有価証券報告書-第66期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
当社グループの理念、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 理念等
当社グループは、存在意義や使命としての「パーパス」、大切にする価値観である「バリュー」をグループ共通の「理念」とし、それを補完する「我々の想い」を定めております。また、理念に基づき、社会・ステークホルダーへの基本的な向き合い方を明確化した「オリコがめざすサステナビリティ」を掲げております。
なお、「オリコがめざすサステナビリティ」は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
[パーパス]
その夢の、一歩先へ
Open the Future with You
[バリュー]
正しさを求める 信頼を育む
未来を想う 挑戦を楽しむ
[我々の想い]
わたしたちはこれまでも、時代のニーズに合わせた安心・安全・便利な
金融サービスを提供してきました。
これからめざすのは、目まぐるしく変化する不確実な時代においても、お客さま一人ひとりのいまと未来に親身に寄り添い、真摯に向き合い、時には熱意を持ってリードする、そうした信頼されるパートナーであり続けること。
そのためにわたしたちは、お客さまや社会の未来を想像し、そこから新たな価値を創造することに挑み続けます。
その夢の、一歩先へ。あなたとともに。
(2) 経営戦略、経営環境及び対処すべき課題等
《経営戦略》
当社グループは、パーパス「その夢の、一歩先へ Open the Future with You」のもと、社会課題解決を起点とした価値創造をめざしております。強みである与信力(与信・回収・オペレーション)をテクノロジーの力でさらに磨きをかけ、新たなソリューションを創出するとともに、当社ネットワーク経済圏を梃子とし、個人・中小企業等のお客さま一人ひとりのニーズに即した当社ならではのソリューションを提供することにより、事業の飛躍的拡大を実現したいと考えております。
《経営環境及び対処すべき課題等》
昨今、金融環境の変化や地政学リスクの高まり、さらにはサイバー攻撃の増加など、当社グループを取り巻く事業環境は不透明な状況が続いております。加えて、長期的な視点では、わが国における生産年齢人口の減少が確実視されており、限られた人的資源のもとで持続的成長を実現するためには生産性の向上が不可欠となっております。企業におけるデジタル化の推進はこうした課題を解決するための重要な打ち手として位置付けられており、当社グループとしても経営上の重要課題として認識しております。
とりわけ、生成AIをはじめとするデジタル技術(以下、AI・デジタル技術という。)は、想定を超える速度で進展しており、その活用の巧拙は事業効率化や生産性向上に留まらず、お客さまへの価値提供、さらには企業の競争力を大きく左右する可能性もあります。
AI・デジタル技術の活用に後れを取った企業は競争力低下のリスクを内包する一方、迅速かつ適切に取り組むことができた企業は、他社との差別化を通じてお客さまから支持され、選ばれ続ける存在へと進化する機会にもなり得るものと認識しております。
《中期経営計画(2026年3月期~2030年3月期)》
当社グループは、当連結会計年度を初年度とする5ヵ年の中期経営計画をスタートいたしました。前半の3年間で前中期経営計画から取り組んできた事業構造改革を早期に完遂するとともに、競争優位性のある事業基盤を固め、後半の2年間で成果の刈り取りを進めていく計画としております。
<経営目標・実績>
①事業戦略
a.事業構造改革の完遂
<現状と課題>これまで当社グループでは、収益性及び成長性の観点から事業ポートフォリオの見直しを進め、経営資源を縮退領域から成長領域へ振り向けることで、事業全体における安定性と成長性のバランス最適化を目的とした事業構造改革を進めてまいりました。
