有価証券報告書-第56期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/22 12:01
【資料】
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【項目】
140項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創業の精神である「コンピューターは社会に奉仕する」のもと、ITを通じて新しい価値を創造することで社会に貢献することを経営理念としております。
・社是(創業の精神)
「コンピューターは社会に奉仕する」
・経営理念
私たちは、確かな技術で新たな価値を創造し、社会に貢献します
・行動指針
私たちは宣言します
夢と未来にむかって、あたらしさへ挑戦します
お客様の心の声に、しなやかな発想で応えます
的確な判断と責任のもと、すばやく行動します
・企業メッセージ
Grow on with Clients, now and forever
当社グループはこれからも、新たな技術に果敢に挑戦しながら、しなやかな発想で、価値あるITサービスをお客様に提供し、お客様とともに成長し続けることで、企業価値の一層の向上に努めてまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2022年3月期を初年度とする中期経営計画(2021年度-2023年度)を策定いたしました。本計画では、「収益性の安定と向上」、「社員が生き生きと働ける会社に」の2つのキーワードを大方針として掲げ、以下の施策を展開しております。本計画の最終年度となる2024年3月期に連結売上高210億円(子会社連結除外に伴い変更)、連結営業利益率7%を達成することを目標としております。
① 収益性の改善
・事業全体の収益性改善を実現するために、個々のプロジェクトにおける収益性改善とリスク顕在化の未然防止に努めます。プロジェクト統制としてPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の活動を継続・強化し、KPI(重要業績評価指標)設定による改善項目と目標可視化の管理を行うことで実現を目指します。
② 自主ビジネスの強化
・収益性の高い主力ソリューション及び自主ビジネスを強化することで、主力ソリューション及び自主ビジネスの機能強化やラインナップの拡充を図ります。この取り組みにより自主ビジネスの比率を向上させ、収益性の向上を図ります。
③ サービスベンダーへの変貌
・クラウドやデータセンターの活用及びソリューションのサービス化を図ることで、従来の人工ビジネスから脱却しサービスベンダーとなることを目指します。
・大手SIerからの受託開発事業につきましては、従来の派遣を中心とするビジネスモデルから脱却し、専門テクノロジーに特化した請負開発へのシフトを進め、大手SIerの事業における当社のポジションを明確にし、協業関係を維持・拡大してまいります。
④ 経営ガバナンスの強化
・コンプライアンス責任者を明確にした体制を確立し、社内啓蒙はもとより当社グループ、開発パートナーに至るまで、法令の遵守、コンプライアンス意識の浸透と拡大に努めています。
・リスクマネジメントについては従来の管理体制を維持し啓蒙活動を行うことに加え、活動効果を把握し改善に活かすことで一層のリスク耐性を獲得していきます。
・また当中期経営計画期間にとどまらず永く社会に必要とされる会社となるために「社内スタートアップ制度」を新設し新しい事業の芽を創出することに加え、事業活動における環境保全への配慮について評価を開始してまいります。
⑤ 生き生きと働ける会社に
・情報サービス産業において人材は最も重要な経営資源であり、その確保と育成は最重要課題であります。社員が生き生きと長く勤められる企業風土づくりに向け、勤務形態の多様化への対応や付加価値創造型の人材育成への取り組みなどの働き方改革を継続、強化してまいります。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、収益性、資本効率及び資本安定性を重視し、売上高営業利益率、ROE(自己資本当期純利益率)及び自己資本比率を重視すべき経営指標として用いております。各指標の中長期的な目標につきましては、売上高営業利益率は7%、ROEは10%、自己資本比率は60%としております。株主資本の有効活用、経営の効率化を図りながら収益性を高めることが、企業価値の向上に繋がり、株主の皆様、従業員を含め全てのステークホルダーの利益に叶うものと考えております。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
ロシアによるウクライナ侵攻は日本にとっても他人事ではなく、グローバルなサプライチェーンへの影響が懸念されるなど、景気の先行き不透明感が強まっております。また、新型コロナウイルス感染症につきましても収束の兆しが見えない状況が続いております。
一方、コロナ禍を契機として、社会は感染症対策と経済活性化の両立を図っていく“ウィズコロナ”というニューノーマルに大きく変化いたしました。企業においては、ITを活用したテレワークやデジタル化が進み、新しい働き方が急速に広がっております。また、経済産業省の「2025年の崖」の警鐘を背景に、企業における老朽化、肥大化、複雑化及びブラックボックス化している古い基幹業務システムを刷新する動きが続いております。デジタルトランスフォーメーション(DX)の浸透が進み、企業におけるIT活用の重要性が再認識される中、IT投資は中長期的に拡大していくものと認識しております。
このような環境のもと、当社グループは、「収益性の安定と向上」及び「社員が生き生きと働ける会社に」を基本方針に、中長期的に持続的な成長を実現するため、以下の施策を実施してまいります。
・顧客規模に応じた製品化、部品化及びクラウド化を進め、主力ソリューションの高収益化を図ります。また、可視化・マイグレーションビジネスを中心に、商品力強化のための投資を積極的に行います。
・クラウドビジネスのさらなる加速を見据え、顧客に提案ができるクラウドサービス技術者の育成を強化いたします。
・PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の活動をより一層有効なものとするため、「見えないものは管理できない」という考え方に基づき、ソフトウエア構造やPJ特性などの可視化を徹底します。また、見えないことによるリスクの洗い出しを行い、解決すべき課題の可視化を推進します。システム開発における様々なリスクを開発現場との間で共有し、現場とともに課題解決にあたります。また、上流工程の徹底チェックとコストマネジメントを強化し、品質向上とプロジェクト損失の抑制を図ります。
・全ての社員がより長く生き生きと働ける会社となるために働き方改革を継続します。テレワークとオフィス勤務を組み合わせたハイブリッド勤務を推し進め、一人ひとりの生活に合わせた働き方ができるよう働く環境の整備を図ります。
・サステナビリティの取り組みを強化いたします。テレワークやデジタル化のさらなる推進を行い、通勤による環境負荷の低減や紙使用量・電力使用量の削減を図ります。また「社内スタートアップ制度」を通じてサステナブルな事業アイデアにも積極的に投資してまいります。
・自然災害やパンデミックを想定したBCP(事業継続計画)を検討・策定するとともに、災害対策としての社内IT環境、オフィス環境の見直しや必要物資の備蓄の強化を行ってまいります。
・NCS&Aグループ各社の事業シナジーの追求、取り組むべき事業領域の見直しや統廃合、コスト構造改革を進め、グループ経営の総合力を高めます。