有価証券報告書-第53期(平成30年10月1日-令和1年9月30日)
Ⅰ 当社グループの当連結会計年度の経営成績の分析
1.全社業績
株式会社TKCおよびその連結子会社等6社を含む連結グループの当期における経営成績は、売上高が66,120百万円(前期比7.3%増)、営業利益は9,347百万円(前期比7.7%増)、経常利益は9,669百万円(前期比7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,721百万円(前期比9.1%増)となりました。
当期の売上高、営業利益、経常利益、および親会社株主に帰属する当期純利益は、前期実績を超えると同時に過去最高を更新する結果となりました。その主な要因として会計事務所事業部門においては、電子帳簿保存法の要件を満たす財務会計システムのユーザー数が伸展したこと、および法人税の電子申告義務化に伴い大企業向けの「法人電子申告システム(ASP1000R)」のユーザー数が伸展したことによってコンピューター・サービス売上高とソフトウエア売上高が増加したことによります。地方公共団体事業部門においては、基幹系システムの利用団体が増加したことによってコンピューター・サービス売上高が増加したこと、および「地方税電子申告支援サービス(eLTAX)」のシステム更改等に係るコンサルティング・サービス売上高が増加したことなどが挙げられます。
2.会計事務所事業部門の営業活動と経営成績
(1) 会計事務所事業部門の営業活動
会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、当社のお客さまである税理士および公認会計士(以下、TKC会員)1万1,400名(令和元年9月末日現在)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。
TKC全国会は、昭和46年に創設され次の六つの事業目的を掲げて活動しています。
1)租税正義の実現
2)税理士業務の完璧な履行
3)中小企業の存続・発展の支援
4)TKC会員事務所の経営基盤の強化
5)TKCシステムの徹底活用
6)会員相互の啓発、互助及び親睦
(注)TKC全国会については、別冊『TKC全国会のすべて』またはTKCグループホームページ
(https://www.tkc.jp/)をご覧ください。
[TKC全国会が展開する運動について]
TKC全国会では、創設50周年(2021年)に向けての政策課題を踏まえ、2019年から2021年の3カ年の運動方針と2019年戦略目標を発表しました。その内容は以下のとおりです。
[TKCブランドで社会を変えるための運動方針]
①「TKC方式による書面添付」の推進(2019年末目標:法人書面添付13.4万社)
②「TKCモニタリング情報サービス」の推進(2019年末目標:12万社24万件)
③「TKC方式の自計化」の推進(2019年末目標:27.7万社)
併せて、TKC全国会の取り組みが多くの金融機関から注目され始めており、これを好機としてTKC会員事務所の経営基盤を強固なものとするため、以下の方針が打ち出されています。
①「TKC会計人の行動基準書」を理解し、実践しよう!
②「巡回監査士」「巡回監査士補」を増大させよう!
③「認定支援機関」として経営助言業務を強化しよう!
[会計事務所事業部門による戦略目標達成に向けた活動]
当社では、TKC全国会と連携して2019年戦略目標の達成に向けた営業活動を展開しています。
①TKCモニタリング情報サービスの推進
当期は、TKCモニタリング情報サービスの推進を会計事務所事業部門の最重要戦略目標に設定し、TKC会員事務所と金融機関に普及を図りました。TKCモニタリング情報サービスは、TKC会員事務所が毎月の巡回監査と月次決算を実施した上で作成した月次試算表、年度決算書、税務申告書などを、関与先企業の経営者からの依頼に基づいて、金融機関に開示するための無償のクラウドサービスです。開示のタイミングは、月次試算表の場合は月次決算終了直後、年度決算書および税務申告書は税務署に対して電子申告した直後に行われます。
TKCモニタリング情報サービスの推進と同時に、金融機関に対して中小企業の決算書の信頼性は以下の3帳表で確認できることを訴求しました。
1)TKC会員が実践する「税理士法第33条の2に基づく添付書面」
2)会社法第432条が定める帳簿の適時性および決算書と申告書の連動性をTKCが過去3年にわたって証明する「記帳適時性証明書」
3)日本税理士会連合会、全国信用保証協会連合会が制定した「中小会計要領チェックリスト」
こうした活動の結果、当サービスを採用する金融機関は急速に増加し、令和元年9月末日現在で、全国全ての地方銀行(64行)を含む418金融機関に採用されています。また、本年は15万件を超える決算書等が金融機関に開示されました。
②TKC方式による自計化の推進(FXシリーズの推進)
当期においては、平成から令和への改元対応や令和元年10月施行の改正消費税法に対応するため、TKC会員事務所向けの研修会を全国で開催しました。また、軽減税率導入に伴う実務上の注意点やキャッシュレス制度への対応について情報提供を行うとともに、会計事務所が関与先企業向けに開催するセミナーの支援を実施しました。また、事務所ごとに自計化推進目標の決定と対象企業の絞り込み、および具体的な推進方法を検討する自計化推進会議の開催を支援しています。その結果、FXシリーズのユーザー数は令和元年9月末日現在で27万社を突破しました。
③電子帳簿保存法への完全対応支援
平成30年度税制改正において、所得税の申告に際して、1)帳簿の保管に関して電子帳簿保存法の適用を受けている場合、または、2)電子申告を実施した場合は、青色申告の特別控除額を10万円優遇する旨の内容が盛り込まれました。これは、電子帳簿保存法に基づいて申告の基礎となる帳簿記録の訂正・削除履歴を保存している事業者を税制上優遇するという点で画期的な改正であり、この流れは今後、法人税にも波及していくと考えられています。
また、「FXシリーズ」をはじめとする当社システムは、同業他社に先駆けて、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)から「電子帳簿ソフト法的要件認証制度」の第1号認証を取得しました。この制度は、「5.全社に関わる重要な事項 (3)「電子帳簿ソフト法的要件認証」の取得」に記載のとおりです。この認証を受けたFXシリーズ等の普及を通じて、電子帳簿保存法への完全対応を支援しています。
④会員導入(TKC全国会への入会促進)
TKC全国会では、令和3年9月末日までにTKC会員事務所を1万超とする運動に取り組んでいます。当社はその達成に向けて、TKC全国会ニューメンバーズ・サービス委員会等と密接に連携して会員導入活動を展開しています。
当期においては、中堅・大型事務所および独立開業を予定している税理士・公認会計士などを対象とした各種セミナーを開催し、新規入会を促進しました。
こうした活動の結果、令和元年9月末日現在のTKC会員は約9,700会計事務所、1万1,400会員となりました。なお事務所数と会員数の違いは、1事務所に複数会員が所属することによります。
[「適時・正確な記帳に基づく信頼性の高い決算書の作成を支援する」ための活動]
①「中小会計要領」の普及のための支援活動
TKC全国会では、中小企業である関与先企業が準拠すべき会計基準として、平成24年2月に制定された「中小企業の会計に関する基本要領」(以下、中小会計要領)を推奨しています。
本要領は、1)自社の経営状況の把握に役立つ会計、2)利害関係者(金融機関等)への情報提供に資する会計、3)会計と税制の調和を図った上で、会社計算規則に準拠した会計、4)中小企業に過重な負担を課さない会計――の考えに沿って制定されています。
当社は、その普及・活用に向けたTKC全国会の運動を支援するため、教材等の整備と他の中小企業支援団体との連携に継続的に取り組んでいます。
②「記帳適時性証明書」の発行
当社では、TKC会員が当社の会計システムを利用する際にTKCインターネット・サービスセンターに自動的に保存される処理履歴データと過去の時系列データを活用して、金融機関などの第三者が客観的にTKC会員事務所の業務水準を判定するための資料となる「記帳適時性証明書」を無償で発行しています。
このサービスは、TKC会員が作成する決算書と税務申告書の信頼性を高め、関与先企業の円滑な資金調達に貢献することを目的として開発されたものです。これは過去データの遡及的な加除・訂正を禁止している当社の「データセンター利用方式による財務会計処理」の特長を生かしたものであり、TKC会員が毎月、関与先企業に出向いて正しい会計記帳を指導(月次巡回監査)しながら、月次決算、確定決算ならびに電子申告に至るまでの全ての業務プロセスを一気通貫で適時に完了したことを、当社が第三者として証明するものです。
