有価証券報告書-第36期(令和1年11月1日-令和2年10月31日)
(業績等の概要)
(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、当初は堅調な企業収益や雇用環境の改善により緩やかな回復基調で推移しておりましたが、感染症の世界的流行の影響により経済活動が急速に悪化しました。また、海外においても感染症の拡大が続いており、収束の見通しが立たないことから、各国において経済見通しの下方修正が続くなど世界経済の減速懸念が増大しています。
このような環境のもと、当社グループは、グループ理念「時代に応える、時代を先取る快適さを実現する。」に向けて、人(会員)・クルマ(モビリティ)・街(目的地)・駐車場の4つのネットワークの拡大を推進し、これらをシームレスにつなぐ新たなサービスの創出に取り組んでおりますが、感染症の影響により大変厳しい経営環境となりました。
当社グループでは、感染症に対して、「お客様の安全を守る」「社員の安全を守る」そして「交通インフラサービス企業としての使命を果たす」の方針に基づいて事業継続のための取り組みを実施しております。その上で、可能な限り各事業の拡大はしつつも、原価及び販管費については最大限グループ内費用の見直しを実施、不要不急の投資は抑制する等、業績回復に向けた取り組みを実施いたしました。
営業概況といたしましては、第1四半期連結会計期間は堅調に推移していたものの、第2四半期連結会計期間から感染症拡大防止のために人の移動が顕著に減少し、各事業のサービス稼働に大きく影響を及ぼしたことにより売上高が減少しましたが、第3四半期連結会計期間には底を打ち、徐々に回復しました。第4四半期連結会計期間におきましては、サービスの稼働は新規感染者数の増減に多分に影響を受けたものの、各事業ともに第3四半期連結会計期間より回復しました。
また、世界的に感染症の収束の見通しが立たない状況を踏まえ、豪州及び英国の将来計画を見直したことにより、のれん及びその他事業資産の減損損失を計上いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の当社グループ業績は、売上高は2,689億4百万円(前期比15.3%減)、営業損失は146億98百万円(前期営業利益223億22百万円)、経常損失は151億68百万円(前期経常利益215億66百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は466億52百万円(前期親会社株主に帰属する当期純利益123億48百万円)となりました。
報告セグメントごとの業績は次のとおりであります。
①駐車場事業国内
2019年の消費増税対応として行った駐車料金の変更は順調に進捗し、売上高も堅調に推移しておりましたが、2月頃から感染症拡大防止のための外出自粛や企業の営業活動縮小が駐車場の稼働に影響を及ぼし始め、4月に発出された政府の緊急事態宣言以降はその影響がさらに強くなりました。その後、5月下旬の緊急事態宣言の解除から6月下旬にかけて人の移動は順調に回復し、駐車場の稼働も回復基調となりましたが、7-8月は新規感染者数が全国的に急増したことに伴い各自治体が警戒レベルを引き上げ、移動自粛要請を行った影響等により回復ペースが若干鈍化しました。9-10月は新規感染者数の大きな増減がなかったことから交通量は安定して回復、これに伴って駐車場の稼働も緩やかに回復いたしました。
感染症拡大の影響によって売上高は落ち込みましたが、不採算物件への対応をはじめ、管理・メンテナンスの見直しや人件費の抑制等、可能な限りのコストの抑制を行うことで収益の確保に努めました。新規開発については、このような状況においても収益化が可能な物件に絞って開発を進めた一方で、不採算物件の解約も一定数発生しました。
この結果、国内のタイムズパーキングの運営件数は18,914件(前連結会計年度末比100.0%)、運営台数は592,225台(同98.0%)、月極駐車場及び管理受託駐車場を含めた国内の総運営件数は20,353件(同100.1%)、総運営台数は746,033台(同98.7%)となり、当事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は1,552億16百万円(前期比6.5%減)、営業利益は152億76百万円(同44.0%減)となりました。なお、当連結会計年度より、当社の子会社であるタイムズ24株式会社から同じく子会社であるタイムズモビリティ株式会社へカーシェアリングサービスを移管したことに伴い、駐車場事業国内とモビリティ事業において、新たにセグメント間の内部取引が発生しております。
②駐車場事業海外
当社グループの展開国における感染症拡大の影響は、2月頃からアジア圏(シンガポール、マレーシア、台湾、韓国)で、3月頃からオセアニア及び欧州(豪州・ニュージーランド、英国)で受け始め、一部の国で政府から強制力の強いロックダウンや行動制限が発令されたことにより駐車場の稼働は低下しましたが、5月以降は段階的な行動制限の緩和に伴い徐々に回復いたしました。しかしながら、7月以降は豪州と英国の一部地域で新規感染者数が増加したことに伴い地域ごとにロックダウンや行動制限が再度発令されたことにより、改善幅は緩やかになり、特に豪州では回復が鈍化しました。一方でアジア圏は、新規感染者数の動向による影響は受けながらも、各国ともに4-5月を底に堅調な回復を示しました。
