有価証券報告書-第51期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/21 10:30
【資料】
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【項目】
128項目
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(12ヶ月間:2023年4月1日~2024年3月31日)においては、新型コロナウイルス感染症の法的位置づけが5類に変更され、経済社会活動の正常化が進み、景気は緩やかに回復しているものの、緊迫した国際情勢、資源価格等の上昇など、 景気の先行きは不透明な状況で推移しました。
当社は、2023年10月1日付で持株会社体制へ移行し、株式会社メイテックグループホールディングスに商号変更しました。また、同日付でエンジニアリングソリューション事業を承継会社である株式会社メイテック(同日付で株式会社メイテック分割準備会社より商号変更)に承継しました。
当社グループの連結売上高9割超を占めるエンジニアリングソリューション事業を担うメイテック(MT)、メイテックフィルダーズ(MF)では、主要顧客である大手製造業各社が、次代を見据えた技術開発投資を進められたことから、受注が堅調に推移しました。また、中長期の成長を見据えた積極採用を継続した結果、2023年4月入社の新入社員824名(MT:459名、MF:365名)を含めて、2024年3月末のエンジニア社員数(MT・MFの合計)は12,253名(前年3月末比+347名、+2.9%)となりました。加えて、受注に応え、新入社員および既存社員の配属を促進した結果、稼働人員数の増加と稼働率の向上を両立しました。なお、時間外労働の減少等により、稼働時間は前年同期で若干低下しました。
その結果、連結売上高は、前年同期比79億7百万円(6.6%)増収の1,269億76百万円となりました。連結売上原価は、エンジニア社員の増員に伴う労務費増加等により、前年同期比63億81百万円(7.4%)増加の927億41百万円、連結販売費及び一般管理費は、採用関連費用の増加等により、前年同期比3億28百万円(2.0%)増加の165億73百万円となり、その結果、連結営業利益は、前年同期比11億97百万円(7.3%)増益の176億60百万円となりました。連結経常利益は、前年同期比11億26百万円(6.8%)増益の176億67百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比90百万円(0.7%)増益の123億43百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、2023年10月1日付の持株会社体制移行に伴い、当連結会計年度より、セグメント区分を従来の「エンジニアリングソリューション事業」及び「エンジニア紹介事業」の2区分から、「エンジニアリングソリューション事業」、「エンジニア紹介事業」及び「その他」の3区分に変更しております。
エンジニアリングソリューション事業
エンジニアリングソリューション事業、特に中核事業のエンジニア派遣事業においては、稼働人員数の増加と稼働率の向上を背景に、売上高は、前年同期比81億54百万円(6.9%)増収の1,256億10百万円となりました。営業利益は、前年同期比12億23百万円(7.7%)増益の171億39百万円となりました。
稼働率(全体)については、MTは97.7%(前年同期97.2%)、MFは95.5%(前年同期93.3%)と前年同期で増加しました。稼働時間については、MTは8.33h/day(前年同期8.38h/day)、MFは8.21h/day(前年同期8.26h/day)と前年同期で若干減少しました。
エンジニア紹介事業
エンジニアに特化した職業紹介事業を行っている株式会社メイテックネクストにおいては、紹介決定数の減少により、売上高は、前年同期比2億82百万円(16.8%)減収の13億98百万円、営業利益は前年同期比88百万円(16.1%)減益の4億58百万円となりました。
その他
当社のグループ運営に関する事業においては、売上高は、25億26百万円、営業利益は22億10百万円となりました。
資産の状況
当連結会計年度末(2024年3月31日)の資産合計は、前連結会計年度末(2023年3月31日)比で61億85百万円増加し、907億61百万円となりました。これは、流動資産が前連結会計年度末比で52億82百万円増加した事が要因です。
なお、流動資産の増加は未収消費税等の増加などが主因です。
負債の状況
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末比で52億7百万円増加し、430億64百万円となりました。これは、流動負債が前連結会計年度末比で49億66百万円増加し、固定負債が前連結会計年度末比で2億40百万円増加した事が要因です。
なお、流動負債の増加は賞与引当金や未払法人税等、未払消費税等の増加などが主因であり、固定負債の増加は退職給付に係る負債の増加などが主因です。
純資産の状況
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末比で9億77百万円増加し、476億96百万円となりました。これは、当期の経営成績の結果による親会社株主に帰属する当期純利益の獲得に、配当金の支払及び自己株式の取得の影響が相殺された事などが主因です。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末比17億16百万円増加の527億44百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度比18億59百万円増加の146億67百万円となりました。
得られた資金の主な内訳は、税金等調整前当期純利益などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、前連結会計年度比6億18百万円増加の10億64百万円となりました。
使用した資金の主な内訳は、長期前払費用の取得による支出7億88百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、前連結会計年度比8億46百万円増加の118億86百万円となりました。
使用した資金の主な内訳は、自己株式の取得による支出35億円と配当金の支払額83億85百万円です。