一方、前述のとおり、AI・デジタル技術の活用を梃子に、事業構造改革を一層深掘りし、スピード感をもって推進していくことが重要だと認識しております。
具体的には、従来の業務プロセスやビジネス構造等をお客さま視点で抜本的に見直すとともに、AI・デジタル技術を徹底的に活用することにより、生産性の向上とともに新たな顧客体験の創出をめざしてまいります。
また、デジタル化を推進することにより創出される人的リソースについては、成長分野へ戦略的に再配分し、より付加価値の高い業務へのシフトを進めることで、当社グループ全体の競争力強化と持続的な企業価値向上につなげてまいります。
<今後の方針>2027年3月期においては、事業構造改革の完遂に目途をつけ、成長戦略の足場を固める1年と位置付け、以下の施策を中心に取り組んでまいります。
イ.生産性向上とお客さま視点での価値創出
バックオフィス・ミドルオフィス等でのAI・デジタル技術の徹底活用を一段と深化させ、生産性の飛躍的な向上の実現をめざし、新たな顧客体験価値の創出及びサービス品質の向上を図ってまいります。
ロ.金利上昇局面に耐え得る収益構造への転換と成長戦略の柱となり得る事業領域の基盤確立
金利上昇時でも安定した収益を生み出す収益構造への転換を最優先課題と位置付け、価格転嫁と経費水準の適正化を両立させながら事業ポートフォリオの組替えを加速するとともに、ALM高度化等にも取り組んでまいります。また、新たな事業の柱となり得る事業領域の確立に向けて個人戦略・法人戦略等の取組を強化し、強固な収益構造をめざしてまいります。
ハ.変革を支え、持続させる組織・人財基盤の強化
業務の効率化を進めることにより、従業員がより付加価値の高い業務へ集中して取り組むことができる態勢の構築を図るとともに、従業員エンゲージメントの向上に資する施策・打ち手を適時適切に講じてまいります。
b.個人戦略(個品割賦事業、カード・融資事業等)
<現状と課題>当社グループは、個品割賦を含む分割払い市場において、リーディングカンパニーとして存在意義を発揮するとともに、個人向けオートリースなどの成長市場においてもシェア拡大を図り、ドミナントな事業領域の確立をめざしております。
当連結会計年度においては、性能規定与信を活用したデジタル分割払いを中心に、ファイナンス性向の高い顧客の取り込みと、オリコ会員向け専用Webサービス「eオリコ会員」における取引の重層化を戦略の主軸として推進してまいりました。
デジタル分割払いにつきましては、大手ECサイトへの導入など一定の進展が見られたものの、UI/UX上の課題等もあり、取扱高は当初計画を下回る結果となりました。また、個人向けオートリースについても、市場全体の伸長率が想定を大きく下回ったことなどから、計画対比では伸び悩む結果となりました。
さらに、市場金利の上昇を背景として金融費用が大幅に増加しております。当社グループでは価格転嫁を進めておりますが、価格転嫁のタイミングが市場金利の上昇に遅行するため、その効果が収益に反映されるまでには一定の時間を要します。このため、足元では収益性への影響が顕在化しております。
一方で、分割払い市場は引き続き拡大基調であることから、今後もお客さまのニーズに迅速かつ柔軟に対応し、新たな顧客の獲得及び持続的な成長機会の創出を図ってまいります。
<今後の方針>上記の事業環境及び課題認識を踏まえ、当社グループの個人戦略においては、以下の施策を中心に事業構造の強化を進めてまいります。
イ.顧客体験及びエンゲージメントの向上
デジタル分割払いを中心に、UI/UXの改善等を進めるとともに、顧客利便性の向上並びに契約率及び稼働率の底上げを図ってまいります。
また、顧客のライフサイクルや利用状況に応じた一貫性のあるサービス提供を実現し、中長期的な顧客エンゲージメントの向上及び顧客生涯価値(LTV)の最大化をめざしてまいります。
ロ.自動車市場におけるバリューチェーンを俯瞰した新領域への取組推進
個人オートリースを含む自動車市場では、金融提供に加え、購入前から保有・乗り換え・再販までのバリューチェーン全体を俯瞰した新領域への取組を進めてまいります。
