有価証券報告書-第58期(2022/04/01-2023/03/31)
② 戦略
当社グループでは、2019年3月期より気候変動によるリスク・機会の特定や当社グループへの財務的影響についてシナリオ分析を継続して実施しています。
<当社グループ事業の全体でのリスク・機会の特定(2019年3月期)>2019年3月期は、当社グループ事業の全体でリスク・機会を特定しました。シナリオとして2℃に気温上昇を抑える「2℃シナリオ」と現在想定されている以外の対策が実行されない「4℃シナリオ」を設定し、「コンサルティング」「金融ITソリューション」「産業ITソリューション」「データセンター(IT基盤ソリューション)」の4つの事業分野を対象としました。なお、現在は「2℃シナリオ」を「1.5℃シナリオ」に読み替えて適用しています。
(注)1. +:対象事業全体に正の影響が働く。 -:対象事業全体に負の影響が働く。
2. ※:分析時点。当年度末時点では当社グループ保有の全てのデータセンターの電力は全て再生可能エネルギー由来。
<個別の対象事業におけるシナリオ分析(2020年3月期~)>上記対象事業のうち、「コンサルティング」「金融ITソリューション(資産運用ソリューション/証券ソリューションに区分)」「データセンター」については、気候関連の事象を想定して、当社グループとしてのリスクと機会や当社グループへの財務的影響をより具体的に分析しました。下表はその結果を示したものです。
なお、2020年3月期、2021年3月期の分析では「2℃未満シナリオ」及び「4℃シナリオ」を、2022年3月期の分析では「1.5℃シナリオ」及び「4℃シナリオ」を適用しています。
<財務的影響に関する分析(2020年3月期~)>各対象事業の分析においては、気候変動による当社グループへの財務的影響についても分析しています。2020年3月期には、特定したリスクと機会の中で最も気候変動の影響が大きいデータセンター事業を対象に、2℃未満シナリオにおける炭素税や再生可能エネルギー導入による財務的影響について、ベースライン、ケース1、ケース2の状況を想定して評価しました。ベースラインでは、炭素税が導入されたことにより、電気代が2019年3月期比で21~28%上昇した世界において、当社として再生可能エネルギーを調達しなかった場合を想定しました。これに対してケース1は2020年3月期時点の目標として掲げていた「2031年3月期までに再生可能エネルギー調達比率36%」を達成した場合を、ケース2ではケース1と同じ条件で、かつ再生可能エネルギー調達価格が下落した世界を想定しました。結果、2℃未満シナリオでは、再生可能エネルギー調達目標の達成により、炭素税導入の影響緩和が可能であることがわかりました。

当社グループでは、このような財務的影響に関する分析結果を踏まえ、再生可能エネルギー導入等の温室効果ガス排出量削減の取組みがカーボンプライス(炭素税等)の導入や環境配慮行動への要請拡大等によるリスクを緩和する施策となるとの認識のもと、対応を進めています。具体的には、当社グループの温室効果ガス排出の多くが電力に起因していたことから、事業で使用する電力を再生可能エネルギー由来のものに切り替えることが、脱炭素に向けた重要な取組みであると考えています。これらの認識のもと、当社グループが保有する全てのデータセンターの電力は、当年度末時点で全て再生可能エネルギー由来となっています。また、オフィスにおいても、2022年3月期から一部の主要なオフィスの電力を再生可能エネルギー由来に切り替えています。
なお、当社グループは2023年2月に温室効果ガス排出量の削減目標を改定し、「④指標及び目標」に記載の目標を掲げています。さらに現在、2030年及び2050年を見据えて長期的かつ安定的な再生可能エネルギーの調達方法について検討を進めています。
当社グループでは、2019年3月期より気候変動によるリスク・機会の特定や当社グループへの財務的影響についてシナリオ分析を継続して実施しています。
| 2019年3月期 | 当社グループ事業の全体でのリスク・機会の特定 ・2℃、4℃シナリオでのリスク・機会を特定 (現在は「2℃シナリオ」を「1.5℃シナリオ」に読み替えて適用) |
| 2020年3月期 | 重要度が高い事業を対象にシナリオ分析 ・データセンター事業を対象に実施 |
| 2021年3月期 | 収益部門を対象にシナリオ分析 ・資産運用ソリューション事業、コンサルティング事業を対象に実施 |
| 2022年3月期 | シナリオ分析の対象事業の拡大 ・証券ソリューション事業を対象に実施 |
| 当年度~ | シナリオ分析継続、開示体系検討 ・シナリオ分析を継続 ・より進化した情報開示の枠組みを検討 |
