有価証券報告書-第90期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度(以下、当期)におけるわが国経済は、自然災害による一時的な落ち込みはあったものの、良好な雇用・所得環境、好調な企業業績の下で、個人消費や設備投資などの内需が堅調に推移しました。一方、海外経済の減速、特に、米中貿易摩擦などにより投資が冷え込み、昨秋以降鮮明となった中国経済の減速の影響により、年度末に向けてわが国の鉱工業生産は弱含み、輸出は伸び悩みました。
葬祭市場においては、故人や喪主の高齢化に加え、地域社会や職場の人間関係の希薄化等の影響もあり会葬者数は減少傾向にあるとともに、人々の価値観・嗜好の多様化が葬儀の形態や費用のかけ方に反映される傾向が強まっています。また、葬儀事業者による葬祭会館の新規出店や、葬儀紹介業者によるインターネットを通じた集客など、事業者間の激しい競争が続いています。
以上のような環境変化を踏まえ、中期経営計画(平成28年度~平成30年度)の最終年度にあたる当期において、主要課題への取り組みを以下のとおり進めました。
第一に、グループ葬儀事業3社においては、サービス品質向上への取り組みを継続するとともに、集客力および提案力の強化を図りました。
第二に、葬儀事業の営業エリアの維持・拡大のため、新規会館の出店を進めました。その結果、平成30年12月に「公益社会館 津久野」(堺市西区)をオープンしたほか、平成31年2月に「公益社 上板橋会館」(東京都板橋区)、3月に「公益社 吉祥寺会館」(東京都武蔵野市)をそれぞれオープンしました。
さらに、平成31年4月には「公益社 香里園会館」(大阪府寝屋川市)をオープンし、6月には「タルイ会館 北大久保」(兵庫県明石市)をオープンしました。
第三に、新規事業創出への本格的取り組みとして、介護事業においては平成30年7月にリハビリ特化型デイサービス施設の2号店「ポシブル池田」(大阪府池田市)をオープンしました。飲食事業においては平成30年12月にラーメン店の3号店となる「うまい麺には福来たる 天五店」(大阪市北区)をオープンしました。
当期においては、グループの全葬儀施行件数が、㈱公益社を中心に前連結会計年度(以下、前期)と比べて伸長したことに加え、提案力向上の諸施策により葬儀施行単価も上昇したため、葬儀施行収入が前期比3.5%の増収となりました。葬儀に付随する販売やサービス提供による収入も各社総じて好調で、グループ全体として増収となりました。
費用については、前期に発生した「公益社 枚方会館」のリニューアルオープンに伴う減価償却費や消耗備品費の計上がなくなる一方、営業収益の増加に伴う直接費の増加、人員増を背景とした人件費の増加のほか、広告宣伝費や地代家賃も増加したため、営業費用は前期比2.4%増加しました。販売費及び一般管理費は、求人・採用経費の増加や役員および従業員に対するインセンティブ報酬制度の設計に係るコンサルティングフィーの発生等により前期比1.7%増加しました。
なお、昨夏の自然災害(大阪北部地震および台風20号・21号)に関する受取保険金43百万円を営業外収益に、被害に対する補修工事等の災害損失43百万円を営業外費用に、それぞれ計上しました。さらに、営業外収益には厚生年金基金の特例解散に伴う負担額の確定に伴い、厚生年金基金解散損失引当金戻入額21百万円を計上しました。
また、平成24年4月に導入した転進支援制度を、平成30年8月31日付で廃止したことに伴う退職給付制度終了益1億42百万円を特別利益に計上しております。
この結果、当期の営業収益は207億66百万円となり、前期比3.5%の増収となりました。また、営業利益は29億40百万円(前期比10.6%増)、経常利益は29億36百万円(前期比10.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は21億12百万円(前期比34.3%増)と、いずれも増益となりました。
セグメント別の業績は次の通りです。
ア 公益社グループ
公益社グループの中核会社である㈱公益社では、首都圏の一般葬儀および関西圏の大規模葬儀(金額5百万円超の葬儀)の施行件数が伸長しました。これは新規出店による営業エリアの拡大や集客チャネルの多様化、ならびに組織間の連携強化の取り組みが奏功したものと考えられます。但し、関西圏の一般葬儀の施行件数は、一部エリアにおいて平成28年以降相次ぐ競合の新規出店の影響を受けたことにより減少しました。
一方、葬儀施行単価については、関西圏、首都圏ともに提案力の向上により一般葬儀の施行単価が上昇しました。
その結果、全体の葬儀施行件数は前期比0.3%の減少、葬儀施行収入は前期比3.3%の増収となりました。
葬儀に付随する販売等においては、仏壇仏具販売収入および墓地墓石の紹介手数料収入は前期比減収となったものの、返礼品販売収入が前期比大幅増収となったため、差し引きで前期比増収となりました。
費用については、消耗備品費が減少する一方、営業収益の増加に伴う直接費や人員増による人件費の増加、広告宣伝費の増加等により、営業費用は前期比増加しました。
この結果、当セグメントの売上高は171億43百万円(前期比3.2%増)となり、セグメント利益は16億3百万円(前期比19.7%増)となりました。
