有価証券報告書-第91期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度(以下、当期)におけるわが国経済は、第3四半期連結会計期間までは、世界経済の減速をリスク要因として抱えながらも、雇用・所得環境の着実な改善を背景とした個人消費および企業の積極的な設備投資という内需の増加に支えられ、緩やかな拡大を続けてきました。
ところが、第4四半期連結会計期間になると、2月以降の国内での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、インバウンド需要や輸出・生産、個人消費の落ち込みがみられるなど、わが国経済に深刻な影響を及ぼしています。
葬儀業界においても、従来と比べて葬儀の参列者の減少およびそれに伴う返礼品や料理等の提供数の減少がみられます。通常の葬儀(故人との対面によるお別れ)ができないケースは数の上では限定的ですが、感染防止の配慮の結果として、少人数での葬儀が増えたものと考えられます。また、多くの人々が集まる社葬やお別れの会も、中止や延期となっています。
新型コロナウイルス感染症の影響を除いても、葬祭市場においては、故人や喪主の高齢化に加え、地域社会や職場の人間関係の希薄化等の影響もあり参列者数は減少傾向にあるとともに、人々の価値観・嗜好の多様化が葬儀の形態や費用のかけ方に反映される傾向が強まっています。
これに対して葬祭事業者は、個性的な小規模会館の開発や独自性のあるサービスの提供、マッチングサイトを含む集客チャネルの多様化、さらには葬儀以外の新規事業への取り組みなど、変化に対応する事業のあり方を模索しています。
以上のような外部環境をふまえ、当社は2019年5月9日公表のとおり、グループの新たな経営理念の下で、ライフエンディングステージにおけるトータルサポート企業への進化を目指す3ヶ年の中期経営計画を当期からスタートさせました。基本方針として「新経営理念の浸透」、「人財力の強化」、「サービス品質の向上」、「業務効率の改善」、「ライフエンディングサポート事業の拡充」、「新規事業の収益力強化」、「葬儀事業の積極的な営業エリアの拡大」、「リスクマネジメント強化」の8つを掲げ、その実現に取り組んでいます。
当期においては、葬儀会館の新規出店を進め、2019年4月に「公益社 香里園会館」(大阪府寝屋川市)、6月に「タルイ会館 北大久保」(兵庫県明石市)、12月に「公益社 川西多田会館」(兵庫県川西市)そして2020年2月に「公益社 枚方出屋敷会館」(大阪府枚方市)の4会館をオープンしました。
また、リハビリ特化型デイサービスの第3号施設「ポシブル甲東園」(兵庫県西宮市)を2019年11月にオープンしました。
さらに、ライフエンディングサポート事業の拡充の一環として、葬儀の前後を含めたライフエンディングステージを中心に、シニアライフをサポートすることを目的としたプラットフォームサービスを行うことを決定しました。2020年2月20日に公表のとおり、ライフエンディングサービスのポータルサイトを運営する「ライフフォワード株式会社」(本社 東京都港区南青山、代表取締役社長 宮島康子)を4月1日に設立し、7月からサービスを開始する予定です。
当期はグループ葬祭3社のうち、㈱公益社と㈱タルイにおいて葬儀施行件数が伸長し、グループの全葬儀施行件数が前連結会計年度(以下、前期)比2.1%の増加となりました。一方、葬儀施行単価は、2020年2月下旬以降新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、一般葬儀における各社の単価向上施策が奏功し、グループ全体として前期比0.5%上昇しました。また、葬儀に付随する販売やサービス提供による収入は、一部新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、仏壇仏具の販売等を中心に伸長しました。
費用については、主に人件費、広告宣伝費のほか新規出店に伴う地代家賃等が増加し、営業費用は前期比1.4%増加しました。販売費及び一般管理費は、人件費および求人・採用関連費用等の増加により、前期比9.7%増加しました。
この結果、当期の営業収益は212億81百万円となり、前期比2.5%の増収となりました。また、営業利益は30億91百万円(前期比5.2%増)、経常利益は30億64百万円(前期比4.3%増)と増益となりました。しかしながら、税金等調整前当期純利益は、葬儀会館その他の固定資産に係る減損損失および賃貸借施設の中途解約に伴う解約違約金の発生により減益となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は18億56百万円(前期比12.1%減)と減益となりました。
セグメント別の業績は次の通りです。
ア 公益社グループ
公益社グループの中核会社である㈱公益社においては、関西圏、首都圏ともに一般葬儀(金額5百万円以下の葬儀)の施行件数が増加し、葬儀施行単価についても、付加価値のあるサービス・商品を提案する施策の効果により上昇しました。
また、首都圏においては、大規模葬儀(金額5百万円超の葬儀)の施行件数も、2020年2月下旬頃から新型コロナウイルス感染症の影響を受けたにもかかわらず、前期比増加しました。
その結果、全体の葬儀施行件数は前期比2.5%の増加、葬儀施行収入は前期比3.1%の増収となりました。
また、葬儀に付随する販売やサービス提供においては、仏壇仏具の販売収入や手数料収入等の伸びにより、前期比増収となりました。
費用については、前期の下期以降オープンした新規会館に係る地代家賃や減価償却費の増加等により、営業費用は前期比増加しました。
この結果、当セグメントの売上高は176億35百万円(前期比2.9%増)となり、セグメント利益は17億42百万円(前期比8.7%増)となりました。
イ 葬仙グループ