③生産、受注及び販売の実績
生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前年同期比(%)
エンジニアリングソリューション事業(百万円)92,7417.38
エンジニア紹介事業(百万円)--
合計(百万円)92,7417.38

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 その他事業については、生産活動を行っておりません。
受注実績
当社の事業については、事業の形態から受注金額と販売金額がほぼ同等となるため記載を省略しております。
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前年同期比(%)
エンジニアリングソリューション事業(百万円)125,6076.94
エンジニア紹介事業(百万円)1,369△15.62
合計(百万円)126,9766.64

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 その他事業については、販売活動を行っておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
〇経営者の視点による認識
資金残高にも配慮しつつ、「自己資本の“質と量”の充実」を優先してきました。結果、当年度末における自己資本は470億円以上となり、「自己資本の“質と量”は概ね充実」していると認識しています。
営業活動により安定的に資金収入を得る一方、大型の設備投資を実施せず、かつ、「利益配分に関する基本方針」に即して総還元性向は100%以内とした結果、当連結会計年度末の現預金は必要運転資金である連結売上高の3カ月以上の520億円以上となっております。
①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)財政状態
資産合計が907億円と前期比61億円増加となっておりますが、増加の主因は、未収消費税の前期比24億円の増加です。
なお、現預金は事業運営上の必要運転資金(連結売上高の月商3か月分)以上の527億円であり、問題ありません。
2017年度からの中期経営計画の利益配分計画での「エンジニア社員数の増加に伴い自己資本の充実を図り、最終年度2020年3月末の自己資本を400億円に積み増す」「3か年総還元性向は80%程度とする」という方針から、2020年度からの中期経営計画では「自己資本の“質と量”」は概ね充実していると判断し、「総還元性向を100%以内」としています。その結果、純資産は前期比9億円増加の476億円となりました。
2)経営成績
エンジニアリングソリューション事業の売上高・原価の概要は以下の通りです。
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当社グループの根幹事業であるエンジニアリングソリューション事業は、稼働率と対価を維持・向上しながら、エンジニア社員数の増員することが成長の鍵となっています。
当社グループ子会社の企業努力でコントロール可能な指標として、「稼働率」「エンジニア社員数」「対価」を重要な指標として管理し、稼働率の維持・向上を図るための「受注営業」、エンジニア社員数の増員のための「採用」、エンジニアのアウトプットの維持・向上を図るための「キャリアサポート」を強化していくことが重要だと考えています。
また「稼働時間」はお客さま先の業務指示の結果の為、当社側でコントロール不可能ではありますが、0.1時間の変動で売上高が約1%変動することから、業績影響の大きい指標の一つと認識しています。
上記要因に基づいた当社グループの主力であるエンジニアリングソリューション事業を構成する当社子会社のメイテック及びメイテックフィルダーズの経営成績に関する分析は以下のとおりです。
メイテックは、エンジニア社員数の前期比2.2%増加と稼働率の前期比0.5%改善に伴う稼働人員数の増加等により、前期比5.8%の増収となりました。
上記売上高の増収が、エンジニア社員の増員に伴う労務費等原価の増加と採用経費等の販管費増加を吸収し、営業利益は前期比4.8%の増益となりました。尚、当期純利益が前期比0.5%の減益となっている要因は、税負担の軽減効果が消滅したためです。
メイテックフィルダーズは、積極採用に伴うエンジニア社員数の前期比4.3%の増加と稼働率の前期比+2.2%改善に伴う稼働人員数の増加等により、前期比10.5%の増収となりました。
上記売上高の増収が、エンジニア社員の増員に伴う労務費等原価の増加と採用経費等の販管費増加を吸収し、営業利益は前期比22.3%の増益となりました。
なお、2024年3月期の各社別の損益、「稼働率」「エンジニア社員数」「稼働時間」等の指標の実績につきましては、当社ウエブサイトに掲載している「2024年3月期決算説明資料」を参照下さい。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
営業活動により146億円超の資金収入を得た一方で、①投資活動による支出は10億円であったこと、②現時点で多額の支出を伴う投資活動を予定していないこと、③資金残高は売上対比の量的水準や流動性と安全性を重視した質的担保を保持していること、を勘案し、現時点で資金を調達する計画はありません。
株主・投資家との対話を踏まえ、財務活動による支出は高い水準が続いていますが、「利益配分に関する基本方針」に即して総還元性向を100%以内とした結果、2024年3月末の自己資本の水準は476億円となり、現時点で新たに資本を調達する計画はありません。
配当政策については、第4提出会社の状況 3配当政策をご確認下さい。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(4)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する為の客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループの2023年度からの3年間の実行計画「メイテックグループ中期経営計画(M2CX)」の目標の達成状況は以下のとおりです。
0102010_029.png(注)表示単位未満を四捨五入で記載しております。
メイテックは体制移行前の上半期までの実績と10月1日移行の新メイテックの実績を合算した実態ベースで記載しています。