イ 葬仙グループ
葬仙グループの㈱葬仙においては、鳥取エリア・境港エリアを中心に葬儀施行件数が前期比3.3%増加したため、葬儀施行単価は低下したものの、葬儀施行収入は前期比2.2%の増収となりました。一方、返礼品や仏壇仏具の販売等葬儀に付随する収入は前期比減収となりました。
費用については、直接費率の改善および消耗備品費等の減少により、人員補充に伴う人件費の増加を吸収し、営業費用は前期並みとなりました。
この結果、当セグメントの売上高は14億9百万円(前期比1.1%増)となり、セグメント利益は36百万円(前期比59.9%増)となりました。
ウ タルイグループ
タルイグループの㈱タルイにおいては、葬儀施行件数が前期比7.5%増加したため、葬儀施行単価は低下したものの、葬儀施行収入は前期比6.2%の増収となりました。
また、葬儀に付随する販売等においても、仏壇仏具の販売を中心に大幅増収となりました。
費用については、直接費率の上昇、会館リニューアルに伴う消耗備品費および広告宣伝費の増加等により、営業費用は前期比増加しました。
この結果、当セグメントの売上高は18億35百万円(前期比7.5%増)となり、セグメント利益は3億39百万円(前期比0.5%減)となりました。
エ 持株会社グループ
持株会社グループの燦ホールディングス㈱においては、配当金収入およびグループ内への不動産賃貸収入の増加により増収となりました。
費用については、修繕費や地代家賃が増加したものの、業務委託費や減価償却費が減少したため、営業費用は前期比減少しました。
この結果、当セグメントの売上高は50億92百万円(前期比6.7%増)となり、セグメント利益は19億66百万円(前期比17.1%増)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当期末における流動資産は66億50百万円となり、前期末比9億51百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が8億29百万円、未収還付法人税等が74百万円増加したためです。
固定資産は246億76百万円となり、前期末比2億14百万円増加しました。これは主に、新規会館の開設に伴い建物及び構築物が5億33百万円増加するなど、有形固定資産が4億73百万円増加する一方、繰延税金資産が2億89百万円減少したことによるものです。
この結果、総資産は313億26百万円となり、前期末比11億65百万円増加しました。
(負債)
当期末における流動負債は37億92百万円となり、前期末比5億36百万円増加しました。これは主に、営業未払金が2億5百万円増加したほか、1年内返済予定の長期借入金が、固定負債からの振替9億19百万円と期中返済1億70百万円との差引により7億49百万円増加、厚生年金基金の特例解散に伴う負担額の確定、分割納付の開始に伴う1年内支払額の計上等により未払金が2億3百万円増加する一方、未払法人税等が5億33百万円、未払消費税等が78百万円それぞれ減少したことによるものです。
固定負債は14億64百万円となり、前期末比11億84百万円減少しました。
その主な要因は以下のとおりです。
厚生年金基金の特例解散に伴う負担額の確定に伴い、厚生年金基金解散損失引当金6億90百万円を取崩しました。その一方で、当該負担額について分割納付を選択しましたので、期中支払額および1年内支払額を除いて長期未払金に計上したこと等により、長期未払金が5億7百万円増加しました。
さらに、長期借入金が1年内返済予定長期借入金への振替により9億19百万円減少したこと、並びに転進支援制度の廃止に伴う退職給付に係る負債が1億59百万円減少しました。
この結果、負債合計は52億56百万円となり、前期末比6億48百万円減少しました。
(純資産)
当期末における純資産合計は260億70百万円となり、前期末比18億14百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益21億12百万円を計上する一方、配当金2億97百万円を支払ったことにより、利益剰余金が18億14百万円増加したためです。
この結果、自己資本比率は前期末比2.8ポイント上昇し、83.2%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当期における現金及び現金同等物は、前期末より8億29百万円増加し、56億11百万円となりました。 当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは26億95百万円の増加(前期は35億51百万円の増加)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益30億18百万円、減価償却費8億8百万円を源泉として資金が増加したことによるものです。
(注1)「厚生年金基金解散損失引当金の減少」6億90百万円は、厚生年金基金の特例解散に伴う負担額の確定に伴うもので、負担額の納付については、分割納付を選択しております。したがって、当該金額と確定した負担額の差額は「厚生年金基金解散損失引当金戻入額」として「税金等調整前当期純利益」に含まれるほか、負担額から期中納付額を控除した差額は、未払金および長期未払金に振り替わり、「その他の負債の増減額」に含まれます。