[大企業市場への展開]
当社は、TKCシステムの活用により上場企業を中心とする大企業の税務・会計業務のコンプライアンスと合理化に貢献するとともに、これらの企業およびその関係会社をTKC会員の関与先企業とするための活動を積極的に展開しています。
この活動に資するシステムとして、「TKC連結グループソリューション」(連結会計システム「eCA-DRIVER」、連結納税システム「eConsoliTax」、税効果会計システム「eTaxEffect」、法人電子申告システム「ASP1000R」、統合型会計情報システム「FX5」、電子申告システム「e-TAXシリーズ」、固定資産管理システム「FAManager」、TKC証憑ストレージサービス「TDS」、海外ビジネスモニター「OBMonitor」ほか)を提供しています。
平成30年度税制改正で、法人税・地方税・消費税の電子申告が令和2年4月から資本金1億円超の大企業に義務化されることになりました。これにより、大企業では、法人税申告書の電子申告の実施に加え、その添付書類(財務諸表、勘定科目内訳明細書等)についても電子データで提出しなければならなくなりました。法人税の電子申告は、国税庁の統計によれば、2016年度で2,085,431件、電子申告率79.3%となっているものの、大企業における電子申告率は56.9%にとどまっています。そのため、義務化の対象となる多くの大企業がはじめて電子申告に取り組むことになります。当社では、これらの企業が円滑に電子申告義務化対応を行えるようにするため、TKC全国会中堅・大企業支援研究会(令和元年9月末日現在の会員数は1,349名)と連携し、『電子申告義務化対応ガイドブック』をホームページに公開するとともに、セミナーや電子申告体験会を開催しました。また、ERPベンダー4社とアライアンス契約を締結し、財務諸表のデータ連携システムの構築に取り組んでいます。その結果、法人電子申告システム(ASP1000R)のユーザー数は令和元年9月末日現在2,700社となりました。
また、収益認識に関する会計基準への対応、海外子会社の不正リスク対応をテーマとしたセミナーを開催し、システムとTKC会員によるシステム・コンサルティングを提案しました。
こうした活動の結果、「TKC連結グループソリューション」の利用企業グループ数は、令和元年9月末日現在で約3,700企業グループとなりました。なお、当社の税務申告システムは日本の上場企業の売上高トップ100社のうち88%の企業で採用されています。また、日本の上場企業における市場シェアは30%となりました。
[法律情報データベースの市場拡大]
当社が独自に構築した法律情報データベース「LEX/DBインターネット」は、明治8年の大審院判例から直近に公開された全法律分野にわたる判例・裁決例等を収録しており、令和元年9月末日現在で30万2,000件超とわが国最大の文献収録件数を誇るサービスとなっています。
また「LEX/DBインターネット」を中核とする総合的な法律情報データベースである「TKCローライブラリー」は、94万件を超える論文等の所在情報に加えて、ぎょうせい殿、日本評論社殿、有斐閣殿、中央経済社ホールディングス殿、判例タイムズホールディングス殿などの法律専門出版社等18社が運用する60の法律情報データベースと連動しており、そのアクセス可能な情報総数は262万件を超えています。
①「TKCローライブラリー」の利用拡大
「TKCローライブラリー」の販売促進では、実務に役立つコンテンツを顧客別にパッケージ化(法律事務所向け「法律事務所パック」、企業法務部向け「企業法務パック」)し、その活用をアピールすることに取り組んできました。
当期においては、TKC会員事務所をはじめ大学・法科大学院、官公庁、法律事務所、特許事務所、企業法務部などへの積極的な提案活動の結果、ユーザー数は5万IDを超え、令和元年9月末日現在で2万1,000超の諸機関で利用されています。
②アカデミック市場における展開
「TKC法科大学院教育研究支援システム」を利用する54校の法科大学院に対し、当システムの利用を基盤とした早期学修支援制度の導入を提案し、文部科学省の「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム」に応募できるよう支援しています。
また、当期から大学の学部を対象に「公務員試験学習ツール」の販売促進活動を本格化し、令和元年9月末日現在で25校と契約しています。引き続き、モニター利用大学の拡大と正式利用への切り替えを促進しています。
(2) 会計事務所事業部門の経営成績の分析
会計事務所事業部門における売上高は45,899百万円(前期比4.8%増)、営業利益は8,725百万円(前期比2.6%増)となりました。
①コンピューター・サービス売上高は、前期比4.1%増となりました。これは「中堅企業向け統合型会計情報システム(FX4クラウド)」や「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMSクラウド)」、高セキュリティー環境のもとで、外出先からOMSにアクセスして業務を遂行できる「OMSモバイル」のユーザー数が伸展したことによります。
②ソフトウエア売上高は、前期比3.1%増となりました。これは前述したように電子帳簿保存法の要件を満たす財務会計システムのユーザー数が伸展したこと、および法人税の電子申告義務化に伴い大企業向けの「法人電子申告システム(ASP1000R)」のユーザー数が伸展したことによります。
③コンサルティング・サービス売上高は、前期比3.0%減となりました。これは「FX4クラウド」および「OMSクラウド」等のクラウドサービスのユーザー数が伸展したことに伴い、従来のクライアント/サーバー型システムに関わる立ち上げ支援料およびハードウエア保守料収入が減少したことによります。
④ハードウエア売上高は、前期比15.9%増となりました。これは、Windows7のサポート終了が令和2年1月に予定されていること、および消費税増税前にパソコンを買い換える需要が増加したことによります。
3.地方公共団体事業部門の営業活動と経営成績
(1) 地方公共団体事業部門の営業活動
地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。
①基幹系関連サービスの開発・提供
国は、令和5年度末までにクラウド導入団体数を約1,600団体(うち自治体クラウドは約1,100団体)にするとの目標を掲げ、導入促進の取り組みを加速させています。
当社では、全国の地方公共団体(主に市区町村)を対象とした「TKC行政クラウドサービス」を提供しています。これは基幹系業務と内部情報系業務を支援する「TASKクラウドサービス」と、納税通知書などの大量一括出力処理を支援する「TASKアウトソーシングサービス」により構成されています。
特にTASKクラウドサービスは、当社データセンターを運用拠点として全国域を対象にクラウドの共同利用を可能とする単一のパッケージシステムであることから、総務省が推進する「自治体クラウド」の観点からも注目され、基幹系システムでは全国8グループの共同利用組織に採用されています。
当期においては、今秋以降に本稼働を迎える新規受注団体の円滑なシステム移行を支援したほか、改元や消費税法改正等への対応など各種システムの機能強化に努めました。また、積極的な提案活動を展開した結果、当社の基幹系システムは令和元年9月末日現在で全国150を超える団体に採用されています。
②住民向けクラウドサービスの拡充
マイナンバーカードの活用策として、コンビニエンスストアにおける証明書等の交付サービスを導入・検討する市区町村が増えています。
当社では、これを実現するシステムとして「TASKクラウド証明書コンビニ交付システム」を提供しています。本システムは全国の市区町村を対象とした初のクラウドサービスとして数多くの導入実績を持ち、令和元年9月末日現在で神戸市、北九州市などの政令指定都市を含め全国100を超える団体に採用されています。
また、本システムの仕組みを利用する「TASKクラウドかんたん窓口システム」は、住民サービスの向上と窓口業務改革の両面から注目が高まっており、令和元年9月末日現在で約10団体に採用されています。
当期においては、かんたん窓口システムの機能強化に取り組むほか、証明書コンビニ交付システムの積極的な提案活動を実施しました。
③地方税電子申告のクラウド化への対応