海外においては、国内以上に感染症拡大の影響を受けていることから、大きく売上高が落ち込みました。そのため、不採算物件の賃料交渉を積極的に行うと同時に、有人管理物件の無人化をはじめとする管理・メンテナンスの効率化や人件費の抑制等のコスト削減及びコスト抑制を積極的に行いました。
この結果、当連結会計年度末における海外の駐車場の総運営件数は2,834件(前連結会計年度末比107.7%)、総運営台数は696,495台(同104.6%)、日本を含む全世界における駐車場の総運営件数は23,187件(同101.0%)、総運営台数は1,442,528台(同101.5%)、当事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は451億69百万円(前期比31.5%減)、営業損失は144億6百万円(前期営業損失9億92百万円)となりました。
※当連結会計年度における海外各国の連結対象期間は2019年10月1日~2020年9月30日であります。
③モビリティ事業
感染症拡大の影響は、レンタカーサービスについては1月下旬から海外からの入国制限に伴うインバウンド需要の大幅な低下に加え、国内の旅行観光需要を低下させ、カーシェアリングサービスについては2月頃から移動の自粛等を引き起こし、いずれのサービスも利用件数が大きく落ち込みましたが、5月を底に回復基調となりました。特に、レンタカーは利用件数の減少が著しかったため、需要に合わせて保有車両台数の適正化を図りました。一方で、カーシェアリングは日常生活の中で手軽に利用できるモビリティサービスとして順調に成長しており、コロナ禍においては、不特定多数との接触がなく、密を回避できる移動手段として認識されはじめたことにより、さらにその需要が高まっております。そのため、会員数は感染症拡大前より増加幅が大きく、利用件数も順調に伸長しており、7月以降の利用料における売上高前年同月比及び1台当たり売上高前年同月比は100%を超える水準を継続しました。
さらに、今期から本格的に始動した新しいモビリティサービス「タイムズカー」(レンタカーとカーシェアを融合したサービス)をより強力に推進し、コストを抑制すると同時に車両の稼働を効率的に上げる取り組みを行っております。
この結果、当連結会計年度末におけるモビリティ車両台数は前連結会計年度末比77.7%の44,841台となり、当事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は734億84百万円(前期比14.4%減)、営業損失は25億95百万円(前期営業利益91億12百万円)となりました。なお、カーシェアリングサービスに関しては、当社の子会社であるタイムズ24株式会社から同じく子会社であるタイムズモビリティ株式会社へ移管したことに伴い、駐車場事業国内とモビリティ事業において、新たにセグメント間の内部取引が発生しております。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べて306億4百万円増加し、552億69百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られたキャッシュ・フローは、394億円(前連結会計年度末比62億94百万円の減少)となりました。主な内訳といたしましては、減価償却費、減損損失、のれん償却額を加えた税金等調整前当期純利益226億73百万円、たな卸資産の減少112億50百万円、未払金及び未払費用の増加62億18百万円等に対し、法人税等の支払額46億59百万円があったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用したキャッシュ・フローは、218億19百万円(同276億34百万円の支出の減少)となりました。これは主として、タイムズパーキングの開設、営業車両の取得に伴う有形固定資産の取得による支出177億88百万円、長期前払費用の取得による支出22億10百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、128億86百万円の資金の調達(同136億68百万円の調達の増加)となりました。これは、長期借入れによる収入292億86百万円、短期借入金の純増額167億49百万円があった一方で、リース債務の返済による支出136億69百万円、配当金の支払額108億19百万円があったことなどによるものです。
(受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当社グループは、国内と海外における駐車場事業及びモビリティ事業を行っており、生産実績として表示すべき適当な指標はありません。これにかえて、セグメントの売上高及び事業規模と比較的関連性が強いと認められる国内及び海外における駐車場数・駐車能力(駐車台数)及び営業所数・車両数(台数)を次のとおり示しております。
(注)この内、カーシェア車両は27,033台(前連結会計年度末比0.2%減)であります。
(2) 販売実績
セグメントごとにおける販売実績は以下のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 記載の金額には消費税等は含まれておりません。
