有価証券報告書-第52期(平成29年10月1日-平成30年9月30日)

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2018/12/25 10:16
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業績等の概要
Ⅰ 業績
株式会社TKCおよびその連結子会社等6社を含む連結グループの当期における経営成績は、売上高が61,621百万円(前期比3.2%増)、営業利益は8,679百万円(前期比1.3%増)、経常利益は8,961百万円(前期比1.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,158百万円(前期比1.4%増)となりました。
当期の売上高、営業利益、経常利益、および親会社株主に帰属する当期純利益は、二期連続で前期実績を超えると同時に過去最高を更新する結果となりました。その主な要因として、会計事務所事業部門においてはクラウドサービスが普及したことによるコンピューター・サービス売上高およびソフトウエア売上高が堅調に推移したこと、地方公共団体事業部門においては新たに顧客を獲得したことによりコンピューター・サービス売上高およびソフトウエア売上高が好調に推移したこと、などが挙げられます。
当期における部門別の売上高等の推移は以下のとおりです。
1.当社グループの通期業績の推移
(1)会計事務所事業部門の売上高の推移
①会計事務所事業部門における売上高は43,781百万円(前期比3.4%増)、営業利益は8,501百万円(前期比8.7%増)となりました。
②コンピューター・サービス売上高は、前期比3.2%増となりました。これはクラウドサービスによる中堅企業向け統合型会計情報システム「FX4クラウド」や「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMS)」などのユーザー数が伸展したことによるものです。
③ソフトウエア売上高は、前期比6.6%増となりました。これは、平成30年度税制改正における特例事業承継税制の創設などによって「相続税申告関連システム(TPS8000シリーズ)」のユーザー数が伸展したことに加え、FX4クラウドおよび「e21まいスター」のユーザー数が伸展したことによるものです。
④コンサルティング・サービス売上高は、前期比11.9%減となりました。これは、FX4クラウド等のユーザー数が伸展したことに伴い、クライアント/サーバー型システムに関わる立ち上げ支援料およびハードウエア保守料収入が減少したことによるものです。
⑤ハードウエア売上高は、前期比7.2%減となりました。これはクラウドサービスへの移行増加に伴いサーバー等のハードウエアの需要が減少したことによります。
(2)地方公共団体事業部門の売上高の推移
①地方公共団体事業部門における売上高は14,113百万円(前期比2.9%増)、営業利益は3百万円(前期比99.4%減)となりました。
なお、営業利益の大幅な減少は、神奈川県町村情報システム共同事業組合(13町村)等の新規受注団体のシステム移行に伴う仕入高が増加したこと、および新規に開発した法人市町村民税システム、人事情報システム等のソフトウエアに係る減価償却費が増加したことなどによるものです。
②コンピューター・サービス売上高は、前期比4.0%増となりました。これは基幹系システムの新たな顧客を受注したことによりアウトソーシング売上高やデータセンター利用売上高が増加したこと、LGWANクラウドサービスである「証明書コンビニ交付システム」や「課税資料イメージ管理システム」などのユーザー数が伸展したことによるものです。
③ソフトウエア売上高は、前期比15.6%増となりました。これは、国民健康保険制度や介護保険制度の改正に伴うシステム改修費が増加したこと、基幹系システムおよび公会計システムのユーザー数が伸展したことによるものです。
④コンサルティング・サービス売上高は、前期比11.5%減となりました。これは前期にあった市区町村向けの情報セキュリティー体制の強化(「庁内ネットワークの情報セキュリティー強靱化対策事業」)に伴う売上高が当期はなかったことによるものです。
⑤ハードウエア売上高は、前期比25.6%減となりました。これは前期にあった市区町村向けの情報セキュリティー体制の強化(「庁内ネットワークの情報セキュリティー強靱化対策事業」)に伴うサーバーやネットワーク機器等の販売が当期はなかったことによるものです。
