有価証券報告書-第34期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)企業理念
「ICTの利活用を通じて、社会変革へ貢献する。」を企業理念として、当社グループは、「すべてのステークホルダーから信頼され支持される企業(アドマイヤード・カンパニー)になること」を目指しています。お客様、パートナー、株主様、社員への責任を果たし、誠実と信頼(Integrity & Trust)を信条とし、常に社会や地球の持続可能な発展のために行動してまいります。自己の判断ではなく第三者のステークホルダーの皆様から、真のアドマイヤード・カンパニーとして評価を頂けるよう、不断の努力と研鑽を続けてまいります。
(2)経営方針
当社グループでは、企業理念のもと、健全なガバナンス体制による「継続した成長」と「顧客満足度の向上」を最大の目標としています。その実現のため、当社グループの活動全てを「統合サービス事業」と定義し、顧客のICT基盤を全フェーズで支援します。この事業の加速に向けて、組織体制及び基盤システムの強化、人財育成に取り組みます。
(3)経営環境
近年のデジタル化の加速と今般の新型コロナウイルス感染症の拡大によって、当社グループが所属するICT(情報通信技術)市場は大きな変革期を迎えています。お客様の多くは、新事業の創出や既存事業の効率化による「事業の成長」と、テレワークに代表される働き方の抜本的な見直しによる「事業の継続」の双方を実現するために、ICTの利活用を拡大しています。
このような市場環境で当社グループが継続して成長するためには、高付加価値の創出、即ちネットワーク・クラウド・セキュリティ・働き方改革等の高品質なICT基盤の導入に加えて、それらの効果を最大化する「利活用の加速」までを一貫して支援することで、明確な投資対効果をお客様にお届けすることが必要です。
(4)目標とする経営指標
上記の経営方針による付加価値の提供が継続的な成長を可能にするものと判断して、その経営成果の指標としては「営業利益率の改善」(10~12%)及び「売上高成長率の向上」(5~10%)を掲げております。
そして、中期的な目標として、2020年3月期~2022年3月期の3年間を対象期間とした中期事業計画(後述)にて、2022年3月期に、売上高2,200億円、営業利益210億円、営業利益率9.5%、サービス比率50.0%、ROE16.8%を目指すことを定めました。
これらの目標に対して、2021年4月27日に、2022年3月期業績見通しとして、売上高2,090億円、営業利益220億円、営業利益率10.5%、サービス比率45.0%、ROE19.2%と公表しており、営業利益・営業利益率・ROEにおいて、中期事業計画の目標を達成する見通しとしております。
(注)上記の業績見通しは、当社が現時点で合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績と大きく異なることがあります。実際の業績に影響を与える重要な要素としては、①当社を取り巻く経済情勢・需要動向などの変化、②為替相場の急激な変動などです。但し、業績に影響を与える要素はこれらに限定されるものではありません。
(5)対処すべき課題及び事業戦略
当社グループは、不正事案の再発防止を最重要課題とするとともに、継続して中期事業計画に沿った事業成長を図ってまいります。
不正事案の再発防止
当社は、2019年11月に東京国税局による指摘を端緒に、同年12月13日から2020年3月11日まで特別調査委員会による調査を実施し、同月12日に特別調査委員会の「納品実体のない取引に関する調査最終報告書」を開示しました。
その後、外部機関からの指摘があり、当社元従業員による資金流用の疑義を認識したため、当社とは利害関係を有しない外部の弁護士及び公認会計士で構成される外部調査委員会を設置し、調査を進めてまいりました。当社は、2020年12月16日及び2021年3月18日に外部調査委員会の調査報告書を開示いたしました。かかる調査により、①当社の元従業員が、仕入先との間の架空取引又は水増し取引を利用して、当社の資金を不正に流用したこと、②当社の従業員及び元従業員が、リース会社又は仕入先に「リスク費」を保留し、原価付替を行っていたこと、③当社の元従業員が、複合取引において原価付替を行っていたこと、④内部監査室の実施する財務報告に係る内部統制の評価業務において不適切なサンプリングが行われていたことが判明いたしました。