葬仙グループの㈱葬仙においては、葬儀施行件数が前期比1.2%減少しました。しかし、葬儀の小規模化傾向をふまえた施策の効果および比較的規模の大きな葬儀の施行件数が多かったことにより葬儀施行単価が上昇した結果、葬儀施行収入は逆に前期比1.2%の増収となりました。
また、葬儀に付随する販売やサービス提供においては、返礼品や仏壇仏具の販売収入等の伸びにより、前期比増収となりました。
費用については、地代家賃の低減により固定費は減少しましたが、人件費が増加したほか、2ホール(葬仙 境港ホール、葬仙 比津ホール)の改装工事に係る消耗備品費や修繕費の増加等により、営業費用は前期比増加しました。
この結果、当セグメントの売上高は14億49百万円(前期比2.9%増)となり、セグメント利益は44百万円(前期比20.7%増)となりました。
ウ タルイグループ
タルイグループの㈱タルイにおいては、新店やリニューアル店を中心に葬儀施行件数が前期比2.4%増加したものの、少人数の家族葬が増加し、低価格帯プランの構成比が上昇したことにより、葬儀施行単価は低下しました。このため、葬儀施行収入は前期比0.5%の減収となりました。
費用については、集客のための広告宣伝費や「タルイ会館 北大久保」の出店に伴う地代家賃が増加する一方、消耗備品費や修繕費等の減少により、営業費用は前期比減少しました。
この結果、当セグメントの売上高は18億17百万円(前期比1.0%減)となり、セグメント利益は3億24百万円(前期比4.4%減)となりました
エ 持株会社グループ
持株会社グループの燦ホールディングス㈱においては、主に配当金収入の増加により増収となりました。
費用については、主に人件費やグループの求人・採用広告費およびその他の人材募集に係る費用、グループ会社の新規出店に伴う地代家賃や減価償却費等が増加しました。
この結果、当セグメントの売上高は55億49百万円(前期比9.0%増)となり、セグメント利益は22億61百万円(前期比15.0%増)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末(以下、当期末)における流動資産は72億64百万円となり、前連結会計年度末(以下、前期末)比6億13百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が8億17百万円増加する一方、営業未収入金が1億56百万円減少したことによるものです。
固定資産は246億10百万円となり、前期末比66百万円減少しました。これは主に、有形固定資産が、葬儀会館の新規出店やリニューアルに伴う取得により増加する一方、土地の減少(「公益社 岸和田会館」旧本館跡地の売却)および減価償却の進行、減損損失の計上等により79百万円減少したことによるものです。
この結果、総資産は318億74百万円となり、前期末比5億47百万円増加しました。
(負債)
当期末における流動負債は31億5百万円となり、前期末比6億87百万円減少しました。これは主に、未払法人税等が5億8百万円増加する一方、営業未払金が2億80百万円、1年内返済予定の長期借入金が一括返済期限の到来による返済により9億円、それぞれ減少したことによるものです。
固定負債は14億53百万円となり、前期末比11百万円減少しました。これは主に、リース債務や資産除去債務が増加する一方、長期未払金が減少したことによるものです。
この結果、負債合計は45億58百万円となり、前期末比6億98百万円減少しました。
(純資産)
当期末における純資産合計は273億15百万円となり、前期末比12億45百万円増加しました。これは主に、自己株式を取得・処分したこと(2億74百万円減)、ならびに剰余金の配当3億39百万円を支払う一方、親会社株主に帰属する当期純利益18億56百万円を計上したことにより、利益剰余金が15億17百万円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は前期末比2.5ポイント上昇し、85.7%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物は、前期末より8億16百万円増加し、64億27百万円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは32億67百万円の増加(前期は26億95百万円の増加)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益28億86百万円、減価償却費8億55百万円を源泉として資金が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは7億69百万円の減少(前期は12億81百万円の減少)となりました。
これは主に、会館建設等に伴う有形固定資産の取得による支出7億92百万円により資金が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは16億81百万円の減少(前期は5億83百万円の減少)となりました。
これは主に、長期借入金の返済9億19百万円、配当金の支払額3億39百万円、自己株式の取得2億99百万円により資金が減少したことによるものです。
④営業の実績
ア 営業売上実績
当連結会計年度における営業売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.上記の金額については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
イ 葬儀請負の実績
当社グループのセグメントのうち主な事業である葬儀請負事業に係わる葬儀施行件数の、当連結会計年度における実績は次のとおりであります。
(公益社グループ)
(葬仙グループ)
(タルイグループ)
(注)1.稼働率=施行件数÷基準件数×100