(注2)「退職給付に係る負債の減少」1億59百万円は、転進支援制度の廃止に伴うもので、当該金額から期中給付額を控除した差額は、「退職給付制度終了益」として「税金等調整前当期純利益」に含まれます。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは12億81百万円の減少(前期は9億84百万円の減少)となりました。
これは主に、会館建設等に伴う有形固定資産の取得による支出12億2百万円により資金が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは5億83百万円の減少(前期は3億97百万円の減少)となりました。
これは主に、配当金の支払額2億97百万円、長期借入金の返済1億70百万円により資金が減少したことによるものです。
④営業の実績
ア 営業売上実績
当連結会計年度における営業売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.上記の金額については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
イ 葬儀請負の実績
当社グループのセグメントのうち主な事業である葬儀請負事業に係わる葬儀施行件数の、当連結会計年度における実績は次のとおりであります。
(公益社グループ)
(葬仙グループ)
(タルイグループ)
(注)1.稼働率=施行件数÷基準件数×100
なお、式場利用は通常、通夜と葬儀の2日間にわたるため、基準件数は1式場2日間に1件の施行を標準として算出しております。
2.葬儀施行件数は、法事・法要件数を除いた件数を記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当期の財政状態および経営成績の分析は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」の「会計方針に関する事項」に記載のとおり、重要な資産の評価基準及び評価方法、重要な減価償却資産の減価償却の方法、重要な引当金の計上基準等において、継続性・網羅性・厳格性を重視して処理計上しております。また、繰延税金資産につきましては、将来の回収可能性を十分に検討したうえで計上しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当期は、増収かつ営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも増益となりました。増収の要因は、第一に㈱公益社関西圏(大阪本社)の大規模葬の施行件数および一般葬儀の施行単価の向上、第二に㈱公益社首都圏(東京本社)の一般葬儀の施行件数・単価の向上です。葬儀の小規模化や家族葬ニーズの高まりというトレンドの中で葬儀施行単価が向上したのは、サービスや商品の価値をお客様に伝える様々な工夫が奏功したものと考えます。特に、大阪本社では各種施策の企画・実行プロセスにおける組織マネジメントが向上し、増益に大きく貢献しました。
また、㈱タルイでは葬儀施行単価は低下したものの、新店やリニューアル店を中心に集客効果による葬儀施行件数の増加を実現させ、増収と高い利益率を達成しました。さらに、㈱葬仙でも一部エリアを除き葬儀施行件数が増加し増益となりました。
費用につきましては、人件費、集客のための広告宣伝費、新規会館に係る地代家賃等が前期比増加しました。広告宣伝費の支出は費用対効果の検証に基づいて実施するとともに、リニューアル投資は、お客様の利便性や快適さの確保と施設面での競争力の維持を重視して、優先順位をつけて実施しております。
人件費の増加については、欠員補充と増員のための採用が、前期と比べると進捗したことが背景にあります。しかし、労働時間の管理や業務改善に基づく労働生産性の向上への取り組みは未だ十分ではありません。まずは適正人員に基づく人的効率の指標を整備し、人件費コントロールを適切に行ってまいります。
当期の営業外損益および特別損益については、以下のとおりです。
まず、昨年の大阪北部地震および台風20号・21号による被害により、会館施設の内外装や看板等の補修工事が必要となりました。これらを「災害損失」43百万円として営業外費用に計上いたしましたが、保険金でフルカバーできております。また、「解体撤去費用」39百万円の主なものは、「公益社 岸和田会館」の本館解体撤去および別館のリニューアル工事に伴うもの、ならびに「公益社 吉祥寺会館」の工事に既存建物の一部設備等の撤去に係るものです。「減損損失」59百万円の発生は、「公益社 甲子園口会館」およびラーメン店2店舗等に係るものです。今後、それぞれの収益力の向上に努めます。
なお、営業外収益の「厚生年金基金解散損失引当金戻入額」21百万円、特別利益の「退職給付制度終了益」1億42百万円は、いずれも次期には剥落します。
以上の結果、達成すべき経営指標として掲げております「売上高経常利益率10%以上」については実績値14.1%となり、達成することができました。
③当連結会計年度の財政状態の分析