また、2021年3月期第2四半期決算準備の過程において、外部機関の指摘により、上記納品実体のない取引に関して行った会計処理の一部に誤りが存在した可能性を認識したことから、当社は、社内調査チームによる事実確認を実施し、2020年12月16日に社内調査チームによる調査結果を開示いたしました。かかる調査により、⑤当社が2020年3月に行った過年度決算訂正において、第31期から第33期の3期間にわたって計上した、納品実体のない取引に関連する立替金約51億円に係る特別損失は、一連の架空循環取引の開始時点である第29期から第33期の期間にわたって負担すべき性質を有するものであったこと、⑥上記納品実体のない取引に関し、当社から複数業者へ流出した資金の一部が当社が売上として計上した取引にかかる役務や物品の提供に充てられていたこと、⑦2020年3月の過年度決算訂正時において納品実体がないと認定した仕入取引の一部について、実在性があったこと等が判明いたしました。
当社は、外部調査委員会及び社内調査チームによる調査結果に基づき、これらの事項について適切な会計処理を行う必要があるとの認識に至ったため、過年度の当社連結財務諸表及び財務諸表を訂正しました。2021年3月期第1四半期までの親会社株主に帰属する当期純利益(純資産)への累計影響額は△13億29百万円となりました。
外部調査委員会による原因分析
当社は、2021年3月18日付「『外部調査委員会調査報告書~ガバナンス・企業文化の観点から~』の受領及び開示版の公表に関するお知らせ」のとおり、外部調査委員会から、外部調査委員会の2020年12月14日付調査報告書において指摘された不正事案等の原因に関する調査結果及び再発防止策の提言を受けました。
外部調査委員会は、不正事案の原因について、以下のように分析しています。
1)内部統制・内部通報・企業文化の視点からの分析
主要な問題点としては、3ラインモデル(組織のリスク管理・統制活動のモデル。一般的に、第1ライン:事業部門、第2ライン:管理部門、第3ライン:内部監査部門、で構成される)のうちの第1ラインについては、営業部門内において、また、営業部門と他部門の間においてチェック機能が欠如していたこと等が挙げられ、第2ラインについては、責任部門や役割の分担が不明確なリスクの管理体制、不十分なリスクモニタリング活動及びコンプライアンス活動が挙げられる。そして、かかる第1ライン及び第2ラインの問題点を生み出した東日本第1事業本部を中心として存在する企業文化については、業績を上げることを過度に重視する価値観、営業担当者個人に責任を集中させるやり方、経営陣と現場の意識の乖離といった問題点が挙げられる。
2)三様監査の視点からの分析
監査役及び内部監査室において不正リスクへの意識が希薄であったこと、内部監査室におけるフォローアップ、能力、被監査部署との関係に問題があったこと、監査役、会計監査人と内部監査室との連携及び経営陣と内部監査室との連携が必ずしも十分でなかったことなどが挙げられる。また、内部監査室の業務の一つである内部統制評価業務の形骸化も確認された。
3)過去調査を踏まえた再発防止策の不徹底という視点からの分析
過去の不正事案の再発防止策は、管理部門が主導して作成されたものであり、「現場を良く知る人間」の関与が不十分であったため、必ずしも現場の実務を反映しておらず、ルールが不足、形骸化していた等の問題点が確認された。
4)ガバナンスの視点からの分析
当社の経営トップをはじめとする経営陣は、リスク管理体制の脆弱性を認識しながら、その是正のための取組を行っておらず、また、過去に会計不正事案が繰り返し発生していたにもかかわらず、コンプライアンスについて役職員に対して強いメッセージを十分に発してこなかったなど、会計不正リスク管理の観点から経営陣の認識や取組について問題なしとはし得なかった。
再発防止策
当社では、2021年5月13日付「再発防止策の追加について」のとおり、外部調査委員会からの提言を受け、2021年4月1日付で刷新した経営体制の下、2020年12月16日付で提出した改善状況報告書に記載の再発防止策を全面的に見直して新たな再発防止策を講じてまいります。今後、組織単位による中長期的な成長を視野に入れた経営体制へとシフトし、以下記載の再発防止策を実行することで内部統制を実効的に機能させ、抜本的な企業統治や企業文化の改革に全社一丸となって取り組むことにより、信頼回復に向け邁進してまいります。
なお、2020年12月16日付で提出した改善状況報告書に記載の再発防止策を強化した施策を[継続的強化策]、問題を繰り返さないという視点から再発防止策を全面的に見直した結果、今回新たに追加する施策を[追加施策]としております。
中期事業計画の推進
当社グループの企業理念は、「ICTの利活用を通じて、社会変革へ貢献する」ことです。ICT市場の変革に対応し、高付加価値を創出するために、「お客様・パートナーの成長」「会社の成長」「社員の成長」を実現します。そして、これら3つの成長を実現するために、以下3つの基本戦略を進めています。