なお、式場利用は通常、通夜と葬儀の2日間にわたるため、基準件数は1式場2日間に1件の施行を標準として算出しております。
2.葬儀施行件数は、法事・法要件数を除いた件数を記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当期の財政状態および経営成績の分析は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績)
中期経営計画3ヶ年の間に、グループで13会館の新設を計画しております。これに対し当期は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり4会館を新設しました。今後、競争力の強化とエリアシェアの拡大に寄与するものと考えます。
また、当期より㈱公益社の東京本社・大阪本社にそれぞれクオリティマネジメント(QM)を管掌する部署を新設し、クオリティマネジメントの強化を図っております。これにより、お客様に満足していただける高い品質を以て、他社と差別化することを目指しています。
当期は、増収かつ営業利益及び経常利益は増益となりましたが、税金等調整前当期純利益および親会社株主に帰属する当期純利益は減益となりました。
増収の主な要因は、㈱公益社の関西圏(大阪本社)の一般葬儀の施行単価の向上、首都圏(東京本社)の一般葬儀と大規模葬儀の葬儀施行件数の増加です。
葬儀施行件数については、新規会館出店の効果はもとより、営業エリアごとの競争環境に応じた適切な施策の実行が、葬儀単価については、葬儀の小規模化や家族葬ニーズが高まる中で、サービスや商品の価値をお客様に伝える工夫や社員の特性に見合った業務分担の実施等が奏功したものと考えます。
また、㈱タルイでは葬儀施行件数は増加したものの、少人数の家族葬の増加により葬儀単価が低下し、その結果、減収減益となりました。しかしながら、依然として高い業務効率を背景に高利益率を保っております。㈱葬仙では、葬儀施行件数は減少したものの、単価向上施策への取り組みにより増収を確保し、地代家賃の低減効果もあり増益となりました。
費用につきましては、主に人件費、集客のための広告宣伝費、新規会館に係る地代家賃等が前期比増加しました。
広告宣伝費は費用対効果の検証に基づいて支出しております。人件費については、適正人員に基づく採用・配置及び労働時間管理を目指しております。
また、業務効率の改善に関しては、プロジェクト方式により、業務オペレーションの見直しおよびITの利用・システム改善を通じて、労働生産性の向上への取り組みを開始しております。さらに、バックヤード部門や間接部門を中心にコストの見直しを強化し、後述の新型コロナウイルス感染症の影響下でも利益の確保に努めます。
特別損益については、前期に特別利益に計上した退職給付制度終了益1億42百万円が剝落する一方、特別損失として、葬儀会館その他の固定資産に係る減損損失1億50百万円を計上(前期比91百万円増加)したほか、賃貸借施設の中途解約に伴う解約違約金35百万円が発生しました。この結果、税金等調整前当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は前期比減益となりました。
以上の結果、達成すべき経営指標として掲げております「売上高営業利益率13%以上」については、実績値14.5%となり、達成することができました。
(新型コロナウイルス感染症の影響について)
当第4四半期連結会計期間における業績は、主に㈱公益社において、新型コロナウイルス感染症の影響(以下、「コロナ影響」と略記)を受けました。
大きく二つの影響があり、一つは、一般葬儀における参列者減少による一般葬儀の小規模化です。
もう一つは、2月中旬以降、社葬・お別れの会の開催が順次中止又は次年度に延期となったことです。
これらは、感染拡大防止のための《人との接触の削減》及び《大人数が集まることの回避》という社会からの強い要請がある状況下での、施主様における、関係者に対する配慮や開催可否の判断の結果であります。
まず、参列者の減少による一般葬儀の小規模化については、グループ葬祭3社について、一定の前提条件(注)をおいて試算し、定性的な情報も加味して以下のように影響をとらえております。
試算の結果、㈱公益社において2月に約40百万円、3月に約70百万円の葬儀施行収入の減収が見られました。当社では、2月の一部、3月の大半の金額をコロナ影響によるものと推定しております。
グループの㈱タルイでは3月に約5百万円の影響が推定されます。一方、山陰地方を地盤とする㈱葬仙においては、この試算よる影響は確認されませんでした。
(注)一定の前提条件とは、コロナ影響のない2019年4月から2020年1月までの累計実績に基づく葬儀規模別の《件数構成比》と《葬儀単価》のもとで2月、3月の葬儀件数があったと仮定した場合の葬儀施行金額をベンチマークとして、これと実際の葬儀施行金額との差額を求めるというもの。
次に、社葬・お別れの会への影響です。2月中旬までに受託し3月末までに開催予定であったものが、中止又は延期になった社葬・お別れの会の受託金額の総額は約1億円です。(規模別でいう大規模葬儀に含まれない5百万円未満のものを一部含みます。)これ以外にも、本来であれば2月中旬から3月末までの間、受託できていたであろう「合同葬」が受託できなかったという機会損失としての影響額が20百万円~30百万円程度あったものと考えられます。
以上が葬儀の受託・施行に係る主要なコロナ影響ですが、このほか葬儀に付随する返礼品の販売や法事法要の施行も影響を受けたものと思われます。
なお、葬儀単価や価格帯別の葬儀件数の構成比は毎月変動しており、コロナ影響だけを取り出すことは本来困難です。ここで述べましたコロナ影響による一般葬儀の小規模化の影響数値は、一定の前提条件に基づく当社試算によって得た推計値であります。