地方共同法人地方税共同機構の認定委託先事業者として、同機構が運営するeLTAX(地方税ポータルシステム)の審査システム等の標準システムをクラウド方式で提供するとともに、当社独自の機能として税務システムとの「データ連携サービス」を開発・提供しています。
また、本サービスの推進にあたっては、アライアンス契約を結ぶ全国50社のパートナー企業とともに提案活動を展開しています。その結果、「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」は、令和元年9月末日現在で全都道府県・市区町村の4割以上に当たる770を超える団体で採用されています。
当期においては、令和元年10月から全国一斉に運用が始まる「地方税共通納税システム」の導入準備を支援したほか、データ連携サービスの機能強化および積極的な提案活動に取り組みました。
④地方公会計の統一的な基準への対応
市区町村においては、これまでの「現金主義会計」(単式簿記)に代えて「発生主義会計」(複式簿記)を採用して、財務書類などを作成・開示するとともに、そのデータを行政経営に活用することが求められています。
これを支援するため、当社では国が推奨する日々仕訳方式に対応した「TASKクラウド公会計システム」とその関連システムとして「TASKクラウド固定資産管理システム」「TASKクラウド連結財務書類作成システム」を提供しています。
当期においては、鹿児島県町村会・熊本県町村会・長崎県市町村行政振興協議会・京都府自治体情報化推進協議会に参加する全51団体(7市26町4村、14一部事務組合等)のうち、先行して令和元年10月から財務会計システムを切り替える13団体について移行準備を支援(今後2年間をかけて順次切り替え予定)するほか、地方公会計情報の〈見える化〉と〈活用〉を支援する各種機能の開発・強化に取り組みました。また、積極的な提案活動を展開した結果、公会計システムは令和元年9月末日現在で約250団体に採用されています。
⑤行政サービスデジタル化への対応
令和元年5月、すべての行政手続きを原則としてオンライン化する「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」(デジタル手続法)が成立しました。
当社では、かねてより新製品・サービスの企画と開発を一段と加速させるとともに、最新情報の収集・発信など顧客サポートの強化に努めてきました。当期においては、システム企画本部を中心に営業・開発・運用の各部門が連携し〈行政サービスデジタル化〉に関する情報収集・発信へ取り組むとともに、「TASKクラウドマイナンバーカード交付事務支援システム」をはじめ〈住民サービスの向上〉と〈業務の効率化・標準化〉を支援する行政サービスデジタル化支援ソリューションの調査・研究、開発を進めてきました。
(2) 地方公共団体事業部門の経営成績の分析
地方公共団体事業部門における売上高は16,413百万円(前期比16.3%増)、営業利益は425百万円(前期に対して422百万円増)となりました。
なお、営業利益が前期と比較して大幅に改善したのは、前期に受注した新規団体のシステム移行に伴う開発業務の外注などの仕入れが当期は発生していないこと、および「地方税電子申告支援サービス(eLTAX)」のシステム更改に伴う導入業務の受注によるものです。
①コンピューター・サービス売上高は、前期比10.5%増となりました。これは前期において新たに受注した基幹系システムユーザーからアウトソーシングサービスを受注したこと、データセンターの利用が拡大したことに加え、LGWANクラウドサービスである「証明書コンビニ交付システム」や「課税資料イメージ管理システム」などのユーザー数が伸展したことによります。
②ソフトウエア売上高は、前期比8.9%減となりました。これは、前期に計上したマイナンバー制度へのシステム対応、国民健康保険制度および介護保険制度の改正といった法律の改正に伴うシステム改修がなかったことによります。
③コンサルティング・サービス売上高は、前期比97.0%増となりました。これは前期において新たに受注した基幹系システムユーザーへのシステム導入に加え「地方税電子申告支援サービス(eLTAX)」のシステム更改、および地方税共通納税システムの導入事業を受託したことによります。
④ハードウエア売上高は、前期比55.4%増となりました。これは住基ネット関連機器更改に伴うサーバーやネットワーク機器等の売上高が増加したことによります。
4.印刷事業部門の営業活動と経営成績
(1) 印刷事業部門の営業活動
当社グループの印刷事業部門は、データプリントサービス(DPS)事業およびビジネスフォームの印刷を基軸に事業展開しています。
DPS分野では民間企業の販促用ダイレクトメールが小ロット化の傾向にある中、オフセット印刷とデジタル可変出力双方の技術提案により受注拡大を図りました。また、官公庁・地方自治体に対しては、そのサービスを受ける方々への個人情報の保護と正確性を担保し、より短い納期によるサービス強化を目的に、入札前段階からの機械設備に合わせた仕様提案を行いました。ビジネスフォーム印刷分野では、生産性の向上と高付加価値商品の企画販促に努めました。
(2) 印刷事業部門の経営成績の分析
①印刷事業部門における売上高は3,808百万円(前期比2.2%増)、営業利益は189百万円(前期比12.4%増)となりました。
②データプリントサービス(DPS)関連商品の売上高は、前期比10.3%増となりました。これは民間企業からのDM受注増、ビジネス・プロセス・アウトソーシング関連業務の安定受注、4月の統一地方選挙、7月の参議院選挙関連の受注、地方自治体からの通知書関連業務の受注、官公庁外郭団体からの通知書関連業務の受注などによります。
③ビジネスフォーム関連の売上高は、前期比1.1%減となりました。これは近年ビジネス帳票の需要減退が続いていることによります。
5.全社に関わる重要な事項
(1) 指名・報酬諮問委員会の設置
社外取締役および社内取締役等で構成する任意の「指名・報酬諮問委員会」を、令和元年9月に設置しました。この委員会は、当社取締役会の諮問機関として、取締役等の選解任、候補者の指名、ならびに取締役等の報酬に関する意思決定について、独立社外取締役等からの関与・助言を得る機会を確保し、取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化することによって、コーポレート・ガバナンス体制をより一層充実させることを目的としています。
(2) 株式会社TKC出版の完全子会社化
令和元年9月24日、株式交換の手続きを実施し、関連会社である株式会社TKC出版を完全子会社化しました。株式会社TKC出版は昭和47年にTKC会員への情報発信および会員事務所の業務の合理化と関与先企業からの信頼性の向上に貢献するための広報および出版活動を行うことを目的として設立されました。完全子会社化により、株式会社TKC出版が培ってきた編集ノウハウを活用し、当社の事業や企画と組み合わせることで、広報、出版活動に大きく貢献できるものと期待しております。
(3) 「電子帳簿ソフト法的要件認証」の取得
当社が会計事務所の関与先企業に提供する財務会計システム(FX2、FX4クラウド、e21まいスターなど)は、同業他社に先駆けて、平成31年3月29日、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)から「電子帳簿ソフト法的要件認証制度」の第1号認証を取得しました。この電子帳簿ソフト法的要件認証制度は、国税関係帳簿の作成・保存を行う市販ソフトウエアが電子帳簿保存法の要件を満たしているかをチェックし、法的要件を充足していると判断されたソフトウエアに対して、JIIMAが認証する制度です。この認証を受けた財務会計システムは国税庁ホームページにも一覧が掲載されています。
電子帳簿保存法を利用する企業は、所轄税務署に申請書を提出する必要があります。従前は、電子帳簿を申請する際に、企業が利用している財務会計システムが電子帳簿保存法の要件を満たしていることを申告する必要がありました。平成31年度税制改正によりJIIMAの認証を取得している財務会計システムを利用の場合は、その申告作業が不要となり、電子帳簿の申請書類も1/2に減らすことができるようになりました。
今日、わが国においては多くの財務会計システムが企業において利用されていますが、その中で「電子帳簿保存法」に完全準拠したものが極めて少ないのが実態です。当社の財務会計システムは企業を納税義務者ととらえ、青色申告制度の要件を満たすように設計されており、これから強く注目されていくものと期待しております。
(4) 海外ビジネスモニターの内部監査支援機能に関する特許を取得