デジタルを活用した顧客接点の拡充と付加価値サービスの提供により、顧客との継続的な関係構築を図り、モビリティライフ全体を支える事業モデルへの進化をめざしてまいります。
c.法人戦略(決済・保証事業、カード・融資事業、銀行保証事業等)
<現状と課題>当社グループでは、顧客セグメントや業種特性に応じて多様化・高度化する経営課題やニーズに対し、金融サービス及びソリューションを提供することを通じて、従来のプロダクトアウト型営業から、顧客課題を起点としたマーケットイン型営業への転換を進めております。
当連結会計年度においては、金融機関向け保証事業や一部の法人向けソリューションを中心におおむね計画どおりに進捗しております。
とりわけ、顧客基盤の拡大及び取引重層化に向けた取組は確実に進捗しており、株式会社みずほ銀行等との連携やデジタルチャネルの活用、加盟店網の活用等により市場深耕を一段と進めていくとともに、中小企業(SME)向けソリューション等の商品化に取り組むことで、顧客課題解決を起点としたマーケットイン型営業への転換を完遂してまいります。
<今後の方針>上記の事業環境及び課題認識を踏まえ、法人戦略においては、以下の施策を中心に事業基盤の強化を進めてまいります。
イ.金融機関向け事業の多様化・高度化
金融機関向け保証事業においては、保証料率の適正化、与信判断の精緻化及び代弁率の抑制により、残高の積み上げと収益性の確保の両立を図ってまいります。
併せて、取り扱い領域の拡大や地域金融機関との連携強化を通じ、取引基盤の拡充を進めることで、中期的に安定した収益成長の実現をめざしてまいります。
ロ.企業間決済・資金繰り支援領域の強化
企業間決済及び資金繰り支援分野においては、与信モデルの高度化及びデジタルチャネルの活用を通じて、BtoB取引、売掛金決済保証、請求支援サービス等の利便性向上を図ってまいります。
また、外部環境の変動等による既存取扱高の減少リスクに対応するため、新規顧客の獲得や新たなマーケットの開拓にも引き続き注力してまいります。
ハ.中小企業(SME)向けソリューションの拡充
中小企業向けには、資金繰りの可視化や決済支援ツールを基盤としたデジタル型ソリューションの提供を強化し、顧客基盤の拡大及び取引深度の向上を図ってまいります。
加えて、短期資金需要や小口投資支援など、SME特有の資金ニーズに対応したサービスラインナップを整備することで、法人向け事業における新たな収益の柱として育成していく方針であります。
ニ.新規領域への取組
不動産関連事業等の新規領域については、リスク管理を徹底しながら投資規模を段階的に拡大していくとともに、家賃決済保証事業等における不動産管理会社等とのリファーラル連携を強化することで、当社グループ全体の事業ポートフォリオの安定化及び収益源の多様化に寄与してまいります。
d.海外戦略(海外事業)
<現状と課題>当社グループは、「新興国のお客さまに安心・安全な金融サービスを提供する」ことを基本方針として、国内で培った与信・回収ノウハウを活用し、東南アジアを中心にオートローン事業を展開してまいりました。
近年、進出国において地域金融機関との激しい競争環境のなかで、収益確保を優先した事業運営の結果、リスク管理やガバナンス体制の強化が十分に進まず、不良債権の増加を招く結果となりました。これにより、当社グループの収益性が大きく悪化する状況となりました。
こうした状況を踏まえ、当社グループでは、与信基準の厳格化並びに回収体制の強化及び経費の削減を推進し、事業構造の再構築に注力したことで、タイ及びインドネシアにおいては黒字化の目途が立っております。
しかしながら、昨今の地政学リスクの高まり等を背景に、両国における自動車需要の中期的な動向は不透明な状況が続いております。これに伴い、オートローンの取り扱いの動向も不確定要素が存在しており、事業環境は依然として予断を許さない状況にあります。
引き続き、黒字化の定着に向けて外部環境を注視しつつ、さらなる事業構造改革を進めてまいります。
<今後の方針>上記の事業環境及び課題認識を踏まえ、次の施策を中心に、強固な基盤構築を図ってまいります。