当面業績に対するコロナ影響が継続するものと考えられますが、このような状況であっても、ご遺族によいお別れをしていただくために、当社グループができる最善のサポートをご提供してまいります。
(財政状態)
当期末の自己資本比率は85.7%と高水準にあり、しかも、手元流動性比率も平時に必要と考えられるよりも高い水準ですので、上記コロナ影響が次期に継続しても耐えうる財務の健全性を有すると判断しております。
総資産は、前期末・当期末平均で2.8%増加しましたが、達成すべき経営指標(資本効率目標)として掲げております「総資本事業利益率(注)(ROA)」については、事業利益も増加したため、9.9%と前期と同水準で、「中期経営計画最終年度(2021年度)8.5%以上」の目標値を上回っております。
なお、現預金(資金)の増加要因については、次項に記載いたします。
(注)事業利益=営業利益+営業外収益
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(資金の源泉)
現金及び現金同等物が前期末比8億16百万円増加して64億27百万円となりました。その要因は、有形固定資産の取得による支出7億92百万円を中心とする投資活動によるキャッシュ・フローが例年と比べて低水準であった一方、営業活動によるキャッシュ・フローが、実質的には前期より少ない増加額(小計欄の比較による)であったものの、法人税等の支払額が前期比半減以下となったことによって、前期を上回る32億67百万円となったことによるものです。
(資金の流動性)
現金及び現金同等物の当期末残高64億27百万円は、手元流動性比率3.6ヶ月の水準ですので、以下の資金使途に照らして、十分な資金の流動性を確保していると判断します。
なお、当社は、資産効率向上の観点から平時の余剰資金を圧縮するために、緊急多額の資金需要に備え、取引銀行3行と総額10億円のコミットメントライン契約を締結しております。なお、同契約に基づく当期末の借入実行残高はありません。
(資金使途)
当社グループの資金需要の中心は、新規会館建設のための設備投資です。中期経営計画にも掲げるとおり、継続的かつ安定的な成長のために、関西圏および首都圏における積極的な新規会館建設を継続し、営業エリアの拡大やドミナントの維持を目指しております。
当期は、中期経営計画の3年間で新規開設を予定する13会館のうち、㈱公益社の関西圏で3会館、㈱タルイで1会館、の計4会館を新規開設しました。
葬儀の小規模化や家族葬ニーズの高まりという外部環境を踏まえると、葬儀会館の投資資金は、多店舗展開するとしても自己資金でまかなうことができる見込みです。但し、会館用地については賃借(事業用定期借地)を原則とする中で、首都圏においては元々候補物件自体が少ないことから、稀少な好物件について、土地の取得という判断をすることもあり得ます。その場合、土地を賃借する場合と比べて、一時的に多額の投資資金を要する可能性がありますが、自己資金でまかなえる範囲と考えております。
また、当期は、新規会館建設と並んで、既存会館の経年劣化等に対応するための改修やリニューアルの工事に係る設備投資にも資金を投じました。今後とも、既存会館の美観や機能を維持・向上させ、お客様の利便性を高めるために必要な設備投資を実施してまいります。
さらに、事業環境の変化を踏まえ、ITによって業務支援を行い、効率的な経営を目指すために策定した中期IT戦略に沿って、IT投資にも内部留保金を充当してまいります。
なお、株主の皆様への利益配分につきましては、安定配当を基軸としつつ増配に努めるとともに、自己株式の取得につきましても、配当を補完する機動的な株主還元策と位置付け、今後も株価やその他諸条件を考慮のうえ実施を検討してまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
「第5 経理の状況」の(注記事項)に同様の情報を開示しているため記載を省略しております。
④経営者の問題意識と今後の方針について
今後当社グループは、葬儀および周辺事業を基軸としながらも、ライフエンディングサポート企業へとさらなる進化を遂げてまいります。また、事業ポートフォリオのリスクを軽減する観点から、新たな収益の柱となる新規事業創出へのチャレンジを継続していきます。このように事業環境の変化に対応し、守るべきものを守り、変えるべきものを変えながら、持続的に安定成長していく企業を目指してまいります。
当面の個別具体的な問題意識については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度(以下、当期)におけるわが国経済は、第3四半期連結会計期間までは、世界経済の減速をリスク要因として抱えながらも、雇用・所得環境の着実な改善を背景とした個人消費および企業の積極的な設備投資という内需の増加に支えられ、緩やかな拡大を続けてきました。
ところが、第4四半期連結会計期間になると、2月以降の国内での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、インバウンド需要や輸出・生産、個人消費の落ち込みがみられるなど、わが国経済に深刻な影響を及ぼしています。
葬儀業界においても、従来と比べて葬儀の参列者の減少およびそれに伴う返礼品や料理等の提供数の減少がみられます。通常の葬儀(故人との対面によるお別れ)ができないケースは数の上では限定的ですが、感染防止の配慮の結果として、少人数での葬儀が増えたものと考えられます。また、多くの人々が集まる社葬やお別れの会も、中止や延期となっています。
新型コロナウイルス感染症の影響を除いても、葬祭市場においては、故人や喪主の高齢化に加え、地域社会や職場の人間関係の希薄化等の影響もあり参列者数は減少傾向にあるとともに、人々の価値観・嗜好の多様化が葬儀の形態や費用のかけ方に反映される傾向が強まっています。
