有価証券報告書-第95期(2023/04/01-2024/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(以下、当期)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行による人流の回復、雇用・所得環境の改善による個人消費の緩やかな改善などから回復傾向が続いた一方、不安定な国際情勢による地政学リスクの影響、資源価格の動向、企業の賃金・価格動向の影響による不確実性はきわめて高い状況にあります。
当社が事業展開をしている葬儀業界では、65歳以上の高齢者人口の増加を背景に、葬儀に関する潜在ニーズは2040年まで継続的な増加が見込まれる一方、故人との大切な最後のお別れの場である葬儀の本質は変わりませんが、核家族化の進行及びコロナ禍を契機とした葬儀の小規模化・簡素化の傾向は続いております。加えて、各地での新規出店の加速、インターネットによる葬儀紹介会社の台頭等により、特に小規模葬儀のサービス提供をめぐる競争が激化しております。近年、葬儀業界及びライフエンディング業界におけるM&Aが増加しており、業界全体の再編が進む状況下にあります。
当社は2032年に迎える創業100年に向けて当社グループが進むべき方向、ありたい姿を定めた「新10年ビジョン(2022年5月公表)」において掲げた、「葬儀事業の拡大」および「ライフエンディングサポート事業の拡大」の達成を目指し「中期経営計画(2022年度~2024年度)」を推進しております。
上記、中期経営計画の重点項目である「葬儀事業の拡大」の中核として、「リーズナブルでありながら高い品質のサービス」を提供する家族葬ブランド「エンディングハウス(ENDING HAUS)」を2023年3月に新たに立ち上げ、当期はエンディングハウス4会館を含む計7会館を出店しました。この「エンディングハウス」を中心とした新規出店と、M&Aによる店舗網の拡大によって同中期経営計画期間3ヶ年内で31会館の新規出店を計画しております。M&Aについては、2024年1月4日付で首都圏内における家族葬に特化した高品質のサービスを提供する㈱東京セレモニーの完全子会社化を実施しており、さらなるサービス提供体制の基盤強化・拡大を加速してまいります。
同重点項目の「ライフエンディングサポート事業の拡大」に関しては、2024年2月8日付で㈱公益社を分割会社、ライフフォワード㈱を承継会社とする当社完全子会社間の吸収分割を発表いたしました。当社は2020年4月のライフフォワード㈱の設立以来、当該事業におけるカスタマー・リレーション・マーケティングの機能強化に注力してまいりました。この度、ライフフォワード㈱のサービス機能と、当社中核子会社である㈱公益社の葬儀前後の付随サービスを提供する事業内容を統合し、多様化する顧客ニーズへの対応力強化とサービス品質の高度化を図り、さらなる事業の拡大をしてまいります。
当期のグループ葬祭3社の葬儀施行収入は、前連結会計年度(以下、前期)比2.2%の増収となりました。これは、全葬儀件数が前期比で0.6%低下した一方で、一般葬儀(金額5百万円以下の葬儀)を中心に葬儀施行単価が前期比2.8%増加したことによるものです。また、2022年から2023年初頭頃まで続いた全国的な超過死亡傾向が落ち着き、コロナ禍で抑えられていた大規模葬儀(金額5百万円超の葬儀)の件数に伸びが見られました。
葬儀に付随する商品の販売やサービス提供による収入は、仏壇仏具、後日返礼品を中心に前期比増収となりました。
費用については、将来的な新規出店に伴う葬儀件数増加及び売上拡大に備えた人員体制強化のための人件費・採用費の増加、新規出店に伴う地代家賃の増加、先行投資としての広告宣伝費の増加等により、営業費用は前期比4.8%の増加となりました。販売費及び一般管理費は、主に基幹情報システムの稼働によるソフトウエアの減価償却費の増加等により前期比5.0%増加しました。
この結果、当期の営業収益は224億37百万円となり、前期比3.6%の増収、営業利益は将来成長のための計画的な先行投資の実施により37億89百万円と前期比2.0%の減益となりました。経常利益については38億円となり、前期比1.1%の減益、税金費用を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は23億63百万円と、前期比15.1%の減益となりました。なお、2022年4月に設立した葬祭会社「㈱グランセレモ東京」(㈱広済堂ホールディングス51%、当社49%の出資による合弁会社)に係る持分法による投資利益35百万円となり、堅調に推移しております。
当社グループでは、葬祭3社および当社を中心とした会社グループ別の4つのセグメント、「公益社グループ」、「葬仙グループ」、「タルイグループ」、「持株会社グループ」を報告セグメントとしております。なお、「公益社グループ」には、㈱公益社に加え、㈱公益社の葬儀サービスのサポートのほか、介護サービス事業や高齢者施設での食事の提供等を行うエクセル・サポート・サービス㈱および終活関連WEBプラットフォーム事業を行うライフフォワード㈱を含んでおります。また、上記M&Aによって当社グループ入りとなった㈱東京セレモニーについては、みなし取得日を2024年3月31日としているため、貸借対照表のみを連結しております。
当期のセグメント別の経営成績は次の通りです。
ア 公益社グループ
公益社グループの中核会社である㈱公益社においては、葬儀施行件数が主にコロナ関連葬儀の減少により前期比1.2%減少しましたが、葬儀施行単価は前期比2.8%上昇し、葬儀施行収入は前期比1.5%の増収となりました。