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。また、連結財務諸表の作成にあたっては、固定資産の減損、繰延税金資産の計上等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。これらの見積りは、過去の実績や当該事象の状況を勘案して、合理的と考えられる方法に基づき行い、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性によって異なる場合があります。
なお、感染症の今後の拡大や収束時期を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、 帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しておりますが、事業計画や経営環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産については、将来の事業計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について計上しております。なお、当該課税所得を見積るにあたって前提とした条件や仮定に変更が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
(売上高と営業利益)
当連結会計年度の売上高は前期比485億34百万円減少の2,689億4百万円(前期比15.3%減)、営業損失は146億98百万円(前期営業利益223億22百万円)となりました。
これは、感染症拡大により展開国の一部の国で政府から強制力の強いロックダウンや行動制限が発令されたことによる駐車場の稼働の低下、レンタカーサービスにおけるインバウンド需要や国内の旅行観光需要の減少を主な要因とするものです。売上高及び営業損失の内訳は「(業績等の概要) (1)業績」をご参照下さい。
(営業外損益と経常利益)
営業外収益は前期比27億82百万円増加し34億41百万円、営業外費用は同24億96百万円増加し39億11百万円となりました。助成金収入が増加し、支払利息と減価償却費が増加しました。
この結果、経常損失は151億68百万円(前期経常利益215億66百万円)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
税金等調整前当期純損失は491億92百万円(前期税金等調整前当期純利益193億45百万円)となりました。特別損失で連結子会社であるMEIF Ⅱ CP Holdings 2 Limited(英国)とSecure Parking Pty Ltd(豪州・ニュージーランド)等におけるのれん及びその他事業資産の減損損失を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は466億52百万円(前期親会社株主に帰属する当期純利益123億48百万円)となりました。
(3) 財務状態の分析
(資産)
総資産は、前連結会計年度末比26億78百万円増加して2,957億75百万円となりました。主な増減といたしましては、増加で現金及び預金を含む流動資産が266億49百万円、使用権資産が268億34百万円、減少で機械装置及び運搬具が174億93百万円、リース資産が33億85百万円、のれんが205億85百万円、契約関連無形資産が50億62百万円等となっております。
(負債)
負債合計は、同623億24百万円増加し、2,646億29百万円となりました。主な増加といたしましては、増加でリース債務が281億3百万円、長・短期借入金が377億35百万円となり、減少で未払法人税等が26億74百万円となっております。
(純資産)
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上による減少466億52百万円、利益剰余金の配当による減少108億11百万円、為替換算調整勘定の増加13億3百万円等により、同596億45百万円減少し、311億46百万円となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況は、「(業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(5) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業活動に必要な資金を営業活動によるキャッシュ・フローの他、金融機関からの借入金や新株予約権付社債により調達しておりましたが、感染症拡大の影響により純資産を大きく毀損した為、成長投資の長期性資金の確保をすると同時に財務健全性の維持・向上を目的に2020年12月に500億円の劣後特約付シンジケートローンを実行しております(「(重要な後発事象) 多額な資金の借入」をご参照ください。)。この資金の運用については、車両やIT投資の資金需要に対して充当してまいります。
(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、当初は堅調な企業収益や雇用環境の改善により緩やかな回復基調で推移しておりましたが、感染症の世界的流行の影響により経済活動が急速に悪化しました。また、海外においても感染症の拡大が続いており、収束の見通しが立たないことから、各国において経済見通しの下方修正が続くなど世界経済の減速懸念が増大しています。