当期末の自己資本比率は83.2%と高い水準にありますが、自己資本当期純利益率(ROE)の向上は、レバレッジの引き上げにより、総資本利益率の改善を通じて目指しております。
達成すべき経営指標(資本効率目標)として掲げております「総資本事業利益率(注)(ROA)6.6%以上」については、実績値9.9%となり、達成することができました。
(注)事業利益=営業利益+営業外収益
また、以下の資産および負債の大きな増減の主な要因は、厚生年金基金の特例解散に伴う負担額が昨年12月に確定したことであります。
(資産の部)「投資その他の資産」の「繰延税金資産」の減少
(負債の部)「厚生年金基金解散損失引当金」および「未払法人税等」の減少、
「未払金」および「長期未払金」の増加
なお「現金及び預金」の増加要因については、次項「④資本の財源及び資金の流動性についての分析」に記載いたします。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
現金及び預金が前期末比8億29百万円増加して56億11百万円となりました。その要因は、有形固定資産の取得による支出12億16百万円により投資活動によるキャッシュ・フローが高水準であったにもかかわらず、営業活動によるキャッシュ・フローが、前期比倍増近い法人税等の支払額を吸収して、26億95百万円増加したことにあります。
葬儀の小規模化や家族葬ニーズの高まりという外部環境を踏まえると、葬儀会館の投資資金は、多店舗展開するとしても自己資金でまかなうことができる見込みです。但し、会館用地については賃借(事業用定期借地)を原則とする中で、首都圏においては元々候補物件自体が少ないことから、稀少な好物件について、土地の取得という判断をすることもあり得ます。その場合、自己資金でまかなえる範囲ではありますが、一時的に土地を賃借する場合と比べて、多額の投資資金を要する可能性があります。
(注)首都圏における営業エリアの拡大に伴う業務効率の低下を避けるために、従来は、生花や資材等のバックヤード機能を葬儀会館に併設する、いわゆる母店の設置を想定しておりましたが、その後の検討の結果、バックヤードとしての適切な立地を選びさえすれば、会館への併設は必要条件ではないとの判断に至っております。
株主の皆様への利益還元につきましては、連結業績および資金の状況、中長期的な成長投資のための内部留保の確保、および財務の健全性等を総合的に勘案のうえ、安定的な配当水準の向上を目指して実施しております。当期は1株当たり年57円と年7円の増配といたしました。その結果、連結での配当性向は15.2%となりました。
内部留保金につきましては、継続的かつ安定的な成長のために、関西圏および首都圏における積極的な新規会館建設を継続し、営業エリアの拡大やドミナントの維持を目指します。
さらに、事業環境の変化を踏まえ、ITによって業務支援を行い、効率的な経営を目指すために策定した中期IT戦略に沿って、IT投資にも内部留保金を充当してまいります。
なお、当社は、資産効率向上の観点から余剰現預金を持たない方針であります。そのために当社は、緊急多額の資金需要に備え、取引銀行3行と総額10億円のコミットメントライン契約を締結しておりますが、同契約に基づく当期末の借入実行残高はありません。
⑤経営者の問題意識と今後の方針について
今後当社グループは、葬儀および周辺事業を基軸としながらも、ライフエンディングサポート企業へとさらなる進化を遂げてまいります。また、事業ポートフォリオのリスクを軽減する観点から、新たな収益の柱となる新規事業創出へのチャレンジを継続していきます。このように事業環境の変化に対応し、守るべきものを守り、変えるべきものを変えながら、持続的に安定成長していく企業を目指してまいります。
当面の個別具体的な問題意識については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度(以下、当期)におけるわが国経済は、自然災害による一時的な落ち込みはあったものの、良好な雇用・所得環境、好調な企業業績の下で、個人消費や設備投資などの内需が堅調に推移しました。一方、海外経済の減速、特に、米中貿易摩擦などにより投資が冷え込み、昨秋以降鮮明となった中国経済の減速の影響により、年度末に向けてわが国の鉱工業生産は弱含み、輸出は伸び悩みました。
葬祭市場においては、故人や喪主の高齢化に加え、地域社会や職場の人間関係の希薄化等の影響もあり会葬者数は減少傾向にあるとともに、人々の価値観・嗜好の多様化が葬儀の形態や費用のかけ方に反映される傾向が強まっています。また、葬儀事業者による葬祭会館の新規出店や、葬儀紹介業者によるインターネットを通じた集客など、事業者間の激しい競争が続いています。
以上のような環境変化を踏まえ、中期経営計画(平成28年度~平成30年度)の最終年度にあたる当期において、主要課題への取り組みを以下のとおり進めました。
第一に、グループ葬儀事業3社においては、サービス品質向上への取り組みを継続するとともに、集客力および提案力の強化を図りました。
第二に、葬儀事業の営業エリアの維持・拡大のため、新規会館の出店を進めました。その結果、平成30年12月に「公益社会館 津久野」(堺市西区)をオープンしたほか、平成31年2月に「公益社 上板橋会館」(東京都板橋区)、3月に「公益社 吉祥寺会館」(東京都武蔵野市)をそれぞれオープンしました。
