有価証券報告書-第72期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/30 9:43
【資料】
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【項目】
137項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、創業以来、「“食”を通じて国民生活の向上に寄与すること」を基本理念として、お客様の食生活への貢献を企業目的として取り組んでおります。また2012年度からは、ホテル事業の伸張を受け、「“食”&“ホスピタリティ”を通じて国民生活の向上に寄与すること」を基本理念として、事業ごとにコア戦略を明確にし、長期的かつ安定的な企業価値の向上を図ることを企業目的として取り組んでおります。今後におきましては、引き続き持続性のある成長に向けて対応すべく、如何なる時代においても経営基本理念を礎として、企業価値向上に向けて全社一丸となって取り組んでまいります。
この経営方針の下、激変したビジネス環境を受け、2020年5月に「経営構造改革本部」を設置し、社会インフラの一翼を担う企業グループとしての存続を図るため、“選択と集中”による構造改革を進め、収益力の早期回復・向上を実現することをミッションとしております。また、2020年後半以降の事業環境の悪化を機とし、今後策定を行う経営ビジョン2030及び第6次中期経営計画の策定に向けた基盤整備を行うため、下記の通り「変化への対応」、「経営効率化」、「成長分野の育成」を3本柱とする「構造改革の推進」における基本戦略を構築しております。
▶ 「変化への対応」
・各事業において新たなマーケットを創造
・グループシナジーを最大限に発揮するCRM(Customer Relationship Management)の構築
・各事業の強みを更に強化し、顧客満足を向上
▶ 「経営効率化」
・事業再編を通じ効率的な体制へ(撤退、統合)
・固定費・コスト見直しにより収益構造を変革
・SCM(Supply Chain Management)の推進
▶ 「成長分野の育成」
・食品事業(ロイヤルデリ、冷凍アントレ、業務食)の拡大
・テイクアウト・デリバリーに強みを持つ業態開発
・海外事業展開
(2) 経営環境
2021年度におきましても、世界的にワクチン開発や接種が進んでいるものの、新型コロナウイルス感染症の収束時期は依然として不透明であり、影響の長期化が懸念されております。また、米国大統領交代や米中関係の行方も経済活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。加えて、国内においては、外出控えやテレワークの浸透により、生活様式が大きく変化しており、従来の業務体制や事業の仕組みを大きく「変革」していくことが求められていると認識しております。
具体的に前述の「変革」に関して、労働集約型就労モデルからの脱却を図るためITなどのテクノロジーの活用、及びお客様との関係性を深め取引深耕を図るためデジタルデータの活用を積極的に進めることが必要不可欠な局面を迎えていると認識しております。
加えて、経営効率化の推進を図ることも求められていると認識しており、ヒトの活性化やモノの調達等に関して、従来慣行に縛られず聖域なく進めていく遂行力が経営者に求められている環境と考えます。
(3) 中期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき課題
当社グループでは、収益力の回復・向上に向けて、上記(1)の通り「変化への対応」「経営効率化」「成長分野の育成」を3本柱とした構造改革を推進してまいります。「変化への対応」では中食・内食市場開拓などの新たな需要の創出、「経営効率化」では事業再編や固定費低減などによる収益構造の変革、「成長分野の育成」では食品事業の拡大やテイクアウト・デリバリーに強みを持つ業態の開発、海外事業の展開などに注力し、新たな経営環境に対応していけるよう取組んでまいります。
具体的には、双日株式会社(以下、「双日」)との間で2021年2月15日に締結した「資本業務提携契約」の下で、外食事業では、「構造改革の推進」における「成長分野の育成」として、海外、特にアジア地域における事業展開の機会を積極的に求めてまいります。コントラクト事業においては、受託先施設の関連企業とのネットワーク構築や新業態の開発、魅力的なテナント誘致等の方策を整え、「成長分野の育成」の観点から更なる事業拡大を目指してまいります。
当社グループの各事業においては、「経営効率化」に資する収支構造の変革を実現するため、総合商社として国内外を問わず多数の調達先・販売先を有している双日の“ネットワーク”を活用してまいります。また、「構造改革の推進」における「成長分野の育成」として食品事業の拡大においても、双日が有する“ネットワーク”と、食の領域における当社ならではのコンテンツを詰め込んだ“ロイヤルデリ”の商品性を融合させ、価値創造に向けた取り組みを推進してまいります。
加えて対処すべき財務上の課題に関しては、当社は新型コロナウイルス感染症の拡大、非常事態宣言の発令等に伴い、2020年度において27,532百万円と多額の連結当期純損失(親会社株主に帰属する当期純損失)を計上するに至り、早急に財務基盤の強化を図ることとともに、新たな経営環境への対応と成長のための資金を確保することが必要な状況となっており、外部からの資本調達の実施等安定かつ十分な財務基盤の整備に努力してまいります。
(4) 目標とする経営指標
当社グループは、2017年11月に2018年1月から2020年12月までの3年間を対象とする中期経営計画「Beyond 2020」を策定し、その最終年度である2020年度において、売上高1,500億円、連結経常利益75億円、連結経常利益率5.0%、ROA(総資産経常利益率)7.0%、ROE(株主資本利益率)8.0%をそれぞれ達成することを具体的な数値目標としておりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により2020年度数値目標との乖離が生じております。
前述致しました「変化への対応」「経営効率化」「成長分野の育成」を3本柱とする構造改革の推進により、早期に収益力の回復・向上を遂げることを目標としておりますので、先ずは連結経常利益率を重要指標として経営の舵取りを行ってまいります。
(5) 双日との資本業務提携契約
双日と「戦略パートナー」の関係性を構築することで、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い今後必要となる運転資金及び海外への事業進出、サプライチェーンやCRMの強化、新規事業の創出といった成長投資に向けた資金を調達でき、自己資本の増強及び自己資本比率の改善ができるとともに、上記のような双日との協業によるシナジーの創出が見込まれ、「構造改革の推進」による効果発現、並びにその後の持続的な成長の可能性が高まるため、「戦略パートナー」と協働し当社グループの企業価値の向上を成し遂げられるよう取り組んでまいります。