「海外ビジネスモニター」(以下、OBM)の内部監査支援機能について平成31年1月11日、特許を取得しました(特許第6463532号)。
OBMは、海外に進出している日系企業(海外子会社)の業績を日本の親会社が「見える化」できるクラウドサービスです。海外子会社が会計システムから会計データを切り出して、TKCインターネット・サービスセンター
(TISC)にアップロードすると、日本の親会社は、海外子会社の業績を、統一した科目体系で、かつ現地語を日本語または英語に自動翻訳して確認できます。さらにOBMは、会計データを自動的に分析し、ミスや不正と思われる取引を抽出する内部監査支援機能を搭載しています。この機能が「内部監査支援装置、内部監査支援方法および内部監査支援プログラム」に関する発明として特許が認められました。
(5) 当社名誉会長によるTKC会員に対する株式無償譲渡について
当社名誉会長である飯塚真玄氏は平成31年3月、税理士法第33条の2に規定される書面添付に取り組むTKC会員222名に対し、個人で保有する当社普通株式を無償譲渡されました。この無償譲渡は平成30年3月から令和4年3月までの5年間、累計100万株を上限として実施しているものです。昨年に続き2回目となる譲渡を行いました。
なお、飯塚真玄氏は平成18年にも弟故飯塚容晟氏(元当社副社長)と共に個人所有の当社株式合計300万株を、6,657名のTKC会員に贈与されています。
6.当社グループの当連結会計年度の財政状態の分析
(1) 資産の部について
当連結会計年度末における資産合計は、96,989百万円となり、前連結会計年度末90,202百万円と比較して6,787百万円増加しました。
①流動資産
当連結会計年度末における流動資産は、41,073百万円となり、前連結会計年度末31,747百万円と比較して9,325百万円増加しました。 その主な理由は、「現金及び預金」が7,541百万円、「売掛金及び受取手形」が1,064百万円増加したことなどによるものです。
②固定資産
当連結会計年度末における固定資産は、55,915百万円となり、前連結会計年度末58,454百万円と比較して、2,538百万円減少しました。 その主な理由は、「長期預金」が3,500百万円、「繰延税金資産」が1,803百万円、「長期リース投資資産」が682百万円増加したものの、「投資有価証券」が8,499百万円減少したことなどによるものです。
(2) 負債の部について
当連結会計年度末における負債合計は、23,868百万円となり、前連結会計年度末17,651百万円と比較して6,217百万円増加しました。
①流動負債
当連結会計年度末における流動負債は、16,278百万円となり、前連結会計年度末13,955百万円と比較して、2,322百万円増加しました。 その主な理由は、「未払法人税等」が761百万円、「賞与引当金」が430百万円、「その他」に含まれる「前受金」が331百万円増加したことなどによるものです。
②固定負債
当連結会計年度末における固定負債は、7,590百万円となり、前連結会計年度末3,696百万円と比較して、3,894百万円増加しました。 その主な理由は、「退職給付に係る負債」が2,728百万円、「リース債務」が756百万円増加したことなどによるものです。
(3) 純資産の部について
当連結会計年度末における純資産合計は、73,121百万円となり、前連結会計年度末72,550百万円と比較して570百万円増加しました。 その主な理由は、「利益剰余金」が3,816百万円増加したものの、「退職給付に係る調整額」が1,704百万円、「その他有価証券評価差額金」が1,001百万円、「新株予約権」が235百万円減少したことなどによるものです。 なお、当連結会計年度末における自己資本比率は、73.8%となり、前連結会計年度末78.6%と比較して4.7ポイント減少しました。
7.当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金および現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ7,541百万円増加し、26,810百万円になりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの概況とその主な理由は次のとおりです。
(1) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、10,550百万円増加(前連結会計年度比1,740百万円収入増)しました。その主な理由は、税金等調整前当期純利益が10,004百万円計上されたこと等によるものです。
(2) 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、411百万円増加(前連結会計年度比4,424百万円支出減)しました。その主な理由は、定期預金の預入6,500百万円を支払ったこと、および投資有価証券の取得3,001百万円を支払ったこと、また、一方で投資有価証券の償還の収入10,000百万円があったこと等によるものです。
(3) 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、3,792百万円減少(前連結会計年度比1,224百万円支出増)しました。その主な理由は、平成30年9月期期末配当ならびに令和元年9月期中間配当2,900百万円を支払ったこと、および自己株式の取得1,387百万円を支払ったこと等によるものです。
Ⅱ 生産、受注及び販売の実績
1.生産実績
特に記載すべき事項はありません。
2.受注実績
特に記載すべき事項はありません。
3.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額には消費税等は含まれておりません。
Ⅲ 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
1.重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積もりを必要とします。経営者は、これらの見積もりについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積もりと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
2.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
「2 事業等のリスク」をご参照ください。
3.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、経営体質の強化を図りながら持続的に企業価値を向上するにあたり、事業活動に必要な資金は、自己資金を中心とすることを基本方針としております。この方針のもと事業活動の維持に必要な手元資金を保有し、充分な流動性を確保していると考えております。
また、情報通信技術(ICT)が急速に進歩するとともに、社会の諸制度が大きく変化していく中で当社のお客さまのビジネスを成功に導きながら、市場環境の変化に迅速に対応し競争優位を実現するために、先行的な研究開発投資と積極的な設備投資を実施しております。
4.当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、継続企業(ゴーイング・コンサーン)の前提の下に、毎事業年度の配当原資を当該期間利益に求めることを原則としています。この考え方に基づき、重要な経営指標として以下のものを設定するとともに管理しています。
①連結数値に基づく経営指標
1)対前年度売上高比率:3%以上
2)自己資本利益率:8%以上
②個別数値に基づく経営指標
1)自己資本比率:80%超
2)売上高経常利益率:8%以上
3)総合限界利益率:60%以上
※限界利益とは、売上高から売上高に比例して変動する費用(変動費)を控除した金額であり、製品ミックスにより変動します。総合限界利益率とは、この限界利益の額が売上高に占める割合を言います。
このような状況のなか、当期の連結対前年度売上高比率は7.3%(前期比4.1ポイント増)、連結自己資本利益率は9.4%(前期比0.5ポイント増)となりました。
また、個別自己資本比率は80.1%(前期比2.8ポイント減)、個別売上高経常利益率は14.7%(前期比0.4ポイント減)、個別総合限界利益率は73.1%(前期比0.9ポイント減)となりました。
引き続き高い水準を維持するために、収益構造および資本効率の改善に取り組んで参ります。
1.全社業績
