有価証券報告書-第32期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/18 16:58
【資料】
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【項目】
92項目
当連結会計年度の経済及び情報サービス産業における経営環境は以下のとおりです。
国内及び海外の経済は、当連結会計年度を通じて緩やかに改善してきましたが、年度末における新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、経済活動が抑制されており、足下で急速に減速しています。また、景気の先行きについても、当面、感染症の影響で厳しい状況が続くと見込まれ、国内及び海外の経済を更に下振れさせるリスクがあります。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。
国内及び海外の情報サービス産業においては、制度変更や法規制の新規施行への対応、お客様企業におけるエンドユーザー接点の強化や、AI・IoT等のデジタル(注1)技術を活用したビジネスの成長を目的としたIT投資が進み、市場は堅調な推移をみせてきました。しかしながら、感染症の影響による経済の下振れリスクに伴い、お客様企業のIT投資の抑制や先送りが懸念されることに加え、保守・運用コストの削減ニーズ、価格競争の厳しさが継続する可能性があります。
なお、技術の更なる進展によりデジタルトランスフォーメーションの流れが加速しており、ITの戦略的活用による事業拡大や新規事業創出等、お客様のニーズは多様化・高度化しています。今後も、このようなお客様の更なるビジネス成長に加え、SDGs(持続可能な開発目標)に代表される環境・社会課題の解決に向けても、ITの果たす役割は世界的に拡大するとともに、より重要になっていくものと考えられます。
[中期経営計画]
当社グループは2019年度~2021年度の中期経営計画を以下のとおり策定しています。
<基本方針>変わらぬ信念、変える勇気によって、グローバルで質の伴った成長をめざします。
<中期戦略>「変わらぬ信念」のもと、「お客様とともに未来の社会を創る」を基本的な考え方として、当社グループの競争優位性の源泉であるお客様との「Long-Term Relationships(長期的信頼関係)」に基づきお客様との共創による事業を通じて社会に貢献していくとともに、自らの企業活動においても働き方変革等を通じて働きがいのある社会の実現に貢献していくことで、企業価値の持続的向上をめざすESG経営を行います。
また、「変える勇気」を持って3つの戦略を実行し、デジタルトランスフォーメーションの更なる加速とグローバルシナジーの最大化を実現してお客様への提供価値最大化を図ります。
戦略1.グローバルデジタルオファリングの拡充
業界や技術の注力領域を定め、積極的に投資していくことで“強み”(オファリング)を創出し、マーケティング・技術活用支援と一体でグローバル連携を加速します。具体的には、個別のお客様へのロイヤルティプログラムを拡充するとともに業界内連携を加速し、同時に、対外リレーションの高度化や成功事例の共有と加速を推進します。
また、業界の知見を集約したデジタルオファリング戦略を策定し、オープンイノベーションを活用しながら、お客様との共創プロジェクトへ当社も積極投資することで、より提供価値の高いオファリングを創出します。
更に、技術集約拠点(Center of Excellence)(注2)の拡充によりアセット(注3)の集約と活用を加速し、迅速なオファリング創出と展開を実現します。
これらの施策によって、グローバル一体となってデジタルビジネスの拡大を推進します。


戦略2.リージョン特性に合わせたお客様への価値提供の深化
リージョン特性に合わせた4D Value Cycle(注4)の推進によりお客様への価値提供を深化することにより、2018年度末で70社(注5)となっている顧客基盤を更に拡大します。具体的には、日本においては「既存領域の強みを活かした新しい価値の創出」、中国・APACにおいては「マーケット成長を活かした飛躍的事業拡大」、北米においては「重点志向での強み創出と柱顧客の拡大」、EMEA・中南米においては「三社(注6)一体運営による顧客提供価値の向上」を推進します。
戦略3.グローバル全社員の力を高めた組織力の最大化
グローバル共通の価値観でコラボレーションを推進し、個の力を高めながら組織力の最大化を図ります。具体的には、社員のプロフェッショナリティの最大化として、全社員のデジタル対応力を高めるとともに、社員の多様な自己実現に沿って制度設計等も見直し、社員エンゲージメントの向上を図ります。
また、デジタル技術を活用した働き方変革として、グローバルで知見やノウハウを共有できる基盤を構築し、コラボレーションを推進するとともに、引き続き次世代の生産技術を磨くことで更なる生産性の向上をめざします。
更に、適切なガバナンス態勢の構築として、前中期経営計画の課題でもある不採算案件の抑止等、リスクマネジメントの更なる強化に取り組みます。
上記に加え、NTTグループ連携の強化を進め、NTTグループトータルで新たな価値を創造し、グローバルマーケットでのプレゼンスを高めます。具体的には、先進領域における連携として、基盤的研究開発や次世代技術研究開発の成果をグローバルで活用し、先進ソリューションやサービスの提供をめざします。
また、各地域における連携として、NTTグループ各社が得意とするインフラ、セキュリティサービス等を組み合わせて、トータルでお客様へサービスを提供することで事業の更なる拡大をめざします。
更に、NTTグループ全体の調達集約等によるコスト削減等のスケールメリットを活かした連携も進めます。
なお、新型コロナウイルス感染症の世界的な影響拡大に伴い、当社事業のおよそ4割を占める北米・欧州では、主要拠点のロックダウンにより、営業活動の停滞等が発生しており、国や地域ごとに状況が異なるため、事業影響の合理的な算定が難しい状況です。しかしながら、受注残高からの売上やリカーリングビジネスに加え、お客様の事業推進や社会インフラを維持するために必要なIT投資へ着実に対応することで、主要ビジネス(注7)への影響は小さくすることが可能であると想定しています。Digital等先進案件やコンサルティングビジネス、海外事業については、提出日現在では継続精査が必要な状況ですが、今後の動向を見極めながら影響を最小限に抑えるべく受注の確保に向けて取り組んでいきます。
<中期経営目標>
連結売上高2.5兆円
顧客基盤80社以上(注5)
連結営業利益率8%(注8)
海外EBITA率7%(注8)