(3)印刷事業部門(子会社:東京ラインプリンタ印刷株式会社)の売上高の推移
①印刷事業部門における売上高は3,726百万円(前期比1.8%増)、営業利益は168百万円(前期比1.1%増)となりました。
②データプリントサービス(DPS)関連商品の売上高は前期比7.8%増となりました。これは、平成29年10月に行われた第48回衆議院議員総選挙関連の受注、年度始めにおける地方自治体からの通知書関連業務の受注、官公庁からの大口受注、民間企業からの大口DM受注、およびビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)案件の受注が伸展したことによるものです。
③ビジネスフォーム関連の売上高は、前期に引き続きビジネス帳票の需要減退が続いており、前期比3.0%減となりました。
2.全社に関わる重要な事項
(1)「大阪北部地震」「平成30年7月豪雨」および「平成30年北海道胆振東部地震」への対応について
当期は日本各地で発生した大規模な自然災害により、一部営業所において臨時休業せざるを得ない状況となりましたが、社員や営業所には大きな被害はなく、早期に業務を再開することができました。
また、当社では、被災したTKC会員事務所とその関与先企業、および地方公共団体の皆さまが早期に通常の業務に戻れるよう、支援活動を実施させていただきました。
(2)TKCカスタマーサポートサービスビルの竣工
平成30年3月16日、栃木県鹿沼市にTKCカスタマーサポートサービスビル(地上4階建て、延べ床面積4,991.99平方メートル)を竣工しました。当ビルは、顧客サポートの強化のために設立した100%子会社であるTKCカスタマーサポートサービス株式会社(設立:平成29年10月5日)のサービス拠点として、平成30年4月2日から営業を開始しました。
(3)千葉営業課の新設
平成30年6月1日、千葉県内の顧客市町村へのサポート強化を目的として千葉営業課を新設しました。
(4)当社名誉会長によるTKC会員に対する株式無償譲渡について
当社名誉会長である飯塚真玄氏は、平成30年3月、全国のTKC会員のうち、税理士法第33条の2に基づく書面添付の実践を新たに開始された620名に対し、個人で保有する当社普通株式の贈与を実施されました。これは税理士業界の発展を願う立場から、税理士法第33条の2に基づく書面添付の実践は税理士の作成する決算書・申告書の信頼性を税務当局および金融機関等に保証するものであり、その実践こそが会計事務所業界の発展につながるとの信念によるものです。なお、飯塚真玄氏は平成18年にも弟故飯塚容晟氏(元当社副社長)と共に個人所有の当社株式合計300万株を6,657名のTKC会員に贈与されています。
なお、飯塚真玄氏による今回の第二次贈与は、これから平成34年までの5年間、当社株式100万株を上限として実施される予定です。
3.会計事務所事業部門の事業内容と経営成績
会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、当社のお客さまである税理士または公認会計士(以下、TKC会員)1万1,200名(平成30年9月30日現在)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。
TKC全国会は、昭和46年に創設され、次の六つの事業目的を掲げて活動しています。
1)租税正義の実現
2)税理士業務の完璧な履行
3)中小企業の存続・発展の支援
4)TKC会員事務所の経営基盤の強化
5)TKCシステムの徹底活用
6)会員相互の啓発、互助及び親睦
(注)TKC全国会については、別冊『TKC全国会のすべて』またはTKCグループホームページ(https://www.tkc.jp/)をご覧ください。
(1)TKC全国会がいま展開する運動について
TKC全国会では、現在、次の二つの重点目標を設定し、その実現に向けて積極的な運動を展開しています。
①重点目標1:次の三大テーマに取り組み、社会的な役割を完遂しよう!
1)「中小会計要領」に準拠した信頼性の高い決算書の作成と金融機関等への普及促進
2)「書面添付」の推進(確定決算主義に基づく決算書・申告書の信頼性保証)
3)「自計化」の推進(黒字決算の実現と適正申告の支援)
②重点目標2:事務所総合力を発揮し、高付加価値体制を構築しよう!