葬儀に付随する商品の販売やサービス提供は、販売強化により、仏壇仏具、後日返礼品を中心に前期比増収となりました。
費用については、将来の新規出店に伴う葬儀件数の増加や、売上拡大に備えた人員体制強化のための人件費・採用費の増加、先行投資としての広告宣伝費等の増加により、前期比増加しました。
この結果、当セグメントの売上高は185億2百万円(前期比3.2%増)、セグメント利益は23億49百万円(前期比3.8%減)となりました。
イ 葬仙グループ
葬仙グループの㈱葬仙においては、葬儀施行件数は前期比3.7%減少しましたが、会葬者の増加に伴う葬儀施行単価の上昇傾向が継続したことにより、葬儀施行収入は前期比1.5%の増収となりました。葬儀に付随する商品の販売やサービス提供についても販売に注力し、後日返礼品や仏壇仏具を中心に前年同期比増収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は15億60百万円(前期比2.9%増)、セグメント利益は1億55百万円(前期比11.6%増)となりました。
ウ タルイグループ
タルイグループの㈱タルイにおいては、小規模な葬儀に適した新規会館を中心に葬儀施行件数が前期比7.9%増加と引続き堅調に推移したことと、葬儀施行単価が前期比0.7%増加となったことから、葬儀施行収入は前期比8.7%の増収となりました。また、葬儀に付随する商品の販売やサービス提供についても、主に仏壇仏具の販売増により、前期比増収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は19億93百万円(前期比8.8%増)、セグメント利益は4億52百万円(前期比21.8%増)となりました。
エ 持株会社グループ
持株会社グループの燦ホールディングス㈱においては、主に配当金収入の増加により増収となりました。
費用については主に新規出店に伴う地代家賃・減価償却費等の固定費が増加しました。
この結果、当セグメントの売上高は66億83百万円(前期比8.7%増)、セグメント利益は30億27百万円(前期比14.0%増)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末(以下、当期末)における流動資産は118億35百万円となり、前連結会計年度末(以下、前期末)比7億96百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が5億97百万円、営業未収入金及び契約資産が4億43百万円それぞれ増加したことによるものです。
また、固定資産は主に、新規会館投資に伴う建設仮勘定の増加と減価償却の進行による有形固定資産の減少の差し引きにより、有形固定資産が40百万円増加したこと、無形固定資産がのれんの増加等により4億1百万円増加したこと、投資その他の資産が1億18百万円増加したことにより、前期末比5億60百万円増加しました。
この結果、総資産は375億85百万円となり、前期末比13億56百万円増加しました。
(負債)
当期末における流動負債は36億36百万円となり、前期末比76百万円増加しました。これは主に、営業未払金が35百万円増加したこと、賞与引当金が45百万円増加したこと等によるものです。
固定負債は10億71百万円となり、前期末比17百万円増加しました。これは主に、長期未払金が減少したものの、資産除去債務等が増加したことによるものです。
この結果、負債合計は47億8百万円となり、前期末比94百万円増加しました。
(純資産)
当期末における純資産合計は328億77百万円となり、前期末比12億62百万円増加しました。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益23億63百万円を計上する一方、剰余金の配当4億85百万円を支払うことにより利益剰余金が18億77百万円増加したこと、ならびに当期中に自己株式を6億62百万円取得したことによるものです。
この結果、自己資本比率は前期末比0.2ポイント上昇し、87.5%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物は、前期末より5億68百万円増加し、97億48百万円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは31億70百万円の増加(前期は32億62百万円の増加)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益36億29百万円、減価償却費9億41百万円により資金が増加したのに対して、売上債権の増加額4億34百万円、法人税等の支払額16億56百万円などにより資金が減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは14億42百万円の減少(前期は5億94百万円の減少)となりました。
これは主に、新規会館の建設工事や既存会館の改修工事等に伴う有形固定資産の取得による支出9億42百万円、新たな基幹情報システムの構築等に伴う支出2億52百万円、子会社株式の取得による支出2億6百万円等により、資金が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは11億59百万円の減少(前期は9億23百万円の減少)となりました。
これは主に、配当金の支払額4億85百万円、自己株式の取得による支出6億62百万円により、資金が減少したことによるものです。
④営業の実績
ア 営業売上実績
当連結会計年度における営業売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)上記の金額については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。