株式会社TKCおよびその連結子会社等6社を含む連結グループの当期における経営成績は、売上高が66,120百万円(前期比7.3%増)、営業利益は9,347百万円(前期比7.7%増)、経常利益は9,669百万円(前期比7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,721百万円(前期比9.1%増)となりました。
当期の売上高、営業利益、経常利益、および親会社株主に帰属する当期純利益は、前期実績を超えると同時に過去最高を更新する結果となりました。その主な要因として会計事務所事業部門においては、電子帳簿保存法の要件を満たす財務会計システムのユーザー数が伸展したこと、および法人税の電子申告義務化に伴い大企業向けの「法人電子申告システム(ASP1000R)」のユーザー数が伸展したことによってコンピューター・サービス売上高とソフトウエア売上高が増加したことによります。地方公共団体事業部門においては、基幹系システムの利用団体が増加したことによってコンピューター・サービス売上高が増加したこと、および「地方税電子申告支援サービス(eLTAX)」のシステム更改等に係るコンサルティング・サービス売上高が増加したことなどが挙げられます。
2.会計事務所事業部門の営業活動と経営成績
(1) 会計事務所事業部門の営業活動
会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、当社のお客さまである税理士および公認会計士(以下、TKC会員)1万1,400名(令和元年9月末日現在)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。
TKC全国会は、昭和46年に創設され次の六つの事業目的を掲げて活動しています。
1)租税正義の実現
2)税理士業務の完璧な履行
3)中小企業の存続・発展の支援
4)TKC会員事務所の経営基盤の強化
5)TKCシステムの徹底活用
6)会員相互の啓発、互助及び親睦
(注)TKC全国会については、別冊『TKC全国会のすべて』またはTKCグループホームページ
(https://www.tkc.jp/)をご覧ください。
[TKC全国会が展開する運動について]
TKC全国会では、創設50周年(2021年)に向けての政策課題を踏まえ、2019年から2021年の3カ年の運動方針と2019年戦略目標を発表しました。その内容は以下のとおりです。
[TKCブランドで社会を変えるための運動方針]
①「TKC方式による書面添付」の推進(2019年末目標:法人書面添付13.4万社)
②「TKCモニタリング情報サービス」の推進(2019年末目標:12万社24万件)
③「TKC方式の自計化」の推進(2019年末目標:27.7万社)
併せて、TKC全国会の取り組みが多くの金融機関から注目され始めており、これを好機としてTKC会員事務所の経営基盤を強固なものとするため、以下の方針が打ち出されています。
①「TKC会計人の行動基準書」を理解し、実践しよう!
②「巡回監査士」「巡回監査士補」を増大させよう!
③「認定支援機関」として経営助言業務を強化しよう!
[会計事務所事業部門による戦略目標達成に向けた活動]
当社では、TKC全国会と連携して2019年戦略目標の達成に向けた営業活動を展開しています。
①TKCモニタリング情報サービスの推進
当期は、TKCモニタリング情報サービスの推進を会計事務所事業部門の最重要戦略目標に設定し、TKC会員事務所と金融機関に普及を図りました。TKCモニタリング情報サービスは、TKC会員事務所が毎月の巡回監査と月次決算を実施した上で作成した月次試算表、年度決算書、税務申告書などを、関与先企業の経営者からの依頼に基づいて、金融機関に開示するための無償のクラウドサービスです。開示のタイミングは、月次試算表の場合は月次決算終了直後、年度決算書および税務申告書は税務署に対して電子申告した直後に行われます。
TKCモニタリング情報サービスの推進と同時に、金融機関に対して中小企業の決算書の信頼性は以下の3帳表で確認できることを訴求しました。
1)TKC会員が実践する「税理士法第33条の2に基づく添付書面」
2)会社法第432条が定める帳簿の適時性および決算書と申告書の連動性をTKCが過去3年にわたって証明する「記帳適時性証明書」
3)日本税理士会連合会、全国信用保証協会連合会が制定した「中小会計要領チェックリスト」
こうした活動の結果、当サービスを採用する金融機関は急速に増加し、令和元年9月末日現在で、全国全ての地方銀行(64行)を含む418金融機関に採用されています。また、本年は15万件を超える決算書等が金融機関に開示されました。
②TKC方式による自計化の推進(FXシリーズの推進)
当期においては、平成から令和への改元対応や令和元年10月施行の改正消費税法に対応するため、TKC会員事務所向けの研修会を全国で開催しました。また、軽減税率導入に伴う実務上の注意点やキャッシュレス制度への対応について情報提供を行うとともに、会計事務所が関与先企業向けに開催するセミナーの支援を実施しました。また、事務所ごとに自計化推進目標の決定と対象企業の絞り込み、および具体的な推進方法を検討する自計化推進会議の開催を支援しています。その結果、FXシリーズのユーザー数は令和元年9月末日現在で27万社を突破しました。
③電子帳簿保存法への完全対応支援
平成30年度税制改正において、所得税の申告に際して、1)帳簿の保管に関して電子帳簿保存法の適用を受けている場合、または、2)電子申告を実施した場合は、青色申告の特別控除額を10万円優遇する旨の内容が盛り込まれました。これは、電子帳簿保存法に基づいて申告の基礎となる帳簿記録の訂正・削除履歴を保存している事業者を税制上優遇するという点で画期的な改正であり、この流れは今後、法人税にも波及していくと考えられています。
また、「FXシリーズ」をはじめとする当社システムは、同業他社に先駆けて、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)から「電子帳簿ソフト法的要件認証制度」の第1号認証を取得しました。この制度は、「5.全社に関わる重要な事項 (3)「電子帳簿ソフト法的要件認証」の取得」に記載のとおりです。この認証を受けたFXシリーズ等の普及を通じて、電子帳簿保存法への完全対応を支援しています。
④会員導入(TKC全国会への入会促進)
TKC全国会では、令和3年9月末日までにTKC会員事務所を1万超とする運動に取り組んでいます。当社はその達成に向けて、TKC全国会ニューメンバーズ・サービス委員会等と密接に連携して会員導入活動を展開しています。
当期においては、中堅・大型事務所および独立開業を予定している税理士・公認会計士などを対象とした各種セミナーを開催し、新規入会を促進しました。
こうした活動の結果、令和元年9月末日現在のTKC会員は約9,700会計事務所、1万1,400会員となりました。なお事務所数と会員数の違いは、1事務所に複数会員が所属することによります。
[「適時・正確な記帳に基づく信頼性の高い決算書の作成を支援する」ための活動]
①「中小会計要領」の普及のための支援活動
TKC全国会では、中小企業である関与先企業が準拠すべき会計基準として、平成24年2月に制定された「中小企業の会計に関する基本要領」(以下、中小会計要領)を推奨しています。
本要領は、1)自社の経営状況の把握に役立つ会計、2)利害関係者(金融機関等)への情報提供に資する会計、3)会計と税制の調和を図った上で、会社計算規則に準拠した会計、4)中小企業に過重な負担を課さない会計――の考えに沿って制定されています。
当社は、その普及・活用に向けたTKC全国会の運動を支援するため、教材等の整備と他の中小企業支援団体との連携に継続的に取り組んでいます。
②「記帳適時性証明書」の発行
当社では、TKC会員が当社の会計システムを利用する際にTKCインターネット・サービスセンターに自動的に保存される処理履歴データと過去の時系列データを活用して、金融機関などの第三者が客観的にTKC会員事務所の業務水準を判定するための資料となる「記帳適時性証明書」を無償で発行しています。
このサービスは、TKC会員が作成する決算書と税務申告書の信頼性を高め、関与先企業の円滑な資金調達に貢献することを目的として開発されたものです。これは過去データの遡及的な加除・訂正を禁止している当社の「データセンター利用方式による財務会計処理」の特長を生かしたものであり、TKC会員が毎月、関与先企業に出向いて正しい会計記帳を指導(月次巡回監査)しながら、月次決算、確定決算ならびに電子申告に至るまでの全ての業務プロセスを一気通貫で適時に完了したことを、当社が第三者として証明するものです。
[大企業市場への展開]