関与先企業に対して、地域金融機関等との連携により、次の三つを積極的に推進しよう。
1)TKCモニタリング情報サービス
2)経営改善支援(早期経営改善計画策定支援)
3)創業・事業承継・海外展開などの支援
当社では、こうしたTKC全国会の運動を支援するため、中小企業の存続と発展に役立つシステムやサービスの開発・提供に取り組んでいます。
(2)会計事務所事業部の重点活動テーマについて
当社では、このようなTKC全国会の運動を支援するため、戦略目標を「TKC方式による自計化の推進(FXシリーズの推進)」「会員導入(TKC全国会への入会促進)」「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMS)の利用促進」――と設定して営業活動を展開してきました。
また、最近の法制度等の変化に対応するため、新たな戦略目標として「電子帳簿保存法への完全対応支援」「TKCモニタリング情報サービスの推進支援」「特例事業承継税制への対応支援」を設定しています。
① TKC方式による自計化の推進(FXシリーズの推進)
以下のような営業活動の結果、FXシリーズのユーザー数は平成30年9月30日現在で約26万社となりました。
1)「e21まいスター」および「FX2」の推進
TKC会員の関与先企業向け自計化システムとして、年商5,000万円までの小規模企業を対象とした「e21まいスター」と、年商5億円までの中小企業を対象とした「FX2」を提供しています。
当期においては、これらの利用を促進するため以下の活動を展開しました。
a.TKC会員事務所に対してシステムの活用に関する所内研修会を実施するとともに、それぞれの事務所ごとに自計化推進目標の決定と対象企業の絞り込みの支援、および具体的な推進方法を検討する自計化推進会議の開催を支援しました。
b.本年の7月に行われた第45回TKC全国役員大会において、TKC会員による農業分野での自計化推進を支援する「FX農業会計」の開発方針、およびFXシリーズを利用する関与先企業の経営者がスマートフォン等で“いつでも・どこでも”自社の業績を確認できる「スマート業績確認機能」の開発方針を発表し、平成30年10月提供に向けての取り組みを開始しました。
2)「FX4クラウド」の推進
TKC会員の優良関与先企業の離脱防止と大型関与先企業拡大を目的として、年商5億~50億円規模の中堅企業向けに統合型会計情報システム「FX4クラウド」を提供しています。当期においては以下の活動を展開しました。
a.TKC会員への動機付けを目的として、全国で20のTKC地域会が開催する会計事務所向け研修会の開催を支援し、FX4クラウドの推進に取り組む事務所の増加に努めました。また、6月からはユーザー企業を対象に「経理業務効率化セミナー」を開催しました。これはFX4クラウドの強みである部門別業績管理や、自社独自のマネジメントレポートを作成できる「マネジメントレポート設計ツール」の活用法を解説することで、FX4クラウドを有効活用していただけるよう支援することを狙いとしています。
b.経済産業省が実施する「サービス等生産性向上IT導入支援事業」を、会計事務所主導による自計化推進の絶好の機会と捉え、TKC会員事務所へ当事業に関する情報を提供するとともに、関与先企業への利用提案を支援しました。
3)「TKCシステムまいサポート」の利用促進
FXシリーズ利用企業の円滑なシステム運用と、TKC会員事務所が安心して自計化を推進できる環境を提供するため、関与先企業からの電話問い合わせ対応をTKCの専門スタッフが直接サポートする「TKCシステムまいサポート」を提供しています。当期においては同サービスの利用事務所数の拡大に努めました。
② 会員導入(TKC全国会への入会促進)
TKC全国会では、平成32年12月末までにTKC会員事務所を1万超とする運動に取り組んでいます。当社はその達成に向けて、TKC全国会ニューメンバーズ・サービス委員会等と密接に連携して会員導入活動を展開しています。
当期においては、TKC会員や関連機関から税理士・公認会計士の紹介を得るとともに、未入会の中堅・大型事務所および独立開業を予定している公認会計士などを対象とした各種セミナーの実施を通じて新規入会を促進しました。
こうした活動の結果、平成30年9月30日現在のTKC会員は約9,600会計事務所、1万1,200会員となりました。なお事務所数と会員数の違いは、1事務所に複数会員がおられることによるものです。
③ 「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMS)」の利用促進
当社では、「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMS)」を会計事務所へ提供するすべてのサービスの基盤(プラットフォーム)として位置付けています。
当期においては、OMS利用による各種サービスの強化、すなわち情報セキュリティーの強化、TKCモニタリング情報サービスの活用による金融機関との連携強化、会計事務所のコンプライアンス経営の強化――を訴求ポイントとした活用促進を実施しました。