これに対して葬祭事業者は、個性的な小規模会館の開発や独自性のあるサービスの提供、マッチングサイトを含む集客チャネルの多様化、さらには葬儀以外の新規事業への取り組みなど、変化に対応する事業のあり方を模索しています。
以上のような外部環境をふまえ、当社は2019年5月9日公表のとおり、グループの新たな経営理念の下で、ライフエンディングステージにおけるトータルサポート企業への進化を目指す3ヶ年の中期経営計画を当期からスタートさせました。基本方針として「新経営理念の浸透」、「人財力の強化」、「サービス品質の向上」、「業務効率の改善」、「ライフエンディングサポート事業の拡充」、「新規事業の収益力強化」、「葬儀事業の積極的な営業エリアの拡大」、「リスクマネジメント強化」の8つを掲げ、その実現に取り組んでいます。
当期においては、葬儀会館の新規出店を進め、2019年4月に「公益社 香里園会館」(大阪府寝屋川市)、6月に「タルイ会館 北大久保」(兵庫県明石市)、12月に「公益社 川西多田会館」(兵庫県川西市)そして2020年2月に「公益社 枚方出屋敷会館」(大阪府枚方市)の4会館をオープンしました。
また、リハビリ特化型デイサービスの第3号施設「ポシブル甲東園」(兵庫県西宮市)を2019年11月にオープンしました。
さらに、ライフエンディングサポート事業の拡充の一環として、葬儀の前後を含めたライフエンディングステージを中心に、シニアライフをサポートすることを目的としたプラットフォームサービスを行うことを決定しました。2020年2月20日に公表のとおり、ライフエンディングサービスのポータルサイトを運営する「ライフフォワード株式会社」(本社 東京都港区南青山、代表取締役社長 宮島康子)を4月1日に設立し、7月からサービスを開始する予定です。
当期はグループ葬祭3社のうち、㈱公益社と㈱タルイにおいて葬儀施行件数が伸長し、グループの全葬儀施行件数が前連結会計年度(以下、前期)比2.1%の増加となりました。一方、葬儀施行単価は、2020年2月下旬以降新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、一般葬儀における各社の単価向上施策が奏功し、グループ全体として前期比0.5%上昇しました。また、葬儀に付随する販売やサービス提供による収入は、一部新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、仏壇仏具の販売等を中心に伸長しました。
費用については、主に人件費、広告宣伝費のほか新規出店に伴う地代家賃等が増加し、営業費用は前期比1.4%増加しました。販売費及び一般管理費は、人件費および求人・採用関連費用等の増加により、前期比9.7%増加しました。
この結果、当期の営業収益は212億81百万円となり、前期比2.5%の増収となりました。また、営業利益は30億91百万円(前期比5.2%増)、経常利益は30億64百万円(前期比4.3%増)と増益となりました。しかしながら、税金等調整前当期純利益は、葬儀会館その他の固定資産に係る減損損失および賃貸借施設の中途解約に伴う解約違約金の発生により減益となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は18億56百万円(前期比12.1%減)と減益となりました。
セグメント別の業績は次の通りです。
ア 公益社グループ
公益社グループの中核会社である㈱公益社においては、関西圏、首都圏ともに一般葬儀(金額5百万円以下の葬儀)の施行件数が増加し、葬儀施行単価についても、付加価値のあるサービス・商品を提案する施策の効果により上昇しました。
また、首都圏においては、大規模葬儀(金額5百万円超の葬儀)の施行件数も、2020年2月下旬頃から新型コロナウイルス感染症の影響を受けたにもかかわらず、前期比増加しました。
その結果、全体の葬儀施行件数は前期比2.5%の増加、葬儀施行収入は前期比3.1%の増収となりました。
また、葬儀に付随する販売やサービス提供においては、仏壇仏具の販売収入や手数料収入等の伸びにより、前期比増収となりました。
費用については、前期の下期以降オープンした新規会館に係る地代家賃や減価償却費の増加等により、営業費用は前期比増加しました。
この結果、当セグメントの売上高は176億35百万円(前期比2.9%増)となり、セグメント利益は17億42百万円(前期比8.7%増)となりました。
イ 葬仙グループ
葬仙グループの㈱葬仙においては、葬儀施行件数が前期比1.2%減少しました。しかし、葬儀の小規模化傾向をふまえた施策の効果および比較的規模の大きな葬儀の施行件数が多かったことにより葬儀施行単価が上昇した結果、葬儀施行収入は逆に前期比1.2%の増収となりました。
また、葬儀に付随する販売やサービス提供においては、返礼品や仏壇仏具の販売収入等の伸びにより、前期比増収となりました。
費用については、地代家賃の低減により固定費は減少しましたが、人件費が増加したほか、2ホール(葬仙 境港ホール、葬仙 比津ホール)の改装工事に係る消耗備品費や修繕費の増加等により、営業費用は前期比増加しました。
この結果、当セグメントの売上高は14億49百万円(前期比2.9%増)となり、セグメント利益は44百万円(前期比20.7%増)となりました。
ウ タルイグループ
タルイグループの㈱タルイにおいては、新店やリニューアル店を中心に葬儀施行件数が前期比2.4%増加したものの、少人数の家族葬が増加し、低価格帯プランの構成比が上昇したことにより、葬儀施行単価は低下しました。このため、葬儀施行収入は前期比0.5%の減収となりました。
費用については、集客のための広告宣伝費や「タルイ会館 北大久保」の出店に伴う地代家賃が増加する一方、消耗備品費や修繕費等の減少により、営業費用は前期比減少しました。
この結果、当セグメントの売上高は18億17百万円(前期比1.0%減)となり、セグメント利益は3億24百万円(前期比4.4%減)となりました