<個別の対処すべき課題>中期経営目標達成のためには重要経営課題である「不採算案件の抑止」、「海外事業の収益性改善」への対処が必須であり、重点的に取り組んでいきます。
不採算案件の抑止
これまでプロジェクト審査委員会等の取り組みにより不採算案件の抑止に取り組んできましたが、特に難易度の高い案件に対する更なる抑止施策の強化が課題です。
この課題に対しては、過去の不採算・高難度案件からの教訓をもとに、1.リスクへの早期対応強化、2.現場力の更なる強化、3.管理プロセス強化、4.ナレッジの更なる蓄積と活用、の4つの施策に取り組みます。
1.リスクへの早期対応強化では、大規模案件等において、提案前の初期段階から受注内容(工期、見積り、契約形態等)に関してプロジェクト審査委員会がチェックを行うことで、従来に比べ対応を前倒しします。
2.現場力の更なる強化では、案件の難易度や特性に応じたPM配置の適正化を実施します。
3.管理プロセス強化では、問題化しやすい傾向にある案件の受注基準を見直し、プロジェクト審査委員会の実効性を向上させます。加えて、不採算の拡大が見込まれる案件は、全社でプロジェクトを早期に支援するように対策を行います。
4.ナレッジの更なる蓄積と活用では、過去の不採算案件に加え、高難度案件の知見やノウハウについても蓄積と活用を強化し、どのような案件であっても不採算化が抑止できるよう、抑止レベルの向上をめざします。
これら4つの施策によりリスクを最小限にコントロールし、新たな不採算案件の発生を抑止していきます。
海外事業の収益性改善
海外事業の収益性改善に向けて取り組むべき具体的な課題は、1.既存事業の生産性向上、2.付加価値の高いコンサルティング・デジタル領域の拡充、3.オファリング・サービスの選択と集中、4.ソリューション・テクノロジーの強化の4つです。
これらの課題に対応するため、コンサルティングやデジタル領域への戦略的シフトと事業構造改革によって収益性の改善を図ります。
コンサルティングやデジタル領域への戦略的シフトでは、既存の事業ポートフォリオを見直し、コンサルティング、デジタル領域への積極的投資や既存オファリング及びサービスの選択と集中によりサービスの高付加価値化、効率化をめざします。また、事業構造改革では、コンサルティングやデジタルへの対応力強化のための人財のリスキル・リシェイプ、収益性の低い事業の整理、開発拠点・データセンタ拠点の最適化を実施します。
(注1)デジタル(デジタルトランスフォーメーション)
「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念です。クラウドやモビリティ、ソーシャル技術等により社会システムが使いやすく再構築され、更にIoTにより爆発的に増加するデータが、AIの活用により生活に役立つインテリジェンスへと昇華された社会を実現するものです。
(注2)技術集約拠点(Center of Excellence)
高度な研究・開発活動を行い、人財及び事業の創出・育成の中核となる拠点のことです。
(注3)アセット
システムを構成する資材やソフトウェア、ライセンス(利用権)等の要素のことです。
(注4)4D Value Cycle
当社の共通の価値提供モデルのことです。Discover(目利き)、Design(企画)、Develop(つくり)、Drive(活用)のサイクルを繰り返しお客様と信頼関係を深化していきます。
Discover :市場と顧客のニーズの予測、新技術の目利き
Design :様々なビジネスやサービスの連携を視野とした広く深い構想
Develop :高度なシステム構築力や活用力によるソリューションの構築と提供
Drive :お客様がソリューションを最大限活用するためのサポート
(注5)年間売上高50億円以上(日本)、もしくは50百万米ドル(日本以外)のお客様のことです。
(注6)NTT DATA EMEA、everis、Business Solutionsの三社です。
(注7)国内における重要社会インフラ、経済・金融インフラビジネス、海外におけるヘルスケア・公共領域、アウトソーシング・ITインフラビジネスのことです。
(注8)M&A・構造改革等の一時的なコストを除きます。
上記のほか、セグメント別の経営戦略等につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
なお、将来に関する記述は、当社グループが当連結会計年度末時点で把握可能な情報から判断する一定の前提に基づいており、今後様々な要因によって記載内容とは異なる可能性があることをご承知おきください。

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