また、OMSのオプション機能として「使用人等に対する監督義務」(税理士法第41条の2)の履行を支援するためにセキュアなチャットツール「TKCチャット」の提供を本年4月から開始しました。
こうした活動の結果、平成30年9月30日現在でOMS利用事務所は約7,200事務所となりました。
④ 電子帳簿保存法への完全対応支援
平成30年度税制改正において、所得税の申告に際して、1) 帳簿の保管に関して電子帳簿保存法の適用を受けている場合、または 2) 電子申告を実施した場合は、青色申告の特別控除額を10万円優遇する旨の内容が盛り込まれました。これは、電子帳簿保存法に基づいて申告の基礎となる帳簿記録の加除・訂正履歴を保存している事業者を税制上優遇するという点で画期的な改正であり、この流れは今後、法人税にも波及していくと考えられています。
⑤ 「TKCモニタリング情報サービス」の推進支援
「TKCモニタリング情報サービス」は、TKC会員事務所が巡回監査と月次決算を行った上で作成された月次試算表、年度決算書などの財務情報を、TKC会員が関与先企業の経営者からの依頼に基づいて無償で金融機関に提供するクラウドサービスです。その情報提供のタイミングは、年度決算書の場合であれば税務署に対する電子申告と同時に行われるため、最も早いものとなります。
これを採用した金融機関からは、「早期に会計情報が入手できるので、事前に融資先の現状分析ができ、密度の濃い面談ができる」「融資先への訪問時には決算書や試算表を入手する目的ではなく、融資先の事業の内容をヒアリングできるようになった」などの高い評価を得ています。
当期においては、金融機関に対して以下の二つを訴求点として活動しました。
1)中小企業の決算書の信頼性は、以下の3表により確認できること。
1.TKC会員が実践する税理士法第33条の2に基づく『添付書面』
2.会社法第432条が求める帳簿の適時性をTKCが3年分証明する『記帳適時性証明書』
(同時に「帳簿=決算書=法人税/消費税申告書」の一気通貫を証明しています。)
3.日本税理士会連合会が制定した『中小会計要領チェックリスト』
2)TKCモニタリング情報サービスによりこれらの書類を迅速に入手できること。
これらが評価され、新たに株式会社日本政策金融公庫(国民生活事業)でのサービスの利用が開始(平成30年10月)されるとともに、全国で22の信用保証協会においても採用されています。
こうした活動の結果、当サービスを採用する金融機関は急速に伸びており、平成30年9月30日現在で全国約380の金融機関に採用され、情報提供企業件数は5万件を突破しています。
⑥ 特例事業承継税制への対応支援
経営者の高齢化が進む中で、地域社会においては雇用を支える中小企業の多くが事業承継されることなく廃業することが懸念されています。こうした状況を受け、国は平成30年度税制改正において従来の事業承継税制の措置に加えて、特例措置(「特例事業承継税制」)を設けました。その適用を希望する中小企業は、都道府県へ「特例承継計画」を認定経営革新等支援機関(以下、「認定支援機関」)の指導・助言を受けて作成・提出することが求められることになります。
当社では、認定支援機関であるTKC会員が、中小企業の事業承継を効果的に支援できるよう、TKC全国会とともに「TKC全国会特例事業承継税制対応プロジェクト」を発足させ、システム開発に加え、各種支援ツールの提供、セミナーの企画・運営を実施しております。
また、平成30年6月1日には、特例事業承継税制を適用する場合に必要となる「特例承継計画」の作成を可能とした「平成30年版事業承継税制適用支援システム(特例事業承継税制対応版)/TPS8800」を開発・提供しました。
(3)入会契約書の改定について
平成30年1月1日付で入会契約書を改定しました。これは、TKC全国会の目標である「TKC会員事務所1万超事務所」の達成と、当社がTKC会員事務所へ提供するすべてのサービスのプラットフォームと位置付ける「OMS」と、TKC全国会ネットワーク「ProFIT」の利用促進を目的としています。これにより、これまで複数種類存在した入会契約書式を一本化したほか、1) 入会金および基本計算料の統一、2) 基本計算料を処理料金に全額充当する措置、3) OMS、ProFITの利用を前提とする契約に変更、4) 基本プログラムセットの値引き、5) OMS、ProFITの利用料の無償化(入会から3年間に限る)――など、会員がこれまで以上に便利にTKCのサービスを受けられるようにいたしました。
当社では、会員へ新入会契約の説明を行うとともに、新契約への移行をご提案しました。
(4)「適時・正確な記帳に基づく信頼性の高い決算書の作成を支援する」ための活動
① 『中小会計要領』の普及のための支援活動
TKC全国会では、中小企業である関与先企業が準拠すべき会計基準として、平成24年2月に制定された「中小企業の会計に関する基本要領」(『中小会計要領』)を推奨しています。
中小企業庁のホームページでは、「中小企業向け会計ルール」の意義を次のように説明しています。
(出典:http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/youryou/about/QandA.htm)