エ 持株会社グループ
持株会社グループの燦ホールディングス㈱においては、主に配当金収入の増加により増収となりました。
費用については、主に人件費やグループの求人・採用広告費およびその他の人材募集に係る費用、グループ会社の新規出店に伴う地代家賃や減価償却費等が増加しました。
この結果、当セグメントの売上高は55億49百万円(前期比9.0%増)となり、セグメント利益は22億61百万円(前期比15.0%増)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末(以下、当期末)における流動資産は72億64百万円となり、前連結会計年度末(以下、前期末)比6億13百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が8億17百万円増加する一方、営業未収入金が1億56百万円減少したことによるものです。
固定資産は246億10百万円となり、前期末比66百万円減少しました。これは主に、有形固定資産が、葬儀会館の新規出店やリニューアルに伴う取得により増加する一方、土地の減少(「公益社 岸和田会館」旧本館跡地の売却)および減価償却の進行、減損損失の計上等により79百万円減少したことによるものです。
この結果、総資産は318億74百万円となり、前期末比5億47百万円増加しました。
(負債)
当期末における流動負債は31億5百万円となり、前期末比6億87百万円減少しました。これは主に、未払法人税等が5億8百万円増加する一方、営業未払金が2億80百万円、1年内返済予定の長期借入金が一括返済期限の到来による返済により9億円、それぞれ減少したことによるものです。
固定負債は14億53百万円となり、前期末比11百万円減少しました。これは主に、リース債務や資産除去債務が増加する一方、長期未払金が減少したことによるものです。
この結果、負債合計は45億58百万円となり、前期末比6億98百万円減少しました。
(純資産)
当期末における純資産合計は273億15百万円となり、前期末比12億45百万円増加しました。これは主に、自己株式を取得・処分したこと(2億74百万円減)、ならびに剰余金の配当3億39百万円を支払う一方、親会社株主に帰属する当期純利益18億56百万円を計上したことにより、利益剰余金が15億17百万円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は前期末比2.5ポイント上昇し、85.7%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物は、前期末より8億16百万円増加し、64億27百万円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは32億67百万円の増加(前期は26億95百万円の増加)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益28億86百万円、減価償却費8億55百万円を源泉として資金が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは7億69百万円の減少(前期は12億81百万円の減少)となりました。
これは主に、会館建設等に伴う有形固定資産の取得による支出7億92百万円により資金が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは16億81百万円の減少(前期は5億83百万円の減少)となりました。
これは主に、長期借入金の返済9億19百万円、配当金の支払額3億39百万円、自己株式の取得2億99百万円により資金が減少したことによるものです。
④営業の実績
ア 営業売上実績
当連結会計年度における営業売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| 公益社グループ | 17,635,708 | 102.9 |
| 葬仙グループ | 1,449,660 | 102.9 |
| タルイグループ | 1,817,348 | 99.0 |
| 持株会社グループ | 5,549,951 | 109.0 |
| 合計 | 26,452,668 | 103.8 |
(注)1.上記の金額については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
イ 葬儀請負の実績
当社グループのセグメントのうち主な事業である葬儀請負事業に係わる葬儀施行件数の、当連結会計年度における実績は次のとおりであります。
(公益社グループ)
| 区分 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||||
| 式場数(式場) | 施行件数(件) | 前年同期比(%) | 稼働率(%) | ||
| 大規模会館 千里会館、枚方会館、西宮山手会館 | 大式場 | 3 | 52 | 75.4 | 9.5 |
| 一般式場 | 11 | 1,560 | 94.8 | 77.7 | |
| 支店・営業所付属会館 天神橋、東大阪、堺、吹田、用賀、岸和田、玉出、城東、西田辺、宝塚、豊中、高槻、守口、雪谷、富雄、はびきの、たまプラーザ、なかもず、明大前、田園調布、住吉御影、学園前、森小路、高輪、石橋、高円寺、仙川、江坂、日吉、西大寺、六甲道、くずは、喜多見、甲南山手、武庫之荘、甲子園口、千里山田、東久留米、津久野、上板橋、吉祥寺、香里園、川西多田 枚方出屋敷 | 一般式場 | 59 | 8,034 | 106.4 | 77.2 |
| 小計 | 73 | 9,646 | 104.1 | 74.4 | |
| その他(自宅、寺院等) | - | 2,029 | 94.9 | - | |
| 合計 | - | 11,675 | 102.4 | - | |