イ 葬儀請負の実績
当社グループのセグメントのうち主な事業である葬儀請負事業に係わる葬儀施行件数の、当連結会計年度における実績は次のとおりであります。
(公益社グループ)
(葬仙グループ)
(タルイグループ)
(注)1.稼働率=施行件数÷基準件数×100
なお、式場利用は通常、通夜と葬儀の2日間にわたるため、基準件数は1式場2日間に1件の施行を標準として算出しております。
2.葬儀施行件数は、法事・法要件数を除いた件数を記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社が事業展開をしている葬儀業界では、65歳以上の高齢者人口の増加を背景に、葬儀に関する潜在ニーズは2040年まで継続的な増加が見込まれる一方、故人との大切な最後のお別れの場である葬儀の本質は変わりませんが、核家族化の進行及びコロナ禍を契機とした葬儀の小規模化・簡素化の傾向は続いております。加えて、各地での新規出店の加速、インターネットによる葬儀紹介会社の台頭等により、特に小規模葬儀のサービス提供をめぐる競争が激化しております。近年、葬儀業界及びライフエンディング業界におけるM&Aが増加しており、業界全体の再編が進む状況下にあります。
当社は2032年に迎える創業100年に向けて当社グループが進むべき方向、ありたい姿を定めた「新10年ビジョン(2022年5月公表)」において掲げた、「葬儀事業の拡大」および「ライフエンディングサポート事業の拡大」の達成を目指し「中期経営計画(2022年度~2024年度)」を推進しております。
上記、中期経営計画の重点項目である「葬儀事業の拡大」の中核として、「リーズナブルでありながら高い品質のサービス」を提供する家族葬ブランド「エンディングハウス(ENDING HAUS)」を2023年3月に新たに立ち上げ、当連結会計年度(以下、当期)はエンディングハウス4会館を含む計7会館を出店しました。この「エンディングハウス」を中心とした新規出店と、M&Aによる店舗網の拡大によって同中期経営計画期間3ヶ年内で31会館の新規出店を計画しております。M&Aについては、2024年1月4日付で首都圏内における家族葬に特化した高品質のサービスを提供する㈱東京セレモニーの完全子会社化を実施しており、さらなるサービス提供体制の基盤強化・拡大を加速してまいります。
同重点項目の「ライフエンディングサポート事業の拡大」に関しては、2024年2月8日付で㈱公益社を分割会社、ライフフォワード㈱を承継会社とする当社完全子会社間の吸収分割を発表いたしました。当社は2020年4月のライフフォワード㈱の設立以来、当該事業におけるカスタマー・リレーション・マーケティングの機能強化に注力してまいりました。この度、ライフフォワード㈱のサービス機能と、当社中核子会社である㈱公益社の葬儀前後の付随サービスを提供する事業内容を統合し、多様化する顧客ニーズへの対応力強化とサービス品質の高度化を図り、さらなる事業の拡大をしてまいります。
当期のグループ葬祭3社の葬儀施行収入は、前連結会計年度(以下、前期)比2.2%の増収となりました。これは、葬儀施行件数が、競合の出店等による競争の激化に加え、一過性ではありますが、コロナ禍の収束傾向により、特殊増減要因であるコロナ関連葬儀が大きく減少したことにより、新規出店による件数増加効果が相殺され、前期並みにとどまる一方で、葬儀施行単価はコロナ禍を契機に加速した葬儀の小規模化傾向が一時的に緩和し、一般葬儀の施行単価が上昇したこと、コロナ禍で抑えられていた社葬・お別れの会等の大規模葬儀(金額5百万円超の葬儀)の件数に伸びが見られたことで上昇しました。
また、葬儀に付随する商品の販売やサービス提供による収入も、仏壇仏具、後日返礼品を中心に前期比増収となりました。
費用については、将来的な新規出店に伴う葬儀件数増加及び売上拡大に備えた人員体制強化のための人件費・採用費の増加、新規出店に伴う地代家賃の増加、先行投資としての広告宣伝費の増加等により、営業費用は前期比4.8%の増加となりました。販売費及び一般管理費は、主に基幹情報システムの稼働によるソフトウエアの減価償却費の増加等により前期比5.0%増加しました。
この結果、当期の営業収益は224億37百万円となり、前期比3.6%の増収、営業利益は将来成長のための計画的な先行投資の実施により37億89百万円と前期比2.0%の減益となりましたが、当社の重要業績評価指標(KPI)である「売上高営業利益率15.5%以上」については、実績値が16.9%となり、目標を上回ることができました。
(財政状態)
総資産は375億85百万円となり、前期末比13億56百万円増加しました。
流動資産は118億35百万円となり、前期末比7億96百万円増加しました。これは主に現金及び預金と、営業未収金および契約資産が増加したことによるものです。固定資産は、257億50百万円となり、前期末比5億60百万円増加しました。
これは主に、新規会館投資に伴う建設仮勘定の増加と 減価償却の進行による有形固定資産の減少の差し引きにより、有形固定資産が増加したこと、無形固定資産は、M&Aによるのれんの発生、及び基幹情報システム構築に係る建設仮勘定が増加したものです。
流動負債は、営業未払金の増加や、賞与引当金の積み増しなどにより増加しました。固定負債は長期未払金が減少したものの、資産除去債務等が増加いたしました。
当期末における純資産合計は328億77百万円となり、前期末比12億62百万円増加しました。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益23億63百万円を計上する一方、剰余金の配当4億85百万円を支払うことにより利益剰余金が18億77百万円増加したこと、ならびに当期中に自己株式を6億62百万円取得したことによるものです。