1.注力市場・新モデルの拡大:市場カバレッジの拡張
注力市場として、デジタル化が大きく進展する3つの市場を選定しています。1)大規模病院を対象とした「ヘルスケア」、2)教育委員会や学校を対象とした「スクールシステム」、3)製造工場を対象とした「スマートファクトリー」です。
また、新モデルとして、「所有から利用」への需要の変化を捉えた2つのモデルを選定しています。1)サービス事業者(通信事業者や大手民間企業)と新サービスを共創する「MSP(マネージド・サービス・プロバイダー)の支援」、2)再生品を活用してコスト効率の高いサービスを提供する「リファービッシュメント(再生品)の展開」です。
中期事業計画期間において、注力市場及び新モデルそれぞれで受注高50億円の伸長(合計250億円の伸長)を計画しています。
2022年3月期につきましては、各市場・モデルにおいて、以下の取り組みを進めてまいります。
2.統合サービス事業の加速:サービス比率の拡大
当社グループでは、お客様への活動の全てを、高付加価値を創出するための「統合サービス事業」と定義し、計画・導入・運用・最適化の全てのICTライフサイクルを支援しています。当中期事業計画期間では、サービス比率を50%まで増加させることを計画しています。
2022年3月期につきましては、継続した高付加価値サービスの提供に向けて、ネットワーク・クラウド・セキュリティ・働き方改革等の高品質なICT基盤の導入に加えて、その効果を最大化する「利活用の加速」まで一貫して支援することで、お客様のデジタル化におけるビジネスパートナーの地位確立を図ります。
また、自治体情報セキュリティクラウド等の仕様が共通している案件について、提供ソリューションを統一することで品質向上及び生産性向上を図ります。
3.働き方改革2.0/DXの実践:生産性の向上
当社グループは2010年より、いつでも・どこでも業務が可能な環境を整備してきました。これを「働き方改革1.0」と称しています。これに加えて、全ての業務を見直してシステムと一体化することで、業務のスピードや品質を向上させ、全社の生産性向上に取り組んでいます。これを、「働き方改革2.0/DX」と呼びます。また、「働き方改革2.0/DX」の取り組みを通して得られた成功・失敗の知見をお客様に還元する(netone on netone)ことで、他社が真似できない当社独自の価値の提供に取り組んでいます。
2022年3月期につきましては、働き方改革においては、新しい働き方におけるコラボレーションを加速する、バーチャルとリアルを融合させたオフィスの検討を進めます。また、DXにおいては、再発防止策として、ガバナンス強化機能の追加を優先します。
市場別の要望と取り組み
エンタープライズ市場では、お客様単体ではなくグループ全体でのデジタル化(スマートファクトリーを含む)・セキュリティ強化・クラウド活用・働き方改革への要望が増加しています。通信事業者市場では、法人事業・MSPビジネスにおける、民間企業・公共機関向けのデジタル化・セキュリティ強化ビジネスの支援要望が増加しています。パブリック市場では、全国的に自治体情報セキュリティクラウドやセキュリティ強靭化システムの更新需要が高まっています。そして、パートナー事業では、協業ビジネス・MSPビジネスにおいて当社ソリューションへの期待が高まっています。
当社グループは、統合サービス事業の各種ソリューションによって、これらの要望に対応します。そして、それらソリューションの統一化によって高品質かつコスト効率の高いシステムを実現します。
また、各市場共通の取り組みとして、新型コロナウイルス感染症の影響が続く状況において、当社グループの働き方改革のノウハウの提供とともにテレワーク環境・セキュリティ対策の実装を進めることで、お客様の事業継続に貢献します。
(6)利益配分に関する基本方針
当社は、企業価値の向上による株主利益の増大を目指すとともに、経営基盤の拡充と成長力の源泉である株主資本の充実を図り、長期にわたり安定的かつ業績を適切に反映した利益還元を行っていくことを基本方針とします。
この基本方針のもと、配当性向は、連結配当性向40%を目安に、業績推移や財務状況、中期事業計画の進捗等を総合的に勘案して決定します。
また、内部留保金については、中長期的な事業拡大のための投資やM&A、人財投資などの成長投資のほか、機動的な資本政策の一環として自己株式の取得等に活用します。
(1)企業理念