(葬仙グループ)
| 区分 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||||
| 式場数(式場) | 施行件数(件) | 前年同期比(%) | 稼働率(%) | ||
| 支店・営業所付属会館 鳥取、吉方、岩美、米子、安倍、福米、安来、境港、余子、松江、比津、東出雲 | 一般式場 | 14 | 1,050 | 96.1 | 41.0 |
| その他(自宅、寺院等) | - | 231 | 113.8 | - | |
| 合計 | - | 1,281 | 98.8 | - | |
(タルイグループ)
| 区分 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||||
| 式場数(式場) | 施行件数(件) | 前年同期比(%) | 稼働率(%) | ||
| 支店・営業所付属会館 舞子、大蔵谷、新明、大久保、魚住、土山、東加古川、神戸西、長坂寺、西明石、北大久保 | 一般式場 | 14 | 1,275 | 102.6 | 50.4 |
| その他(自宅、寺院等) | - | 25 | 96.2 | - | |
| 合計 | - | 1,300 | 102.4 | - | |
(注)1.稼働率=施行件数÷基準件数×100
なお、式場利用は通常、通夜と葬儀の2日間にわたるため、基準件数は1式場2日間に1件の施行を標準として算出しております。
2.葬儀施行件数は、法事・法要件数を除いた件数を記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当期の財政状態および経営成績の分析は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績)
中期経営計画3ヶ年の間に、グループで13会館の新設を計画しております。これに対し当期は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり4会館を新設しました。今後、競争力の強化とエリアシェアの拡大に寄与するものと考えます。
また、当期より㈱公益社の東京本社・大阪本社にそれぞれクオリティマネジメント(QM)を管掌する部署を新設し、クオリティマネジメントの強化を図っております。これにより、お客様に満足していただける高い品質を以て、他社と差別化することを目指しています。
当期は、増収かつ営業利益及び経常利益は増益となりましたが、税金等調整前当期純利益および親会社株主に帰属する当期純利益は減益となりました。
増収の主な要因は、㈱公益社の関西圏(大阪本社)の一般葬儀の施行単価の向上、首都圏(東京本社)の一般葬儀と大規模葬儀の葬儀施行件数の増加です。
葬儀施行件数については、新規会館出店の効果はもとより、営業エリアごとの競争環境に応じた適切な施策の実行が、葬儀単価については、葬儀の小規模化や家族葬ニーズが高まる中で、サービスや商品の価値をお客様に伝える工夫や社員の特性に見合った業務分担の実施等が奏功したものと考えます。
また、㈱タルイでは葬儀施行件数は増加したものの、少人数の家族葬の増加により葬儀単価が低下し、その結果、減収減益となりました。しかしながら、依然として高い業務効率を背景に高利益率を保っております。㈱葬仙では、葬儀施行件数は減少したものの、単価向上施策への取り組みにより増収を確保し、地代家賃の低減効果もあり増益となりました。
費用につきましては、主に人件費、集客のための広告宣伝費、新規会館に係る地代家賃等が前期比増加しました。
広告宣伝費は費用対効果の検証に基づいて支出しております。人件費については、適正人員に基づく採用・配置及び労働時間管理を目指しております。
また、業務効率の改善に関しては、プロジェクト方式により、業務オペレーションの見直しおよびITの利用・システム改善を通じて、労働生産性の向上への取り組みを開始しております。さらに、バックヤード部門や間接部門を中心にコストの見直しを強化し、後述の新型コロナウイルス感染症の影響下でも利益の確保に努めます。
特別損益については、前期に特別利益に計上した退職給付制度終了益1億42百万円が剝落する一方、特別損失として、葬儀会館その他の固定資産に係る減損損失1億50百万円を計上(前期比91百万円増加)したほか、賃貸借施設の中途解約に伴う解約違約金35百万円が発生しました。この結果、税金等調整前当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は前期比減益となりました。
以上の結果、達成すべき経営指標として掲げております「売上高営業利益率13%以上」については、実績値14.5%となり、達成することができました。
(新型コロナウイルス感染症の影響について)
当第4四半期連結会計期間における業績は、主に㈱公益社において、新型コロナウイルス感染症の影響(以下、「コロナ影響」と略記)を受けました。
大きく二つの影響があり、一つは、一般葬儀における参列者減少による一般葬儀の小規模化です。
もう一つは、2月中旬以降、社葬・お別れの会の開催が順次中止又は次年度に延期となったことです。
これらは、感染拡大防止のための《人との接触の削減》及び《大人数が集まることの回避》という社会からの強い要請がある状況下での、施主様における、関係者に対する配慮や開催可否の判断の結果であります。
まず、参列者の減少による一般葬儀の小規模化については、グループ葬祭3社について、一定の前提条件(注)をおいて試算し、定性的な情報も加味して以下のように影響をとらえております。
試算の結果、㈱公益社において2月に約40百万円、3月に約70百万円の葬儀施行収入の減収が見られました。当社では、2月の一部、3月の大半の金額をコロナ影響によるものと推定しております。
グループの㈱タルイでは3月に約5百万円の影響が推定されます。一方、山陰地方を地盤とする㈱葬仙においては、この試算よる影響は確認されませんでした。