事業構造改革の完遂
与信厳格化と効率経営を徹底し、安定的な黒字基盤の確立を図ってまいります。また、DXの活用による申し込みプロセスの高度化及び回収コストの低減を進めるとともに、良質債権の着実な積み上げを通じて、収益の安定化とボラティリティの低減をめざしてまいります。
②財務規律
当社グループは、資金ビジネスにおける適切な価格転嫁と経費適正化を両輪で進めるとともに、ALMの高度化、商品・サービスにおける変動金利の適用、非金利収入の強化等により、金利上昇局面においても安定的な収益を確保できる収益基盤の構築を図ってまいります。
また、グループ会社の統廃合や業務の内製化を進めることで、収益性と効率性を重視した財務規律の強化に取り組んでまいります。
③経営基盤強化
当社グループは、サステナビリティを経営の中心に据え、マテリアリティを起点として社会価値の創出と企業価値の向上の両立をめざしております。
この実現に向け、事業構造改革及び成長戦略を支える人財基盤の強化を経営の重要課題と位置付け、カルチャー変革、人材育成、環境変化に柔軟に対応できる組織づくり及び健康経営に取り組んでまいります。
加えて、急速な技術革新の進展やサイバーリスクの高度化、不正利用の巧妙化といった事業環境の変化を踏まえ、AI・データ活用を前提とした業務プロセスの再構築、システム基盤の高度化、ガバナンス及びセキュリティ体制の強化をさらにスピードアップ・スケールアップして取り組んでまいります。
とりわけAI・デジタル技術の活用が、業務効率化及び付加価値創出の両面において重要な成長ドライバーとなるものと考えており、これらを適切に活用しながらCX及びEX双方の向上を図り、企業価値の持続的な向上をめざしてまいります。
④資本政策
当社グループの中期経営計画における資本政策は、「財務健全性、成長投資、株主還元の最適なバランスを実現」することを基本方針としております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 理念等
当社グループは、存在意義や使命としての「パーパス」、大切にする価値観である「バリュー」をグループ共通の「理念」とし、それを補完する「我々の想い」を定めております。また、理念に基づき、社会・ステークホルダーへの基本的な向き合い方を明確化した「オリコがめざすサステナビリティ」を掲げております。
なお、「オリコがめざすサステナビリティ」は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
[パーパス]
その夢の、一歩先へ
Open the Future with You
[バリュー]
正しさを求める 信頼を育む
未来を想う 挑戦を楽しむ
[我々の想い]
わたしたちはこれまでも、時代のニーズに合わせた安心・安全・便利な
金融サービスを提供してきました。
これからめざすのは、目まぐるしく変化する不確実な時代においても、お客さま一人ひとりのいまと未来に親身に寄り添い、真摯に向き合い、時には熱意を持ってリードする、そうした信頼されるパートナーであり続けること。
そのためにわたしたちは、お客さまや社会の未来を想像し、そこから新たな価値を創造することに挑み続けます。
その夢の、一歩先へ。あなたとともに。
(2) 経営戦略、経営環境及び対処すべき課題等
《経営戦略》
当社グループは、パーパス「その夢の、一歩先へ Open the Future with You」のもと、社会課題解決を起点とした価値創造をめざしております。強みである与信力(与信・回収・オペレーション)をテクノロジーの力でさらに磨きをかけ、新たなソリューションを創出するとともに、当社ネットワーク経済圏を梃子とし、個人・中小企業等のお客さま一人ひとりのニーズに即した当社ならではのソリューションを提供することにより、事業の飛躍的拡大を実現したいと考えております。
《経営環境及び対処すべき課題等》