「ICTの利活用を通じて、社会変革へ貢献する。」を企業理念として、当社グループは、「すべてのステークホルダーから信頼され支持される企業(アドマイヤード・カンパニー)になること」を目指しています。お客様、パートナー、株主様、社員への責任を果たし、誠実と信頼(Integrity & Trust)を信条とし、常に社会や地球の持続可能な発展のために行動してまいります。自己の判断ではなく第三者のステークホルダーの皆様から、真のアドマイヤード・カンパニーとして評価を頂けるよう、不断の努力と研鑽を続けてまいります。
(2)経営方針
当社グループでは、企業理念のもと、健全なガバナンス体制による「継続した成長」と「顧客満足度の向上」を最大の目標としています。その実現のため、当社グループの活動全てを「統合サービス事業」と定義し、顧客のICT基盤を全フェーズで支援します。この事業の加速に向けて、組織体制及び基盤システムの強化、人財育成に取り組みます。
(3)経営環境
近年のデジタル化の加速と今般の新型コロナウイルス感染症の拡大によって、当社グループが所属するICT(情報通信技術)市場は大きな変革期を迎えています。お客様の多くは、新事業の創出や既存事業の効率化による「事業の成長」と、テレワークに代表される働き方の抜本的な見直しによる「事業の継続」の双方を実現するために、ICTの利活用を拡大しています。
このような市場環境で当社グループが継続して成長するためには、高付加価値の創出、即ちネットワーク・クラウド・セキュリティ・働き方改革等の高品質なICT基盤の導入に加えて、それらの効果を最大化する「利活用の加速」までを一貫して支援することで、明確な投資対効果をお客様にお届けすることが必要です。
(4)目標とする経営指標
上記の経営方針による付加価値の提供が継続的な成長を可能にするものと判断して、その経営成果の指標としては「営業利益率の改善」(10~12%)及び「売上高成長率の向上」(5~10%)を掲げております。
そして、中期的な目標として、2020年3月期~2022年3月期の3年間を対象期間とした中期事業計画(後述)にて、2022年3月期に、売上高2,200億円、営業利益210億円、営業利益率9.5%、サービス比率50.0%、ROE16.8%を目指すことを定めました。
これらの目標に対して、2021年4月27日に、2022年3月期業績見通しとして、売上高2,090億円、営業利益220億円、営業利益率10.5%、サービス比率45.0%、ROE19.2%と公表しており、営業利益・営業利益率・ROEにおいて、中期事業計画の目標を達成する見通しとしております。
(注)上記の業績見通しは、当社が現時点で合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績と大きく異なることがあります。実際の業績に影響を与える重要な要素としては、①当社を取り巻く経済情勢・需要動向などの変化、②為替相場の急激な変動などです。但し、業績に影響を与える要素はこれらに限定されるものではありません。
(5)対処すべき課題及び事業戦略
当社グループは、不正事案の再発防止を最重要課題とするとともに、継続して中期事業計画に沿った事業成長を図ってまいります。
不正事案の再発防止
当社は、2019年11月に東京国税局による指摘を端緒に、同年12月13日から2020年3月11日まで特別調査委員会による調査を実施し、同月12日に特別調査委員会の「納品実体のない取引に関する調査最終報告書」を開示しました。
その後、外部機関からの指摘があり、当社元従業員による資金流用の疑義を認識したため、当社とは利害関係を有しない外部の弁護士及び公認会計士で構成される外部調査委員会を設置し、調査を進めてまいりました。当社は、2020年12月16日及び2021年3月18日に外部調査委員会の調査報告書を開示いたしました。かかる調査により、①当社の元従業員が、仕入先との間の架空取引又は水増し取引を利用して、当社の資金を不正に流用したこと、②当社の従業員及び元従業員が、リース会社又は仕入先に「リスク費」を保留し、原価付替を行っていたこと、③当社の元従業員が、複合取引において原価付替を行っていたこと、④内部監査室の実施する財務報告に係る内部統制の評価業務において不適切なサンプリングが行われていたことが判明いたしました。
また、2021年3月期第2四半期決算準備の過程において、外部機関の指摘により、上記納品実体のない取引に関して行った会計処理の一部に誤りが存在した可能性を認識したことから、当社は、社内調査チームによる事実確認を実施し、2020年12月16日に社内調査チームによる調査結果を開示いたしました。かかる調査により、⑤当社が2020年3月に行った過年度決算訂正において、第31期から第33期の3期間にわたって計上した、納品実体のない取引に関連する立替金約51億円に係る特別損失は、一連の架空循環取引の開始時点である第29期から第33期の期間にわたって負担すべき性質を有するものであったこと、⑥上記納品実体のない取引に関し、当社から複数業者へ流出した資金の一部が当社が売上として計上した取引にかかる役務や物品の提供に充てられていたこと、⑦2020年3月の過年度決算訂正時において納品実体がないと認定した仕入取引の一部について、実在性があったこと等が判明いたしました。