さらに、平成31年4月には「公益社 香里園会館」(大阪府寝屋川市)をオープンし、6月には「タルイ会館 北大久保」(兵庫県明石市)をオープンしました。
第三に、新規事業創出への本格的取り組みとして、介護事業においては平成30年7月にリハビリ特化型デイサービス施設の2号店「ポシブル池田」(大阪府池田市)をオープンしました。飲食事業においては平成30年12月にラーメン店の3号店となる「うまい麺には福来たる 天五店」(大阪市北区)をオープンしました。
当期においては、グループの全葬儀施行件数が、㈱公益社を中心に前連結会計年度(以下、前期)と比べて伸長したことに加え、提案力向上の諸施策により葬儀施行単価も上昇したため、葬儀施行収入が前期比3.5%の増収となりました。葬儀に付随する販売やサービス提供による収入も各社総じて好調で、グループ全体として増収となりました。
費用については、前期に発生した「公益社 枚方会館」のリニューアルオープンに伴う減価償却費や消耗備品費の計上がなくなる一方、営業収益の増加に伴う直接費の増加、人員増を背景とした人件費の増加のほか、広告宣伝費や地代家賃も増加したため、営業費用は前期比2.4%増加しました。販売費及び一般管理費は、求人・採用経費の増加や役員および従業員に対するインセンティブ報酬制度の設計に係るコンサルティングフィーの発生等により前期比1.7%増加しました。
なお、昨夏の自然災害(大阪北部地震および台風20号・21号)に関する受取保険金43百万円を営業外収益に、被害に対する補修工事等の災害損失43百万円を営業外費用に、それぞれ計上しました。さらに、営業外収益には厚生年金基金の特例解散に伴う負担額の確定に伴い、厚生年金基金解散損失引当金戻入額21百万円を計上しました。
また、平成24年4月に導入した転進支援制度を、平成30年8月31日付で廃止したことに伴う退職給付制度終了益1億42百万円を特別利益に計上しております。
この結果、当期の営業収益は207億66百万円となり、前期比3.5%の増収となりました。また、営業利益は29億40百万円(前期比10.6%増)、経常利益は29億36百万円(前期比10.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は21億12百万円(前期比34.3%増)と、いずれも増益となりました。
セグメント別の業績は次の通りです。
ア 公益社グループ
公益社グループの中核会社である㈱公益社では、首都圏の一般葬儀および関西圏の大規模葬儀(金額5百万円超の葬儀)の施行件数が伸長しました。これは新規出店による営業エリアの拡大や集客チャネルの多様化、ならびに組織間の連携強化の取り組みが奏功したものと考えられます。但し、関西圏の一般葬儀の施行件数は、一部エリアにおいて平成28年以降相次ぐ競合の新規出店の影響を受けたことにより減少しました。
一方、葬儀施行単価については、関西圏、首都圏ともに提案力の向上により一般葬儀の施行単価が上昇しました。
その結果、全体の葬儀施行件数は前期比0.3%の減少、葬儀施行収入は前期比3.3%の増収となりました。
葬儀に付随する販売等においては、仏壇仏具販売収入および墓地墓石の紹介手数料収入は前期比減収となったものの、返礼品販売収入が前期比大幅増収となったため、差し引きで前期比増収となりました。
費用については、消耗備品費が減少する一方、営業収益の増加に伴う直接費や人員増による人件費の増加、広告宣伝費の増加等により、営業費用は前期比増加しました。
この結果、当セグメントの売上高は171億43百万円(前期比3.2%増)となり、セグメント利益は16億3百万円(前期比19.7%増)となりました。
イ 葬仙グループ
葬仙グループの㈱葬仙においては、鳥取エリア・境港エリアを中心に葬儀施行件数が前期比3.3%増加したため、葬儀施行単価は低下したものの、葬儀施行収入は前期比2.2%の増収となりました。一方、返礼品や仏壇仏具の販売等葬儀に付随する収入は前期比減収となりました。
費用については、直接費率の改善および消耗備品費等の減少により、人員補充に伴う人件費の増加を吸収し、営業費用は前期並みとなりました。
この結果、当セグメントの売上高は14億9百万円(前期比1.1%増)となり、セグメント利益は36百万円(前期比59.9%増)となりました。
ウ タルイグループ
タルイグループの㈱タルイにおいては、葬儀施行件数が前期比7.5%増加したため、葬儀施行単価は低下したものの、葬儀施行収入は前期比6.2%の増収となりました。
また、葬儀に付随する販売等においても、仏壇仏具の販売を中心に大幅増収となりました。
費用については、直接費率の上昇、会館リニューアルに伴う消耗備品費および広告宣伝費の増加等により、営業費用は前期比増加しました。
この結果、当セグメントの売上高は18億35百万円(前期比7.5%増)となり、セグメント利益は3億39百万円(前期比0.5%減)となりました。
エ 持株会社グループ
持株会社グループの燦ホールディングス㈱においては、配当金収入およびグループ内への不動産賃貸収入の増加により増収となりました。
費用については、修繕費や地代家賃が増加したものの、業務委託費や減価償却費が減少したため、営業費用は前期比減少しました。