この結果、自己資本比率は前期末比0.2ポイント上昇し87.5%、当社の重要業績評価指標(KPI)である資本効率目標「投下資本利益率(ROIC)」は7.5%となり、目標とする7.0%を上回りました。
※ROIC=税引後営業利益/投下資本
(投下資本=有利子負債+純資産、税引後営業利益=営業利益×(1-実効税率))
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に一般葬儀の単価の上昇と大規模葬儀の件数に伸びが見られたことによる業績向上や売上債権の増加により、31億70百万円の増加となりました。
一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、5つの葬儀会館の新規出店及び1つの既存会館のリニューアル等による有形固定資産の取得と新たな基幹情報システムの構築に係る無形固定資産(ソフトウエア)の取得、および㈱東京セレモニーの完全子会社化により、14億42百万円の減少となりました。さらに、前期に引き続き、当期も増配および自己株式の取得を実施し株主還元を充実させたことにより、財務活動によるキャッシュ・フローは、11億59百万円の減少となりました。
この結果、現金及び現金同等物は前期末比5億68百万円増加して97億48百万円となりました。
これにより、以下の資金使途や資金需要に対する原資の一部として、資金の流動性は十分に確保できていると判断しております。
当社は現在取り組んでいる中期経営計画(2022年度~2024年度)において、強固な財務基盤をベースに成長のための積極的な投資を行うことを明らかにし、営業キャッシュ・フローをまず、《既存設備への投資》と《成長投資》とに配分し、その余を株主還元に充当するという、キャピタル・アロケーションの枠組みを示しました。
ここで《既存設備への投資》とは葬儀会館を中心とする既存設備のリニューアルや改修であり、減価償却費の範囲内を基本とします。《成長投資》とは、葬儀会館の積極的な新規出店やライフエンディングサポート事業の強化といったオーガニックな成長のための投資とM&Aやアライアンスによるインオーガニックな成長のための投資からなります。
※ここでのオーガニックな成長とは、自社が有する技術や資産、人材等の資源を活用して成長することを意味し、インオーガニックな成長とは、社外に存在するそれらの資源を提携や買収などにより獲得し成長することを意味します。
葬儀の小規模化や家族葬ニーズの高まりという外部環境をふまえ、成長のための新規出店は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、新たな葬儀ブランド「エンディングハウス」を中心とする計画ですが、残り1ヵ年で16会館の出店を目指す投資資金は、営業キャッシュ・フローを中心とした自己資金でまかなうことができる見込みです。ライフエンディングサポート事業に係る投資資金に関しても、同様と考えております。
なお、会館用地については賃借(事業用定期借地)を原則とする中で、首都圏においては元々候補物件自体が少ないことから、稀少な好物件については土地の取得という判断をすることもあり得ます。その場合、土地を賃借する場合と比べて、一時的に多額の投資資金を要する可能性があります。また、M&Aやアライアンスに係る投資においては、予期せぬ好投資案件に対して、資金調達に起因する機会損失を回避することが重要であると考えます。
これらのケースを含む緊急多額の資金需要に対しては、高い水準にある資金の流動性で対応するほか、取引銀行3行と締結している総額10億円のコミットメントライン契約に基づく借入れによって資金調達をすることがあります。なお、同契約に基づく当期末の借入実行残高はありません。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
④経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(以下、当期)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行による人流の回復、雇用・所得環境の改善による個人消費の緩やかな改善などから回復傾向が続いた一方、不安定な国際情勢による地政学リスクの影響、資源価格の動向、企業の賃金・価格動向の影響による不確実性はきわめて高い状況にあります。
当社が事業展開をしている葬儀業界では、65歳以上の高齢者人口の増加を背景に、葬儀に関する潜在ニーズは2040年まで継続的な増加が見込まれる一方、故人との大切な最後のお別れの場である葬儀の本質は変わりませんが、核家族化の進行及びコロナ禍を契機とした葬儀の小規模化・簡素化の傾向は続いております。加えて、各地での新規出店の加速、インターネットによる葬儀紹介会社の台頭等により、特に小規模葬儀のサービス提供をめぐる競争が激化しております。近年、葬儀業界及びライフエンディング業界におけるM&Aが増加しており、業界全体の再編が進む状況下にあります。
当社は2032年に迎える創業100年に向けて当社グループが進むべき方向、ありたい姿を定めた「新10年ビジョン(2022年5月公表)」において掲げた、「葬儀事業の拡大」および「ライフエンディングサポート事業の拡大」の達成を目指し「中期経営計画(2022年度~2024年度)」を推進しております。