当社は、TKCシステムの活用により上場企業を中心とする大企業の税務・会計業務のコンプライアンスと合理化に貢献するとともに、これらの企業およびその関係会社をTKC会員の関与先企業とするための活動を積極的に展開しています。
この活動に資するシステムとして、「TKC連結グループソリューション」(連結会計システム「eCA-DRIVER」、連結納税システム「eConsoliTax」、税効果会計システム「eTaxEffect」、法人電子申告システム「ASP1000R」、統合型会計情報システム「FX5」、電子申告システム「e-TAXシリーズ」、固定資産管理システム「FAManager」、TKC証憑ストレージサービス「TDS」、海外ビジネスモニター「OBMonitor」ほか)を提供しています。
平成30年度税制改正で、法人税・地方税・消費税の電子申告が令和2年4月から資本金1億円超の大企業に義務化されることになりました。これにより、大企業では、法人税申告書の電子申告の実施に加え、その添付書類(財務諸表、勘定科目内訳明細書等)についても電子データで提出しなければならなくなりました。法人税の電子申告は、国税庁の統計によれば、2016年度で2,085,431件、電子申告率79.3%となっているものの、大企業における電子申告率は56.9%にとどまっています。そのため、義務化の対象となる多くの大企業がはじめて電子申告に取り組むことになります。当社では、これらの企業が円滑に電子申告義務化対応を行えるようにするため、TKC全国会中堅・大企業支援研究会(令和元年9月末日現在の会員数は1,349名)と連携し、『電子申告義務化対応ガイドブック』をホームページに公開するとともに、セミナーや電子申告体験会を開催しました。また、ERPベンダー4社とアライアンス契約を締結し、財務諸表のデータ連携システムの構築に取り組んでいます。その結果、法人電子申告システム(ASP1000R)のユーザー数は令和元年9月末日現在2,700社となりました。
また、収益認識に関する会計基準への対応、海外子会社の不正リスク対応をテーマとしたセミナーを開催し、システムとTKC会員によるシステム・コンサルティングを提案しました。
こうした活動の結果、「TKC連結グループソリューション」の利用企業グループ数は、令和元年9月末日現在で約3,700企業グループとなりました。なお、当社の税務申告システムは日本の上場企業の売上高トップ100社のうち88%の企業で採用されています。また、日本の上場企業における市場シェアは30%となりました。
[法律情報データベースの市場拡大]
当社が独自に構築した法律情報データベース「LEX/DBインターネット」は、明治8年の大審院判例から直近に公開された全法律分野にわたる判例・裁決例等を収録しており、令和元年9月末日現在で30万2,000件超とわが国最大の文献収録件数を誇るサービスとなっています。
また「LEX/DBインターネット」を中核とする総合的な法律情報データベースである「TKCローライブラリー」は、94万件を超える論文等の所在情報に加えて、ぎょうせい殿、日本評論社殿、有斐閣殿、中央経済社ホールディングス殿、判例タイムズホールディングス殿などの法律専門出版社等18社が運用する60の法律情報データベースと連動しており、そのアクセス可能な情報総数は262万件を超えています。
①「TKCローライブラリー」の利用拡大
「TKCローライブラリー」の販売促進では、実務に役立つコンテンツを顧客別にパッケージ化(法律事務所向け「法律事務所パック」、企業法務部向け「企業法務パック」)し、その活用をアピールすることに取り組んできました。
当期においては、TKC会員事務所をはじめ大学・法科大学院、官公庁、法律事務所、特許事務所、企業法務部などへの積極的な提案活動の結果、ユーザー数は5万IDを超え、令和元年9月末日現在で2万1,000超の諸機関で利用されています。
②アカデミック市場における展開
「TKC法科大学院教育研究支援システム」を利用する54校の法科大学院に対し、当システムの利用を基盤とした早期学修支援制度の導入を提案し、文部科学省の「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム」に応募できるよう支援しています。
また、当期から大学の学部を対象に「公務員試験学習ツール」の販売促進活動を本格化し、令和元年9月末日現在で25校と契約しています。引き続き、モニター利用大学の拡大と正式利用への切り替えを促進しています。
(2) 会計事務所事業部門の経営成績の分析
会計事務所事業部門における売上高は45,899百万円(前期比4.8%増)、営業利益は8,725百万円(前期比2.6%増)となりました。
①コンピューター・サービス売上高は、前期比4.1%増となりました。これは「中堅企業向け統合型会計情報システム(FX4クラウド)」や「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMSクラウド)」、高セキュリティー環境のもとで、外出先からOMSにアクセスして業務を遂行できる「OMSモバイル」のユーザー数が伸展したことによります。
②ソフトウエア売上高は、前期比3.1%増となりました。これは前述したように電子帳簿保存法の要件を満たす財務会計システムのユーザー数が伸展したこと、および法人税の電子申告義務化に伴い大企業向けの「法人電子申告システム(ASP1000R)」のユーザー数が伸展したことによります。
③コンサルティング・サービス売上高は、前期比3.0%減となりました。これは「FX4クラウド」および「OMSクラウド」等のクラウドサービスのユーザー数が伸展したことに伴い、従来のクライアント/サーバー型システムに関わる立ち上げ支援料およびハードウエア保守料収入が減少したことによります。
④ハードウエア売上高は、前期比15.9%増となりました。これは、Windows7のサポート終了が令和2年1月に予定されていること、および消費税増税前にパソコンを買い換える需要が増加したことによります。
3.地方公共団体事業部門の営業活動と経営成績
(1) 地方公共団体事業部門の営業活動
地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。
①基幹系関連サービスの開発・提供
国は、令和5年度末までにクラウド導入団体数を約1,600団体(うち自治体クラウドは約1,100団体)にするとの目標を掲げ、導入促進の取り組みを加速させています。
当社では、全国の地方公共団体(主に市区町村)を対象とした「TKC行政クラウドサービス」を提供しています。これは基幹系業務と内部情報系業務を支援する「TASKクラウドサービス」と、納税通知書などの大量一括出力処理を支援する「TASKアウトソーシングサービス」により構成されています。
特にTASKクラウドサービスは、当社データセンターを運用拠点として全国域を対象にクラウドの共同利用を可能とする単一のパッケージシステムであることから、総務省が推進する「自治体クラウド」の観点からも注目され、基幹系システムでは全国8グループの共同利用組織に採用されています。
当期においては、今秋以降に本稼働を迎える新規受注団体の円滑なシステム移行を支援したほか、改元や消費税法改正等への対応など各種システムの機能強化に努めました。また、積極的な提案活動を展開した結果、当社の基幹系システムは令和元年9月末日現在で全国150を超える団体に採用されています。
②住民向けクラウドサービスの拡充
マイナンバーカードの活用策として、コンビニエンスストアにおける証明書等の交付サービスを導入・検討する市区町村が増えています。
当社では、これを実現するシステムとして「TASKクラウド証明書コンビニ交付システム」を提供しています。本システムは全国の市区町村を対象とした初のクラウドサービスとして数多くの導入実績を持ち、令和元年9月末日現在で神戸市、北九州市などの政令指定都市を含め全国100を超える団体に採用されています。
また、本システムの仕組みを利用する「TASKクラウドかんたん窓口システム」は、住民サービスの向上と窓口業務改革の両面から注目が高まっており、令和元年9月末日現在で約10団体に採用されています。
当期においては、かんたん窓口システムの機能強化に取り組むほか、証明書コンビニ交付システムの積極的な提案活動を実施しました。
③地方税電子申告のクラウド化への対応
地方共同法人地方税共同機構の認定委託先事業者として、同機構が運営するeLTAX(地方税ポータルシステム)の審査システム等の標準システムをクラウド方式で提供するとともに、当社独自の機能として税務システムとの「データ連携サービス」を開発・提供しています。