「中小会計要領とは;
非上場企業である中小企業にとって、上場企業向け会計ルールは必要ありませんが、中小企業でも簡単に利用できる会計ルールは今までありませんでした。中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)は、次のような中小企業の実態を考えてつくられた会計ルールです。
・経理人員が少なく、高度な会計処理に対応できる十分な能力や経理体制を持っていない
・会計情報の開示を求められる範囲が、取引先、金融機関、同族株主、税務当局等に限定されている
・主に法人税法で定める処理を意識した会計処理が行われている場合が多い」
そこで本要領は、1) 自社の経営状況の把握に役立つ会計、2) 利害関係者(金融機関等)への情報提供に資する会計、3) 会計と税制の調和を図った上で、会社計算規則に準拠した会計、4) 中小企業に過重な負担を課さない会計――の考えに沿って作成されています。
当社は、その普及・活用に向けたTKC全国会の運動を支援するため、教材等の整備と他の中小企業支援団体との連携について継続的に取り組んでいます。
② 『記帳適時性証明書』の発行
当社では、TKC会員が当社システムを利用する際にTKCデータセンターに自動的に残されたロギングデータと過去の時系列データを活用して、金融機関などの第三者が客観的にTKC会員事務所の業務水準を判定するための資料となる『記帳適時性証明書』を無償で発行しています。
この証明書は、関与先企業ごとに、過去3年(36カ月)に遡って「会計事務所が、いつ巡回監査と月次決算を実施したか」を明らかにするものです。と同時に、この証明書が発行されている場合は、1) 日々の記帳に基づいて「会計帳簿」が作成されていること、2) その会計帳簿に基づいて「決算書」が作成されていること、3) その決算書に基づいて法人税と消費税の「税務申告書」が作成されていること――を証明しています。これを当社では「税務と会計の一気通貫」と呼んでおります。
なお、そのような一気通貫に反するような会計処理がなされた場合は『記帳適時性証明書』は発行されません。このサービスは、TKC会員が作成する決算書と税務申告書の信頼性を高め、関与先企業の円滑な資金調達に貢献することを目的として開発されたものです。これは過去データの遡及的な加除・訂正を禁止する当社の「データセンター利用方式による財務会計処理」の特長を生かしたもので、TKC会員が毎月、関与先企業に出向いて正しい会計記帳を指導(月次巡回監査)しながら、月次決算、確定決算ならびに電子申告に至るまでのすべての業務プロセスを適時に完了したことを株式会社TKCが第三者として証明するものです。
(5)大企業市場への展開
当社は、TKCシステムの活用により上場企業を中心とする大企業の税務・会計業務の合理化に貢献するとともに、これらの企業およびその関連会社をTKC会員の関与先企業とするための活動を積極的に展開しています。
この活動に資するシステムとして、「TKC連結グループソリューション」(連結会計システム「eCA-DRIVER」、連結納税システム「eConsoliTax」、税効果会計システム「eTaxEffect」、法人電子申告システム「ASP1000R」、統合型会計情報システム「FX5」、電子申告システム「e-TAXシリーズ」、固定資産管理システム「FAManager」、証憑ストレージサービス「TDS」、海外ビジネスモニター「OBMonitor」ほか)を提供しています。
当期においては、当社システムに対する認知度・ブランド力の向上を図るため、TKC全国会中堅・大企業支援研究会(平成30年9月30日現在の会員数は約1,320名)およびTKC全国会海外展開支援研究会(平成30年9月30日現在の会員数は約630名)と連携し、平成30年度税制改正で資本金1億円超の大法人に義務づけられた電子申告への対応のためのセミナーやIFRSの導入に伴う収益認識に関する会計基準の改定、海外M&Aをテーマとしたセミナー、IPOを目指す企業を対象としたセミナー等を開催しています。
また、当社システムユーザーに対して、企業グループ全体の決算・申告業務をカバーする当社システムの強みを生かしたトータル提案を実施しました。さらに6月から、大企業の税務手続き(申請・届出)の電子化を支援するクラウドサービス「TKC税務申請・届出クラウド」の提供を開始しています。
こうした活動の結果、TKC連結グループソリューションの利用企業グループ数は、平成30年9月30日現在で約2,900企業グループ(傘下企業数約1万9,900社)となりました。なお、当社システムは日本の上場企業の売上高トップ100社のうち80%超の企業に採用されています。
(6)法律情報データベースの市場拡大