この結果、当セグメントの売上高は50億92百万円(前期比6.7%増)となり、セグメント利益は19億66百万円(前期比17.1%増)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当期末における流動資産は66億50百万円となり、前期末比9億51百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が8億29百万円、未収還付法人税等が74百万円増加したためです。
固定資産は246億76百万円となり、前期末比2億14百万円増加しました。これは主に、新規会館の開設に伴い建物及び構築物が5億33百万円増加するなど、有形固定資産が4億73百万円増加する一方、繰延税金資産が2億89百万円減少したことによるものです。
この結果、総資産は313億26百万円となり、前期末比11億65百万円増加しました。
(負債)
当期末における流動負債は37億92百万円となり、前期末比5億36百万円増加しました。これは主に、営業未払金が2億5百万円増加したほか、1年内返済予定の長期借入金が、固定負債からの振替9億19百万円と期中返済1億70百万円との差引により7億49百万円増加、厚生年金基金の特例解散に伴う負担額の確定、分割納付の開始に伴う1年内支払額の計上等により未払金が2億3百万円増加する一方、未払法人税等が5億33百万円、未払消費税等が78百万円それぞれ減少したことによるものです。
固定負債は14億64百万円となり、前期末比11億84百万円減少しました。
その主な要因は以下のとおりです。
厚生年金基金の特例解散に伴う負担額の確定に伴い、厚生年金基金解散損失引当金6億90百万円を取崩しました。その一方で、当該負担額について分割納付を選択しましたので、期中支払額および1年内支払額を除いて長期未払金に計上したこと等により、長期未払金が5億7百万円増加しました。
さらに、長期借入金が1年内返済予定長期借入金への振替により9億19百万円減少したこと、並びに転進支援制度の廃止に伴う退職給付に係る負債が1億59百万円減少しました。
この結果、負債合計は52億56百万円となり、前期末比6億48百万円減少しました。
(純資産)
当期末における純資産合計は260億70百万円となり、前期末比18億14百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益21億12百万円を計上する一方、配当金2億97百万円を支払ったことにより、利益剰余金が18億14百万円増加したためです。
この結果、自己資本比率は前期末比2.8ポイント上昇し、83.2%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当期における現金及び現金同等物は、前期末より8億29百万円増加し、56億11百万円となりました。 当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは26億95百万円の増加(前期は35億51百万円の増加)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益30億18百万円、減価償却費8億8百万円を源泉として資金が増加したことによるものです。
(注1)「厚生年金基金解散損失引当金の減少」6億90百万円は、厚生年金基金の特例解散に伴う負担額の確定に伴うもので、負担額の納付については、分割納付を選択しております。したがって、当該金額と確定した負担額の差額は「厚生年金基金解散損失引当金戻入額」として「税金等調整前当期純利益」に含まれるほか、負担額から期中納付額を控除した差額は、未払金および長期未払金に振り替わり、「その他の負債の増減額」に含まれます。
(注2)「退職給付に係る負債の減少」1億59百万円は、転進支援制度の廃止に伴うもので、当該金額から期中給付額を控除した差額は、「退職給付制度終了益」として「税金等調整前当期純利益」に含まれます。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは12億81百万円の減少(前期は9億84百万円の減少)となりました。
これは主に、会館建設等に伴う有形固定資産の取得による支出12億2百万円により資金が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは5億83百万円の減少(前期は3億97百万円の減少)となりました。
これは主に、配当金の支払額2億97百万円、長期借入金の返済1億70百万円により資金が減少したことによるものです。
④営業の実績
ア 営業売上実績
当連結会計年度における営業売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成30年4月1日 至 平成31年3月31日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| 公益社グループ | 17,143,263 | 103.2 |
| 葬仙グループ | 1,409,272 | 101.1 |
| タルイグループ | 1,835,077 | 107.5 |