このような環境のもと、当社グループは、グループ理念「時代に応える、時代を先取る快適さを実現する。」に向けて、人(会員)・クルマ(モビリティ)・街(目的地)・駐車場の4つのネットワークの拡大を推進し、これらをシームレスにつなぐ新たなサービスの創出に取り組んでおりますが、感染症の影響により大変厳しい経営環境となりました。
当社グループでは、感染症に対して、「お客様の安全を守る」「社員の安全を守る」そして「交通インフラサービス企業としての使命を果たす」の方針に基づいて事業継続のための取り組みを実施しております。その上で、可能な限り各事業の拡大はしつつも、原価及び販管費については最大限グループ内費用の見直しを実施、不要不急の投資は抑制する等、業績回復に向けた取り組みを実施いたしました。
営業概況といたしましては、第1四半期連結会計期間は堅調に推移していたものの、第2四半期連結会計期間から感染症拡大防止のために人の移動が顕著に減少し、各事業のサービス稼働に大きく影響を及ぼしたことにより売上高が減少しましたが、第3四半期連結会計期間には底を打ち、徐々に回復しました。第4四半期連結会計期間におきましては、サービスの稼働は新規感染者数の増減に多分に影響を受けたものの、各事業ともに第3四半期連結会計期間より回復しました。
また、世界的に感染症の収束の見通しが立たない状況を踏まえ、豪州及び英国の将来計画を見直したことにより、のれん及びその他事業資産の減損損失を計上いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の当社グループ業績は、売上高は2,689億4百万円(前期比15.3%減)、営業損失は146億98百万円(前期営業利益223億22百万円)、経常損失は151億68百万円(前期経常利益215億66百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は466億52百万円(前期親会社株主に帰属する当期純利益123億48百万円)となりました。
報告セグメントごとの業績は次のとおりであります。
①駐車場事業国内
2019年の消費増税対応として行った駐車料金の変更は順調に進捗し、売上高も堅調に推移しておりましたが、2月頃から感染症拡大防止のための外出自粛や企業の営業活動縮小が駐車場の稼働に影響を及ぼし始め、4月に発出された政府の緊急事態宣言以降はその影響がさらに強くなりました。その後、5月下旬の緊急事態宣言の解除から6月下旬にかけて人の移動は順調に回復し、駐車場の稼働も回復基調となりましたが、7-8月は新規感染者数が全国的に急増したことに伴い各自治体が警戒レベルを引き上げ、移動自粛要請を行った影響等により回復ペースが若干鈍化しました。9-10月は新規感染者数の大きな増減がなかったことから交通量は安定して回復、これに伴って駐車場の稼働も緩やかに回復いたしました。
感染症拡大の影響によって売上高は落ち込みましたが、不採算物件への対応をはじめ、管理・メンテナンスの見直しや人件費の抑制等、可能な限りのコストの抑制を行うことで収益の確保に努めました。新規開発については、このような状況においても収益化が可能な物件に絞って開発を進めた一方で、不採算物件の解約も一定数発生しました。
この結果、国内のタイムズパーキングの運営件数は18,914件(前連結会計年度末比100.0%)、運営台数は592,225台(同98.0%)、月極駐車場及び管理受託駐車場を含めた国内の総運営件数は20,353件(同100.1%)、総運営台数は746,033台(同98.7%)となり、当事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は1,552億16百万円(前期比6.5%減)、営業利益は152億76百万円(同44.0%減)となりました。なお、当連結会計年度より、当社の子会社であるタイムズ24株式会社から同じく子会社であるタイムズモビリティ株式会社へカーシェアリングサービスを移管したことに伴い、駐車場事業国内とモビリティ事業において、新たにセグメント間の内部取引が発生しております。
②駐車場事業海外
当社グループの展開国における感染症拡大の影響は、2月頃からアジア圏(シンガポール、マレーシア、台湾、韓国)で、3月頃からオセアニア及び欧州(豪州・ニュージーランド、英国)で受け始め、一部の国で政府から強制力の強いロックダウンや行動制限が発令されたことにより駐車場の稼働は低下しましたが、5月以降は段階的な行動制限の緩和に伴い徐々に回復いたしました。しかしながら、7月以降は豪州と英国の一部地域で新規感染者数が増加したことに伴い地域ごとにロックダウンや行動制限が再度発令されたことにより、改善幅は緩やかになり、特に豪州では回復が鈍化しました。一方でアジア圏は、新規感染者数の動向による影響は受けながらも、各国ともに4-5月を底に堅調な回復を示しました。
海外においては、国内以上に感染症拡大の影響を受けていることから、大きく売上高が落ち込みました。そのため、不採算物件の賃料交渉を積極的に行うと同時に、有人管理物件の無人化をはじめとする管理・メンテナンスの効率化や人件費の抑制等のコスト削減及びコスト抑制を積極的に行いました。
