有価証券報告書-第31期(平成27年1月1日-平成27年12月31日)

【提出】
2016/03/14 9:03
【資料】
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【項目】
110項目

研究開発活動

当社グループの研究開発は、制御設計、通信アルゴリズム開発、構造解析、熱解析、回路設計、光学/照明設計、可視化技術、医学工学連携、医用画像処理、射出成形技術などCAE分野、及びITソリューション分野において、自社開発製品のみならず全取扱製品の機能向上を課題としております。当社グループは、自社製品に関する研究開発に取り組むと共に、その他の取扱製品を含め研究機関や教育機関との共同研究、委託研究を行っております。
自社製品については、すでに販売している製品の改良強化に加え、CAEソフトウェア利用の可能性を拡大するサービスに向けた研究開発も行っております。また、共同研究では、ノウハウの提供等による研究参加を通じ、ソフトウェアによるシミュレーション実験及びその検証とその有効性評価並びに多くの応用事例を得ることを目的としており、その成果を販売活動及び当社グループの技術力向上に役立てております。
当連結会計年度の研究開発活動は主に次のとおりであります。なお、当連結会計年度において51,380千円の研究開発費を支出しております。
(CAEソリューションサービス事業)
[モデル縮退技術]
ANSYSなどの有限要素法では、3Dの詳細なモデルを扱い、多くの現象を解析するため、一般に極めて大規模なモデルとなり、計算時間が大幅に掛かります。これを必要なデータに注目し、結果に支配的に影響を与える部分だけを抽出することにより、精度をほとんど低下させることなく、大幅に計算時間を短縮することができる技術を構築しております。この技術を子会社であるMaplesoft社へ提供し、同社のソフトウェアであるMapleSimに、「FEA Import機能」として搭載される予定となりました。
また、伝熱解析におけるモデル縮退技術(Krylov部分空間法の応用)を開発し、従来の3D解析ツール(有限要素法等)では計算時間がかかっていた過渡シミュレーションについて、その精度をほとんど損なうことなく高速化させることに成功しました。この成果について平成27年の日本機械学会(Design&Dynamics)にて発表いたしました。
[フラット・パネル・ディスプレイ自動検査システム「FPiS」の開発]
ディスプレイメーカー(液晶、有機EL)では、検査員による目視検査の測定誤差や検査コスト解消が重要課題となっております。当社が開発した「FPiS」は、目視では検出困難な高精細ディスプレイの欠陥、ムラなどを、高速検出する自動光学検査(AOI)システムです。平成27年度は、FPiSの生産ラインにおけるAOI検査能力を複数社で実証しました。今後設備メーカーと協力をより進め、当社のFPiSをより多く生産ラインに提供し、ディスプレイ製品の品質と生産効率改善に貢献します
FPiSは有機ELパネルの検査・調整技術をリードしていますが、スマートフォンやタブレットといった中小型ディスプレイ市場では順調に有機ELパネルの採用が広がっています。更に開発を強化して、生産ラインへの普及を目指します。
50インチ以上の大型ディスプレイ市場でも韓国・中国メーカーを中心に有機ELパネルの導入が進んでいます。実際55インチ向けFPiSを既に導入済みの大型有機ELメーカーから85インチ用新規装置採用の話も頂いており、量産対応を視野に入れた開発を進めています。
[ビッグデータ可視化エンジン「toorPIA」の開発]
昨今では、「IoT]や「SNS」などを始めとし、あらゆる分野で膨大な量のデータ「ビックデータ」が生み出されるようになり、それを活用して新たなビジネスを創造していこうという動きが出てきていますが、その中からビジネスに影響を及ぼす因子を導出するのは容易ではありません。ビッグデータ可視化エンジン「toorPIA」はデータの「可視化」により、データに潜む因子を見つけ出す手助けを行います。平成27年度においては、「toorPIA」による可視化結果を簡単な操作で表示、分析することができるアプリケーション「BIGDAT@Viewer」の開発を行いました。