なお、当連結会計年度の米国新規出店数は9店舗(前年同期11店舗)、総売上高前年対比は3.4%増(前年同期5.6%増)、売上高経常利益率は8.3%(前年同期11.1%)となっております。