当社は、外部調査委員会及び社内調査チームによる調査結果に基づき、これらの事項について適切な会計処理を行う必要があるとの認識に至ったため、過年度の当社連結財務諸表及び財務諸表を訂正しました。2021年3月期第1四半期までの親会社株主に帰属する当期純利益(純資産)への累計影響額は△13億29百万円となりました。
外部調査委員会による原因分析
当社は、2021年3月18日付「『外部調査委員会調査報告書~ガバナンス・企業文化の観点から~』の受領及び開示版の公表に関するお知らせ」のとおり、外部調査委員会から、外部調査委員会の2020年12月14日付調査報告書において指摘された不正事案等の原因に関する調査結果及び再発防止策の提言を受けました。
外部調査委員会は、不正事案の原因について、以下のように分析しています。
1)内部統制・内部通報・企業文化の視点からの分析
主要な問題点としては、3ラインモデル(組織のリスク管理・統制活動のモデル。一般的に、第1ライン:事業部門、第2ライン:管理部門、第3ライン:内部監査部門、で構成される)のうちの第1ラインについては、営業部門内において、また、営業部門と他部門の間においてチェック機能が欠如していたこと等が挙げられ、第2ラインについては、責任部門や役割の分担が不明確なリスクの管理体制、不十分なリスクモニタリング活動及びコンプライアンス活動が挙げられる。そして、かかる第1ライン及び第2ラインの問題点を生み出した東日本第1事業本部を中心として存在する企業文化については、業績を上げることを過度に重視する価値観、営業担当者個人に責任を集中させるやり方、経営陣と現場の意識の乖離といった問題点が挙げられる。
2)三様監査の視点からの分析
監査役及び内部監査室において不正リスクへの意識が希薄であったこと、内部監査室におけるフォローアップ、能力、被監査部署との関係に問題があったこと、監査役、会計監査人と内部監査室との連携及び経営陣と内部監査室との連携が必ずしも十分でなかったことなどが挙げられる。また、内部監査室の業務の一つである内部統制評価業務の形骸化も確認された。
3)過去調査を踏まえた再発防止策の不徹底という視点からの分析
過去の不正事案の再発防止策は、管理部門が主導して作成されたものであり、「現場を良く知る人間」の関与が不十分であったため、必ずしも現場の実務を反映しておらず、ルールが不足、形骸化していた等の問題点が確認された。
4)ガバナンスの視点からの分析
当社の経営トップをはじめとする経営陣は、リスク管理体制の脆弱性を認識しながら、その是正のための取組を行っておらず、また、過去に会計不正事案が繰り返し発生していたにもかかわらず、コンプライアンスについて役職員に対して強いメッセージを十分に発してこなかったなど、会計不正リスク管理の観点から経営陣の認識や取組について問題なしとはし得なかった。
再発防止策
当社では、2021年5月13日付「再発防止策の追加について」のとおり、外部調査委員会からの提言を受け、2021年4月1日付で刷新した経営体制の下、2020年12月16日付で提出した改善状況報告書に記載の再発防止策を全面的に見直して新たな再発防止策を講じてまいります。今後、組織単位による中長期的な成長を視野に入れた経営体制へとシフトし、以下記載の再発防止策を実行することで内部統制を実効的に機能させ、抜本的な企業統治や企業文化の改革に全社一丸となって取り組むことにより、信頼回復に向け邁進してまいります。
なお、2020年12月16日付で提出した改善状況報告書に記載の再発防止策を強化した施策を[継続的強化策]、問題を繰り返さないという視点から再発防止策を全面的に見直した結果、今回新たに追加する施策を[追加施策]としております。
| 再発防止策 | |||
| 1.ガバナンスの改革と推進 | |||
| [継続的強化策] | |||
| (1) | 経営陣が自ら意識改革をし、企業文化の改革を推進する | a | コンプライアンス活動宣言及びその実施 |
| b | コンプライアンス教育の実施 | ||
| c | コンプライアンス室の設置 | ||
| d | 上場会社における取締役の役割と責任等に係る取締役研修の実施 | ||
| e | ガバナンスを司る会議体に関する変更 | ||
