有価証券報告書-第63期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/26 9:56
【資料】
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【項目】
136項目

事業等のリスク

当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び万一発生した場合でも業績及び財務状況に与える影響を最小限にすべく、具体的施策を検討、実施しております。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日平成29年6月26日現在において判断したものであります。
(1) 情報セキュリティ・情報システムのトラブル
当社グループでは、商品・サービスの提供や営業活動に必要となる顧客及び潜在顧客の氏名・性別・生年月日・住所・電話番号等の個人情報、その他業務上に必要となる各種情報について情報システム上で管理を行っております。
また、専用タブレット端末等のデジタルデバイスを利用した教育サービス、インターネットを利用した語学教育サービス等を提供しております。
これらの情報システムの管理にあたっては、セキュリティ対策に力を入れ、外部からの不正アクセス等による漏え いの防止、および内部者による漏えいの防止の徹底を図り、情報のバックアップや適切なサーバの管理等による情報システムの安定稼働の確保に必要な措置を講じております。
平成26年に当社グループにおいて発覚した個人情報の漏えい事故に対しては、徹底した事実調査・原因究明を実施し、全力で被害拡散防止に努めると共に、漏えい防止対策を実施し、その後も改善を継続しています。
しかしながら、この事故に起因して、当社グループに対する不安感や損害賠償請求訴訟等が極めて大規模に拡大した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、新たな漏えい事故が発生した場合には信用やブランド価値が毀損され、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(2) 基幹事業に対する影響
当社グループの基幹事業である国内教育事業では、幼児から高校生を対象とした「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」等平成29年4月時点で245万人の会員を有する会員制の通信教育事業や、学校向け教育事業、学習塾・予備校事業等を展開しております。
国内における教育制度においては、次期学習指導要領の告示や、大学入試センター試験に代わる新テストの検討といった初等中等教育から高等教育に至る戦後最大ともいえる改革が進んでおり、学校教育は2020年前後を目途に大きく変化していくことが予想されます。当社グループは、これらの変化を機会点ととらえ、顧客の実態把握、教育制度改革に関する情報収集を継続して行い、学習塾の展開、紙・デジタル・ハイタッチサービスを組み合わせた教育サービスの展開、場を組み合わせた新しい学習等顧客の学習スタイルに合わせたラインナップを提供、ダイレクトメール以外のマーケティング手法の開発・推進、学校向け教育サービスの強化等により、シェア拡大を目指します。また、高い成長率が見込める中国等東アジアにおいても教育事業の一層の拡大を目指します。さらに当社としては人口動態の変化を踏まえて、高齢者向けホーム及び住宅の運営事業を中心とした介護・保育事業も拡大していきます。
しかしながら、教育制度改革にともなう環境が国内教育事業における対応を上回る規模で急激に変化した場合、あるいは、今後、異業種の参入による価格破壊等で、競争環境に著しく変化があった場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(3) 介護保険
当社グループの介護事業は、特定施設の運営を主たる事業としておりますが、各地方自治体は特定施設の総量規制を継続する傾向にあります。
一方、政府が供給を促進してきた「サービス付高齢者向け住宅」の建設は伸びが落ち着いたものの、「高齢者の住まい」は大手資本の参入、建設費用の高騰、用地不足等により競争がさらに激しくなっています。介護保険財政が厳しい状況の中、当社グループでは従来から介護保険収入への依存度が低いビジネスモデルを構築しており、また人材派遣・紹介、介護相談、高齢者向け配食サービス等の周辺事業も立ち上げ、拡大する等、制度変更の影響を受けにくい事業展開を推進しています。
しかしながら、今後、関連する法律及び介護保険報酬が、当社グループの事業にとってさらにマイナス方向に改定され、商品・サービス及び料金体系の見直しが必要となる場合、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(4) 自然災害
当社グループにおいては、地震等の大災害発生に備え、グループ各社の被災状況の情報集約体制の構築、国内教育事業の情報システム・物流拠点の分散等の事業継続のための施策を講じております。
しかしながら、大災害が発生した場合、被災地域における営業活動の停止、当社グループの施設等の損壊、交通、通信、物流といった社会インフラの混乱、委託先の被災等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、各事業会社の本部機能の東京への集中度が高いため、東京が被災した場合、当社グループの事業に影響を与える可能性があります。
(5) 減損会計
当社及びグループ各社の収益性が著しく低下した場合には、当社及びグループ各社の保有する土地・建物・のれん等について減損損失の計上が必要となることも考えられ、その場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(6) 海外調達・海外事業
当社グループは、主に中国において、教具・玩具の生産管理及び調達を行っております。また、Berlitz Corporationは、世界70以上の国と地域に500以上の教室を有しております。さらに、当社グループは、中国等東アジアにおいて主に幼児向け教育事業を展開しており、平成29年4月時点において中国で108万人、台湾で15万人、韓国で13万人(ライセンス契約)の会員を有しております。当社では東アジアを中心とした法制度の改正や行政の動向等に係る情報収集、当社グループの関与する紛争の状況把握等を行い、また、為替変動リスクのヘッジ、調達先の新規の開拓等を行い、リスクの低減に努めておりますが、これらの国・地域において、大災害、文化的・宗教的な摩擦、政治的・経済的な不安定要因、及び法律・規制の新設・変更等が発生・顕在化することにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(7) 物流
当社グループの「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」の教材製作・配送及びダイレクトメール製作・配送に、郵便等の外部委託先を利用しております。当社グループでは、教材のデジタル化推進やダイレクトメール以外のマーケティング手法の開拓に努めておりますが、製作・物流コストの上昇により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。