<当社グループ事業の全体でのリスク・機会の特定(2019年3月期)>2019年3月期は、当社グループ事業の全体でリスク・機会を特定しました。シナリオとして2℃に気温上昇を抑える「2℃シナリオ」と現在想定されている以外の対策が実行されない「4℃シナリオ」を設定し、「コンサルティング」「金融ITソリューション」「産業ITソリューション」「データセンター(IT基盤ソリューション)」の4つの事業分野を対象としました。なお、現在は「2℃シナリオ」を「1.5℃シナリオ」に読み替えて適用しています。
| 対象事業分野 | 1.5℃シナリオ | 4℃シナリオ | ||
| コンサルティング | + | 顧客企業に脱炭素への変革が求められるため、当社の持つ、サステナビリティに関する知見やソリューションへの需要が高まる。 | - | 4℃シナリオで想定するような自然災害の激甚化は、マクロ経済の停滞や顧客の収益を悪化させ、事業の売上に影響するリスクがある。 |
| 金融ITソリューション | + | 当社の共同利用型サービスは個別企業が独自にシステムを開発する場合より、消費電力やCO2排出量、コストを大幅に削減することができ、さらにRE100の達成に向けた再生可能エネルギー利用率を増加させることで、需要は増加する。 | - | 気候変動が資産の損失やマクロ経済の長期停滞の要因となり、金融機関の収益が悪化した場合には、提供するサービスへの需要に影響するリスクがある。 |
| 産業ITソリューション | + | サプライチェーンや物流プロセスの効率化支援は、低炭素化につながるものであり、今後関連する取組みが進展することは、需要増加の機会になる。 | + | クラウド型システムの提供により、自然災害が生じた場合の被害を最小限にとどめることが可能であり、顧客のリスクを抑えることができる。 |
| データセンター(IT基盤ソリューション) | + | 当社は、全ての電力を再生可能エネルギーで賄う、脱炭素型のデータセンターを目指しており(※)、顧客の環境配慮が強まれば、需要増加の機会になる。 | + | 自然災害を考慮した立地選定とともに、複数のデータセンターによる相互バックアップで事業停止リスクを抑制しているため、需要増加の機会になる。 |
| - | 自然災害に伴う電力障害や真夏日の増加は、機器のメンテナンス・更新費用や冷却費用を増大させるリスクになる。 | |||
(注)1. +:対象事業全体に正の影響が働く。 -:対象事業全体に負の影響が働く。
2. ※:分析時点。当年度末時点では当社グループ保有の全てのデータセンターの電力は全て再生可能エネルギー由来。
<個別の対象事業におけるシナリオ分析(2020年3月期~)>上記対象事業のうち、「コンサルティング」「金融ITソリューション(資産運用ソリューション/証券ソリューションに区分)」「データセンター」については、気候関連の事象を想定して、当社グループとしてのリスクと機会や当社グループへの財務的影響をより具体的に分析しました。下表はその結果を示したものです。
なお、2020年3月期、2021年3月期の分析では「2℃未満シナリオ」及び「4℃シナリオ」を、2022年3月期の分析では「1.5℃シナリオ」及び「4℃シナリオ」を適用しています。
| 対象事業 (シナリオ分析の実施時期) | シナリオ | 気候関連事象によるリスク・機会と影響 | |||
| リスク | 機会 | 事象 | 影響 | ||
| コンサルティング (2021年3月期) | 2℃ 未満 | ○ | ○ | カーボンプライス(炭素税等)の導入、新技術に対する補助 | 脱炭素化への移行に向けた戦略構築、事業構造変革等の必要性が高まることによるコンサルティング事業へのニーズ増加。 一方で、長期的には脱炭素化への移行に失敗をした企業が多い場合には、コンサルティング事業の売上に影響を及ぼす可能性がある。 |
| ○ | ○ | 市場における気候変動を加味した取引条件の設定 | |||
| ○ | ○ | 新たな環境技術による市場構造の変化 | |||
| 4℃ | ○ | ○ | 自然災害の激甚化 | 自然災害による損害が生じたことに起因して、経済活動が停滞することでコンサルティング事業の売上に影響を及ぼす可能性がある。 一方で、対応策の構築に向けたコンサルティング事業へのニーズの増加可能性もある。 | |
| ○ | ○ | 気候パターンの変化 | |||
| 資産運用 ソリューション (2021年3月期) | 2℃ 未満 | ○ | ○ | カーボンプライス(炭素税等)の導入、新技術に対する補助 | 企業の競争力、企業価値が変化し、資産残高に影響が生じる。 |
| - | ○ | 企業へのESG/気候関連の情報開示の強化の要請、標準化の促進 | 企業から開示される情報量が増加。また、開示内容が標準化されていくことで、資産運用会社において企業情報の整理ニーズが増加。 | ||
| - | ○ | 資産運用会社への情報開示強化 | 監督当局、アセットオーナーより運用におけるESG投資、サステナブルファイナンスに関する開示強化により、その支援に対するニーズが増加。 | ||
| - | ○ | 金融商品のESG情報開示の強化 | 資産運用会社が開発する個人向け金融商品におけるESG関連の項目についての説明等が求められる。 | ||