上記、中期経営計画の重点項目である「葬儀事業の拡大」の中核として、「リーズナブルでありながら高い品質のサービス」を提供する家族葬ブランド「エンディングハウス(ENDING HAUS)」を2023年3月に新たに立ち上げ、当期はエンディングハウス4会館を含む計7会館を出店しました。この「エンディングハウス」を中心とした新規出店と、M&Aによる店舗網の拡大によって同中期経営計画期間3ヶ年内で31会館の新規出店を計画しております。M&Aについては、2024年1月4日付で首都圏内における家族葬に特化した高品質のサービスを提供する㈱東京セレモニーの完全子会社化を実施しており、さらなるサービス提供体制の基盤強化・拡大を加速してまいります。
同重点項目の「ライフエンディングサポート事業の拡大」に関しては、2024年2月8日付で㈱公益社を分割会社、ライフフォワード㈱を承継会社とする当社完全子会社間の吸収分割を発表いたしました。当社は2020年4月のライフフォワード㈱の設立以来、当該事業におけるカスタマー・リレーション・マーケティングの機能強化に注力してまいりました。この度、ライフフォワード㈱のサービス機能と、当社中核子会社である㈱公益社の葬儀前後の付随サービスを提供する事業内容を統合し、多様化する顧客ニーズへの対応力強化とサービス品質の高度化を図り、さらなる事業の拡大をしてまいります。
当期のグループ葬祭3社の葬儀施行収入は、前連結会計年度(以下、前期)比2.2%の増収となりました。これは、全葬儀件数が前期比で0.6%低下した一方で、一般葬儀(金額5百万円以下の葬儀)を中心に葬儀施行単価が前期比2.8%増加したことによるものです。また、2022年から2023年初頭頃まで続いた全国的な超過死亡傾向が落ち着き、コロナ禍で抑えられていた大規模葬儀(金額5百万円超の葬儀)の件数に伸びが見られました。
葬儀に付随する商品の販売やサービス提供による収入は、仏壇仏具、後日返礼品を中心に前期比増収となりました。
費用については、将来的な新規出店に伴う葬儀件数増加及び売上拡大に備えた人員体制強化のための人件費・採用費の増加、新規出店に伴う地代家賃の増加、先行投資としての広告宣伝費の増加等により、営業費用は前期比4.8%の増加となりました。販売費及び一般管理費は、主に基幹情報システムの稼働によるソフトウエアの減価償却費の増加等により前期比5.0%増加しました。
この結果、当期の営業収益は224億37百万円となり、前期比3.6%の増収、営業利益は将来成長のための計画的な先行投資の実施により37億89百万円と前期比2.0%の減益となりました。経常利益については38億円となり、前期比1.1%の減益、税金費用を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は23億63百万円と、前期比15.1%の減益となりました。なお、2022年4月に設立した葬祭会社「㈱グランセレモ東京」(㈱広済堂ホールディングス51%、当社49%の出資による合弁会社)に係る持分法による投資利益35百万円となり、堅調に推移しております。
当社グループでは、葬祭3社および当社を中心とした会社グループ別の4つのセグメント、「公益社グループ」、「葬仙グループ」、「タルイグループ」、「持株会社グループ」を報告セグメントとしております。なお、「公益社グループ」には、㈱公益社に加え、㈱公益社の葬儀サービスのサポートのほか、介護サービス事業や高齢者施設での食事の提供等を行うエクセル・サポート・サービス㈱および終活関連WEBプラットフォーム事業を行うライフフォワード㈱を含んでおります。また、上記M&Aによって当社グループ入りとなった㈱東京セレモニーについては、みなし取得日を2024年3月31日としているため、貸借対照表のみを連結しております。
当期のセグメント別の経営成績は次の通りです。
ア 公益社グループ
公益社グループの中核会社である㈱公益社においては、葬儀施行件数が主にコロナ関連葬儀の減少により前期比1.2%減少しましたが、葬儀施行単価は前期比2.8%上昇し、葬儀施行収入は前期比1.5%の増収となりました。
葬儀に付随する商品の販売やサービス提供は、販売強化により、仏壇仏具、後日返礼品を中心に前期比増収となりました。
費用については、将来の新規出店に伴う葬儀件数の増加や、売上拡大に備えた人員体制強化のための人件費・採用費の増加、先行投資としての広告宣伝費等の増加により、前期比増加しました。
この結果、当セグメントの売上高は185億2百万円(前期比3.2%増)、セグメント利益は23億49百万円(前期比3.8%減)となりました。
イ 葬仙グループ
葬仙グループの㈱葬仙においては、葬儀施行件数は前期比3.7%減少しましたが、会葬者の増加に伴う葬儀施行単価の上昇傾向が継続したことにより、葬儀施行収入は前期比1.5%の増収となりました。葬儀に付随する商品の販売やサービス提供についても販売に注力し、後日返礼品や仏壇仏具を中心に前年同期比増収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は15億60百万円(前期比2.9%増)、セグメント利益は1億55百万円(前期比11.6%増)となりました。
ウ タルイグループ
タルイグループの㈱タルイにおいては、小規模な葬儀に適した新規会館を中心に葬儀施行件数が前期比7.9%増加と引続き堅調に推移したことと、葬儀施行単価が前期比0.7%増加となったことから、葬儀施行収入は前期比8.7%の増収となりました。また、葬儀に付随する商品の販売やサービス提供についても、主に仏壇仏具の販売増により、前期比増収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は19億93百万円(前期比8.8%増)、セグメント利益は4億52百万円(前期比21.8%増)となりました。
エ 持株会社グループ
