有価証券報告書-第42期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/27 11:00
【資料】
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【項目】
145項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針、経営戦略、経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①新規出店及び新サービスの創出による営業基盤の拡大
当社グループは複合型エンターテインメント事業を展開しており、継続的に売上向上を図るうえで、新規出店や新サービスの創出による営業基盤の拡大はその重要な要素です。現在、日本国内においては全国99店舗体制を構築し、アミューズメントフロアを改装した「ギガクレーンゲームスタジアム」やオンラインクレーンゲーム「クレッチャ」等、新業態の展開を進めておりますが、少子化の影響により高収益体質を維持できる国内の出店候補地は減少しております。
そこで、当社グループにおいては、中長期的な成長確保の観点から、海外への新規出店及び新サービスの創出に積極的に取り組んでおります。
米国においては2010年より大型ショッピングモールへ46店舗を出店し、国内に匹敵する利益を確保できる体制を構築すべく、積極出店を進めてまいりました。当連結会計年度において新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を大きく受けたことから、一部を除き新規出店開発を一旦停止いたしましたが、諸規制緩和後の足下の業績は堅調に推移しております。今後につきましては、当社グループ内での投資効率、米国市場の状況を見極めながら積極的な出店を検討してまいります。
他方、中華人民共和国において、2021年に広東省広州市、深圳市ならびに上海市へ出店し収益構造の構築に注力しております。同国への出店は今後の成長ドライバーになりうると認識しておりますが、収益構造や中華人民共和国特有のリスク及び当社グループ全体の財務状況を見極めたうえで、慎重に出店を継続してまいります。
海外出店にあたっては、引き続き国内外において有能な人材の確保に注力するとともに、「親会社と同水準の内部統制システムの構築」「不正抑止とリスク回避を徹底したオペレーションの構築」等、子会社におけるガバナンス体制の強化や海外出店特有のリスクの検討を十分に行ったうえ、法令を遵守し適時・正確な情報を開示できる体制の整備に努めてまいります。
他方、日本国内においては、引き続き新業態の開発等による新しいサービスの創出に努める一方、新規出店に関しては、初期投資を抑えられかつ高い投資効率が見込まれる物件を厳選しての検討を進めてまいります。また、収益性の低い店舗については退店を検討し、収益構造の強化を進めてまいります。
②収益構造の改善・構築
日本国内では、若年層の人口減少が進む一方で、デジタル機器の進化によりエンターテインメントの多様化が進んでおります。また、新型コロナウイルス感染症ならびに技術革新により、デジタル技術を活用した非接触型のサービスの重要性が増してまいりました。
当社は若年層を主たる顧客層とし、ボウリング・アミューズメント・カラオケ・スポッチャといった来場を伴うエンターテインメントサービスの提供を主たる事業としておりますが、これらの変化への対応を重要課題と認識しております。
当社では、以下の施策を実施し、新しいサービスの提供に努め、継続的な事業の発展を図ってまいります。
なお、米国及び中華人民共和国においても同様の課題認識の下、新規出店を進めながら、各国特有のエンターテインメントの多様化に対する対応を検討・実施してまいります。
『ファン層の開拓』
当社は、お客様のニーズに応えた魅力的なサービスを提供し、リピーターとなっていただくことが、時代の変化に耐えうる収益構造の構築に必要不可欠と考えております。
日本国内においては、小中学生無料キャンペーン及び親子無料キャンペーンの実施、ボウリング教室や各種競技会の開催・協賛、アミューズメントの「店舗交流会」の実施、友人や家族で楽しんでいただけるスポッチャアイテムの更新等、幅広い年齢層のお客様に技術の向上やコミュニケーションを楽しんでいただく機会を提供しており、海外においても随時同様のサービスを検討してまいります。
他方、他社との協創による魅力的なサービスの開発、提供を継続的に図ることも、重大な課題と考えております。当連結会計年度においては魅力的なプライズ(景品)の開発・供給を図るべく、株式会社エスケイジャパンを関連会社とし、協力関係の構築に努めました。引き続き他社との連携強化に努めてまいります。
『事業領域の拡大』
当社が提供するエンターテインメントサービスをデジタルの領域に広げ、店舗との融合を図ることで、事業領域の拡大を図ってまいります。
当社では、2021年4月よりオンラインクレーンゲーム「クレッチャ」サービスを開始したほか、「ROUND1 LIVE」サービスのコンテンツの充実を図る等、対策を進めてまいりました。引き続き新たなサービスの開発を進めてまいります。
『経営効率の改善・サービスの質の向上』
労働効率・労働環境の改善とエンターテインメントサービスの質の向上の両立が重要課題であると認識しており、IT技術を活用し、これらの課題を解決することは当社の継続的発展に欠かせないものと認識しております。
引き続き「効率的な業務オペレーションの構築」・「労働時間の削減」等の経営効率の改善に取り組みつつ、柔軟な働き方を可能とする社内文化の構築や、ITシステムを積極的に導入することで、これらの課題に取り組んでまいります。
③財務体質の強化
「笑顔・健康・コミュニケーション」を基盤としたエンターテインメント事業を展開しつつ、新規出店や新規事業を創出していくためには、経営環境の変化や新たな資金ニーズに柔軟に対応できる財務基盤の強化が重要な課題であると認識しております。引き続き、金融機関や投資家の方々との信頼関係の構築による効率的な資金調達及びリースの活用、適切なコスト管理システムの構築等に積極的に取り組み、財務体質の強化を進めてまいります。
④サステナビリティ(SDGs)への対応
当社グループは、SDGs(持続可能な開発目標)に賛同し、目標達成に向けて、積極的に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、サステナビリティ基本方針を定め、サステナビリティ諮問委員会及びサステナビリティ推進チームを発足するとともに、社内への啓蒙、推進策の立案及び実行に着手いたしました。引き続き社内への啓蒙に努めるとともに、SDGsへの対応を積極的に進めてまいります。
⑤コーポレートガバナンスの充実
当社グループは、コーポレートガバナンスの充実を企業の成長に欠かせない重要課題と捉えており、引き続き内部統制システムの整備・改善及び内部監査体制の強化を進めるとともに、株主様をはじめとする関係者の皆様への適時かつ適切な情報開示に努め、透明性の高い会社経営を推し進めてまいります。
特に、内部統制システムの整備については、「効率的かつ透明性の高い業務執行体制」を構築すべく全従業員の意識向上を図る等、各種施策に全社をあげて取り組んでまいります。
また、これらに加え、内部監査部門及びコンプライアンス・リスクマネジメントチームの活動を一層充実させることで、法令遵守・安全管理ならびにリスク管理を徹底した「健全な会社運営」を進めてまいります。
なお、当社は東京証券取引所のプライム市場へ移行いたしました。今後は、コーポレートガバナンスコードの趣旨を踏まえ、さらなるガバナンス体制の充実を図ってまいります。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは収益基盤を拡大すべく、海外への出店数を重要な指標としております。また、海外への新規出店を行ううえで、自己資本での投資を行うために、継続的な収益の獲得が必要となります。そのため、当社グループは海外への新規出店と事業の収益構造の改善を重要な課題と位置づけ、海外への新規出店数・総売上前年対比・売上高経常利益率を重要な指標としております。
また、当連結会計年度の海外への新規出店数は5店舗(前年同期6店舗)、総売上高前年対比は58.2%増(前年同期41.8%減)、売上高経常利益率は5.6%となっております。なお、前連結会計年度の売上高経常利益率は経常損失のため記載しておりません。