昨今、金融環境の変化や地政学リスクの高まり、さらにはサイバー攻撃の増加など、当社グループを取り巻く事業環境は不透明な状況が続いております。加えて、長期的な視点では、わが国における生産年齢人口の減少が確実視されており、限られた人的資源のもとで持続的成長を実現するためには生産性の向上が不可欠となっております。企業におけるデジタル化の推進はこうした課題を解決するための重要な打ち手として位置付けられており、当社グループとしても経営上の重要課題として認識しております。
とりわけ、生成AIをはじめとするデジタル技術(以下、AI・デジタル技術という。)は、想定を超える速度で進展しており、その活用の巧拙は事業効率化や生産性向上に留まらず、お客さまへの価値提供、さらには企業の競争力を大きく左右する可能性もあります。
AI・デジタル技術の活用に後れを取った企業は競争力低下のリスクを内包する一方、迅速かつ適切に取り組むことができた企業は、他社との差別化を通じてお客さまから支持され、選ばれ続ける存在へと進化する機会にもなり得るものと認識しております。
《中期経営計画(2026年3月期~2030年3月期)》
当社グループは、当連結会計年度を初年度とする5ヵ年の中期経営計画をスタートいたしました。前半の3年間で前中期経営計画から取り組んできた事業構造改革を早期に完遂するとともに、競争優位性のある事業基盤を固め、後半の2年間で成果の刈り取りを進めていく計画としております。
<経営目標・実績>
| 2026年3月期(実績) | 2028年3月期(目標) | 2030年3月期(目標) | |
| 経常利益 | 144億円 | 250億円超 | 500億円超 |
| ROE | 5.3% | 7.5%以上 | 12%以上 |
| 営業収益一般経費率 | 63.3% | 60%未満 | 50%台前半 |
①事業戦略
a.事業構造改革の完遂
<現状と課題>これまで当社グループでは、収益性及び成長性の観点から事業ポートフォリオの見直しを進め、経営資源を縮退領域から成長領域へ振り向けることで、事業全体における安定性と成長性のバランス最適化を目的とした事業構造改革を進めてまいりました。
一方、前述のとおり、AI・デジタル技術の活用を梃子に、事業構造改革を一層深掘りし、スピード感をもって推進していくことが重要だと認識しております。
具体的には、従来の業務プロセスやビジネス構造等をお客さま視点で抜本的に見直すとともに、AI・デジタル技術を徹底的に活用することにより、生産性の向上とともに新たな顧客体験の創出をめざしてまいります。
また、デジタル化を推進することにより創出される人的リソースについては、成長分野へ戦略的に再配分し、より付加価値の高い業務へのシフトを進めることで、当社グループ全体の競争力強化と持続的な企業価値向上につなげてまいります。
<今後の方針>2027年3月期においては、事業構造改革の完遂に目途をつけ、成長戦略の足場を固める1年と位置付け、以下の施策を中心に取り組んでまいります。
イ.生産性向上とお客さま視点での価値創出
バックオフィス・ミドルオフィス等でのAI・デジタル技術の徹底活用を一段と深化させ、生産性の飛躍的な向上の実現をめざし、新たな顧客体験価値の創出及びサービス品質の向上を図ってまいります。
ロ.金利上昇局面に耐え得る収益構造への転換と成長戦略の柱となり得る事業領域の基盤確立
金利上昇時でも安定した収益を生み出す収益構造への転換を最優先課題と位置付け、価格転嫁と経費水準の適正化を両立させながら事業ポートフォリオの組替えを加速するとともに、ALM高度化等にも取り組んでまいります。また、新たな事業の柱となり得る事業領域の確立に向けて個人戦略・法人戦略等の取組を強化し、強固な収益構造をめざしてまいります。
ハ.変革を支え、持続させる組織・人財基盤の強化
業務の効率化を進めることにより、従業員がより付加価値の高い業務へ集中して取り組むことができる態勢の構築を図るとともに、従業員エンゲージメントの向上に資する施策・打ち手を適時適切に講じてまいります。
b.個人戦略(個品割賦事業、カード・融資事業等)