持株会社グループの燦ホールディングス㈱においては、主に配当金収入の増加により増収となりました。
費用については主に新規出店に伴う地代家賃・減価償却費等の固定費が増加しました。
この結果、当セグメントの売上高は66億83百万円(前期比8.7%増)、セグメント利益は30億27百万円(前期比14.0%増)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末(以下、当期末)における流動資産は118億35百万円となり、前連結会計年度末(以下、前期末)比7億96百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が5億97百万円、営業未収入金及び契約資産が4億43百万円それぞれ増加したことによるものです。
また、固定資産は主に、新規会館投資に伴う建設仮勘定の増加と減価償却の進行による有形固定資産の減少の差し引きにより、有形固定資産が40百万円増加したこと、無形固定資産がのれんの増加等により4億1百万円増加したこと、投資その他の資産が1億18百万円増加したことにより、前期末比5億60百万円増加しました。
この結果、総資産は375億85百万円となり、前期末比13億56百万円増加しました。
(負債)
当期末における流動負債は36億36百万円となり、前期末比76百万円増加しました。これは主に、営業未払金が35百万円増加したこと、賞与引当金が45百万円増加したこと等によるものです。
固定負債は10億71百万円となり、前期末比17百万円増加しました。これは主に、長期未払金が減少したものの、資産除去債務等が増加したことによるものです。
この結果、負債合計は47億8百万円となり、前期末比94百万円増加しました。
(純資産)
当期末における純資産合計は328億77百万円となり、前期末比12億62百万円増加しました。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益23億63百万円を計上する一方、剰余金の配当4億85百万円を支払うことにより利益剰余金が18億77百万円増加したこと、ならびに当期中に自己株式を6億62百万円取得したことによるものです。
この結果、自己資本比率は前期末比0.2ポイント上昇し、87.5%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物は、前期末より5億68百万円増加し、97億48百万円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは31億70百万円の増加(前期は32億62百万円の増加)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益36億29百万円、減価償却費9億41百万円により資金が増加したのに対して、売上債権の増加額4億34百万円、法人税等の支払額16億56百万円などにより資金が減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは14億42百万円の減少(前期は5億94百万円の減少)となりました。
これは主に、新規会館の建設工事や既存会館の改修工事等に伴う有形固定資産の取得による支出9億42百万円、新たな基幹情報システムの構築等に伴う支出2億52百万円、子会社株式の取得による支出2億6百万円等により、資金が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは11億59百万円の減少(前期は9億23百万円の減少)となりました。
これは主に、配当金の支払額4億85百万円、自己株式の取得による支出6億62百万円により、資金が減少したことによるものです。
④営業の実績
ア 営業売上実績
当連結会計年度における営業売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | |
| 金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
| 公益社グループ | 18,502 | 103.2 |
| 葬仙グループ | 1,560 | 102.9 |
| タルイグループ | 1,993 | 108.8 |
| 持株会社グループ | 6,683 | 108.7 |
| 合計 | 28,740 | 104.8 |
(注)上記の金額については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。
イ 葬儀請負の実績
当社グループのセグメントのうち主な事業である葬儀請負事業に係わる葬儀施行件数の、当連結会計年度における実績は次のとおりであります。
(公益社グループ)
| 区分 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||||
| 式場数(式場) | 施行件数(件) | 前年同期比(%) | 稼働率(%) | ||
| 大規模会館 千里会館、枚方会館、西宮山手会館 | 大式場 | 3 | 34 | 97.1 | 6.2 |
| 一般式場 | 11 | 1,552 | 96.9 | 77.1 | |
| 支店・営業所付属会館 天神橋、東大阪、堺、吹田、用賀、岸和田、玉出、城東、西田辺、宝塚、豊中、高槻、守口、雪谷、富雄、はびきの、たまプラーザ、なかもず、明大前、田園調布、住吉御影、学園前、森小路、高輪、石橋、高円寺、仙川、江坂、日吉、西大寺、六甲道、くずは、喜多見、甲南山手、武庫之荘、甲子園口、千里山田、東久留米、津久野、上板橋、吉祥寺、香里園、川西多田、枚方出屋敷、練馬、長居、国分寺、生駒、平野、経堂 エンディングハウス東四つ木、エンディングハウス新小岩、エンディングハウス大阪鶴見、エンディングハウス大東、箕面、エンディングハウス西淀川、溝の口、エンディングハウス弥刀、エンディングハウス西船、エンディングハウス石切 | 一般式場 | 77 | 9,118 | 97.5 | 68.8 |