当社が独自に構築した法律情報データベース「LEX/DBインターネット」は、明治8年の大審院判例から直近に公開された全法律分野にわたる判例等および当社独自のルートで収集した判例・裁決等を収録しており、その文献総数は平成30年9月30日現在で29万3,000件超とわが国最大の収録件数となっています。また、そのLEX/DBインターネットを中核とする総合的な法律情報データベースである「TKCローライブラリー」は、そのほか92万9,000件を超える論文等の所在情報に加えて、株式会社ぎょうせい社殿、株式会社日本評論社殿、株式会社有斐閣殿、株式会社中央経済社殿、株式会社判例タイムズ社殿など18社の法律専門出版社が運用する57法律情報データベースと連動しており、そのアクセス可能な情報総数は260万件を超えています。
① TKCローライブラリーの利用拡大
TKCローライブラリーの販売促進では、実務に役立つコンテンツを顧客別にパッケージ化(法律事務所向け「法律事務所パック」、企業法務向け「企業法務パック」)することで、その活用をアピールすることに継続して取り組んできました。また、提携先である株式会社労働開発研究会殿と共同開発した労働法関連ポータルサイト「労働法EX+」(平成29年3月提供)は、労働法学研究会会員向けおよびTKCローライブラリーのオプションコンテンツとして新たな販路での利用拡大につながっています。
当期においては、TKC会員事務所をはじめ大学・法科大学院、官公庁、法律事務所、特許事務所、企業法務部などへの積極的な提案活動の結果、ユーザー数は5万IDを超え、平成30年9月30日現在で1万9,600超の諸機関で利用されています。
② アカデミック市場における展開
「TKC法科大学院教育研究支援システム」を利用する54校の法科大学院に対し、システムの利用を基盤とした早期学修支援制度の導入を提案し、文部科学省の「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム」に応募ができるよう支援しています。このシステムには学生の自学自習を支援する演習システム(「基礎力確認テスト」「短答式過去問題演習トレーニング」「論文演習セミナー」)と、「学習支援NAVI」および「判例学習ドリル」を搭載しています。特に、司法試験に向けた学習計画と進捗管理および必須の判例学習と演習が行える機能は、司法試験合格者からもその利用効果について高い評価を得ており、年々ユーザー数が拡大しています。
また、当期から大学の学部を対象とした「公務員試験学習ツール」の本格的な展開を開始し、平成30年9月30日現在で16校が契約、56校がトライアル利用を行っています。
③ 海外展開
「TKCローライブラリー(海外版)」の代理店販売については、韓国や台湾、中国をはじめとするアジア諸国、ドイツ、イギリス、アメリカなどの裁判所や政府機関、大学、法律事務所等からの引き合いがあり、アジア諸国を中心に今後も利用拡大が見込まれています。
さらに、海外展開を強化するために名古屋大学のアジア法整備・法教育支援拠点である「日本法教育研究センター」(アジアに8カ所)と連携し、法律家人材育成における現地学生の論文作成でTKCローライブラリーの活用を推進しています。
このような活動の結果、平成30年9月30日現在で70件超の海外ライセンスが利用されています。
4.地方公共団体事業部門の事業内容と経営成績
地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。
(1)地方公共団体向けクラウドサービスの開発・提供
当社では、全国の地方公共団体(主に市区町村)を対象とした「TKC行政クラウドサービス」を提供しています。これは、「住民向けサービス」「基幹系サービス」および「庁内情報系サービス」の各種業務を支援する「TASKクラウドサービス」と、納税通知書などの大量一括出力処理を支援する「TASKアウトソーシングサービス」とにより構成されています。
特にTASKクラウドサービスは、当社データセンターを運用拠点として全国の市区町村が共同で利用する単一のパッケージシステムであることから、国の「自治体クラウド」推進政策の観点からも注目されています。
当期においては、新たに「TASKクラウド福祉相談支援システム」の提供を開始したほか、既存システムの機能強化に努めました。
また、一昨年に受注した神奈川県町村情報システム共同事業組合殿(計14町村)の業務については、平成30年9月末までに13町村の基幹系業務システムと、11町村の公会計システムなど内部情報系システムの移行を完了しております。
さらに、横浜会場(6月28日)を皮切りに全国17都市で「TASKクラウドフェア2018」を開催するなど積極的な提案活動を展開した結果、当社の基幹系業務システムは平成30年9月30日現在で全国150を超える団体に採用されています。
(2)住民向けクラウドサービスの拡充
マイナンバーカードの活用策として、住民の利便性向上の観点からコンビニエンスストアにおける証明書等の交付サービスを導入・検討する市区町村が急増しています。
当社では、これを実現するシステムとして「TASKクラウド証明書コンビニ交付システム」を提供しています。本システムは全国の市区町村を対象とした初のクラウドサービスとして数多くの稼働実績を持ち、平成30年9月30日現在で政令指定都市を含め全国70を超える団体に採用されています。
当期においては、各種機能の強化拡充を図るほか、本システムの仕組みを利用して庁内の窓口サービス改革を支援する「TASKクラウドかんたん窓口システム」を提供し、それぞれについて積極的な提案活動を実施しました。