| 持株会社グループ | 5,092,711 | 106.7 |
| 合計 | 25,480,325 | 104.1 |
(注)1.上記の金額については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
イ 葬儀請負の実績
当社グループのセグメントのうち主な事業である葬儀請負事業に係わる葬儀施行件数の、当連結会計年度における実績は次のとおりであります。
(公益社グループ)
| 区分 | 当連結会計年度 (自 平成30年4月1日 至 平成31年3月31日) | ||||
| 式場数(式場) | 施行件数(件) | 前年同期比(%) | 稼働率(%) | ||
| 大規模会館 千里会館、枚方会館、西宮山手会館 | 大式場 | 3 | 69 | 103.0 | 12.6 |
| 一般式場 | 11 | 1,646 | 99.7 | 82.0 | |
| 支店・営業所付属会館 天神橋、東大阪、堺、吹田、用賀、岸和田、玉出、城東、西田辺、宝塚、豊中、高槻、守口、雪谷、富雄、はびきの、たまプラーザ、なかもず、明大前、田園調布、住吉御影、学園前、森小路、高輪、石橋、高円寺、仙川、江坂、日吉、西大寺、六甲道、くずは、喜多見、甲南山手、武庫之荘、甲子園口、千里山田、東久留米、津久野、上板橋、吉祥寺 | 一般式場 | 55 | 7,549 | 97.9 | 77.3 |
| 小計 | 69 | 9,264 | 98.3 | 75.2 | |
| その他(自宅、寺院等) | - | 2,139 | 107.4 | - | |
| 合計 | - | 11,403 | 99.9 | - | |
(葬仙グループ)
| 区分 | 当連結会計年度 (自 平成30年4月1日 至 平成31年3月31日) | ||||
| 式場数(式場) | 施行件数(件) | 前年同期比(%) | 稼働率(%) | ||
| 支店・営業所付属会館 鳥取、吉方、岩美、米子、安倍、福米、安来、境港、余子、松江、比津、東出雲 | 一般式場 | 14 | 1,093 | 106.0 | 42.8 |
| その他(自宅、寺院等) | - | 203 | 90.6 | - | |
| 合計 | - | 1,296 | 103.3 | - | |
(タルイグループ)
| 区分 | 当連結会計年度 (自 平成30年4月1日 至 平成31年3月31日) | ||||
| 式場数(式場) | 施行件数(件) | 前年同期比(%) | 稼働率(%) | ||
| 支店・営業所付属会館 舞子、大蔵谷、新明、大久保、魚住、土山、東加古川、神戸西、長坂寺、西明石 | 一般式場 | 14 | 1,243 | 108.7 | 48.6 |
| その他(自宅、寺院等) | - | 26 | 70.3 | - | |
| 合計 | - | 1,269 | 107.5 | - | |
(注)1.稼働率=施行件数÷基準件数×100
なお、式場利用は通常、通夜と葬儀の2日間にわたるため、基準件数は1式場2日間に1件の施行を標準として算出しております。
2.葬儀施行件数は、法事・法要件数を除いた件数を記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当期の財政状態および経営成績の分析は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」の「会計方針に関する事項」に記載のとおり、重要な資産の評価基準及び評価方法、重要な減価償却資産の減価償却の方法、重要な引当金の計上基準等において、継続性・網羅性・厳格性を重視して処理計上しております。また、繰延税金資産につきましては、将来の回収可能性を十分に検討したうえで計上しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当期は、増収かつ営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも増益となりました。増収の要因は、第一に㈱公益社関西圏(大阪本社)の大規模葬の施行件数および一般葬儀の施行単価の向上、第二に㈱公益社首都圏(東京本社)の一般葬儀の施行件数・単価の向上です。葬儀の小規模化や家族葬ニーズの高まりというトレンドの中で葬儀施行単価が向上したのは、サービスや商品の価値をお客様に伝える様々な工夫が奏功したものと考えます。特に、大阪本社では各種施策の企画・実行プロセスにおける組織マネジメントが向上し、増益に大きく貢献しました。
また、㈱タルイでは葬儀施行単価は低下したものの、新店やリニューアル店を中心に集客効果による葬儀施行件数の増加を実現させ、増収と高い利益率を達成しました。さらに、㈱葬仙でも一部エリアを除き葬儀施行件数が増加し増益となりました。
費用につきましては、人件費、集客のための広告宣伝費、新規会館に係る地代家賃等が前期比増加しました。広告宣伝費の支出は費用対効果の検証に基づいて実施するとともに、リニューアル投資は、お客様の利便性や快適さの確保と施設面での競争力の維持を重視して、優先順位をつけて実施しております。