| 小計 | 91 | 10,704 | 97.4 | 67.7 | |
| その他(自宅、寺院等) | - | 2,187 | 106.1 | - | |
| 合計 | - | 12,891 | 98.8 | - | |
(葬仙グループ)
| 区分 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||||
| 式場数(式場) | 施行件数(件) | 前年同期比(%) | 稼働率(%) | ||
| 支店・営業所付属会館 鳥取、吉方、岩美、米子、安倍、安来、境港、余子、松江、比津、金持テラスひの、東朝日町 皆生、米原 | 一般式場 | 16 | 1,206 | 101.4 | 41.6 |
| その他(自宅、寺院等) | - | 325 | 81.3 | - | |
| 合計 | - | 1,531 | 96.4 | - | |
(タルイグループ)
| 区分 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||||
| 式場数(式場) | 施行件数(件) | 前年同期比(%) | 稼働率(%) | ||
| 支店・営業所付属会館 舞子、大蔵谷、新明、大久保、魚住、土山、東加古川、神戸西、長坂寺、西明石、北大久保、塩屋 | 一般式場 | 14 | 1,656 | 107.7 | 64.6 |
| その他(自宅、寺院等) | - | 56 | 112.0 | - | |
| 合計 | - | 1,712 | 107.9 | - | |
(注)1.稼働率=施行件数÷基準件数×100
なお、式場利用は通常、通夜と葬儀の2日間にわたるため、基準件数は1式場2日間に1件の施行を標準として算出しております。
2.葬儀施行件数は、法事・法要件数を除いた件数を記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社が事業展開をしている葬儀業界では、65歳以上の高齢者人口の増加を背景に、葬儀に関する潜在ニーズは2040年まで継続的な増加が見込まれる一方、故人との大切な最後のお別れの場である葬儀の本質は変わりませんが、核家族化の進行及びコロナ禍を契機とした葬儀の小規模化・簡素化の傾向は続いております。加えて、各地での新規出店の加速、インターネットによる葬儀紹介会社の台頭等により、特に小規模葬儀のサービス提供をめぐる競争が激化しております。近年、葬儀業界及びライフエンディング業界におけるM&Aが増加しており、業界全体の再編が進む状況下にあります。
当社は2032年に迎える創業100年に向けて当社グループが進むべき方向、ありたい姿を定めた「新10年ビジョン(2022年5月公表)」において掲げた、「葬儀事業の拡大」および「ライフエンディングサポート事業の拡大」の達成を目指し「中期経営計画(2022年度~2024年度)」を推進しております。
上記、中期経営計画の重点項目である「葬儀事業の拡大」の中核として、「リーズナブルでありながら高い品質のサービス」を提供する家族葬ブランド「エンディングハウス(ENDING HAUS)」を2023年3月に新たに立ち上げ、当連結会計年度(以下、当期)はエンディングハウス4会館を含む計7会館を出店しました。この「エンディングハウス」を中心とした新規出店と、M&Aによる店舗網の拡大によって同中期経営計画期間3ヶ年内で31会館の新規出店を計画しております。M&Aについては、2024年1月4日付で首都圏内における家族葬に特化した高品質のサービスを提供する㈱東京セレモニーの完全子会社化を実施しており、さらなるサービス提供体制の基盤強化・拡大を加速してまいります。
同重点項目の「ライフエンディングサポート事業の拡大」に関しては、2024年2月8日付で㈱公益社を分割会社、ライフフォワード㈱を承継会社とする当社完全子会社間の吸収分割を発表いたしました。当社は2020年4月のライフフォワード㈱の設立以来、当該事業におけるカスタマー・リレーション・マーケティングの機能強化に注力してまいりました。この度、ライフフォワード㈱のサービス機能と、当社中核子会社である㈱公益社の葬儀前後の付随サービスを提供する事業内容を統合し、多様化する顧客ニーズへの対応力強化とサービス品質の高度化を図り、さらなる事業の拡大をしてまいります。
当期のグループ葬祭3社の葬儀施行収入は、前連結会計年度(以下、前期)比2.2%の増収となりました。これは、葬儀施行件数が、競合の出店等による競争の激化に加え、一過性ではありますが、コロナ禍の収束傾向により、特殊増減要因であるコロナ関連葬儀が大きく減少したことにより、新規出店による件数増加効果が相殺され、前期並みにとどまる一方で、葬儀施行単価はコロナ禍を契機に加速した葬儀の小規模化傾向が一時的に緩和し、一般葬儀の施行単価が上昇したこと、コロナ禍で抑えられていた社葬・お別れの会等の大規模葬儀(金額5百万円超の葬儀)の件数に伸びが見られたことで上昇しました。
また、葬儀に付随する商品の販売やサービス提供による収入も、仏壇仏具、後日返礼品を中心に前期比増収となりました。
費用については、将来的な新規出店に伴う葬儀件数増加及び売上拡大に備えた人員体制強化のための人件費・採用費の増加、新規出店に伴う地代家賃の増加、先行投資としての広告宣伝費の増加等により、営業費用は前期比4.8%の増加となりました。販売費及び一般管理費は、主に基幹情報システムの稼働によるソフトウエアの減価償却費の増加等により前期比5.0%増加しました。