(3)地方税電子申告のクラウド化への対応
一般社団法人地方税電子化協議会殿の認定委託先事業者として、同会が運営する地方税電子申告・電子納税の標準システムをクラウド方式で提供するとともに、当社独自の機能として各団体が運用する税務システムとの「データ連携サービス」を開発・提供しています。
また、本サービスの推進にあたっては、アライアンスパートナー契約を結ぶ全国46社とともに提案活動を展開しています。その結果、当社システムの中核をなす「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」は、平成30年9月30日現在で全都道府県・市区町村の4割以上にあたる750を超える団体に採用されています。
当期においては、来年10月から全国で運用が開始される地方税共通納税システムを見据えた、新たなデータ連携サービスなど関連サービスの開発・提案活動に取り組みました。
(4)地方公会計の統一的な基準への対応
市区町村においては、現行の「現金主義会計」(単式簿記)を補完する仕組みとして「発生主義会計」(複式簿記)を整備し、財務書類などを作成・開示するとともに、そのデータを行政経営に活用することが求められています。これを支援するため、当社では国が推奨する日々仕訳方式に対応した「TASKクラウド公会計システム」とその関連システムとして「TASKクラウド固定資産管理システム」「TASKクラウド連結財務書類作成システム」を提供しています。
当期においては、セグメント別財務書類分析機能など新たな活用機能の開発・提案活動を進めたほか、神奈川県町村情報システム共同事業組合殿をはじめ新規顧客団体においてシステムの本稼働および円滑な運用の支援に取り組みました。
その他、新規顧客への提案活動を展開した結果、TASKクラウド公会計システムは平成30年9月30日現在で全国約190団体に採用されています。
(5)その他、法律および制度改正等への対応
わが国政府は今年6月に『世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画』を閣議決定し、国際競争力を強化するためにデジタル技術を徹底的に活用した「行政サービス改革」を断行する方針を打ち出しました。この決定により全国の市区町村においては今後、“デジタル化3原則(デジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップ)”に沿った行政サービスを実現し、利用者(行政、国民、事業者)全体の利便性向上を図ることが求められることになります。
こうした状況を踏まえて、当社では新製品・サービスの企画と開発を一段と加速するとともに最新情報の収集・発信など顧客サポートを強化するため、平成30年4月1日付でシステム開発本部行政システム研究センターに「デジタル・ガバメント対応推進室」と「法制度改正対応推進室」を新設したほか、平成30年10月1日付で行政システム研究センターをシステム開発本部から分離独立し、新たに「システム企画本部」を発足するなど、大幅な組織変更を行いました。当期においては、行政システム研究センターを中心として最先端デジタル技術を活用した次世代システム・サービスの調査・研究、開発を進めております。
5.印刷事業部門の営業活動と経営成績
当社グループの印刷事業部門は、データプリントサービス(DPS)事業およびビジネスフォームの印刷を基軸に製造・販売を展開しています。
DPS分野では、平成29年10月の第48回衆議院議員総選挙での選挙関連の受注、5月の地方自治体からの通知書関連業務の受注、また官公庁の大口受注、民間企業からの大口DM受注、ビジネス・プロセス・アウトソーシングの定期案件受注などにより、前期比7.8%増の売上高となりました。
ビジネスフォーム印刷分野では、ビジネス帳票の需要が減少傾向にあるものの、大手顧客からの定期的な受注の継続により、売上高は前期に対して3.0%減と小幅な減少に止まりました。
Ⅱ キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金および現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ2,229百万円増加し、19,268百万円になりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの概況とその主な理由は次のとおりです。
1.営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、8,810百万円増加(前連結会計年度比687百万円収入増)しました。その主な理由は、税金等調整前当期純利益が8,897百万円計上されたこと等によるものです。
2.投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、4,013百万円減少(前連結会計年度比603百万円支出減)しました。その主な理由は、有形固定資産の取得2,552百万円を支払ったこと、および無形固定資産の取得1,395百万円を支払ったこと等によるものです。