この結果、当連結会計年度末における海外の駐車場の総運営件数は2,834件(前連結会計年度末比107.7%)、総運営台数は696,495台(同104.6%)、日本を含む全世界における駐車場の総運営件数は23,187件(同101.0%)、総運営台数は1,442,528台(同101.5%)、当事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は451億69百万円(前期比31.5%減)、営業損失は144億6百万円(前期営業損失9億92百万円)となりました。
※当連結会計年度における海外各国の連結対象期間は2019年10月1日~2020年9月30日であります。
③モビリティ事業
感染症拡大の影響は、レンタカーサービスについては1月下旬から海外からの入国制限に伴うインバウンド需要の大幅な低下に加え、国内の旅行観光需要を低下させ、カーシェアリングサービスについては2月頃から移動の自粛等を引き起こし、いずれのサービスも利用件数が大きく落ち込みましたが、5月を底に回復基調となりました。特に、レンタカーは利用件数の減少が著しかったため、需要に合わせて保有車両台数の適正化を図りました。一方で、カーシェアリングは日常生活の中で手軽に利用できるモビリティサービスとして順調に成長しており、コロナ禍においては、不特定多数との接触がなく、密を回避できる移動手段として認識されはじめたことにより、さらにその需要が高まっております。そのため、会員数は感染症拡大前より増加幅が大きく、利用件数も順調に伸長しており、7月以降の利用料における売上高前年同月比及び1台当たり売上高前年同月比は100%を超える水準を継続しました。
さらに、今期から本格的に始動した新しいモビリティサービス「タイムズカー」(レンタカーとカーシェアを融合したサービス)をより強力に推進し、コストを抑制すると同時に車両の稼働を効率的に上げる取り組みを行っております。
この結果、当連結会計年度末におけるモビリティ車両台数は前連結会計年度末比77.7%の44,841台となり、当事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は734億84百万円(前期比14.4%減)、営業損失は25億95百万円(前期営業利益91億12百万円)となりました。なお、カーシェアリングサービスに関しては、当社の子会社であるタイムズ24株式会社から同じく子会社であるタイムズモビリティ株式会社へ移管したことに伴い、駐車場事業国内とモビリティ事業において、新たにセグメント間の内部取引が発生しております。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べて306億4百万円増加し、552億69百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られたキャッシュ・フローは、394億円(前連結会計年度末比62億94百万円の減少)となりました。主な内訳といたしましては、減価償却費、減損損失、のれん償却額を加えた税金等調整前当期純利益226億73百万円、たな卸資産の減少112億50百万円、未払金及び未払費用の増加62億18百万円等に対し、法人税等の支払額46億59百万円があったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用したキャッシュ・フローは、218億19百万円(同276億34百万円の支出の減少)となりました。これは主として、タイムズパーキングの開設、営業車両の取得に伴う有形固定資産の取得による支出177億88百万円、長期前払費用の取得による支出22億10百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、128億86百万円の資金の調達(同136億68百万円の調達の増加)となりました。これは、長期借入れによる収入292億86百万円、短期借入金の純増額167億49百万円があった一方で、リース債務の返済による支出136億69百万円、配当金の支払額108億19百万円があったことなどによるものです。
(受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当社グループは、国内と海外における駐車場事業及びモビリティ事業を行っており、生産実績として表示すべき適当な指標はありません。これにかえて、セグメントの売上高及び事業規模と比較的関連性が強いと認められる国内及び海外における駐車場数・駐車能力(駐車台数)及び営業所数・車両数(台数)を次のとおり示しております。
| セグメント | 当連結会計年度末 (2020年10月31日現在) | 前連結会計年度末比増減(%) |
| 駐車場事業国内 | ||
| 駐車場数(ヵ所) | 18,914 | +0.0 |
| 駐車能力(駐車台数) | 592,225 | △2.0 |
| 駐車場事業海外 | ||
| 駐車場数(ヵ所) | 2,834 | +7.7 |
| 駐車能力(駐車台数) | 696,495 | +4.6 |
| モビリティ事業 | ||
| 営業所数(ヵ所) | 284 | △16.5 |
| 車両数(台数) | 44,841 | △22.3 |
(注)この内、カーシェア車両は27,033台(前連結会計年度末比0.2%減)であります。
(2) 販売実績
セグメントごとにおける販売実績は以下のとおりであります。
| 区分 | 当連結会計年度 (自 2019年11月1日 至 2020年10月31日) | 前期比増減(%) |
| 駐車場事業国内(百万円) | 150,386 | △9.3 |