この結果、当期の営業収益は224億37百万円となり、前期比3.6%の増収、営業利益は将来成長のための計画的な先行投資の実施により37億89百万円と前期比2.0%の減益となりましたが、当社の重要業績評価指標(KPI)である「売上高営業利益率15.5%以上」については、実績値が16.9%となり、目標を上回ることができました。
(財政状態)
総資産は375億85百万円となり、前期末比13億56百万円増加しました。
流動資産は118億35百万円となり、前期末比7億96百万円増加しました。これは主に現金及び預金と、営業未収金および契約資産が増加したことによるものです。固定資産は、257億50百万円となり、前期末比5億60百万円増加しました。
これは主に、新規会館投資に伴う建設仮勘定の増加と 減価償却の進行による有形固定資産の減少の差し引きにより、有形固定資産が増加したこと、無形固定資産は、M&Aによるのれんの発生、及び基幹情報システム構築に係る建設仮勘定が増加したものです。
流動負債は、営業未払金の増加や、賞与引当金の積み増しなどにより増加しました。固定負債は長期未払金が減少したものの、資産除去債務等が増加いたしました。
当期末における純資産合計は328億77百万円となり、前期末比12億62百万円増加しました。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益23億63百万円を計上する一方、剰余金の配当4億85百万円を支払うことにより利益剰余金が18億77百万円増加したこと、ならびに当期中に自己株式を6億62百万円取得したことによるものです。
この結果、自己資本比率は前期末比0.2ポイント上昇し87.5%、当社の重要業績評価指標(KPI)である資本効率目標「投下資本利益率(ROIC)」は7.5%となり、目標とする7.0%を上回りました。
※ROIC=税引後営業利益/投下資本
(投下資本=有利子負債+純資産、税引後営業利益=営業利益×(1-実効税率))
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に一般葬儀の単価の上昇と大規模葬儀の件数に伸びが見られたことによる業績向上や売上債権の増加により、31億70百万円の増加となりました。
一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、5つの葬儀会館の新規出店及び1つの既存会館のリニューアル等による有形固定資産の取得と新たな基幹情報システムの構築に係る無形固定資産(ソフトウエア)の取得、および㈱東京セレモニーの完全子会社化により、14億42百万円の減少となりました。さらに、前期に引き続き、当期も増配および自己株式の取得を実施し株主還元を充実させたことにより、財務活動によるキャッシュ・フローは、11億59百万円の減少となりました。
この結果、現金及び現金同等物は前期末比5億68百万円増加して97億48百万円となりました。
これにより、以下の資金使途や資金需要に対する原資の一部として、資金の流動性は十分に確保できていると判断しております。
当社は現在取り組んでいる中期経営計画(2022年度~2024年度)において、強固な財務基盤をベースに成長のための積極的な投資を行うことを明らかにし、営業キャッシュ・フローをまず、《既存設備への投資》と《成長投資》とに配分し、その余を株主還元に充当するという、キャピタル・アロケーションの枠組みを示しました。
ここで《既存設備への投資》とは葬儀会館を中心とする既存設備のリニューアルや改修であり、減価償却費の範囲内を基本とします。《成長投資》とは、葬儀会館の積極的な新規出店やライフエンディングサポート事業の強化といったオーガニックな成長のための投資とM&Aやアライアンスによるインオーガニックな成長のための投資からなります。
※ここでのオーガニックな成長とは、自社が有する技術や資産、人材等の資源を活用して成長することを意味し、インオーガニックな成長とは、社外に存在するそれらの資源を提携や買収などにより獲得し成長することを意味します。
葬儀の小規模化や家族葬ニーズの高まりという外部環境をふまえ、成長のための新規出店は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、新たな葬儀ブランド「エンディングハウス」を中心とする計画ですが、残り1ヵ年で16会館の出店を目指す投資資金は、営業キャッシュ・フローを中心とした自己資金でまかなうことができる見込みです。ライフエンディングサポート事業に係る投資資金に関しても、同様と考えております。
なお、会館用地については賃借(事業用定期借地)を原則とする中で、首都圏においては元々候補物件自体が少ないことから、稀少な好物件については土地の取得という判断をすることもあり得ます。その場合、土地を賃借する場合と比べて、一時的に多額の投資資金を要する可能性があります。また、M&Aやアライアンスに係る投資においては、予期せぬ好投資案件に対して、資金調達に起因する機会損失を回避することが重要であると考えます。
これらのケースを含む緊急多額の資金需要に対しては、高い水準にある資金の流動性で対応するほか、取引銀行3行と締結している総額10億円のコミットメントライン契約に基づく借入れによって資金調達をすることがあります。なお、同契約に基づく当期末の借入実行残高はありません。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
④経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。