また、本サービスの推進にあたっては、アライアンス契約を結ぶ全国50社のパートナー企業とともに提案活動を展開しています。その結果、「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」は、令和元年9月末日現在で全都道府県・市区町村の4割以上に当たる770を超える団体で採用されています。
当期においては、令和元年10月から全国一斉に運用が始まる「地方税共通納税システム」の導入準備を支援したほか、データ連携サービスの機能強化および積極的な提案活動に取り組みました。
④地方公会計の統一的な基準への対応
市区町村においては、これまでの「現金主義会計」(単式簿記)に代えて「発生主義会計」(複式簿記)を採用して、財務書類などを作成・開示するとともに、そのデータを行政経営に活用することが求められています。
これを支援するため、当社では国が推奨する日々仕訳方式に対応した「TASKクラウド公会計システム」とその関連システムとして「TASKクラウド固定資産管理システム」「TASKクラウド連結財務書類作成システム」を提供しています。
当期においては、鹿児島県町村会・熊本県町村会・長崎県市町村行政振興協議会・京都府自治体情報化推進協議会に参加する全51団体(7市26町4村、14一部事務組合等)のうち、先行して令和元年10月から財務会計システムを切り替える13団体について移行準備を支援(今後2年間をかけて順次切り替え予定)するほか、地方公会計情報の〈見える化〉と〈活用〉を支援する各種機能の開発・強化に取り組みました。また、積極的な提案活動を展開した結果、公会計システムは令和元年9月末日現在で約250団体に採用されています。
⑤行政サービスデジタル化への対応
令和元年5月、すべての行政手続きを原則としてオンライン化する「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」(デジタル手続法)が成立しました。
当社では、かねてより新製品・サービスの企画と開発を一段と加速させるとともに、最新情報の収集・発信など顧客サポートの強化に努めてきました。当期においては、システム企画本部を中心に営業・開発・運用の各部門が連携し〈行政サービスデジタル化〉に関する情報収集・発信へ取り組むとともに、「TASKクラウドマイナンバーカード交付事務支援システム」をはじめ〈住民サービスの向上〉と〈業務の効率化・標準化〉を支援する行政サービスデジタル化支援ソリューションの調査・研究、開発を進めてきました。
(2) 地方公共団体事業部門の経営成績の分析
地方公共団体事業部門における売上高は16,413百万円(前期比16.3%増)、営業利益は425百万円(前期に対して422百万円増)となりました。
なお、営業利益が前期と比較して大幅に改善したのは、前期に受注した新規団体のシステム移行に伴う開発業務の外注などの仕入れが当期は発生していないこと、および「地方税電子申告支援サービス(eLTAX)」のシステム更改に伴う導入業務の受注によるものです。
①コンピューター・サービス売上高は、前期比10.5%増となりました。これは前期において新たに受注した基幹系システムユーザーからアウトソーシングサービスを受注したこと、データセンターの利用が拡大したことに加え、LGWANクラウドサービスである「証明書コンビニ交付システム」や「課税資料イメージ管理システム」などのユーザー数が伸展したことによります。
②ソフトウエア売上高は、前期比8.9%減となりました。これは、前期に計上したマイナンバー制度へのシステム対応、国民健康保険制度および介護保険制度の改正といった法律の改正に伴うシステム改修がなかったことによります。
③コンサルティング・サービス売上高は、前期比97.0%増となりました。これは前期において新たに受注した基幹系システムユーザーへのシステム導入に加え「地方税電子申告支援サービス(eLTAX)」のシステム更改、および地方税共通納税システムの導入事業を受託したことによります。
④ハードウエア売上高は、前期比55.4%増となりました。これは住基ネット関連機器更改に伴うサーバーやネットワーク機器等の売上高が増加したことによります。
4.印刷事業部門の営業活動と経営成績
(1) 印刷事業部門の営業活動
当社グループの印刷事業部門は、データプリントサービス(DPS)事業およびビジネスフォームの印刷を基軸に事業展開しています。
DPS分野では民間企業の販促用ダイレクトメールが小ロット化の傾向にある中、オフセット印刷とデジタル可変出力双方の技術提案により受注拡大を図りました。また、官公庁・地方自治体に対しては、そのサービスを受ける方々への個人情報の保護と正確性を担保し、より短い納期によるサービス強化を目的に、入札前段階からの機械設備に合わせた仕様提案を行いました。ビジネスフォーム印刷分野では、生産性の向上と高付加価値商品の企画販促に努めました。
(2) 印刷事業部門の経営成績の分析
①印刷事業部門における売上高は3,808百万円(前期比2.2%増)、営業利益は189百万円(前期比12.4%増)となりました。
②データプリントサービス(DPS)関連商品の売上高は、前期比10.3%増となりました。これは民間企業からのDM受注増、ビジネス・プロセス・アウトソーシング関連業務の安定受注、4月の統一地方選挙、7月の参議院選挙関連の受注、地方自治体からの通知書関連業務の受注、官公庁外郭団体からの通知書関連業務の受注などによります。
③ビジネスフォーム関連の売上高は、前期比1.1%減となりました。これは近年ビジネス帳票の需要減退が続いていることによります。
5.全社に関わる重要な事項
(1) 指名・報酬諮問委員会の設置
社外取締役および社内取締役等で構成する任意の「指名・報酬諮問委員会」を、令和元年9月に設置しました。この委員会は、当社取締役会の諮問機関として、取締役等の選解任、候補者の指名、ならびに取締役等の報酬に関する意思決定について、独立社外取締役等からの関与・助言を得る機会を確保し、取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化することによって、コーポレート・ガバナンス体制をより一層充実させることを目的としています。
(2) 株式会社TKC出版の完全子会社化
令和元年9月24日、株式交換の手続きを実施し、関連会社である株式会社TKC出版を完全子会社化しました。株式会社TKC出版は昭和47年にTKC会員への情報発信および会員事務所の業務の合理化と関与先企業からの信頼性の向上に貢献するための広報および出版活動を行うことを目的として設立されました。完全子会社化により、株式会社TKC出版が培ってきた編集ノウハウを活用し、当社の事業や企画と組み合わせることで、広報、出版活動に大きく貢献できるものと期待しております。
(3) 「電子帳簿ソフト法的要件認証」の取得
当社が会計事務所の関与先企業に提供する財務会計システム(FX2、FX4クラウド、e21まいスターなど)は、同業他社に先駆けて、平成31年3月29日、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)から「電子帳簿ソフト法的要件認証制度」の第1号認証を取得しました。この電子帳簿ソフト法的要件認証制度は、国税関係帳簿の作成・保存を行う市販ソフトウエアが電子帳簿保存法の要件を満たしているかをチェックし、法的要件を充足していると判断されたソフトウエアに対して、JIIMAが認証する制度です。この認証を受けた財務会計システムは国税庁ホームページにも一覧が掲載されています。
電子帳簿保存法を利用する企業は、所轄税務署に申請書を提出する必要があります。従前は、電子帳簿を申請する際に、企業が利用している財務会計システムが電子帳簿保存法の要件を満たしていることを申告する必要がありました。平成31年度税制改正によりJIIMAの認証を取得している財務会計システムを利用の場合は、その申告作業が不要となり、電子帳簿の申請書類も1/2に減らすことができるようになりました。
今日、わが国においては多くの財務会計システムが企業において利用されていますが、その中で「電子帳簿保存法」に完全準拠したものが極めて少ないのが実態です。当社の財務会計システムは企業を納税義務者ととらえ、青色申告制度の要件を満たすように設計されており、これから強く注目されていくものと期待しております。
(4) 海外ビジネスモニターの内部監査支援機能に関する特許を取得
「海外ビジネスモニター」(以下、OBM)の内部監査支援機能について平成31年1月11日、特許を取得しました(特許第6463532号)。
OBMは、海外に進出している日系企業(海外子会社)の業績を日本の親会社が「見える化」できるクラウドサービスです。海外子会社が会計システムから会計データを切り出して、TKCインターネット・サービスセンター