| f | 内部監査結果の報告体制の整備 | ||
| (2) | 組織体制の在り方について抜本的な見直しを行う | a | 3ラインに係る組織体制の見直し |
| b | 営業部門・技術部門における業務内容・牽制機能の明確化 | ||
| c | 購買部及び管理部門における業務内容・牽制機能の明確化 | ||
| d | 明確化した各部門の業務内容・牽制機能の実効性の確保 | ||
| e | 従業員に対する各部門の役割の理解促進の機会の設定 | ||
| f | 役員・執行役員の管掌部門の見直し | ||
| g | 人員配置の見直し | ||
| (3) | 従業員へのメッセージの頻度・質の強化によるコンプライアンス意識の向上 | a | 従業員へのメッセージ発信の頻度・質の強化 |
| (4) | 業務を執行する現場と経営陣との乖離を埋めるコミュニケーションの強化 | a | 取締役と執行役員のコミュニケーション強化 |
| b | コンプライアンス教育の実施等を通じたコミュニケーション強化 | ||
| c | コミュニケーション促進のための職場環境づくり | ||
| d | 中間管理層に対する役割意識の教育 | ||
| e | ボトムアップでの課題認識及び課題解決 | ||
| 再発防止策 | |||
| [追加施策] | |||
| (5) | 取締役会による監督強化・ハンズオン | a | 内部監査室による取締役会及び経営委員会に対する再発防止策の実施状況の内部監査結果の報告 |
| b | 執行役員による各担当部署の日常的モニタリングの実施 | ||
| c | 取締役による重要な委員会活動のハンズオン | ||
| d | 取締役による重要会議の資料等へのアクセス体制の構築 | ||
| e | 取締役会の運営方法の見直し | ||
| f | 取締役のスキル・マトリックスの開示 | ||
| g | 取締役会の運営に係る社内体制の再構築 | ||
| (6) | 社外役員(諮問委員会も含む)による監督・監査強化 | a | 社外役員による重要会議の資料等へのアクセス体制の構築 |
| b | 社外役員と内部監査室との連携強化 | ||
| c | 役員間の情報共有の充実 | ||
| d | 社外役員による監督・監査強化のための取締役会の運営方法の見直し | ||
| e | 株主との対話 | ||
| (7) | コンプライアンスに関する資質・能力を有する取締役候補者及び執行役員の選任 | a | 取締役候補者及び執行役員の選任基準の見直し |
| 2.リスク管理体制の強化 | |||
| [継続的強化策] | |||
| (1) | リスクオーナーとしての第1ラインの自覚の醸成・第1ラインへの牽制支援を担う第2ラインとしての意識改革 | a | 第1ラインの自覚の醸成及び第2ラインとしての意識改革 |
| (2) | リスク管理委員会による網羅的かつ主体的マネジメント能力の強化 | a | 不正リスクに対する組織体制及び運用方法の設計 |
| b | リスク調査シートによるリスク管理強化 | ||
| c | リスク管理委員会へのリスク情報の集約 | ||
| d | 顕在化したリスクの社内共有 | ||
| e | 内部統制強化協議会との連携 | ||
| (3) | リスク管理室の体制の強化 | a | 専任のリスク管理室長の任命 |
| (4) | リスク管理委員会及びコンプライアンス委員会等への外部有識者の参画 | a | リスク管理委員会及びコンプライアンス委員会等への外部有識者の参画 |
| [追加施策] | |||
| (5) | 有事対応への備え(クライシスマネジメント) | a | 有事対応マニュアルの整備 |
| 再発防止策 | |||
| 3.業務執行(第1ライン・第1.5ライン、第2ライン)に係る体制及び社内体制の強化 | |||
| [継続的強化策] | |||
| (1) | 第1ライン及び第1.5ラインにおける営業部門に対する牽制の強化 | a | 営業部門と技術部門及び購買部との間の情報の共有化 |
| b | 販売及び購買プロセスに関する規程の見直し | ||
| (2) | 第2ラインにおける管理部門間の連携強化及びチェック・フォローアップ体制の整備・強化による健全な牽制・支援体制 | a | 管理部門間の意見交換の場の設定 |
| b | 財務経理部によるチェック体制の整備 | ||
| (3) | 原価管理体制の強化(予算管理ルールの再考等) | a | 財務経理部による案件単位での検証 |
| b | 原価付替防止のための原価管理策の導入 | ||
| c | 追加原価の申請ルールの再考 | ||
| d | 取引の妥当性について審査する仕組みの導入 | ||