(注)一定の前提条件とは、コロナ影響のない2019年4月から2020年1月までの累計実績に基づく葬儀規模別の《件数構成比》と《葬儀単価》のもとで2月、3月の葬儀件数があったと仮定した場合の葬儀施行金額をベンチマークとして、これと実際の葬儀施行金額との差額を求めるというもの。
次に、社葬・お別れの会への影響です。2月中旬までに受託し3月末までに開催予定であったものが、中止又は延期になった社葬・お別れの会の受託金額の総額は約1億円です。(規模別でいう大規模葬儀に含まれない5百万円未満のものを一部含みます。)これ以外にも、本来であれば2月中旬から3月末までの間、受託できていたであろう「合同葬」が受託できなかったという機会損失としての影響額が20百万円~30百万円程度あったものと考えられます。
以上が葬儀の受託・施行に係る主要なコロナ影響ですが、このほか葬儀に付随する返礼品の販売や法事法要の施行も影響を受けたものと思われます。
なお、葬儀単価や価格帯別の葬儀件数の構成比は毎月変動しており、コロナ影響だけを取り出すことは本来困難です。ここで述べましたコロナ影響による一般葬儀の小規模化の影響数値は、一定の前提条件に基づく当社試算によって得た推計値であります。
当面業績に対するコロナ影響が継続するものと考えられますが、このような状況であっても、ご遺族によいお別れをしていただくために、当社グループができる最善のサポートをご提供してまいります。
(財政状態)
当期末の自己資本比率は85.7%と高水準にあり、しかも、手元流動性比率も平時に必要と考えられるよりも高い水準ですので、上記コロナ影響が次期に継続しても耐えうる財務の健全性を有すると判断しております。
総資産は、前期末・当期末平均で2.8%増加しましたが、達成すべき経営指標(資本効率目標)として掲げております「総資本事業利益率(注)(ROA)」については、事業利益も増加したため、9.9%と前期と同水準で、「中期経営計画最終年度(2021年度)8.5%以上」の目標値を上回っております。
なお、現預金(資金)の増加要因については、次項に記載いたします。
(注)事業利益=営業利益+営業外収益
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(資金の源泉)
現金及び現金同等物が前期末比8億16百万円増加して64億27百万円となりました。その要因は、有形固定資産の取得による支出7億92百万円を中心とする投資活動によるキャッシュ・フローが例年と比べて低水準であった一方、営業活動によるキャッシュ・フローが、実質的には前期より少ない増加額(小計欄の比較による)であったものの、法人税等の支払額が前期比半減以下となったことによって、前期を上回る32億67百万円となったことによるものです。
(資金の流動性)
現金及び現金同等物の当期末残高64億27百万円は、手元流動性比率3.6ヶ月の水準ですので、以下の資金使途に照らして、十分な資金の流動性を確保していると判断します。
なお、当社は、資産効率向上の観点から平時の余剰資金を圧縮するために、緊急多額の資金需要に備え、取引銀行3行と総額10億円のコミットメントライン契約を締結しております。なお、同契約に基づく当期末の借入実行残高はありません。
(資金使途)
当社グループの資金需要の中心は、新規会館建設のための設備投資です。中期経営計画にも掲げるとおり、継続的かつ安定的な成長のために、関西圏および首都圏における積極的な新規会館建設を継続し、営業エリアの拡大やドミナントの維持を目指しております。
当期は、中期経営計画の3年間で新規開設を予定する13会館のうち、㈱公益社の関西圏で3会館、㈱タルイで1会館、の計4会館を新規開設しました。
葬儀の小規模化や家族葬ニーズの高まりという外部環境を踏まえると、葬儀会館の投資資金は、多店舗展開するとしても自己資金でまかなうことができる見込みです。但し、会館用地については賃借(事業用定期借地)を原則とする中で、首都圏においては元々候補物件自体が少ないことから、稀少な好物件について、土地の取得という判断をすることもあり得ます。その場合、土地を賃借する場合と比べて、一時的に多額の投資資金を要する可能性がありますが、自己資金でまかなえる範囲と考えております。
また、当期は、新規会館建設と並んで、既存会館の経年劣化等に対応するための改修やリニューアルの工事に係る設備投資にも資金を投じました。今後とも、既存会館の美観や機能を維持・向上させ、お客様の利便性を高めるために必要な設備投資を実施してまいります。
さらに、事業環境の変化を踏まえ、ITによって業務支援を行い、効率的な経営を目指すために策定した中期IT戦略に沿って、IT投資にも内部留保金を充当してまいります。
なお、株主の皆様への利益配分につきましては、安定配当を基軸としつつ増配に努めるとともに、自己株式の取得につきましても、配当を補完する機動的な株主還元策と位置付け、今後も株価やその他諸条件を考慮のうえ実施を検討してまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
「第5 経理の状況」の(注記事項)に同様の情報を開示しているため記載を省略しております。
④経営者の問題意識と今後の方針について
今後当社グループは、葬儀および周辺事業を基軸としながらも、ライフエンディングサポート企業へとさらなる進化を遂げてまいります。また、事業ポートフォリオのリスクを軽減する観点から、新たな収益の柱となる新規事業創出へのチャレンジを継続していきます。このように事業環境の変化に対応し、守るべきものを守り、変えるべきものを変えながら、持続的に安定成長していく企業を目指してまいります。
当面の個別具体的な問題意識については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。