3.財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,567百万円減少(前連結会計年度比452百万円支出減)しました。その主な理由は、平成29年9月期期末配当ならびに平成30年9月期中間配当2,895百万円を支払ったこと、および自己株式の取得3百万円を支払ったこと等によるものです。
Ⅲ 生産、受注及び販売の実績
1.生産実績
特に記載すべき事項はありません。
2.受注実績
特に記載すべき事項はありません。
3.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
会計事務所事業43,781103.4
地方公共団体事業14,113102.9
印刷事業3,726101.8
合計61,621103.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額には消費税等は含まれておりません。
Ⅳ 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
1.重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
2.当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容
(1)当社グループの当連結会計年度の経営成績の分析
「業績等の概要 Ⅰ 業績」をご参照ください。
(2)当社グループの当連結会計年度の財政状態の分析
①資産の部について
当連結会計年度末における資産合計は、90,202百万円となり、前連結会計年度末85,428百万円と比較して4,773百万円増加しました。
1)流動資産
当連結会計年度末における流動資産は、33,961百万円となり、前連結会計年度末30,545百万円と比較して3,415百万円増加しました。
その主な理由は、「現金及び預金」が2,229百万円、「売掛金及び受取手形」が1,135百万円増加したことなどによるものです。
2)固定資産
当連結会計年度末における固定資産は、56,240百万円となり、前連結会計年度末54,883百万円と比較して、1,357百万円増加しました。
その主な理由は、「建設仮勘定」が310百万円、「ソフトウエア仮勘定」が278百万円減少したものの、「建物及び構築物(純額)」が1,372百万円、「投資有価証券」が367百万円、「ソフトウエア」が176百万円増加したことなどによるものです。
②負債の部について
当連結会計年度末における負債合計は、17,651百万円となり、前連結会計年度末16,536百万円と比較して1,114百万円増加しました
1)流動負債
当連結会計年度末における流動負債は、13,955百万円となり、前連結会計年度末13,345百万円と比較して、609百万円増加しました。
その主な理由は、「その他」に含まれる「前受金」が286百万円減少したものの、「買掛金」が431百万円、「未払法人税等」が243百万円「電子記録債務」が182百万円増加したことなどによるものです。
2)固定負債
当連結会計年度末における固定負債は、3,696百万円となり、前連結会計年度末3,191百万円と比較して、505百万円増加しました。
その主な理由は、「リース債務」が169百万円減少したものの、「退職給付に係る負債」が368百万円、「長期借入金」が357百万円増加したことなどによるものです。
③純資産の部について
当連結会計年度末における純資産合計は、72,550百万円となり、前連結会計年度末68,892百万円と比較して3,658百万円増加しました。
その主な理由は、「利益剰余金」が3,256百万円、「その他有価証券評価差額金」が295百万円増加したことなどによるものです。
なお、当連結会計年度末における自己資本比率は、78.6%となり、前連結会計年度末78.8%と比較して0.2ポイント減少しました。
(3)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
「2 事業等のリスク」をご参照ください。
(4)当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、経営体質の強化を図りながら持続的に企業価値を向上するにあたり、事業活動に必要な資金は、自己資金を中心とすることを基本方針としております。この方針のもと事業活動の維持に必要な手元資金を保有し、充分な流動性を確保していると考えております。
また、情報通信技術(ICT)が急速に進歩するとともに、社会の諸制度が大きく変化していく中で当社のお客さまのビジネスを成功に導きながら、市場環境の変化に迅速に対応し競争優位を実現するために、先行的な研究開発投資と積極的な設備投資を実施しております。
(5)当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

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