<現状と課題>当社グループは、個品割賦を含む分割払い市場において、リーディングカンパニーとして存在意義を発揮するとともに、個人向けオートリースなどの成長市場においてもシェア拡大を図り、ドミナントな事業領域の確立をめざしております。
当連結会計年度においては、性能規定与信を活用したデジタル分割払いを中心に、ファイナンス性向の高い顧客の取り込みと、オリコ会員向け専用Webサービス「eオリコ会員」における取引の重層化を戦略の主軸として推進してまいりました。
デジタル分割払いにつきましては、大手ECサイトへの導入など一定の進展が見られたものの、UI/UX上の課題等もあり、取扱高は当初計画を下回る結果となりました。また、個人向けオートリースについても、市場全体の伸長率が想定を大きく下回ったことなどから、計画対比では伸び悩む結果となりました。
さらに、市場金利の上昇を背景として金融費用が大幅に増加しております。当社グループでは価格転嫁を進めておりますが、価格転嫁のタイミングが市場金利の上昇に遅行するため、その効果が収益に反映されるまでには一定の時間を要します。このため、足元では収益性への影響が顕在化しております。
一方で、分割払い市場は引き続き拡大基調であることから、今後もお客さまのニーズに迅速かつ柔軟に対応し、新たな顧客の獲得及び持続的な成長機会の創出を図ってまいります。
<今後の方針>上記の事業環境及び課題認識を踏まえ、当社グループの個人戦略においては、以下の施策を中心に事業構造の強化を進めてまいります。
イ.顧客体験及びエンゲージメントの向上
デジタル分割払いを中心に、UI/UXの改善等を進めるとともに、顧客利便性の向上並びに契約率及び稼働率の底上げを図ってまいります。
また、顧客のライフサイクルや利用状況に応じた一貫性のあるサービス提供を実現し、中長期的な顧客エンゲージメントの向上及び顧客生涯価値(LTV)の最大化をめざしてまいります。
ロ.自動車市場におけるバリューチェーンを俯瞰した新領域への取組推進
個人オートリースを含む自動車市場では、金融提供に加え、購入前から保有・乗り換え・再販までのバリューチェーン全体を俯瞰した新領域への取組を進めてまいります。
デジタルを活用した顧客接点の拡充と付加価値サービスの提供により、顧客との継続的な関係構築を図り、モビリティライフ全体を支える事業モデルへの進化をめざしてまいります。
c.法人戦略(決済・保証事業、カード・融資事業、銀行保証事業等)
<現状と課題>当社グループでは、顧客セグメントや業種特性に応じて多様化・高度化する経営課題やニーズに対し、金融サービス及びソリューションを提供することを通じて、従来のプロダクトアウト型営業から、顧客課題を起点としたマーケットイン型営業への転換を進めております。
当連結会計年度においては、金融機関向け保証事業や一部の法人向けソリューションを中心におおむね計画どおりに進捗しております。
とりわけ、顧客基盤の拡大及び取引重層化に向けた取組は確実に進捗しており、株式会社みずほ銀行等との連携やデジタルチャネルの活用、加盟店網の活用等により市場深耕を一段と進めていくとともに、中小企業(SME)向けソリューション等の商品化に取り組むことで、顧客課題解決を起点としたマーケットイン型営業への転換を完遂してまいります。
<今後の方針>上記の事業環境及び課題認識を踏まえ、法人戦略においては、以下の施策を中心に事業基盤の強化を進めてまいります。
イ.金融機関向け事業の多様化・高度化
金融機関向け保証事業においては、保証料率の適正化、与信判断の精緻化及び代弁率の抑制により、残高の積み上げと収益性の確保の両立を図ってまいります。
併せて、取り扱い領域の拡大や地域金融機関との連携強化を通じ、取引基盤の拡充を進めることで、中期的に安定した収益成長の実現をめざしてまいります。
ロ.企業間決済・資金繰り支援領域の強化
企業間決済及び資金繰り支援分野においては、与信モデルの高度化及びデジタルチャネルの活用を通じて、BtoB取引、売掛金決済保証、請求支援サービス等の利便性向上を図ってまいります。