人件費の増加については、欠員補充と増員のための採用が、前期と比べると進捗したことが背景にあります。しかし、労働時間の管理や業務改善に基づく労働生産性の向上への取り組みは未だ十分ではありません。まずは適正人員に基づく人的効率の指標を整備し、人件費コントロールを適切に行ってまいります。
当期の営業外損益および特別損益については、以下のとおりです。
まず、昨年の大阪北部地震および台風20号・21号による被害により、会館施設の内外装や看板等の補修工事が必要となりました。これらを「災害損失」43百万円として営業外費用に計上いたしましたが、保険金でフルカバーできております。また、「解体撤去費用」39百万円の主なものは、「公益社 岸和田会館」の本館解体撤去および別館のリニューアル工事に伴うもの、ならびに「公益社 吉祥寺会館」の工事に既存建物の一部設備等の撤去に係るものです。「減損損失」59百万円の発生は、「公益社 甲子園口会館」およびラーメン店2店舗等に係るものです。今後、それぞれの収益力の向上に努めます。
なお、営業外収益の「厚生年金基金解散損失引当金戻入額」21百万円、特別利益の「退職給付制度終了益」1億42百万円は、いずれも次期には剥落します。
以上の結果、達成すべき経営指標として掲げております「売上高経常利益率10%以上」については実績値14.1%となり、達成することができました。
③当連結会計年度の財政状態の分析
当期末の自己資本比率は83.2%と高い水準にありますが、自己資本当期純利益率(ROE)の向上は、レバレッジの引き上げにより、総資本利益率の改善を通じて目指しております。
達成すべき経営指標(資本効率目標)として掲げております「総資本事業利益率(注)(ROA)6.6%以上」については、実績値9.9%となり、達成することができました。
(注)事業利益=営業利益+営業外収益
また、以下の資産および負債の大きな増減の主な要因は、厚生年金基金の特例解散に伴う負担額が昨年12月に確定したことであります。
(資産の部)「投資その他の資産」の「繰延税金資産」の減少
(負債の部)「厚生年金基金解散損失引当金」および「未払法人税等」の減少、
「未払金」および「長期未払金」の増加
なお「現金及び預金」の増加要因については、次項「④資本の財源及び資金の流動性についての分析」に記載いたします。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
現金及び預金が前期末比8億29百万円増加して56億11百万円となりました。その要因は、有形固定資産の取得による支出12億16百万円により投資活動によるキャッシュ・フローが高水準であったにもかかわらず、営業活動によるキャッシュ・フローが、前期比倍増近い法人税等の支払額を吸収して、26億95百万円増加したことにあります。
葬儀の小規模化や家族葬ニーズの高まりという外部環境を踏まえると、葬儀会館の投資資金は、多店舗展開するとしても自己資金でまかなうことができる見込みです。但し、会館用地については賃借(事業用定期借地)を原則とする中で、首都圏においては元々候補物件自体が少ないことから、稀少な好物件について、土地の取得という判断をすることもあり得ます。その場合、自己資金でまかなえる範囲ではありますが、一時的に土地を賃借する場合と比べて、多額の投資資金を要する可能性があります。
(注)首都圏における営業エリアの拡大に伴う業務効率の低下を避けるために、従来は、生花や資材等のバックヤード機能を葬儀会館に併設する、いわゆる母店の設置を想定しておりましたが、その後の検討の結果、バックヤードとしての適切な立地を選びさえすれば、会館への併設は必要条件ではないとの判断に至っております。
株主の皆様への利益還元につきましては、連結業績および資金の状況、中長期的な成長投資のための内部留保の確保、および財務の健全性等を総合的に勘案のうえ、安定的な配当水準の向上を目指して実施しております。当期は1株当たり年57円と年7円の増配といたしました。その結果、連結での配当性向は15.2%となりました。
内部留保金につきましては、継続的かつ安定的な成長のために、関西圏および首都圏における積極的な新規会館建設を継続し、営業エリアの拡大やドミナントの維持を目指します。
さらに、事業環境の変化を踏まえ、ITによって業務支援を行い、効率的な経営を目指すために策定した中期IT戦略に沿って、IT投資にも内部留保金を充当してまいります。
なお、当社は、資産効率向上の観点から余剰現預金を持たない方針であります。そのために当社は、緊急多額の資金需要に備え、取引銀行3行と総額10億円のコミットメントライン契約を締結しておりますが、同契約に基づく当期末の借入実行残高はありません。
⑤経営者の問題意識と今後の方針について
今後当社グループは、葬儀および周辺事業を基軸としながらも、ライフエンディングサポート企業へとさらなる進化を遂げてまいります。また、事業ポートフォリオのリスクを軽減する観点から、新たな収益の柱となる新規事業創出へのチャレンジを継続していきます。このように事業環境の変化に対応し、守るべきものを守り、変えるべきものを変えながら、持続的に安定成長していく企業を目指してまいります。
当面の個別具体的な問題意識については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。