有価証券報告書-第88期(2024/03/01-2025/02/28)

【提出】
2025/05/22 13:57
【資料】
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【項目】
142項目

対処すべき課題

当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、プランニング力、デザイン力、演出技術力等を駆使することにより、集客と感動の環境を創り出し、顧客のビジネスの繁栄と成功に貢献していくことを基本方針としております。この実現のため、グループ各社の専門性を高め、その総力を結集して企画段階から運営までの幅広い領域で顧客のニーズに適合したサービスの提供をおこなってまいります。それにより、企業ブランドをさらに向上させることでグループの企業価値を高め、継続的に成長してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略
ミッション : 空間創造によって人々に「歓びと感動」を届ける
ビジョン(ミッションを実現するために、乃村工藝社グループとしてのありたい姿を規定したもの)
: 一人ひとりの「クリエイティビティ」を起点に、空間のあらゆる可能性を切り拓く

事業価値と社会的価値の向上を通じて「企業価値」の向上を成し遂げます。
(事業価値向上)
既存事業を高度に洗練させる
市場別の専門性を高度化し、それぞれの専門性を他市場のニーズに積極的に活用する連携体制を充実させ乃村工藝社グループの圧倒的な総合力を発揮する。
(事業価値向上)
新たな事業領域に挑戦し新しい事業を全社員で興す
時代や社会環境の変化に対応した新しい空間の価値を創造し、空間を活用した新しいビジネスや事業のプロデュースによって、乃村工藝社グループ事業領域の無限の可能性に挑戦する。
(社会価値向上)
社会が必要とする価値を提供する
乃村工藝社グループの掲げる“サステナビリティ方針”のもと、企業の社会的責任・持続可能性に取り組むとともに空間創造を通じた社会課題解決にむけたソーシャルグッド活動を推進する。


そのために=起点となるクリエイティビティの醸成
(働き方改革)
個の力を発揮する働き方に挑戦する
自律した自由な働き方により社員一人ひとりの「個の力=専門性」が遺憾なく発揮され、社内外と積極的に連携・協創できる“働きがい”のある会社にむけた制度改革を行う。
(業務改善)
クリエイティビティに費やす時間的余力を創出する
会議体・報告プロセスの削減やワークフローとシステムの見直しによる効率化で、それぞれの仕事に旺盛なクリエイティビティを発揮するための余力を創出する。
(人財育成)
創造力と実行力を発揮する人財を育成する
多様性を推奨する環境下にあって、創造力と実行力を発揮できる人財を育成することで、不確実と言われる時代においても柔軟に対応できる強靭な組織をつくりあげる。
(R&D)
新たな提供価値創造のための研究開発を実行する
社員の新しい発想やアイディアによって、まだない空間や事業を「創り出す」ための研究開発を実行する。


成長投資
将来の継続的な成長を目指し、3年で70億円以上の投資を行う

(3)目標とする経営指標
<2025年度 財務目標>(事業収益)
連結売上高 : 1,550億円
連結営業利益 : 95億円
連結売上高営業利益率 : 6.1%
成長投資 3カ年合計 : 70億円以上
(資本効率)
自己資本利益率(ROE) : 10.0%以上
自己資本比率 : 50.0%以上
(株主還元)
純資産配当率(DOE) : 6.0%以上
(4)経営環境ならびに優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当社グループを取り巻く事業環境は、資材価格や労務費の上昇、価格競争による採算面への影響があるものの、リアルな空間への人流増加や好調なインバウンド需要、モノからコト・体験の消費へのニーズの変化などを背景に、都市再開発による複合商業施設や富裕層向け店舗の増加、あるいはホテルの新設・改装ラッシュ、企業のPR施設による発信拡大など、市場全体として改善傾向にあります。ただし、世界経済全体の不確実性が高まっており、その動向には十分に注視する必要があります。
このような状況のなか、当社グループは、プロジェクトの川上参入による優位なポジション形成を目指すとともに、収益性の改善や人財育成・DX推進による業務効率化など、数々の施策を着実に推し進め、業績の向上に努めてまいります。
さらに、中期経営方針の最終年度となる2025年度は、新規分野の開拓、新しい価値の創出に一段と注力いたします。例えば、スクラップ・アンド・ビルド型から、いいものを長く使う社会へという変化に対応し、再生コンセプト・デザインや独自技術の高い総合力を発揮したサステナブルな商品提供を強化します。また、企業の広報・販売促進分野では、情報発信だけでなく、来場者と企業が社会課題を共有し、社会に提供する価値を体感できる場に進化させます。自治体などの公共空間では、地域の課題を複合的に解決し、交流の歓びや誇りある街づくりを提案するなど、次の時代に向けた多彩な挑戦をすでに始めています。
いつの時代にも、私たち乃村工藝社グループは、豊かな社会にとって欠かすことのできない会社であり続けることで、株主・投資家の皆さまのご期待にそえるよう全力を尽くしてまいります。