| - | ○ | 個人のESGや気候変動への関心増加 | 環境・社会問題への関心が高いミレニアル世代・Z世代を中心にESG投資やインパクト投資への需要が高まることで、資産運用による環境・社会への影響の可視化へのニーズ増加。 | ||
| 4℃ | ○ | - | 自然災害の激甚化 | 自然災害により損失が生じたことに起因して、経済活動が停滞し、資産残高は一時的に下落。 | |
| 証券 ソリューション (2022年3月期) | 1.5℃ | ○ | ○ | カーボンプライス(炭素税等)等移行に向けた政策の導入・強化 | 企業の競争力、企業価値が変化し、資産残高に影響が生じる。 |
| ○ | - | カーボンプライス(炭素税等)の導入 | カーボンプライシングによる光熱費の高騰に伴い、サーバーなどの機械製造コスト増加。 | ||
| - | ○ | 市場改革(サステナブルファイナンス関連)、環境配慮行動への圧力・要請拡大 | サステナブル関連の市場改革(区分の設定、税制優遇など)と環境配慮行動への高まりにより個人投資家のサステナブル投資が拡大する。 | ||
| - | - | 取引条件の変化、環境配慮行動への圧力・要請拡大 | 取引条件に再生可能エネルギー利用率の導入が要請される。 | ||
| ○ | - | 取引条件の変化、環境配慮行動への圧力・要請拡大 | 上記に対して、再生可能エネルギー調達をする場合は一部コスト増加。 ただし、再生可能エネルギー費用が削減されればコスト抑制が可能。 | ||
| 4℃ | ○ | - | 自然災害の激甚化 | 自然災害の激甚化に伴い、市場での取引が停止。 (一方で対応策を他よりも整備することで競争優位を創出) | |
| ○ | - | 自然災害の激甚化 | 自然災害の激甚化への対応策として、広域被災への対応が求められる。 | ||
| ○ | - | 自然災害の激甚化、気象パターンの変化 | 自然災害の激甚化に伴い、海外での開発停止を国内で代替することで費用増加。 資源価格などの高騰に伴う人件費増加。 | ||
| データセンター (2020年3月期) | 2℃ 未満 | ○ | - | カーボンプライス(炭素税等)の導入 | 2℃未満シナリオで想定する炭素税が導入されたことにより電気代が上昇。 |
| ○ | ○ | 再生可能エネルギーの利用拡大 | 再生可能エネルギー導入目標達成のために費用負担が発生。 ただし、目標が達成されれば、炭素税導入の影響緩和が可能。 | ||
| 4℃ | ○ | - | 自然災害の激甚化 | データセンターの設備が自然災害から影響を受ける。 (取水制限・断水、水害(集中豪雨等)、強風被害、電力供給障害等。ただし、ハザードマップ等を分析した結果、影響は小さいと評価) | |
<財務的影響に関する分析(2020年3月期~)>各対象事業の分析においては、気候変動による当社グループへの財務的影響についても分析しています。2020年3月期には、特定したリスクと機会の中で最も気候変動の影響が大きいデータセンター事業を対象に、2℃未満シナリオにおける炭素税や再生可能エネルギー導入による財務的影響について、ベースライン、ケース1、ケース2の状況を想定して評価しました。ベースラインでは、炭素税が導入されたことにより、電気代が2019年3月期比で21~28%上昇した世界において、当社として再生可能エネルギーを調達しなかった場合を想定しました。これに対してケース1は2020年3月期時点の目標として掲げていた「2031年3月期までに再生可能エネルギー調達比率36%」を達成した場合を、ケース2ではケース1と同じ条件で、かつ再生可能エネルギー調達価格が下落した世界を想定しました。結果、2℃未満シナリオでは、再生可能エネルギー調達目標の達成により、炭素税導入の影響緩和が可能であることがわかりました。

当社グループでは、このような財務的影響に関する分析結果を踏まえ、再生可能エネルギー導入等の温室効果ガス排出量削減の取組みがカーボンプライス(炭素税等)の導入や環境配慮行動への要請拡大等によるリスクを緩和する施策となるとの認識のもと、対応を進めています。具体的には、当社グループの温室効果ガス排出の多くが電力に起因していたことから、事業で使用する電力を再生可能エネルギー由来のものに切り替えることが、脱炭素に向けた重要な取組みであると考えています。これらの認識のもと、当社グループが保有する全てのデータセンターの電力は、当年度末時点で全て再生可能エネルギー由来となっています。また、オフィスにおいても、2022年3月期から一部の主要なオフィスの電力を再生可能エネルギー由来に切り替えています。
なお、当社グループは2023年2月に温室効果ガス排出量の削減目標を改定し、「④指標及び目標」に記載の目標を掲げています。さらに現在、2030年及び2050年を見据えて長期的かつ安定的な再生可能エネルギーの調達方法について検討を進めています。