また、外部環境の変動等による既存取扱高の減少リスクに対応するため、新規顧客の獲得や新たなマーケットの開拓にも引き続き注力してまいります。
ハ.中小企業(SME)向けソリューションの拡充
中小企業向けには、資金繰りの可視化や決済支援ツールを基盤としたデジタル型ソリューションの提供を強化し、顧客基盤の拡大及び取引深度の向上を図ってまいります。
加えて、短期資金需要や小口投資支援など、SME特有の資金ニーズに対応したサービスラインナップを整備することで、法人向け事業における新たな収益の柱として育成していく方針であります。
ニ.新規領域への取組
不動産関連事業等の新規領域については、リスク管理を徹底しながら投資規模を段階的に拡大していくとともに、家賃決済保証事業等における不動産管理会社等とのリファーラル連携を強化することで、当社グループ全体の事業ポートフォリオの安定化及び収益源の多様化に寄与してまいります。
d.海外戦略(海外事業)
<現状と課題>当社グループは、「新興国のお客さまに安心・安全な金融サービスを提供する」ことを基本方針として、国内で培った与信・回収ノウハウを活用し、東南アジアを中心にオートローン事業を展開してまいりました。
近年、進出国において地域金融機関との激しい競争環境のなかで、収益確保を優先した事業運営の結果、リスク管理やガバナンス体制の強化が十分に進まず、不良債権の増加を招く結果となりました。これにより、当社グループの収益性が大きく悪化する状況となりました。
こうした状況を踏まえ、当社グループでは、与信基準の厳格化並びに回収体制の強化及び経費の削減を推進し、事業構造の再構築に注力したことで、タイ及びインドネシアにおいては黒字化の目途が立っております。
しかしながら、昨今の地政学リスクの高まり等を背景に、両国における自動車需要の中期的な動向は不透明な状況が続いております。これに伴い、オートローンの取り扱いの動向も不確定要素が存在しており、事業環境は依然として予断を許さない状況にあります。
引き続き、黒字化の定着に向けて外部環境を注視しつつ、さらなる事業構造改革を進めてまいります。
<今後の方針>上記の事業環境及び課題認識を踏まえ、次の施策を中心に、強固な基盤構築を図ってまいります。
事業構造改革の完遂
与信厳格化と効率経営を徹底し、安定的な黒字基盤の確立を図ってまいります。また、DXの活用による申し込みプロセスの高度化及び回収コストの低減を進めるとともに、良質債権の着実な積み上げを通じて、収益の安定化とボラティリティの低減をめざしてまいります。
②財務規律
当社グループは、資金ビジネスにおける適切な価格転嫁と経費適正化を両輪で進めるとともに、ALMの高度化、商品・サービスにおける変動金利の適用、非金利収入の強化等により、金利上昇局面においても安定的な収益を確保できる収益基盤の構築を図ってまいります。
また、グループ会社の統廃合や業務の内製化を進めることで、収益性と効率性を重視した財務規律の強化に取り組んでまいります。
③経営基盤強化
当社グループは、サステナビリティを経営の中心に据え、マテリアリティを起点として社会価値の創出と企業価値の向上の両立をめざしております。
この実現に向け、事業構造改革及び成長戦略を支える人財基盤の強化を経営の重要課題と位置付け、カルチャー変革、人材育成、環境変化に柔軟に対応できる組織づくり及び健康経営に取り組んでまいります。
加えて、急速な技術革新の進展やサイバーリスクの高度化、不正利用の巧妙化といった事業環境の変化を踏まえ、AI・データ活用を前提とした業務プロセスの再構築、システム基盤の高度化、ガバナンス及びセキュリティ体制の強化をさらにスピードアップ・スケールアップして取り組んでまいります。
とりわけAI・デジタル技術の活用が、業務効率化及び付加価値創出の両面において重要な成長ドライバーとなるものと考えており、これらを適切に活用しながらCX及びEX双方の向上を図り、企業価値の持続的な向上をめざしてまいります。
④資本政策
当社グループの中期経営計画における資本政策は、「財務健全性、成長投資、株主還元の最適なバランスを実現」することを基本方針としております。