| 駐車場事業海外 (百万円) | 45,169 | △31.5 |
| モビリティ事業(百万円) | 73,347 | △14.4 |
| 合計 | 268,904 | △15.3 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 記載の金額には消費税等は含まれておりません。
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。また、連結財務諸表の作成にあたっては、固定資産の減損、繰延税金資産の計上等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。これらの見積りは、過去の実績や当該事象の状況を勘案して、合理的と考えられる方法に基づき行い、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性によって異なる場合があります。
なお、感染症の今後の拡大や収束時期を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、 帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しておりますが、事業計画や経営環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産については、将来の事業計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について計上しております。なお、当該課税所得を見積るにあたって前提とした条件や仮定に変更が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
(売上高と営業利益)
当連結会計年度の売上高は前期比485億34百万円減少の2,689億4百万円(前期比15.3%減)、営業損失は146億98百万円(前期営業利益223億22百万円)となりました。
これは、感染症拡大により展開国の一部の国で政府から強制力の強いロックダウンや行動制限が発令されたことによる駐車場の稼働の低下、レンタカーサービスにおけるインバウンド需要や国内の旅行観光需要の減少を主な要因とするものです。売上高及び営業損失の内訳は「(業績等の概要) (1)業績」をご参照下さい。
(営業外損益と経常利益)
営業外収益は前期比27億82百万円増加し34億41百万円、営業外費用は同24億96百万円増加し39億11百万円となりました。助成金収入が増加し、支払利息と減価償却費が増加しました。
この結果、経常損失は151億68百万円(前期経常利益215億66百万円)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
税金等調整前当期純損失は491億92百万円(前期税金等調整前当期純利益193億45百万円)となりました。特別損失で連結子会社であるMEIF Ⅱ CP Holdings 2 Limited(英国)とSecure Parking Pty Ltd(豪州・ニュージーランド)等におけるのれん及びその他事業資産の減損損失を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は466億52百万円(前期親会社株主に帰属する当期純利益123億48百万円)となりました。
(3) 財務状態の分析
(資産)
総資産は、前連結会計年度末比26億78百万円増加して2,957億75百万円となりました。主な増減といたしましては、増加で現金及び預金を含む流動資産が266億49百万円、使用権資産が268億34百万円、減少で機械装置及び運搬具が174億93百万円、リース資産が33億85百万円、のれんが205億85百万円、契約関連無形資産が50億62百万円等となっております。
(負債)
負債合計は、同623億24百万円増加し、2,646億29百万円となりました。主な増加といたしましては、増加でリース債務が281億3百万円、長・短期借入金が377億35百万円となり、減少で未払法人税等が26億74百万円となっております。
(純資産)
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上による減少466億52百万円、利益剰余金の配当による減少108億11百万円、為替換算調整勘定の増加13億3百万円等により、同596億45百万円減少し、311億46百万円となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況は、「(業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(5) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業活動に必要な資金を営業活動によるキャッシュ・フローの他、金融機関からの借入金や新株予約権付社債により調達しておりましたが、感染症拡大の影響により純資産を大きく毀損した為、成長投資の長期性資金の確保をすると同時に財務健全性の維持・向上を目的に2020年12月に500億円の劣後特約付シンジケートローンを実行しております(「(重要な後発事象) 多額な資金の借入」をご参照ください。)。この資金の運用については、車両やIT投資の資金需要に対して充当してまいります。