(TISC)にアップロードすると、日本の親会社は、海外子会社の業績を、統一した科目体系で、かつ現地語を日本語または英語に自動翻訳して確認できます。さらにOBMは、会計データを自動的に分析し、ミスや不正と思われる取引を抽出する内部監査支援機能を搭載しています。この機能が「内部監査支援装置、内部監査支援方法および内部監査支援プログラム」に関する発明として特許が認められました。
(5) 当社名誉会長によるTKC会員に対する株式無償譲渡について
当社名誉会長である飯塚真玄氏は平成31年3月、税理士法第33条の2に規定される書面添付に取り組むTKC会員222名に対し、個人で保有する当社普通株式を無償譲渡されました。この無償譲渡は平成30年3月から令和4年3月までの5年間、累計100万株を上限として実施しているものです。昨年に続き2回目となる譲渡を行いました。
なお、飯塚真玄氏は平成18年にも弟故飯塚容晟氏(元当社副社長)と共に個人所有の当社株式合計300万株を、6,657名のTKC会員に贈与されています。
6.当社グループの当連結会計年度の財政状態の分析
(1) 資産の部について
当連結会計年度末における資産合計は、96,989百万円となり、前連結会計年度末90,202百万円と比較して6,787百万円増加しました。
①流動資産
当連結会計年度末における流動資産は、41,073百万円となり、前連結会計年度末31,747百万円と比較して9,325百万円増加しました。 その主な理由は、「現金及び預金」が7,541百万円、「売掛金及び受取手形」が1,064百万円増加したことなどによるものです。
②固定資産
当連結会計年度末における固定資産は、55,915百万円となり、前連結会計年度末58,454百万円と比較して、2,538百万円減少しました。 その主な理由は、「長期預金」が3,500百万円、「繰延税金資産」が1,803百万円、「長期リース投資資産」が682百万円増加したものの、「投資有価証券」が8,499百万円減少したことなどによるものです。
(2) 負債の部について
当連結会計年度末における負債合計は、23,868百万円となり、前連結会計年度末17,651百万円と比較して6,217百万円増加しました。
①流動負債
当連結会計年度末における流動負債は、16,278百万円となり、前連結会計年度末13,955百万円と比較して、2,322百万円増加しました。 その主な理由は、「未払法人税等」が761百万円、「賞与引当金」が430百万円、「その他」に含まれる「前受金」が331百万円増加したことなどによるものです。
②固定負債
当連結会計年度末における固定負債は、7,590百万円となり、前連結会計年度末3,696百万円と比較して、3,894百万円増加しました。 その主な理由は、「退職給付に係る負債」が2,728百万円、「リース債務」が756百万円増加したことなどによるものです。
(3) 純資産の部について
当連結会計年度末における純資産合計は、73,121百万円となり、前連結会計年度末72,550百万円と比較して570百万円増加しました。 その主な理由は、「利益剰余金」が3,816百万円増加したものの、「退職給付に係る調整額」が1,704百万円、「その他有価証券評価差額金」が1,001百万円、「新株予約権」が235百万円減少したことなどによるものです。 なお、当連結会計年度末における自己資本比率は、73.8%となり、前連結会計年度末78.6%と比較して4.7ポイント減少しました。
7.当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金および現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ7,541百万円増加し、26,810百万円になりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの概況とその主な理由は次のとおりです。
(1) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、10,550百万円増加(前連結会計年度比1,740百万円収入増)しました。その主な理由は、税金等調整前当期純利益が10,004百万円計上されたこと等によるものです。
(2) 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、411百万円増加(前連結会計年度比4,424百万円支出減)しました。その主な理由は、定期預金の預入6,500百万円を支払ったこと、および投資有価証券の取得3,001百万円を支払ったこと、また、一方で投資有価証券の償還の収入10,000百万円があったこと等によるものです。
(3) 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、3,792百万円減少(前連結会計年度比1,224百万円支出増)しました。その主な理由は、平成30年9月期期末配当ならびに令和元年9月期中間配当2,900百万円を支払ったこと、および自己株式の取得1,387百万円を支払ったこと等によるものです。
Ⅱ 生産、受注及び販売の実績
1.生産実績
特に記載すべき事項はありません。
2.受注実績
特に記載すべき事項はありません。
3.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 会計事務所事業 | 45,899 | 104.8 |
| 地方公共団体事業 | 16,413 | 116.3 |
| 印刷事業 | 3,808 | 102.2 |
| 合計 | 66,120 | 107.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額には消費税等は含まれておりません。
Ⅲ 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
1.重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積もりを必要とします。経営者は、これらの見積もりについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積もりと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
2.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
「2 事業等のリスク」をご参照ください。
3.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、経営体質の強化を図りながら持続的に企業価値を向上するにあたり、事業活動に必要な資金は、自己資金を中心とすることを基本方針としております。この方針のもと事業活動の維持に必要な手元資金を保有し、充分な流動性を確保していると考えております。
また、情報通信技術(ICT)が急速に進歩するとともに、社会の諸制度が大きく変化していく中で当社のお客さまのビジネスを成功に導きながら、市場環境の変化に迅速に対応し競争優位を実現するために、先行的な研究開発投資と積極的な設備投資を実施しております。
4.当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、継続企業(ゴーイング・コンサーン)の前提の下に、毎事業年度の配当原資を当該期間利益に求めることを原則としています。この考え方に基づき、重要な経営指標として以下のものを設定するとともに管理しています。
①連結数値に基づく経営指標
1)対前年度売上高比率:3%以上
2)自己資本利益率:8%以上
②個別数値に基づく経営指標
1)自己資本比率:80%超
2)売上高経常利益率:8%以上
3)総合限界利益率:60%以上
※限界利益とは、売上高から売上高に比例して変動する費用(変動費)を控除した金額であり、製品ミックスにより変動します。総合限界利益率とは、この限界利益の額が売上高に占める割合を言います。
このような状況のなか、当期の連結対前年度売上高比率は7.3%(前期比4.1ポイント増)、連結自己資本利益率は9.4%(前期比0.5ポイント増)となりました。
また、個別自己資本比率は80.1%(前期比2.8ポイント減)、個別売上高経常利益率は14.7%(前期比0.4ポイント減)、個別総合限界利益率は73.1%(前期比0.9ポイント減)となりました。
引き続き高い水準を維持するために、収益構造および資本効率の改善に取り組んで参ります。