| 4.監査体制の抜本的な見直し | |||
| [継続的強化策] | |||
| (1) | 内部監査室の体制強化・人員構成の変更・権限強化 | a | 内部監査室の人員構成の変更、資格の推奨及び取得サポートの導入 |
| b | 内部監査機能の強化 | ||
| c | 内部監査に係る研修の実施・参加 | ||
| d | 営業部門全体での不備ゼロ運動の横断的実施とその実施状況のフォロー・検証等 | ||
| e | 内部監査への協力義務を社内規程に明記 | ||
| f | 内部監査室の役割の見直し | ||
| [追加施策] | |||
| (2) | 内部監査室のキャリアパス化(部署としての地位・役割向上) | a | 内部監査室のキャリアパス化 |
| (3) | J-SOX業務の抜本的見直し | a | J-SOX統制文書の見直し |
| b | J-SOX評価の見直し | ||
| c | J-SOXの管理部門の明確化 | ||
| d | J-SOXに係る研修等の実施 | ||
| (4) | 監査役の体制強化 | a | 取締役との定期的な意見交換 |
| b | 内部監査室との定期的な意見交換 | ||
| c | 不正事案等に係る研修への参加 | ||
| d | 監査役に会計リテラシーが高い者を起用 | ||
| (5) | 内部監査室と会計監査人の連携強化 | a | 内部監査室と会計監査人との連携強化 |
| 5.従業員の声を集める仕組み | |||
| [継続的強化策] | |||
| (1) | 内部通報制度に対する信頼の醸成 | a | 内部通報規程の整備及び内部通報制度の周知・教育活動 |
| [追加施策] | |||
| (2) | 第三者を窓口とした目安箱 | a | 第三者を窓口とした目安箱 |
| 再発防止策 | |||
| 6.組織文化の改革・形成 | |||
| [継続的強化策] | |||
| (1) | コンプライアンスの強化を目的とした人事制度改革 | a | 営業個人インセンティブルールの廃止 |
| b | コンプライアンスの状況を盛り込んだ人事評価制度及びコンプライアンス意識の浸透度の確認 | ||
| (2) | 会社としての一体感に関連する企業文化改革 | a | 企業文化改革委員会の発足 |
| b | 経営ビジョン・行動指針の見直し | ||
| c | ビジョンブック作成・電子掲示板での特設サイト設置 | ||
| d | ビジョンウィークの企画、実行計画の策定 | ||
| e | 行動指針に基づく行動宣言の策定と浸透 | ||
| (3) | 当事者意識の醸成・他人事文化の打破 | a | 人事ローテーションの確立 |
| 7.会計リテラシー教育及び過去不祥事からの学び・啓蒙 | |||
| [追加施策] | |||
| (1) | 会計リテラシーの向上・会計知識教育 | a | 会計リテラシーの向上・会計知識教育 |
| b | 自社及び他社の不正事例の事例研究会 | ||
| (2) | 過去不祥事からの学び・啓蒙 | a | 過去不祥事の全従業員に対する周知活動 |
| (3) | 日々の失敗事例(ヒヤリハット)からの学び | a | 失敗事例からの学び |
| 8.モニタリング体制の継続 | |||
| [追加施策] | |||
| (1) | 「内部統制強化協議会」による全社横断的かつ継続的な再発防止策の推進 | a | 内部統制強化協議会による再発防止策の推進 |
| (2) | 不正等(会計不正に限らない)の有無に係る、内部監査室による内部監査とは別個の定期的な調査の実施 | a | 内部監査以外の定期的な調査 |
中期事業計画の推進
当社グループの企業理念は、「ICTの利活用を通じて、社会変革へ貢献する」ことです。ICT市場の変革に対応し、高付加価値を創出するために、「お客様・パートナーの成長」「会社の成長」「社員の成長」を実現します。そして、これら3つの成長を実現するために、以下3つの基本戦略を進めています。
1.注力市場・新モデルの拡大:市場カバレッジの拡張
注力市場として、デジタル化が大きく進展する3つの市場を選定しています。1)大規模病院を対象とした「ヘルスケア」、2)教育委員会や学校を対象とした「スクールシステム」、3)製造工場を対象とした「スマートファクトリー」です。
また、新モデルとして、「所有から利用」への需要の変化を捉えた2つのモデルを選定しています。1)サービス事業者(通信事業者や大手民間企業)と新サービスを共創する「MSP(マネージド・サービス・プロバイダー)の支援」、2)再生品を活用してコスト効率の高いサービスを提供する「リファービッシュメント(再生品)の展開」です。
中期事業計画期間において、注力市場及び新モデルそれぞれで受注高50億円の伸長(合計250億円の伸長)を計画しています。
2022年3月期につきましては、各市場・モデルにおいて、以下の取り組みを進めてまいります。
| 項目 | 名称 | 2022年3月期の市場想定と取り組み |
| 注力市場 | ヘルスケア | ●徐々に投資回復を想定 ●働き方改革・遠隔医療・クラウド活用・院内セキュリティ等のデジタル化を提案 |
| スクールシステム | ●GIGAスクール案件は反動減を想定 ●一方で、児童・生徒の持ち帰り学習支援、教職員の働き方改革、運用サービスを加速 | |
| スマートファクトリー | ●見込み案件の堅調な増加を想定 ●継続してエッジクラウド、セキュリティ、運用高度化、ローカル5Gを推進 | |
| 新モデル | MSP(マネージド・サービス・プロバイダー)への支援 | ●デジタル化やグループ全体のセキュリティを中心に、通信事業者やパートナー企業とのサービス共創を加速 |
| リファービッシュメント(再生品)の展開 | ●需要の高い通信事業者向けの第三者保守サービスの拡大 ●ネットワーク機器に加えて、サーバ等まで取り扱い品目を拡大 |
2.統合サービス事業の加速:サービス比率の拡大
当社グループでは、お客様への活動の全てを、高付加価値を創出するための「統合サービス事業」と定義し、計画・導入・運用・最適化の全てのICTライフサイクルを支援しています。当中期事業計画期間では、サービス比率を50%まで増加させることを計画しています。
2022年3月期につきましては、継続した高付加価値サービスの提供に向けて、ネットワーク・クラウド・セキュリティ・働き方改革等の高品質なICT基盤の導入に加えて、その効果を最大化する「利活用の加速」まで一貫して支援することで、お客様のデジタル化におけるビジネスパートナーの地位確立を図ります。
また、自治体情報セキュリティクラウド等の仕様が共通している案件について、提供ソリューションを統一することで品質向上及び生産性向上を図ります。
3.働き方改革2.0/DXの実践:生産性の向上
当社グループは2010年より、いつでも・どこでも業務が可能な環境を整備してきました。これを「働き方改革1.0」と称しています。これに加えて、全ての業務を見直してシステムと一体化することで、業務のスピードや品質を向上させ、全社の生産性向上に取り組んでいます。これを、「働き方改革2.0/DX」と呼びます。また、「働き方改革2.0/DX」の取り組みを通して得られた成功・失敗の知見をお客様に還元する(netone on netone)ことで、他社が真似できない当社独自の価値の提供に取り組んでいます。
2022年3月期につきましては、働き方改革においては、新しい働き方におけるコラボレーションを加速する、バーチャルとリアルを融合させたオフィスの検討を進めます。また、DXにおいては、再発防止策として、ガバナンス強化機能の追加を優先します。
市場別の要望と取り組み
エンタープライズ市場では、お客様単体ではなくグループ全体でのデジタル化(スマートファクトリーを含む)・セキュリティ強化・クラウド活用・働き方改革への要望が増加しています。通信事業者市場では、法人事業・MSPビジネスにおける、民間企業・公共機関向けのデジタル化・セキュリティ強化ビジネスの支援要望が増加しています。パブリック市場では、全国的に自治体情報セキュリティクラウドやセキュリティ強靭化システムの更新需要が高まっています。そして、パートナー事業では、協業ビジネス・MSPビジネスにおいて当社ソリューションへの期待が高まっています。
当社グループは、統合サービス事業の各種ソリューションによって、これらの要望に対応します。そして、それらソリューションの統一化によって高品質かつコスト効率の高いシステムを実現します。
また、各市場共通の取り組みとして、新型コロナウイルス感染症の影響が続く状況において、当社グループの働き方改革のノウハウの提供とともにテレワーク環境・セキュリティ対策の実装を進めることで、お客様の事業継続に貢献します。
(6)利益配分に関する基本方針
当社は、企業価値の向上による株主利益の増大を目指すとともに、経営基盤の拡充と成長力の源泉である株主資本の充実を図り、長期にわたり安定的かつ業績を適切に反映した利益還元を行っていくことを基本方針とします。
この基本方針のもと、配当性向は、連結配当性向40%を目安に、業績推移や財務状況、中期事業計画の進捗等を総合的に勘案して決定します。
また、内部留保金については、中長期的な事業拡大のための投資やM&A、人財投資などの成長投資のほか、機動的な資本政策の一環として自己株式の取得等に活用します。